のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

軽やかに13年目の意気と技

2014年05月10日 | 今年の納得米づくり
食べる米を自ら作ってみようというわが家の「納得米プロジェクト」
めでたく13年目の作業に入っています
今年は8人の方が参加しています
何人かは入れ代わっていますが
最初から関わっていただいている方も

当初は無農薬でつくりたい
せめて除草剤を使わないで米をつくりたい
という意気込みで取り組んでいたのですが
わが家の力不足もあって8年目ぐらいで断念
今ではわが家分の栽培と同じ方法の
減農薬減化学肥料の「ちばエコ認証」栽培

機械を操作する肩の力も抜けたのか
今年の田植え後の苗の並びは素人とは思えぬ出来映え
目指すべき飯米農家レベルには見えます
メンバーの操作技術の向上もあるでしょうが
新しい(といっても中古ですが)トラクターで
耕うんしたからかもしれません
これまでよりすこし大型のロータリーで水平な耕盤ができたことにより
田植え機のハンドルがとられずにまっすぐに移植できた
というわけです

でもやはり、稲作の大規模化や流通自由化などから
生産と消費のそれぞれの現場が隔離される傾向のなかで
食を取り戻す抵抗手段としての試みが定着してきたから
とほくそえみたいものです

農産物直売所「かしわで」から田植えの様子をビデオ取材がありました
近々、店内ディスプレイで流れるかもしれません

男は嘘つき 女は嘘が好き

2014年04月29日 | 今年の納得米づくり
稲はやっぱり水が好き

播種して2週間が過ぎ、今日は苗床の水入れ、プール化
白いシートをめくってみてびっくり
ずいぶんと伸びていました
金曜に確認した時にはもう少しと思えたのですが
この土日の好天で苗がぐぐっと伸びたのでしょう

同時に唖然としたのは
苗の伸長の悪い箱がいくつも見られました
こんなに苗がそろっていないのは
納得米プロジェクトを始めて初めて

先日、知人の話として紹介した培土の乾燥が原因
箱の上に直にシートを被せておいたのですが
脇が甘かったために風が吹き込み乾燥してしまったようです
作業に慣れると同時に手抜きというほころびが忍び寄っていました

田植えまで二週間ぐらいとおもわれますが
気を抜かずに取り組みたいものです

飼い猫も足跡つけりゃ野良になる

2014年04月13日 | 今年の納得米づくり
きれいに整地された畑に足跡が…ニャロメ
畑を表土の水平まで気にして整地してあるのは意味があります

今日は稲の種蒔き
種籾を水に浸して10日
籾が水を含んで膨らんで鳩胸状態になったところで
培土の入った育苗箱に種籾を蒔きます
種籾を落として水をかけ、土をかけるという
一連の作業は機械がやってくれます
一時間に200箱の作業能力



今年のわが家は依頼された分も含めて約500箱
納得米プロジェクトのメンバーのお手伝いをいただいても
機械の調整があったりするものですから
午前いっぱいかかってしまいます

慣行栽培ではこれから保温器に入れて発芽させてから
ビニールハウスのなかに並べていくのですが
わが家はそんな甘い環境は用意しません

ビニールシートを敷いた上にすぐにならべ
保温性のあるシートで覆って発芽を待ちます





二週間ぐらいすると3センチぐらいまで苗が伸びます
その頃には気温もあがって安定してきます
上にかけた保温性のシートを外し
今度はまたすぐに育苗箱を水に浸して
水田状態を作ります

えっ、畑なのにどうやって?
と興味を持っていただいた方はありがたい

育苗箱を並べる前に敷き詰めた
ビニールシートのまわりに木枠を立て
そこに水を貯めて、いわばプールにするわけです
となると、表土が凸凹であったり傾斜があったりしたら
具合が悪い

