昔よく知っていた方が亡くなられて、20日と21日はお通夜とお葬式だった。
享年93歳。遺族の方々の間に漂う雰囲気は、からりとして明るかった。
ふだん集まらない人たちの久しぶりの親睦会のように、なごやかであった。
まあ、これだけ長生きをされたのだから、それはそれでいいのだろう。
縁あって、地元の町会の人たちにまじってその方のお通夜とお葬式の受付の手伝いをしたのだが、その2日間で、思わず考えさせられたことがあった。
それは、その人を偲んで多くの関係者がお通夜に駆けつけ、お葬式に参列しているのに、祭壇に掲げられた故人の顔写真が、なんともひどい写真であったことだ。
亡くなられた方とは、僕も長い間お会いしていなかったのだけれども…。
写真の顔は、こう言ってはナンだが、「生ける屍」みたいだった。骨と皮と皺だけである。眼は落ち込み、頬は削げ落ち、口は半開きで、見るからに生気がない。なにせ93歳だから、亡くなる直前にはそういう顔つきになっておられたのだろうと想像する。しかし、少なくとも僕が知っているお元気だった頃の顔とは全く別人の顔に変わっていた。お葬式に訪れた人はみな「あれ? あんな感じの人だったっけ」と思ったに違いない。多くの人々に見送られて行くお葬式に、こういった写真が掲げられるのは、亡くなられたご本人に気の毒な気がした。せめてもう少し若い頃でもいいから、いい写真を選んであげるべきではなかっただろうかと(大きな世話だと言われそうだが)遺族の人たちに対して、そんなことを感じた。
もっとも、93歳で亡くなった人がお葬式で40歳代や50歳代の時の顔写真が掲げられるのも、ちょっとなぁ、という感じだけれども、といって、わざわざ老残をさらすような顔写真を参列者の前に披露するようなことも、好ましいとは思えない。やはり、最後は、生前の生き生きとした姿を想起させるような写真で、皆さんのお見送りにこたえる…というのが亡くなられた方の本意ではないかと思う。僕なら、こんな写真を掲げられるのは死んでもイヤである。まあ、死んだ時の話だけど。
そんなことで、今回の祭壇の顔写真を見て、僕は、自分の葬式用の写真は、早い目に元気そうなのを数枚選んでおいて、息子たちに、これを使うのだよと指定しておくべきだと、まじめ半分に考えているところである。
ところで、間もなく80歳になる母は、数年前から右半身が動かなくなり、今は特別養護老人施設にお世話になっているのだけれど、以前、元気なころに、
「わたしの葬式の時の写真は、これにしてや。あははは」
と、額入りの大きな写真を得意そうに、僕に見せびらかしたことがあった。
その写真には、どこかの温泉旅館の大広間の舞台で、カラオケを嬉しそうに歌っている母の姿が写っていた。派手な衣装を身につけ、右手にマイク、左手に「観衆」から投げてもらったであろう五色のテープを握り、アタマには、ぴらぴらの飾りがついた自由の女神のような冠をかぶって、満面に笑みを浮かべて歌っている。思わずズッコケてしまいそうになる珍妙な写真だった。
「ウェッ。こんな写真…? なんぼなんでも、葬式には向いてへんで」と僕。
「そうかぁ…。ええ写真やと思うけどなぁ」と母。
昨日のお葬式の写真のことがあったので、母の写真の話を思い出した。
それで、その額の写真を久しぶりに引っ張り出してきて、じっと眺めてみた。
う~ん。何度見ても感じることは同じである。
母の、はしゃぎ過ぎのオーラが、写真からあふれ出ている。
「やっぱり、これは、葬式には無理やな…」
そっとため息をつく僕であった。
その時は「縁起でもない事」と皆で言ったのですが、99歳の現在は、チョット使えないでしょうね~~~。
でも、もし自分がそうなったら・・・。
思いっきり笑顔の写真にして欲しいな~~~。と、写真に写されるのが嫌いな私は思っています。(笑)
そんな写真をお葬式で見たら、思わず目を、そらせたくなるような気がします。
どうかならないものかな、と私でも思いそうです。
そして、のんさんが、のんさんのお母さんの写真に言及するのも良く分かります。(お葬式用に向かないというのも)
私なりの結論ですが、やはり、一言でいえば、いい写真を選ぶべきでしょうね。
ブログに貼ってある、のんさんの写真、いい写真ですね。いい顔してます。(お葬式用と言ってる訳ではありませんからね--。)
やはりいい顔してる写真を使うべきでしょうね。
99歳のおばあちゃんがおられるのですか
すごいですね。
まあ、長寿時代ですからね。
僕の友達の母親にも101歳がおられます。
それにしても、20年前からお写真を預かっているのですか…
記事の中で、90代で40~50代の写真はちょっとなあ、と書いたものの、
別にそれでもいいんじゃないか、とも思い始めています。
写真の年齢ではなく、その人の人生が少しでも主張できているような写真かどうか、というところが大事なんでしょうかね~。
僕ものこたんさんと同じように、笑っている写真がいいです。
おばあちゃんの益々のご長寿をお祈り申し上げる次第です。
母は、本気で葬式用として、その写真を引き伸ばし、額にまでいれてもらって僕に示したのです。その真剣度には、思わず引いてしまいました。年齢を重ねていくと、いろいろな整理と、さまざまな準備が必要だということでしょうか?
