のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

梅さくや我にとりつく不性神(一茶)

2008年02月29日 | ネイチャースケッチ
いかにも春だなあという暖かい日和に誘われて
定点観測してきた紅梅の小枝がようやく開花しました。
全体では三分咲といったところでしょうか。

こんな日は春の小川とか早春賦というような歌を口ずさみながら
谷津沿いの陽だまりで遊んでいた子どものころを思い出し、
ふいに不精神が身の上に降りてきます。

         

梅は咲いたか桜はまだかというわけで、
数年前に苗木を買ってきた河津桜の様子を見に行きますと
もう蕾が色づいていました。
こちらももう数日で開花でしょうか。



まのあたり見し娘(こ)はあらず麦もはや踏むべくなりて春はかへれど(石井直三郎)

2008年02月28日 | 農のあれこれ
北海道・美瑛の丘は雪もなくもう青い麦が輝いています…

って嘘です。
去年あたりから北海道かとみまがうこんな光景が
ナシ畑の近くでひろがっています。

タイトルは
「麦踏の春はめぐってきたけれどあの娘はもういない」
という意でしょうか。

このあたりの麦畑というのは
畑を管理する主がいなくなって仕方なく麦畑になっている
ようなところがありまして、
情景だけはタイトルの歌と同じような解釈ができるのかもしれません。

国産小麦がもてはやされるようになると
もっと積極的に麦畑をみることができるのでしょうが。

紅梅の四五花はぢけてひらかれず

2008年02月27日 | ネイチャースケッチ
一週間前(21日)に明日にでも開くかと思えた紅梅の小枝は
まだ咲きません。
他の枝では少しずつ開いているのですが。



タイトルの元句は

沈丁の四五花はぢけてひらきけり(中村草田男)

沈丁花はと梅の木の下をみるとまだまだ固い蕾です。



その脇ではクロッカスが鮮やかな黄色で
自己主張していました。

生きかはり死にかはりして打つ田かな(村上鬼城)

2008年02月26日 | 今年の米づくり
一雨くるというので
急遽、剪定作業を中断して田起こしに。
田んぼは十分に乾燥していて埃が舞うほど。

機械化が進んでいる田んぼで人影を見ることは少ないのですが、
最適期と考えたのがわが家だけではなく、
あっちでもこっちでもトラクターがうなっていました。
すくなくとも5台は見えました。

たまたま向かいの田んぼと競争するような感じにもなって
ちょっとどぎまぎ。

きさらぎとなるや黄いろき夕空に天平雲に似し雲ぞ飛ぶ(前川佐美雄)

2008年02月25日 | ネイチャースケッチ
タイトルの「天平雲」というのがどういう雲なのか。

日本の伝統文様のひとつのようですが、
長い尾のひく優美な雲のようですので、
飛行機雲も似なくも遠からじって感じでしょうか。
作者の前川さんという方は現代の方ですから
もしかしたら飛行機雲を詠んだのかもしれません。

17時前後にわが家上空を西から東へ飛んでいく
飛行機が数便あるようです。
今日もよく見えました。

大阪か名古屋かから北米へでも向かっているのでしょう。
ちょうどこの時期、
剪定をしていて上空を見上げているものですから
雲の行方をつい目で追ってしまいます。

門々の下駄の泥より春立ちぬ(一茶)

2008年02月24日 | 今年の納得米づくり
今日からは七十二候でいうところの
霞始靆(かすみはじめてたなびく)霞がたなびき始める
だとか。

でも「たなびいて」いたのは
強い西風に飛ばされて電線に引っかかっていたビニルシート。
土ぼこりであたり一帯が霞んでもいました。

ほんとうに霞がたっていたのは
納得米プロジェクトで積み込んだぼかし肥。
今日、小さなお手伝いも加わって
2回目の切り返しを行いました。
夕方にはもう40℃ぐらいに温度が上昇し、
良いにおいが漂っています。
手をかけた分だけ上出来になっているようです。