というわけで
飼い猫も足跡をつければ、このニャロメめ
ということに

一粒にあの日が詰まった飯喰らう

2013年10月21日 | 今年の納得米づくり
「除草剤を使わない稲作り」サイトの購読仲間に
『あしがら農の会』の方がいます

“市民自給”を目指し、
手植え、ハザがけで10家族で3反の田んぼをやっているとか
田んぼのとなりには、柿、栗も1反あるそうです
あしがら農の会には、こうした田んぼグループが10ほどあって
ほかにも小麦の会、大豆の会、お茶の会等があるといいます
「地場・旬・自給」を掲げて活動をはじめて20年、NPO化して10年
足柄地域に根差した活動をしているようです

わが家の納得米プロジェクトも
消費者の方が食べる米は自分で作りたいという思いではじめて10数年
結果的に消費者の“飯米農家”化をお手伝いしてきたのかなと思います

市民農園ならぬ市民田んぼは
体験型市民農園のように仕組みが確立してなく
あちこちでそれぞれ模索中といったところでしょうか
コメ作りが大規模化、企業化すればするほど必要性が高まる気がします
国の政策とは逆行しますが
『飯米農家になろう』が新しいムーブメントになるかもしれません

嫁っこが母ちゃんからおっかあに化け

2013年09月14日 | 今年の納得米づくり
12年目を数える消費者参加型の米づくり「納得米プロジェクト」が
今年も無事に稲刈りをすることができました
セミプロ会員がいることもあって途中の管理はお任せですが
田植え機とコンバインは大型農機で共同作業時には危ないこともあるので
できるだけ立ち会うようにしています

今年から加わったMさんご夫婦
奥さまの方がコンバイン操作に興味津津の様子でしたので
さっそく挑戦
数回、大きな声で注意した他は飲み込みがはやく
あっという間に先輩男性会員を凌ぐスムーズな運転

久松達央『キレイゴトぬきの農業論』新潮新書2013.9の最終章に
「相対的に非力な女性が機械操作に回って
体力を使う仕事に男性を当てた方が効率的だと思う」と
農業界の既成概念がいかにアテにならないかの事例として紹介されています
久松農園の農場長は小柄な女性なのだそうです

農家に嫁いだ女性が
結婚したての頃は“嫁っこ”と呼ばれてお客様扱いされていたのが
子供が生まれると家の中での存在感が増して“母ちゃん”になり
そのうち実力をつけて父ちゃんを操る“おっかあ”になれば本物
そういう農家は間違いなく家の中も経営もうまくいっている
なんて話をよく聞きます
たしかに現実的なことをこつこつと積み上げていくような仕事の多い農業は
女性の方こそむいているのかもしれません

                

今年の米作りの新装備は懐かしいバインダー
イネを刈り取り束ねてくれる機械です

知人がいらなくなったとわざわざ持って来てくれました
パンクしていたタイヤを新調したほかは絶好調
これで会員のおもちゃがまた一つ増えました

わが家流の「仕事が遊び、遊びが仕事」を
理解してくれている知人に感謝、感謝

生けるもの生けるものを食べ子も育つ

2013年05月19日 | 今年の納得米づくり
自らの食べるコメは自らが作りたいというわが家の納得米プロジェクト
2名の新会員も加わり、12年目の今年も無事に進んでいます

2年前からは除草剤も使い、慣行栽培ですが
トラクターでの耕うん、代かきに、田植え機での田植え作業と
自ら機械を操作しての米づくり

特に田植え後は苗の列として作業の結果が残るものですから
水面が見えなくなるまでのひと月の我慢なんですが
名人との技術の差は歴然としているのでなかなか厄介です

プロであっても、毎年、2・3日しか田植えをしない小規模農家は
毎年上手く植えられるか気になるもの
ましてやプロジェクトメンバーは10年の経験があるとはいえ
一年に数十分だけの機械操作ですから
操作イメージを思い出したころにはもう終わってしまいます

