のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

静かなむらに従業員3800人のショッピングセンターがやってきた(のらやま通信261/1608)

2016年08月18日 | 散歩漫歩
どちらから?と問われたら「柏です。柏でも家の周りが田んぼと畑の田舎です」と答えます。田舎は田舎なりにこの10年ずいぶん変わりました。振り返ると道の駅しょうなん農産物直売所ができたこと(2001年)と40万都市柏市の農家になったこと(2005年吸収合併)はわが家の農業経営のターニングポイントでした。
 それまでもわが家の梨の販売については、お客様の紹介や送り先様がお客様になって下さるなどの形で直売シフトしていましたが、農産物直売所は自分の出したものがお客様に認められれば商品たりうるわけです。ばあちゃんが趣味で作っていた切花が墓参り需要に合致して売れる!自家用につくっていたインゲン、ミョウガ、切り干し大根がお金に換わる!わが家だけでなく仲間たちも創意工夫をし、ズッキーニ、花オクラ、ロマネスコなど面白野菜をつくってきました。
5年遅れて柏市内にもうひとつの農産物直売所「かしわで」がオープンしました。ふたつの直売所オープンから15年がたち、農家開設の直売所からインショップの地元野菜コーナーまで林立し、専業農家も直売にシフトせざるをえない時代になりました。
 地域の中で直売所の存在が当たり前となった今、直売所も環境の変化の対応に追われています。ひとつは大型化。来年度、我孫子市の農産物直売所「あびこん」が手賀沼湖畔の県の環境学習施設を改修して新たな直売所となります。もうひとつは、飲食サービスの提供。「あびこん」は移転に際してカフェを併設するそうです。先月「かしわで」にも農家レストラン「さんち家」がオープンしました。地元野菜をふんだんに使って農家のおかあさんが出汁から自前で作るビュッフェスタイルのレストランで評判は上々のようです。
40年間、柏の象徴であった百貨店そごう柏店がこの9月閉店となります。一方で郊外型の大型ショッピングセンターが次々とオープンしています。モラージュ柏、イオンモール柏、ららぽーと柏の葉、流山おおたかの森S・C、…。さらに 今年の4月には近くの国道16号線沿いにセブンパークアリオ柏がオープンしました。13万平方メートルの敷地にヨーカドーを中心にテナントが200店舗!従業員3800人!駐車場4000台!公園も併設しています。映画館、ボーリング場、カラオケ…、物販と飲食とレジャーとなんでもあって1日家族連れで過ごせるところ。4月25日のグランドオープンの日には開店前に3000人が並んだそうです。開業10日間で100万人突破。これはセブン&アイグループ史上最速の記録だということです。
道の駅しょうなん農産物直売所はどうするか?道の駅しょうなんは、2015年に国土交通省より地域活性化の拠点を形成する重点「道の駅」の候補となりました。地域活性化の拠点となる優れた企画の具体化に向け、地域での意欲的な取り組みが期待できるものとされます。
柏市の計画では『都市部と農村部を繋ぐエントランスパークとして整備し、地域の自然・人・農業にふれあい、学び、交流する拠点』と謳っています。直売所リニューアルのほかレストラン、体験農園、多目的広場、インフォメーションセンター等々、平成31年オープンを目標に検討が進められています。
市街化調製区域という都市計画決定、米の減反政策、ライフスタイルの変化による子供たちの流出などの要因がたまたま重なり50年ほど静かであったわがむらにも大きな波がやってきています。街のすぐ隣で、自然の風、鳥の声、虫の声、田畑を見やれば季節の移りかわりを五感で感じることができるということに価値があるなら、それを誰がどうやって作っていくのか。農業で生きていかねばならないとしたらどう農業で生き残っていけるか。街の人たちや外から人々を招き、その交流によって地域を活性化したいというのであれば、なによりそこに暮らすわれわれが生き生きと農的生活を楽しんでいなければなりません。そのうちに住みたいという人がきてくれるなら、こんなにありがたいことはありません。      (BY SACHI)


山里はパネルもイネも籠の中(のらやま通信253/1512)