さて、ラジオで仕入れた話。

先日、日本の農業や食糧問題に危機感を持つ
20代30代の社会人を中心とした任意団体「チーム100%」
が結成されたそうです。

若い人たちが食糧自給に立ち上がるというのは
頼もしい限りです。

事務局がニート就業を支援するNPOというのも興味深いのですが、
結成に際しておこなわれたシンポジウムに
柏の理解者サンプラザ中野氏も参加していたということ。
最近はサンプラザ中野くんと「くん」付けしているそうな。

シンポジウムパネラーのひとりとしてとして参加したM氏のブログによれば、
サンプラザ中野くんは農業にも関心が深く、
「日本農業には個性がない」という言葉に思わずうなってしまった
といいます。
とても謙虚で、僕のような農業のことを
全く知らない人間がすみませんとおっしゃっていました。念のため。
とも付け加えてあります。

サンプラザ氏はたしかベジタリアンで
農業に関心が深いというのであれば、
これはぜひとも柏の農業にも一肌脱いでいただなければ
なりますまい。



いぬふぐり空を仰げば雲も無し(高浜虚子)

2008年02月23日 | ネイチャースケッチ
二十四節気雨水の初候は
土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)とかで
「雨が降って土が湿り気を含む頃」といいます。

何か地面に象徴するようなものはないかとみましたら
ナシ畑で淡紅紫色した小さな花がさいているのに
気がつきました。
「オオイヌフグリ」という花のようです。
剪定作業は上向き仕事なので屈んでみることもなく
気がつきませんでした。

ヨーロッパ原産の帰化植物で
明治期になって入ってきた草。
春早くから花が咲く代表的な春雑草だとか。

でも、「潤い起こる」には程遠い今日の天気でした。
連日乾燥注意報が発令され、作業靴は埃まみれ。

南よりの風が吹き春一番となった午前中から一転、
午後には西から突風が吹き、寒冷前線通過。
黄砂と見まごうほどの土ぼこりで
一瞬あたりが黄色く染まりました。

気象が荒くなって
こんな風や大雨や低温、高温にたびたび見舞われるようになると
農業もやりにくくなるなあと思いつつ、
もしかしたら江戸時代の飢饉なんていうのは
もっと激しいお天気だったのではないだろうか。

ご先祖様はそれをちゃんと生き抜いたんじゃないだろうか。
これが当たり前かもしれない。
恐れることも奢ることもなく
生き延びていく算段をしなくては なんて、
冷たい西風に震えながらぶつぶついっておりました。

梅さそうあらしの月や宵のくち(来山)

2008年02月21日 | ネイチャースケッチ
今夜は旧暦1月15日の満月。
ところが薄い雲に隠れてきれいな月の姿は見えません。

明日は日本海側を低気圧が通過するとかで
南よりの風が吹くようです。
強さによっては春一番になるといいます。

梅の蕾も二週間前よりさらに一皮も二皮もむけて開花直前。
わが家でも他の枝では数輪咲き出しました。
もしかすると写真の蕾も明日中に開くかもしれません。

こんなイメージで選句しましたが、
じつはタイトルの句の描く情景は
月の出てきた夕暮れ、風で散っている梅の花に誘われる
って感じでしょうか。

痩蛙まけるな一茶是に有り(一茶)

2008年02月20日 | 春の梨畑
有名な一句をタイトルにいただいたときのイメージは
生命観にあふれる元気なアオガエルのようなものでしょうか。

まさか干からびたミイラで
しかもカビで?黒ずんでいる「はやにえ」だなんて。
薄く開いた口からは世の中のすべての苦渋が漏れてきそうな…

この蛙をみつけたとき
どのように表現したらよいのか、思い浮かびませんでした。

小屏風や弟通さぬ雛の関(越人)

2008年02月19日 | 今年の納得米づくり
今日は二十四節気のひとつ「雨水」ということで
雨水がぬるみ、草木が芽吹き始める頃といいます。
雨水の日に雛人形を飾ると娘が良縁に恵まれるとか。
残念ながら、わが家のお雛様が今日中に飾られるような
気配はありません。

今日の写真はひな祭りとは関係ありません。
屏風が関になったという話。

先日積み込んだ
田んぼ用のぼかし肥料の切り返しを一昨日の日曜日に行いました。
コンパネで四方を囲んでつんであったのですが、
その一片を外したのがこの写真。

周囲の白くなったところが発酵して発熱していたところ。
黄色い部分を触ると冷たく、積み上げたときのままの状態。
中央に白く発酵している部分があるのは
小さなコンパネを二枚合わせていたので
この部分だけ空気が入り込んだのと思われます。