のんさんのお話を読んで思いだしたことがあります。実は、3年前に実母が亡くなりました。晩秋のことでした。冬に撮ったのか、コートを着込んでにこやかで良い写真でした。父のお気に入りの1枚です。
ところがその写真が、後に我が家で物議を醸すこととなりました。というのも真冬に撮られたであろうその写真が彼岸や盆も飾られたからです。誰とも無く違和感を口にするようになりました。幾ら何でも、もう少し涼しげな服装の写真にしたらどうかと。
でも、頑固な父は、周りのそんな言葉には全く耳を貸しません。オールシーズン用か衣替えできたらいいのに、遺されたそんな家族の気持ちなど知らず、今も実家では仏壇の中でオーバーコート姿の母が微笑んでいます。
僕は、決定的に良い表情をしておられる写真であれば、やっぱりいつまでもその1枚を、季節に関係なく飾ってもいいのではないかと思いますよね。亡くなられた方には、夏も冬もありません(天国に四季があるのかどうか知りませんが…)。俗世に生きる者が、仏さまに対して、夏だからコート姿が暑苦しい、というのはおこがましいだろ…というのが、お父さまの言い分かもしれませんよ。やはり長年連れ添われたお父さまがお気に入りの写真なんですから、そのご意見を尊重すべきでしょうね~。
夏でもオーバーコート姿で涼しげに微笑んでおられるお母さまは、きっと黄泉の国で、幸せに暮らしておられるに違いありません。
母は今76(かな?)で元気バリバリですが写真は父と一緒に撮った写真を使うよう私達子供に言ってます。
父が60の時の写真で若々しく一方で母がおばあちゃんの様な写真じゃイヤなんですと
母校の甲子園出場おめでとうございます
応援に行かれるのですか?
こちらは浦和学院です。もし対決するような事があればTVを通してのんさんと応援合戦ですね
これはこれで勝っても負けても楽しみかもよん
プロのカメラマンに撮ってもらった写真があるのですか。
お父様とお母さまは、きちんとそういうことをされているのですね。ご立派です。
うちの母は8月8日に80歳になるのですが、「温泉カラオケ激唄写真」を、真面目に葬式用にと、写真屋さんにわざわざ引き伸ばしてもらって僕らに渡したのですから驚きます。自分の母ながら、何を考えているのやら、よくわかりません。
しかし、まあ、還暦…ねぇ。
僕も、あと半年で還暦を迎えます。
やっぱり、写真をプロのカメラマンに撮ってもらっていたほうがいいでしょうかね~。
いまのうちにね。
高校野球は、テレビ観戦になりそうです。
暑い甲子園のアルプススタンドでは、体力が持ちません。
やまぶきさんの地元は浦和学院ですか?
近大付属と当たるとすれば準決勝ですね。
やまぶきさんが応援しておられるチームが相手ということになれば、これはもう気が楽で、試合を楽しめばいいわけで、どちらが勝ってもバンザイですね。