2016年04月28日 | 散歩漫歩

 この秋(冬?)もドタバタ家族旅。長野県伊那谷へ果樹の苗木を仕入れに行くついでに遠州から奥三河、東美濃地方を巡ってきました。
新東名高速道路を初めて走って、掛川市の観光農園「キウイフルーツカントリーJapan」さんへ。園内では各種キウイフルーツの食べ比べやバーベキュー、畑の散策、小動物とのふれあいなどができます。収穫の最終期でしたが、6種類のキウイフルーツを試食できました。写真右側からゴールデンイエロー、ヘイワード、アップルキウイ、農園オリジナルのピュアカントリー、ゼリーのような果肉のファーストエンペラー、小さいけれど特別甘くて一番人気の紅鮮。段々甘くなる順番でした。
掛川から浜松にかけて「ブルーベリーの郷」や「豊岡梅園」「はままつフルーツパーク時の栖」などの果物をテーマとした大規模な観光農園が立地し、生産、加工、販売だけでなく体験プログラムまで競いあっています。消費者は季節ごとにどこに行こうかと楽しいでしょうが、経営する方は生き残るのにた~いへん。
奥三河の山里を走っていると、こんなところまでと思えるようなところにもネットフェンスで囲まれたソーラーパネル。あれ?栗畑にもフェンス?ウメ畑も?なんでなんで?と思っているうちに、田んぼ全体を取り囲むフェンスが出てきて、ああそうか、イノシシ避けなんだと。ここでは田んぼに入るのにはフェンス扉の鍵も持って行かねばなりませんね。でも、クリ畑まで囲わねばならないとは…

恵那市岩村の町並み。ここは鎌倉時代からの城下町で、まだ昭和、大正の雰囲気がプンプン。どの家の玄関先にも花が飾られ、町が大事にされている様子がうかがえて好感持てます。通りの正面に見える山の上が東美濃岩村城跡。天空の城と呼ばれて最近人気の備中松山城と並んで日本三大山城のひとつとか。岩村の町から少しはずれたところに「農村景観日本一の地」という看板がありました(岩村町富田)。京都大学の先生がこの景色を気に入って、そう名付けたとか。写真正面中央山頂が岩村城址。古代の仁徳天皇のみた“カマドの煙”が見えてくるような盆地の散居風景でした。
中津川は栗きんとん発祥の地といわれ、栗きんとん屋さんが公式マップに14店舗も紹介されています。それぞれのお店の自慢の栗きんとんを食べ比べできるような企画商品も。先日、テレビで紹介されていたお店でお茶と一緒にいただきました。
伊那からの帰りはいつもここでひとっ風呂浴びてひと休み。昭和3年建設の諏訪片倉館。片倉製糸工場従業員向けの保養施設で、ヘルスセンターの原型?映画「テルマエ・ロマエⅡ」のロケ地にもなったようです。国の重要文化財指定の産業遺産のひとつ。
 いつもの突貫旅行でしたが、すっきり気分転換できてこれからの冬仕事に励めます。  (by mit)

(2015年12月)

まっすぐな歴史と誇り引き継いで(のらやま通信251/1510)