このことから表面から20cmくらいのところまでは
発酵菌が働くことができるとわかります。
一昨年までやっていた、新聞紙をまわりに敷いて
20kgコンテナに材料を入れただけで
ぼかし肥料ができた理由です。

切り替えして二日目の今日、
再び50℃まで熱が上がってきました。
あたりに味噌のようないいにおいが漂っています。
良いにおいと思うのは日本で生まれ育ったからでしょうか。

ほろもせず忍び足にて漁るなら赤いマスクを外せよ雉よ

2008年02月17日 | ネイチャースケッチ
キジは国鳥だそうで、
庭先で光沢のある濃緑色した鳥を眺めることができるのは
それだけで幸せと思わねばなりますまい。

そういえば、
昨夜はノウサギが跳んで逃げていく影に目を凝らしました。

近年、キジもノウサギも目にすることが多くなりました。
野犬が少なくなったためか
周辺に棲家となる場がなくなったためか。

野菜などの農作物にとっては害獣、害鳥になることもあり
はたして喜ばしいことなのか、まだわかりませんが。

見どうらい山にちとべこ雪もありこの春がいに寒うかるべい(物類称呼)

2008年02月16日 | 雲図鑑
南部地方の方言で詠んだ歌のようです。
「見てごらん。山にすこしばかり雪が残っていて、
この春はずいぶんと寒いだろう」という意になるそうです。

晴天だったところへ
夕方、突如流れてきた雪雲?をみても
山は雪だわいと思わせてくれます。

この雲は低層(200~2000m)にできる「層積雲」の中の
副変種「尾流雲・もやもやタイプ」でしょうか。

降ってくる雨や雪が地上に届く前に蒸発してしまうため、
「尾」が「流」れていくように見える雲で、
「もやもやタイプ」は、
主に降ってくる雪が目に見えているもののようです。
こちら参照)

なにやら大魔王がたそがれ時をねらってでてきたような
そんな雰囲気の雲でした。

魚の氷に上るや春は光のみ

2008年02月15日 | 今年の納得米づくり
元句 魚の氷に上るや天下春の風(菅原師竹)

「魚氷(うおひ)にのぼる」とは七十二候のひとつ。
立春の節の第三候(2月14日~18日)。
春になり、池沼の氷が割れ、魚が躍り出る頃とか。

風の避けられる車中などでは温室のように暖かでしたが、
日がないと外気は冷たく身がしまるものでした。

先週の土曜に積み込んだぼかし肥料。
内部の温度は50℃を超えてきました。
表面には部分的に菌糸が見られるようになりました。



芽立ちまえ光集めて赤く染む

2008年02月14日 | ネイチャースケッチ
今日もいちにち冷たい西風が吹き続きました。
空は深く青く、一片の雲さえ見当たりませんでした。

もともとの木肌の色なのでしょうが、
名の知らぬ雑木の枝に春の日が当たり
赤く光っていました。

         

同じように青い空に突き出した人工物の高圧鉄塔は
にぶく冷たく春の日を反射していました。

寝て起て大欠(あくび)して猫の恋(一茶)

2008年02月13日 | 今年の納得米づくり
今期第一級の寒波が襲来しているとかで
いちにち冷たい西風が吹いていました。
仕事も夕方は早仕舞いです。

9日に積み込んだ納得米プロジェクト用のぽかし肥料。
この寒さにもかかわらず、順調に発酵が進んできました。
朝の段階で47、8度、
昼には50度近くまで上昇したようです。

恋の季節に入った野良猫たちもこの寒さでは休戦か。
床暖房状態のぼかし肥の上に広げたムシロの上で寝ぼけ面。
普段なら人の姿をみれば一目散で逃げるのですが、
覗き込んでいるのに
どういう状態になっているかを理解するまで間がありました。

はてさて菌類の能力とはすごいものです。
人間は彼らに生かされているのではないかと
思わさせてくれます。