プロジェクト田んぼ
例年、はっきりとこれは素人が植えたなと思える田んぼだったのですが、
今年はどうしてどうしてなかなかの出来栄えです

この辺りでも田植え体験と銘打って
まちの人たちが田んぼに大勢繰り出して
にぎやかな田んぼが見られるようになりました
一時のブームでなく生きとし生けるものの当たり前の姿になってほしいものです

粒粒皆辛苦ひとはくすりで草抑え

2011年05月22日 | 今年の納得米づくり
十年目を迎えるわが家の消費者参加型の米づくり
「納得米プロジェクト」の名の通り
皆が納得して今年は除草剤を使うことになりました

米ぬかとか深水とかチェーン除草とかいろいろ試してきましたが
とうとう田の草に負けた感じです
一度リセットして再チャレンジかそのまま怠けてしまうか
いつかまた気力が満ちてきたならば


タイトルは今朝の新聞で紹介されていた斉藤茂吉が詠んだものから

粒粒皆辛苦すなはち一つぶの一つぶの米の中のかなしさ

コナギ知る納得の米の遠き道

2010年09月12日 | 今年の納得米づくり
消費者自身による無除草剤稲作、納得米プロジェクトの稲刈りでした。

毎年、雑草との戦いでしたが、
今年はどうも雑草の勢いがついてきた感じです。
コンバインがコナギも刈り取ってきます。

排水側では水漏れ、給水側では湧水と水管理の難しい田んぼで、
土にトロトロ層ができなかったことが抑草に失敗した原因でしょう。

さて、来年は…

いい薬あるとささやく悪魔おり

2010年06月05日 | 今年の納得米づくり
納得米プロジェクト、今年3回目の除草作業でした。

除草剤を使わない8年目の田んぼですが、
おととしからヒエの種が入ってしまいました。
年々加速度的に増えて早くもチェーンアメンボも効果なく、
手押し除草機の登場、手取り作業の開始です。

手押し除草機をあと2台ぐらい用意しないといけないかも。

まだこれから使える除草剤ありますよとは
彼らには悪魔のつぶやきだったかもしれません。

新月に実り占う甲羅干し

2010年05月14日 | 今年の納得米づくり
納得米プロジェクトのメンバーが代かき中に
大きなスッポンを捕まえました。
料理してしまうかの相談までしたそうです。
連絡をもらった時、
待て待て、このムラでは神の使いであるぞと示唆。

この田んぼは、この地域を治めていた城主の館の下にあたり、
今は埋め立てられてしまった池に隣接していました。
元城主の氏神は亀に乗った姿であらわされていて
その池にはいっぱいカメがいたのかもしれません。

そういえば、このムラでは浦島太郎よろしく、
昔からカメを粗末に扱っていなかったような気がします。

罰に当たらないよう、丁重に扱ってもらいました。
新月の日に見つかったことにご利益があるとよいように考えて。

団子刺しつぼみ摘むもの種まくもの大気清浄明らかに潔し

2010年04月10日 | 今年の納得米づくり
遅霜の心配された昨日の朝も雲が出てきて幸運にもセーフ。
雨だ、寒いと騒いでいても、花があるうちに穏やかな日もあって、
今年も農家の愚痴もとり越し苦労に終わるのだ―…
なんて、冗談も口に上るような一日でした。
清明なる日とまではいえませんでしたが。

今日はほんとに「お忙氏」でした。

夜明けと同時にミツバチ導入前のナシに薬剤散布、
花見客を当て込んだ団子づくり、
納得米プロジェクトメンバーのお手伝いをいただいたイネの種まき
幸水の授粉用に開花直前の豊水のつぼみ摘み(写真上)、
その上に、手賀沼トラスト農教室2年生向けの客員講師。
みんなそれぞれ、待ったなし。
というか、欲張りなんでしょうねえ。

農教室では、農家からの防除と土づくりの話をして、
かんたんなロープワークの実習に。
南京結びもやい結びと巻き結びの3種類を実演。
これだけ知っていれば農作業はokって力説しましたが、
実は他には使いこなしていないわけです、ハイ。