2016年04月28日 | 散歩漫歩

山の中腹に忽然と赤い大鳥居が現れました。全国の信者からの寄進で建てられたようです素足になり詔を受け、身も心も清めてご神体とのご対面です。何度も参詣しているという方に「ご利益はありますか」と聞くと「こうして毎年、参詣できることがありがたい」と。不謹慎なことを聞いてしまいました。
出羽三山の湯殿山神社での話です。山を下りた里に湯殿山総本寺大日坊というお寺があります。弘法大師の開創、出羽修験道の霊地で、徳川将軍家の祈願寺という歴史もあって、明治期の廃仏毀釈以前は日本で有数の規模を誇った寺院だったそうです。ここでは修行の究極の姿、即身仏・真如海上人を直接仰ぎ見ることができます。二十代から木の実などしか口にしない木食の行に入り、96歳で生身のまま土中に入定という説明も伺えました。
かつては「西の伊勢参り、東の奥参り」が一対の人生儀礼のひとつだったそうですが、“他言無用、言わず語らずの山”といわれ、今日でも厳しい戒律が生きているようです。今年から地元の二つの講の役員を務めることになり、そういえば明治42年生まれの祖父が地元の八日講(出羽三山講)の最後の役員をしていたと思いだし、その足跡を垣間見ようと7月、山形県庄内地方へいつものように突撃夫婦旅。
庄内といえば、だだちゃ豆を代表とする“在来作物”。現在も50種類以上が受け継がれ栽培されているそうです。イタリアンの奥田シェフの活躍で知られるようになりました。鶴岡出身の藤沢周平の時代小説でも焼き畑農法で作られる藤沢カブや民田ナスなど、山海里の恵みが数多く取り上げられています。こういった食文化が評価され、鶴岡市が昨年、日本で初めてユネスコ創造都市ネットワークに加盟認可されています。これを機にグリーン・ツーリズムを通じたまちづくりを一層進めるとのこと。
鶴岡の街から日本海に出る湯野浜海岸の入り口におしゃれな農産物直売所がありました。店内がとても明るいので見上げると、農業用鉄骨ハウスをそのまま利用していました(写真)。もともと作物が健康に育つように作られた施設です。冬は暖かく、夏涼しい、しかも明るい。農産物直売所というとプレハブやログハウス風が多いのですが、これはいい着想です。
店内には時節柄、色とりどりのミニトマトのほかに、ジュースやケチャップ、カレーなど、トマトを原材料とした加工品がたくさん陳列されています。自前の加工場も持っているといいます。聞けば七年前に土建業から新規参入した事業所とか。近くの砂丘の中の畑を大規模に経営。トマトの他、特産のメロン、イチゴ、キャベツ、ナス、エダマメなど13種もの野菜を作付け、土づくりに力を入れ、差別化を図ろうとしています。レストランも持ち、加工品はネット販売で活路を見出そうとしています。成功事例として紹介されているようですが、本当の評価はこれからかもしれません。互いに頑張りましょう。
庄内には、城のあった鶴岡と北前船で栄えた酒田の二つの街があります。片や譜代大名酒井家が領民との信頼を深めながら江戸期一貫して治め、片や「本間様には及びもせぬが、せめてなりたやお殿様」と歌に詠まれるほど栄華を誇り、防風林や灌漑事業に貢献した日本最大の地主本間家の本拠地。朝ドラ<おしん>で有名になった酒田の山居倉庫、クラゲ展示で名を馳せる加茂水族館、時代小説ファン垂涎の藤沢周平記念館、もちろん出羽三山の羽黒山など、他にも見どころいっぱい。落ち着きの中にも自信と活力があふれている感じです。時間の経過に耐えたものはそのまちに風格を与え、まちに暮らすことの誇りに通じる。こんな想いを再認識した旅でした。         (by mit)

(2015年10月)

さあ今日は大師様だ(のらやま通信246/1505)

2016年04月28日 | 散歩漫歩

毎年5月1日から5日まで、地域最大の民俗行事“送り大師”が行われます。四国八十八ヶ所巡りに習い、地元に札所を置いて5日間で巡ってきます。柏市を中心に白井市、鎌ヶ谷市、松戸市域まで及び三十数集落が講中に参加。今年は柏市逆井区が結願区となって行事全体を仕切ります。泉区の講中役員として初日の1日、17km 余り歩いてきました。今年の結願区逆井の観音寺で出発式。700人あまりが集まりました。かつては野良道を歩いたのでしょうが、今では大師道を鉄道が横切り、札所をマンションが取り囲みます。JR常磐線柏駅すぐ近くを歩くときはやはり少し恥ずかしい。参加者の中には異国出身の方や子供たちも。もちろん、般若心経を一緒に唱えています。
2日目はわが地区の札所でお接待。「もてなし」「もてなされ」のお互いさま。

5日は結願の祭礼の行われる日。最後の5km余りを歩きます。数百メートル手前で隊列を組みなおし、稚児行列も加わります。会場となった逆井観音寺正面に建てられた御柱の白布がとられて祭礼は最高潮。観客も含め1000人近くが集まったようです。来年は松戸市金ケ作区が結願区。その先は未定とのこと。

かつてはこんな農繁期にやってと苦々しく感じていたものですが、今回、初めて行事に参加し、イメージが変わりました。農作業や田植えで忙しいといっても、これから農作業や田植えをやる人は限られた人だけになるでしょうし、ほとんどの人は大型連休何しようかしらと思うはず。
爽やかな緑の風の中、普段は車であっという間に通り過ぎるまちの裏道を旧知の人や友人たちと何を話すとはなくだべりながら一日歩く。地域の再発見の機会になります。かつては婚活の場となったり、地域紛争解決のきっかけとなったこともあったようです。宗派を問わず、参加したいものを受け入れる寛容さ。今日もてなされたなら明日はもてなす方に回るお互い様という関係性。実にジャパネスクです。

