今月中旬、久しぶりに大○前病院へ行き、耳鳴りの治療を受けた。
治療、といっても、僕の場合はTRT療法(耳鳴り順応療法)というもので、治療の中身は言わばカウンセリングである。
思えば去年の秋頃に行ったきりで、今年1月に予約していたのが風邪を引いてキャンセルし、その後、予約の電話を入れなければ…と気になっていたが、根がのんきな僕は、ついついそれから半年以上も放置してしまった。
耳鳴り治療器であるTCIも、つけたりつけなかったり、である。
…ということは、つけてもつけなくても同じか…?ということになるが、それは違うのだ。やはりつけた方が少しは楽である。だけど、いつまでもこの機器に頼るのもどうか…という思いと、当初のように朝から晩まできちんとつけるということが億劫になってきた…という2つの面がある。相変わらず耳鳴りは、ジーンジーンと頭に響き続けているし、日によっては音がすさまじいほど大きく感じたりする。そんな時はたまらず、TCIをつけるが、それでも、わずかに苦痛が減る、という程度だ。
このTRT療法は、最後は機器をつけなくても耳鳴りが気にならないまで順応する、というのが目的であり、決して耳鳴りを消すことではない。
(つまり、耳鳴りは今後も「消える」ことはない…ということね。ぐすん)
耳鳴りが発症してから2年10ヶ月が経ち、TRT療法を始めてから2年半が経った。
さて、その、病院へ行った日。
まず、耳鼻科で聴力検査を受けた。
高音部分が難聴気味だが(そりゃ、耳鳴りと波長がいっしょだから聴こえないのは当たり前だと思う)、前回とほぼ変化はなかった。
ずっと診てもらっていた宇○先生は3月に退職され、別の病院へ行かれたという。新しい医師とは1分ほどで会話は終わり。
「デパス、ください」と僕が言うと、医師は、
「え~っと、どういう飲み方をしておられますか…?」と訊いたので、
「1日、1錠か2錠。気分を安定させてます」と答える。
すると、医師は、
「う~ん。でも、前回処方してから1年近く経ちますけどねぇ」と言った。
そ~か。ここへは10ヶ月近く来ていないんだもんね…と思い出した。
実は、デパスは、不整脈で毎月通っている病院でもらっている。
でも、せっかくここへ来たのだから、ここでも、もらっておきたい。
デパスは、なるべく多めに手元に置いておきたい…。
「えっ…、あの~」と僕はちょっと口ごもったけれど、
「もう無くなりかけていますし、無ければ不安なので…」
と、うろたえていると、
「はい。わかりました。デパス、出しておきます」
やれやれ。一安心。
そして、いつもの言語視聴覚室へ行ってTRT療法だ。
「お久しぶりですね」と、前○先生が僕を見て微笑む。
こちらは転勤しておられず、よかったよかった。
TRT療法まで別の先生になるなんて、イヤ~んバカ~ん、だもんね。
「どうも、どうも、ご無沙汰しています」と僕。
「耳鳴りは、どんな感じですか…?」
「…そうですね。まだ機器がなければダメですね」
と、左耳に装着している機器をいじる。
「のんさんはよく旅行をされていますよね。そんな時はどうです?
ある人は旅行中は、耳鳴りは忘れてしまうそうですが」
リフレッシュしたときは、耳鳴りが気にならないという人もいる。
でも、僕の場合はダメである。
「旅行ぐらいで忘れるほど半端な音じゃないですからね~」
「ふむ、ふむ…」
「今、ジムに通って毎日水泳をしてますけど、プールに潜っても、耳鳴りは水の中でキーンと大きな音で響いています」
「ふ~む、ふ~む…、そうですか…」
「あきませんわ。もう3年近くなるというのに…。まだ慣れない」
いつもはもっと明るくしゃべるのだけど、久しぶりに行ったこの日は、先生の前で、なんだか、つい弱音を吐いてしまう僕なのであった。
それでも、ここへ来ると、何となく安心する。気が休まる。
耳鳴りのつらさは、他人に理解されにくく、孤独感が募る。
耳鼻科の医師も「耳鳴りなんて病気じゃない」と軽視する。
まぁ、病気ではないことは事実だろう。
だって、病気は治るのがほとんどだけど、耳鳴りは治らないのだから。
そういう気分を、この「TRT療法」では、癒してくれる。
次回は2ヵ月後に予約をした。
まだ当分、「卒業」はできそうにもない。
「耳鳴りって、どんな音…?」と訊かれることがある。
人によっていろんな音があるようだけれど、僕はジージーとか、キーンとかいう金属製の突き刺すような高音である。耳が鳴るというより、頭が鳴ると言った方が正確だけど、まぁどんな音か、たとえて言うと、蝉がいっせいにまわりで鳴き出したような音…と言えるかも。
そういえば、数日前から急に蝉が鳴き始めた。
今も窓の外からけたたましい蝉の鳴き声が聞こえる。
あぁ、また蝉の季節…。ピンキーとキラーズ…。そら「恋の季節」や。
「八日目の蝉」という角田光代さん原作のNHKドラマがあったけれど、
僕は3年前の9月から耳元で蝉が鳴き続けている。
「千日目の蝉」という題の小説でも書こうか思うほどだ。
蝉が千日も生きるわけ、ないけどね。
げっ~!