すべからく春を待つべし命なら

2010年03月28日 | 今年の納得米づくり
東京でのサクラ開花日まで順調に暖かくなっていたのに、
それからは寒い日が続いています。
今日も一日、寒い日でした。

この間、強い雨も降りまして、
しばらく田んぼに入れそうもありません。
消費者が自給用の米を自ら作ろうという納得米プロジェクトでも
今日はぼかし堆肥の散布と耕うんを予定していたのですが、
予定変更して、苗箱の床土入れと
種もみの塩水選、温湯処理、浸水という一連の処理を行いました。

種まきは4月10日頃を予定しています。
例年、1週間ぐらいで鳩胸状態にまで水を含むようになります。
2週間も前に浸水してしまうのはちょっと早いのですが、
ときたま冬並みの寒気が入ってくるかもしれません。
温度の高低の変化が少ないよう今年は大きな水槽で浸水です。

切り返す熱気に煙る肥杜氏

2010年02月14日 | 今年の納得米づくり
1週間前に積み込んだ田んぼ用の有機質ぼかし。
麹菌などの菌類がどんどん働いている証拠で60℃近くにまで上がって数日、
空気と水分を均一に行き渡らせるための切り返し作業。
すごい湯気です。

「さか(酒)とうじ」ではなくて「こえ(肥)とうじ」の顔は紅潮して
5歳は若返りました。

雪舞えど布団の中で汗をかき

2010年02月12日 | 今年の納得米づくり
             

夏日直前の日があったかと思えば、
一転、雪が舞い指先がかじかむ日が続いていますが、
ここだけは湯気が立ち上っているかのような雰囲気です。
先の日曜日7日に積みん込んだ有機質ぼかしが順調に熱を上げ、
55℃にもなろうとしています。

今年の納得米プロジェクト用の元肥です。
消費者自らが自給用のコメ作りに取り組む納得米プロジェクト。
8年目の今年は昨年のメンバーに新人一人が加わり、
総勢9名が50aの田んぼで取り組むことになりました。

栽培方法は基本的には変わらず。
いろいろな抑草方法を使いながらも
最後は手取りも覚悟する除草剤も使わないコメ作り。
深水を続けてきた結果、波で削られ畦が頼りなくなったことから
今年は基盤整備からの作業です。

ぼかし材料も例年と変わらず、
身の回りのもみがら、ぬか、くず大豆、オカラといった有機質中心のもの。
配合割合は次の通り。

もみがら 10 Kg  
おから  15  
ぬか   20         
くず米  15         
くず大豆 30         
シリカ   4.5         
魚粉    4          
カニがら  3  

これを10回撹拌して、総量は1015㎏。

積み込みは、今年はコンパネの枠は使わず、
コンクリート床に広げてムシロを覆っています。
ムシロは蒸気で濡れてきました。
そろそろ切り返しです。

麦秋や特許許可局渡り来る

2009年06月12日 | 今年の納得米づくり
「梅雨に入ったばかりなのに」なんて
無粋なことはいいますまい。
水田転作の麦の刈り取りが始まりました。

秋の稲刈り時も天候次第のところがありますが、
麦は稲以上に天候に左右されるのかもしれません。
安易に稲の裏作に麦をなんて言えません。

4月下旬に田植えされた田んぼでは
中干しが始まりました。
わが家の田んぼはこれから分けつです。

納得米プロジェクトの無除草剤田んぼでは
動力除草機を入れました。

クサリ除草を試したのですが
相応の効果はみられたものの完全ではなく、
その後、株間除草機(あめんぼ号)を一度走らせましたが、
結局、パワーカルチで強制撤去の力技。
あとは手取りのシルバーパワーに敬服です。

そのパワーカルチも30年近くも前の機械ですので
調子が悪かったようで、
主宰者としては更新しなければならないか試案の一日でした。
空では今年もホトトギスが渡ってきてくれ、
盛んに鳴いていましたのに。