各札所での般若心経は頭の体操とともに呼吸健康法かも。全行程で百回以上唱えます。毎日歩くと「スリーデイマーチ」ならぬ「ファイブデイマーチ」健康づくりイベントのようです。今年も五日間歩けたからまだまだ元気だなんて、若さ具合を測るバロメーターになっているようなことも。
実情にあった運営方法を模索しているようですが、これからはムラ単位の講中による運営は難しいかもしれません。新しい時代には新しい価値を見つけられる気がします。“健康都市かしわ”あるいは“健康都市東葛印旛”を象徴する地域の文化遺産としても継承していきたいと強く感じました。

(2015年5月)

葡萄畑を見下ろして飲むワインの美味しさよ(のらやま通信239/1410)

2016年04月27日 | 散歩漫歩

7月上旬、ナシの収穫・出荷前の気分転換にと30年来のパートナーと四万温泉へ。のんびりするのが目的。温泉で体が温まったら布団の中で読もうと数冊の本をカバンに詰めていたのですが、直行しても早く着きすぎるからと寄り道をしようと考えたところから少し旅の意味合いが変わってしまったようです。
まずは関越道に入らずに東北道を北上。足利のココ・ファーム・ワイナリーへ。知的障がい者たちのつくるブドウ畑ということで広く知られています。ブドウ畑のその急斜面にびっくり。30度以上の傾斜はありそうです。「施設概要」に“山の斜面を使って障がい者の機能訓練をしたい”というねらいが書いてありました。急斜面のブドウ畑を前にしたカフェで開墾当時の労苦や毎年の栽培作業の厳しさを思い浮かべワインでも。いえまだ旅の途中。
二日目。骨休めに来たのだからと午前中は温泉に入ったり布団にもぐったりでしたが、外は上天気。根っからの貧乏性が起きだして、子供たちとキャンプに出かけていた当時、気になっていた野反湖へドライブ。その途中で見つけた見事な薪の壁。薪を販売しているプロなのか薪が生活の必需品のやま人なのか、家庭用の薪を作っているにしては立派な薪小屋です。プロにしては動力薪割り機のような機械が見当たりません。斧一本が立てかけてあるだけでした。斧でこれだけの薪を割る労力と技には頭が下がります。わが家の曽祖父は昭和初期に新しい家を興したとき、薪を拾う山林を持っていませんでした。だから子孫が薪で困らないよう晩年は薪づくりに精を出し小屋一杯の薪を残してくれました。亡くなって20年余りたちますが、まだ薪小屋の隅に曽祖父が割った薪が残っているかもしれません。
三日目。向かうは長野県東御市のワイナリー。吾妻渓谷をどんどんさかのぼり鳥居峠を越えて菅平口を経て千曲川沿いの丘陵へというルート。学生時代から何度か鳥居峠を通ったはずですが、有名な嬬恋村のキャベツ畑を見たことがない。そこでちょいと寄り道「つまごいパノラマライン」へ入ると国道だけ走っていただけではみられなかった光景が広がっていました。高原すべてがキャベツで埋め尽くされています。ヤマトタケルがわが妻の恋しいことよと詠んだ故事から命名された地名にちなんで愛妻の丘という見晴らし台がありまして、若いカップルが和んでいました。われわれには、夏秋の半年で1年分を稼ぐ畑、しかも百馬力の大型トラクタを買えるだけ稼ぐ畑、理想的農業のひとつの形だよねーって、日常的感想のみ。
今回の夫婦旅のひとつの目的地は玉村豊雄さんの始めたヴィラデストガーデンファームアンドワイナリー。軽井沢と上田の間の丘陵にあるファームカフェです。「ブドウ畑の風景を見ながらそのブドウからつくられたワインを飲む。そんな田園のリゾートを信州の自宅の庭先に作りました。多くの人々の共感を得られればと願っています」こんなメッセージに共感して多くのお客さんが訪れていました。
1992年に栽培を始めて2014年には6ヘクタールを越え、さらに地元の役所の紹介で遊休農地を解消して近々10ヘクタール規模の経営になるとか。栽培面積の拡大に合わせてワイン醸造の研修所もつくって千曲川沿いの一帯をワインバレーにしようという構想もあるとカフェのスタッフから聞きました。先々にはカフェレストランだけでなく宿泊施設も整備して、心置きなくワインを楽しんでもらおうという計画もあるそうです。
『里山ビジネス』という新書で紹介されていて興味を持って出かけてみたのですが、想像以上にビジネスとして成功しているようです。なぜこんな不便でなにもないところへ人が訪れるのか。実は高速道路ICから車で10分ですから、そんな不便ではないのですが、近くの観光地に来たついでに立ち寄るようなところではない。わざわざ訪れることを目的にしなければならないところ。きっとそこに切った張ったような嘘がないからでしょう。オーナーが本気になって楽しんでいる様子が本物だからでしょう。帰路で立ち寄った柳生博さんの八ヶ岳倶楽部も観光地にあるという立地を除けば、オーナーのライフスタイルに共感できるものがあるというのが共通点でしょう。
農業も単に農産物を栽培するだけでなく加工、販売を加えた6次産業化、さらにグリーンツーリズムという観光機能も求められる時代です。観光とは文字通り『光り』を観ること。そこにキラリと光るなにかがないとただのお騒がせで終わってしまいます。さてさて、わが家の農業、柏市の農業はいかに。
(2014年10月)