今、これを打っているまさに今、グラグラっと家が揺れた。
7月21日の午前6時19分。
地震だぁ!
今、おさまったけれど、大阪ではめったに地震はない。
それだけに、慣れていないので、びっくりして腰が抜けるかと思った。
やっぱり、耳鳴りより、地震の方が怖いなぁ。
今回なぜコメントを書き込む決意をしたかと言いますと、耳鳴り発症当初から3年弱という長い期間きちっとTCIについて書かれてあるブログは他には無い!今後もつづり続けていただきたいという思いからです。あと5年も6年もすればネラメキサンという耳鳴り緩和を目的とした薬も出るだろうし、きっと16世紀の我慢治療ではなく21世紀の新しい治療法が出てくる事を期待しております。
私は耳鳴り4ヶ月半(左のみ)ですが鳴りやまぬ音と格闘しております、のんさんはもう日々の装着が億劫ということはなんとも羨ましい(苦労の差か)限りですがTCI歴3ヶ月半の私(年は一回り半位下)後輩に良きアドバイス(TCIの経過)でも頂けたら嬉しく存じます。
PS・「阿保」町に関わるレスは最高に腹を抱えて笑わせていただきました。耳鳴りにとらわれ笑いを忘れがちなので楽しい話題でした。
怖かった~~~。けど、すぐにおさまり安心しました。
ですが今朝は、関東のほうでありましたね。
「耳鳴り」・・我相方も苦しんでます。
相方の左耳は、高音も低音も聞こえないらしく、かすかにしか聞こえていないようです。
右耳も、高音は聞こえてません。
耳鳴りが酷くなると、私の話(のこたんの美声が)を聞き取ることができなくなるらしく、「家中の音を消してくれ。」などと、私には理解できない事を言い出します。
それだけ辛いのだと思うので、生活音全てとはいきませんが、なるべく音をさせないようにしています。
相方の場合は、眩暈の治療のほうが優先されて、耳鳴りの治療があまりなされません。
本人は「耳鳴りをなんとかしてくれ。」と訴えているのですが・・・。
早く、良い薬が開発されるといいのですがね~~~。
あの「耳鳴り治したい」の掲示板は、僕の耳鳴りによる精神的ショックを、どれだけ緩和してくれたことか…。本当にはかり知れないものがあります。これこそネット世界の恩恵だと感謝しています。
そのネットで、耳鳴りに悩む僕と同じ大阪在住の yukari さんという方とも知り合いました。
大○前病院の待合で会うと、yukariさんとお母さんと3人で、話は尽きないほど弾みます。そういう出会いは、耳鳴りがあってこそ。決して暗いことばかりではない、と、当時の絶望的な気持ちを、立て直してくれました。
そんなこともあって、このブログでも耳鳴りに関することは書き続けようと思っている次第です。
こうして、初めての方にコメントをいただき、ずっと読んでいただいているということを知ると、また改めて意欲が湧いてきます。
これからも、耳鳴りとTRTのことは、書き続けたいと思います。
TCIのことも、もちろん、書いていきます。
僕は、てつおさんにアドバイスできるほど、耳鳴りを克服できてはいませんけど、TCIの装着が億劫というのは、余裕ではなく、「何をしても大した違いはない」というあきらめ半分もあるかも知れません。(もっと音を大きくすれば楽なんだがなぁ、と思いますが、それは耳鳴りにはよくないらしい)。
でも、そんなことではダメですよね。必ず良くなるんだ、という強い気持ちを持たなければならないと、コメントを読ませていただいて、感じました。
こちらこそ、教えていただきたいことは、たくさんあります。
これからも、よろしくお願いします。
低音も聞こえないというのは、かなり酷い状態だと思います。
でも「家中の音を消してくれ」とおっしゃるのは、僕もちょっと意味がわかりません。
耳鳴りの場合は、音で気を紛らわせることが大事だと教えられています。
そのためには、なるべく、静かなところは避けるように、
静けさを避け、音楽を聞いたり、テレビをつけたりしたほうがいい…
そんなふうなことを、よく言われます。