さあ今日は大師さまだ

2015年05月05日 | 散歩漫歩
毎年5月1日から5日まで、地域最大の民俗行事“送り大師”が行われます。
四国八十八ヶ所巡りに習い、地元に札所を置いて5日間で巡ってきます。
柏市を中心に白井市、鎌ヶ谷市、松戸市域まで及び三十数集落が講中に参加。
今年は柏市逆井区が結願区となって行事全体を仕切ります。
泉区の講中役員として初日の1日、17km 余り歩いてきました。

今年の結願区逆井の観音寺で出発式。
700人あまりが集まりました。




かつては野良道を歩いたのでしょうが、
今では大師道を鉄道が横切り、札所をマンションが取り囲みます。




JR常磐線柏駅すぐ近くを歩くときはやはり少し恥ずかしい。


参加者の中には異国出身の方や子供たちも。
もちろん、般若心経を一緒に唱えています。


2日目はわが地区の札所でお接待。
もてなしもてなされのお互いさま。


5日は結願の祭礼の行われる日。
最後の5km余りを歩きます。


数百メートル手前で隊列を組みなおし、稚児行列も加わります。




会場となった逆井観音寺正面に建てられた御柱の白布がとられて
祭礼は最高潮。
観客も含め1000人近くが集まったようです。


来年は松戸市金ケ作が結願区。
その先は未定とのこと。
かつてはこんな農繁期にと苦々しく感じていたものですが、
今回、初めて参加し、イメージが変わりました。

農作業や田植えで忙しいといっても、
これから農作業や田植えをやる人って限られた人だけになるでしょうし、
ほとんどの人は大型連休何しようかしらと思うはず。

爽やかな緑の風の中、普段は車であっという間に通り過ぎるまちの裏道を
旧知の人や友人たちと何を話すとはなくだべりながら一日歩く。
地域の再発見の機会になります。
宗派を問わず、参加したいものを受け入れる寛容さ。
今日もてなされたなら明日はもてなす方に回るお互い様という関係性。
実にジャパネスクです。

札所での般若心経は頭の体操とともに呼吸健康法かも。
「スリーデイマーチ」ならぬ「ファイブデイマーチ」健康づくりイベントのようです。
今年も五日間歩けたからまだまだ元気だなんて
自分の若さ具合を測るバロメーターになっているようなこともあるようです。

実情にあった運営方法を模索しているようですが、
これまでのムラ単位の講中による運営は難しいかもしれません。
新しい時代には新しい価値を見つけられる気がします。
“健康都市かしわ”あるいは“健康都市東葛印旛”を象徴する
地域の文化遺産としても継承していきたいと強く感じました。

芸術と技術の間の光の国

2015年01月25日 | 散歩漫歩
夫婦で久しぶりに都心に出ることがあり
昼は日本橋たいめいけんで食べようということになりました
食後に、同じく日本橋でたまたま開催中の
フェルメール展の入場割引券をいただいたものですから
ずいぶん昔に戻った気分で美術鑑賞デートと洒落こみました
http://www.re-create.gallery/vermeer2015/

なんの予備知識もなく入ったものですから
展覧会のタイトルに生物学者の福岡伸一さんの名が
なぜついているのかわかりませんでした
フェルメールの全37作品が展示しあるそうです
なのに、内部に監視員はいないようですし
カメラ撮りも可能とあります
なかに入って説明文を読んで初めて
「リ-クリエイト」と銘打ってあることを理解しました

最新のデジタル技術とプリンティング技術によって
フェルメール全作品を「リ・クリエ イト」する試み
──描かれた当時の色彩と筆致をとりもどす──
それを一堂に展示して彼の全生涯を福岡伸一さん流に再体験する
ということのようです
印刷物だから息が吹きかかるほど近くで鑑賞しても
写真をバシバシ撮っても良かったのです
まじまじと見てもとても印刷物とは見えませんでしたが

福岡さんの解釈によると
フェルメールは芸術家というよりも
世界をあるがままに記述しようとしたフォトグラファーであり
科学者的なマインドの持ち主であったといいます

とは言え、フェルメールの代表作のひとつ
「真珠の耳飾の少女(青いターバンの少女)」の前に立つと
やはり、その瞳に何か自分が見透かされているような気分になるというのは
立派な芸術作品になっているのだと思います

見ている人を見ているのではないというなら
何を見ているのかといえば
その答えは実物が展示されている美術館にあるといいます
彼女の視線の先の対面の壁には
「デルフトの眺望」という風景画がかけられているのだそうですが
街の朝の様子を眺めて彼女は何を思っているのでしょう
またまた考えさせられます

日本橋で二つの絵の関係性を体験できるよう展示されています



嵐越え孝行するもまた嵐

2014年10月08日 | 散歩漫歩
秋の収穫作業もほぼ終わりが見えてきて
後始末作業の前に老両親を連れて
リフレッシュでもしようかと予定していたのが
たまたま台風18号が襲来していた10月6日
7月の旅の時も台風が来ているときでしたが
わが家の旅が嵐を呼んでいるわけではありません

今回は新潟県柏崎で縁者の墓参りをしてから長野に回り
帰りに小布施でも立ち寄ってこようという旅

小布施というと栗とか葛飾北斎ですが
もうひとつの目玉がガーデニング
時間に余裕がなかったこともあって
町振興公社が運営している花公園と6次産業センターへ直行

ここの6次産業センターのユニークなのは
加工に向いた特徴ある果物を周辺農家に栽培してもらい
それを浸かって特産品を作ろうというもの
すでにあるものを原材料にして何か加工して
商品化しようというのはどこでもやっていることで
特産品といってもどこも同じようなものになってしまいます

小布施の試みは先に商品ありきというか
加工に適した農産物を導入して
商品だけでなく原材料としても供給しようとしています

それは何かといえば
酸っぱいクッキングアップル(加工用リンゴ)と
色鮮やかなサワーチェリー(酸果桜桃)
リンゴは爽やかな酸味をもち、すぐ煮溶けるのが特長
さくらんぼは加熱すると香りたち
ポリフェノールは佐藤錦の5倍含まれているとか

さすが、むらおこしで永年の実績を積んでいる地域です
とかく修景によるまちづくりで商業系に注目が集まりますが
どっこい農業系も頑張っています
もっともあのくらいの規模のまちだと
商業だ農業だと区別することもないのでしょうが

花公園(フローラルガーデンおぶせ)の
1.5haの庭園と庭園に面した洗練されたレストランは
まさに小布施の象徴かもしれません
あちこちにある農家レストランも
あのくらいのセンスがほしいですね



写真は上信越道新井PAでみた光景
今度の台風19号はどうしたものか
まだ畑にナシが残っているのですが

葡萄畑を見下ろして飲むワインはさらに茜を増して

2014年07月29日 | 散歩漫歩
今回の夫婦旅のひとつの目的地は
たまむらとよおさんの始めたヴィラデスト
軽井沢と上田の間の丘陵にあるファームカフェ
正確にはヴィラデストガーデンファームアンドワイナリー

「ブドウ畑の風景を見ながら
そのブドウからつくられたワインを飲む
そんな田園のリゾートを
信州の自宅の庭先に作りました
多くの人々の共感を得られればと願っています」
こんなメッセージに共感して多くのお客さんが訪れていました

1992年に栽培を始めて2014年には6ヘクタールを越え
さらに地元の役所の紹介で遊休農地を解消して
近々10ヘクタール規模の経営になるとか
栽培面積の拡大に合わせてワイン醸造の研修所もつくって
千曲川沿いの一帯をワインバレーにしようという
構想もあると聞きました
先々にはカフェレストランだけでなく宿泊施設も整備して
心置きなくワインを楽しんでもらおうという計画もあるそうです

『里山ビジネス』という新書で紹介されていて
興味を持って出かけてみたのですが
想像以上にビジネスとして成功しているようです

なぜこんな不便でなにもないところへ人が訪れるのか
実は高速道路ICから車で10分ですから
そんな不便ではないのですが
近くの観光地に来たついでに立ち寄るようなところではない
わざわざ訪れることを目的にしなければならないところ