家中の音を消すと、余計に耳鳴りが気になるのでは…と思ったりするのです。
それは難聴に起因しているのかも知れませんが。
眩暈はたしかに医師はいろいろと処方してくれますね。
僕も眩暈の経験がありますが、
「すぐには効かないので毎日注射を打たなければなりません」
などと言われ、それでも改善しなかったので、
「もう、注射はいりません」と断ったことがあります。
本当に、耳鳴りだけは、これだけ医学が進んでいる現代でも、
有効な治療方法や、薬がないのですよね。
それが不思議で不思議でたまりません。
「命に別状はないから…」だけで済まされるのも、辛いことです。
ご本人ももちろん辛いでしょうけれど、奥様もそれ以上に大変だと思います。
でもね。
耳鳴りが長引いてくると、そのうち、忘れたりすることも出てきます。
何か、夢中になれるような趣味や楽しみがあれば、OKです。
まぁ、僕はまだまだ苦しんでいますので、
人にえらそうに言えるほどではありませんが、
そういうことらしいですよ。
再びコメントをいただき、とてもうれしかったです。
ありがとうございました。ほんと、お久しぶり~ですね。
しかしまあ、大阪だけじゃないでしょうけど、本当に、毎日暑いですね。
ゼンさんは、大東市にお住まいなのですね。
ひょっとして大○前病院で、至近距離ですれ違っていたかも…。
宇○先生が吹田市の阪○病院に行かれたことは、診察室のドアの貼り紙で知りました。
同じ宇○先生の診察を受けておられたyukariさんにメールでお伝えしたら、
「そうですか。いい先生は転勤して行かれるのですね。しかも男前やし」
な~んて、楽しい返信をいただきました(yukariさん、ごめんね)。
耳鳴りの音は変わらなくても、時間が経つと「精神的に危険な時期」は過ぎ去って行くのですね。
ゼンさんのそのお言葉には、強い説得力があります。
そういうことなんですよね、「慣れる」ことの第一歩は。
その一歩からさらに進むと、耳鳴りの音が気にならなくなり、日常生活での支障はほぼ無くなる、というプロセスになるのかなぁ…と思います。
そういう日が来ることを信じて生きていく…といえば、大げさかも知れませんが、
それくらいの気持ちを持たなければねぇ。
僕は、寝る前だけは絶対に耳鳴りのことを考えないようにしています。
当初は、モーツァルトの音楽などを聴きながら寝ましたが、今は何もなし。
それだけは、ちょっと自信を持って言えるでしょうか…。
(睡眠自体は浅いし、すぐ目が覚めますが…)
でも、日中は、四六時中、ゼンさんと同じく、耳鳴りとの格闘です。
もうちょっとマシな相手と格闘をしたいですよね。
よろしければ、またこちらにお越しくださいね~。
「耳鳴り」「TCI]で検索すると必ずのんさんのブログがヒットして来ますのでTCIを試みようと考えている人、またはやってはいるが情報が乏しくやや不安な人が読まれていると思います。
私の周りには耳鳴りはいなく孤独な戦いになっていますのでどうしてもネットでの情報が頼りになります、薬の情報等ネットでアクセスしたりしていますが生の声が一番貴重情報になりますので今後共宜しくお願い致します。
私も発症初期のパニックからは脱出できあとはこのウルサイ蝉に慣れ、共存していくかが課題になりつつあります時間が掛るのはしかたが無いですね。耳鳴りの新薬も外国で治験が進み有効性もあるみたいですのです、耳鳴り0にはならないでしょうが期待したいものです。
九州も酷暑で暑い日が続いております、大阪も暑いでしょうがお体にはお気をつけ下さい。
こんなに医学が進んでも、耳鳴りは慣れて共生しかないのですねーーU+1F622U+1F622
まさに蝉の大群ですね。
でも、蝉は夏限定ですけれど、
耳鳴りは年がら年中ですから始末が悪いです。
おっしゃるように、慣れるしかないということですね。
…と、自分にもそう言い聞かせるのですが、
いまも慣れたとは言えません。
特にストレスが生じたときは、
どんどん大きくなる気がします。
やはり、医学の力で何とかならないか、と今でも思っています。