どこかに書いてあったかもしれませんが
要はそこに切った張ったような嘘がないからでしょう
オーナーが本気になって楽しんでいる様子が本物だからでしょう
この後立ち寄ったやぎゅうひろしさんの八ヶ岳倶楽部も
観光地にあるという立地を除けば
オーナーのライフスタイルに共感できるものがあるというのが
共通点でしょう

農業も単に農産物を栽培するだけでなく
加工、販売を加えた6次産業化
さらにグリーンツーリズムという観光機能も
求められる時代です
観光とは文字通り『光り』を観ること
そこにキラリと光るなにかがないとお騒がせで終わってしまいます
さてさて、わが家の農業、柏市の農業はいかに




キャベツ畑の真ん中でつまへの愛を叫ぶ

2014年07月27日 | 散歩漫歩
この夏の夫婦突貫旅行三日目
向かうは長野県東御市のワイナリー
吾妻渓谷をどんどんさかのぼり
鳥居峠を越えて菅平口を経て千曲川沿いの丘陵へというルート

学生時代、サークルの夏合宿かなにかで菅平へ向かったとき
この鳥居峠を通ったはずですが
有名な嬬恋村のキャベツ畑を実感してことはなかったような
そこで、嬬恋村でちょいと寄り道
「つまごいパノラマライン」というルートへ



国道だけ走っていただけではみられなかった光景が
広がっていました
高原すべてがキャベツで埋め尽くされています
ヤマトタケルが昔、わが妻の恋しいことよ
と詠んだ故事から命名された地名にちなんで
愛妻の丘という見晴らし台がありまして
若いカップルが和んでいましたが
まあ、叫んだらいいんじゃない

われわれには、夏秋の半年で1年分を稼ぐ畑
しかも百馬力レベルの大型トラクタを買えるだけの稼ぎを得る畑だよねー
理想的農業のひとつの形だよね
と、日常的感想しかでませんでした

学生時代の頃からも高原キャベツで有名な嬬恋村
キャベツをとう消費地に運ぶかが課題でした
吾妻渓谷を下って渋川に出るルートは狭く時間がかかるので
鳥居峠を越えて国道18号経由で東京へ大型トラックが走った
と聞いていました
八ツ場ダム関連で渋川ルートも整備されつつあるですが
いまもまだ、鳥居峠は大型トラック街道なんでしょうねえ


積み上げた思いと技は伝わるか

2014年07月25日 | 散歩漫歩
群馬県の秘境、野反湖までの道沿いでみた光景です
見事な薪の壁です
薪を販売しているプロなのか薪が生活の必需品のやま人なのか



家庭用の薪を作っているにしては立派な薪小屋です
小屋の中央で薪を割り入口以外の三方に薪を積み上げています
屋根から明かりも取り入れ薪づくりが雨の日の仕事になっているようです
しかし、薪を販売しているプロにしては動力薪割り機のような
機械が見当たりません
斧一本が立てかけてあるだけでした
よく考えれば、斧一本でこれだけの薪を割る労力と技には頭が下がります

わが家の曽祖父は昭和初期に新しい家を興したとき
たきぎを拾う山林を持っていませんでした
だから子孫がたきぎで困らないよう
晩年は薪づくりに精を出し小屋一杯の薪を残してくれました
亡くなって20年余りたちますが
まだ薪小屋の隅に曽祖父が割った薪が残っているかもしれません

薪は一年で乾燥するものばかりではありません
そう考えると、今年はこの山を積む
次の冬にはこの薪の山を燃やすというような
ローテーションがあるのかもしれません

きっとかつて木こりのような仕事をしていた方の仕事でしょう
はたして20年後にも同じように薪が積み上げられているか

ひるがえってわが家は、薪づくりの継承者を自負する
60前の「父」が動けるうちは薪を積み上げていきますよ
今年は春にできなかったものだから
梅雨を越して今頃薪割りしているぐらいですから
薪の質としては劣化しているのですがね

休日が休日にならぬ貧乏性

2014年07月20日 | 散歩漫歩
台風粉砕農繁期直前二人旅二日目
案の定、台風一過の上天気
千葉のほうはまだ雨が残っていたようですが

骨休めに来たのだからと午前中は温泉に入ったり布団にもぐったりでしたが
お昼でも食べにでるかと車に乗ったのが運のつき
こんな夏のいい天気
そうそう遊びに来れるわけでない
せっかくだから(そう、この「せっかくだから」というのが曲者です)
山のほうにでも出かけてみるかということになって
昔、子供たちとキャンプに出かけていた当時気になっていた野反湖へドライブ

野反湖は新潟県との県境にあるダム湖
群馬県にあって水は日本海へ流れ出ています
尾瀬と同じです
勝手なイメージですがムーミン谷ってこんな感じというような天井界でした
湖畔でキャンプして周りの山々を巡る…いいですねえ
そんな日がはたして来るのか





四万温泉から野反湖に向かう途中で見つけたのが花の駅『花楽の里』
「山盛りの花盛り」をキャッチに
高低差50メートルの斜面に季節折々の花を咲かせて楽しんでもらおうという施設

道の駅みたいですねと施設の売店の方に声をかけると
道の駅は野反湖へ登る集落にあってあちらは農協が運営しているとのこと
確かに道の駅売店の奥2/3は日用品のAコープ風
近所の人らしき方が肉、魚を買いに来ていました
で、こちらは中之条町が設置していますとのこと
ここは、もともとは旧六合(くに)村
中之条町に合併?吸収?されたときのお土産施設?

レストハウスの中では一流講師を招いたドライフラワーアレンジメント体験ができたり
その周辺の沿道には10,000本もの花桃の苗木を植えて『花桃街道』を作ろうとしていたりと
コンセプトはしっかりしています

中之条町の中心市街地のそのまた中心部には
ふるさと交流センター「つむじ」という施設ができていました
横丁と呼ぶフードコートあり足湯ありカフェありのちょっとした都市近郊のモール街風

中之条町も頑張っています


地の麦をおいしく食べてむらおこし

2014年07月18日 | 散歩漫歩
足利市内をココファームに向けて走っていたら
「大麦工房ロア」の看板が見えました
そういえば、農産加工の成功事例としてよく取り上げられる
この会社も足利でした

お菓子屋で修行していた代表者が
故郷の特産「麦」をつかってお菓子ができないかと
かんがえたのが始まり
中でも大麦は知れば知るほど
「健康」と「食文化・食育」にとって素晴らしい素材
地元の協力農家との契約栽培も広がり
フロンティア企業、名誉総裁賞、農工商連携88選をはじめ
数々の賞を受賞しています

毎年5月に行われる「麦秋ウォーキング」も
顧客と生産者を結ぶ人気イベントになっているようです
地域・顧客・従業員が密着し
愛され続ける企業のモデルケースとしての
「おもてなし経営企業選」にも表彰されています

お菓子から機能性食品、化粧品まで
工場に隣接したカフェは大麦のテーマパークでした

あかねさす照山ならむぶどう棚

2014年07月17日 | 散歩漫歩
7月上旬、大型で勢力の強い台風が日本列島縦断に向かっていました
どうせ野良仕事はできないだろう
台風対策は後継者君に任せればいい
去年から今年にかけて加工場の立ち上げや後継者君の結婚で
出かける余裕がなかったと言い訳して
ナシの収穫・出荷前の気分転換に温泉へでかけてきました
台風は九州西方海上でぐずぐずしていたので
勢力は弱まるだろうという読みもありましたが

のんびりするのが目的
しかも、いつものようにでかける直前になっての計画です
以前にも訪れたことのある群馬県四万温泉へ

温泉で体が温まったら布団の中で読もうと
数冊の本をカバンに詰めていたのですが
直行しても早く着きすぎるからと
ドライブがてら寄り道をしようと考えたところから
少し今回の旅の意味合いが変わってしまったのかもしれません

関越道に入らずに東北道を北上
足利のココ・ファーム・ワイナリー
知的障がい者たちのつくるブドウ畑ということで広く知られています
㈱ちゃちゃちゃビレッジでもナシを作りたいという希望があるのですが
ナシづくり農家としては懐疑的
障がい者たちが果物を生産している現場を
一度見てみたいと思っていました

ブドウ畑のその急斜面にびっくり
30度以上の傾斜はありそうです
「施設概要」に“山の斜面を使って移動の訓練をしたい”という
ねらいが書いてありました
それにしても…


急斜面のブドウ畑を眺めながらのカフェで
開墾当時の労苦や毎年の栽培作業の厳しさが
思い浮かべばいいのですが
旅の途中、ワインは飲めませんので
レーズンソースと合わせてお土産に