僕のほそ道   ~ のん日記 ~

  
これと言ったテーマはなく、話はバラバラです。 つい昔の思い出話が多くなるのは年のせい? 

プレスリーも不整脈

2009年08月17日 | 心と体と健康と

朝日新聞の生活欄に、「患者を生きる」という千回を超えている長期連載記事がある。

これを読んでいると、世の中には、ふだん僕たちが耳にしたこともないような難病・奇病を含め、実にさまざまな病気で、生命と戦っている人たちが、こんなにも多いのか…ということに驚くとともに、普通の生活が出来る健康のありがたさを、ひしひしと身に感じる。

その欄で今月11日から「心筋焼灼術」というシリーズが始まった。

「心筋焼灼術」とは、カテーテルアブレーションと呼ばれる不整脈の治療法のひとつである。

この記事には、横浜市在住の男性の例が紹介されてあり、男性は、発作性の心房細動などで苦しみ、カテーテルアブレーションを受けることになる。…その様子が詳しく紹介されている。

同じカテーテルの手術を受けたことのある僕は、この記事を切り抜いて、何度も繰り返し読みながら、自分の経験とダブらせている。この手術自体、成功率はさほどに高くなく、さらに、かなりの危険も伴うものだということも、これを読んで、よ~くわかった。

この取材記事は、さまざまな示唆に富んでおり、僕自身の今後の不整脈治療を考える上でも、とても参考になりそうな内容であった。

…ということで、今日は不整脈とカテーテルアブレーションについて書こうと思っていたが、その前に思い出したことがあった。

エルビス・プレスリーのことだ。

昨日、8月16日は、エルビス・プレスリーの命日であった。

1977年のこの日、彼は42歳の若さで帰らぬ人となった。
心臓発作による急逝だった、ということである。

いま押尾学やのりピー事件で「薬物の害」が改めて強調されているが、プレスリーの急逝の原因も「薬漬け」ではないかと言われていた。

ただしそれが「麻薬」のたぐいだったのか、睡眠薬の乱用だったのかはよく覚えていないが、いずれにしても「薬」が彼の身体を蝕んでいたことは、間違いなかったことのようである。

そんな背景の中、2年前の8月16日の新聞を見てびっくりした。

「プレスリーは実は不整脈で亡くなった」という記事が載ったのだ。

「不整脈」といえば、どんな記事でもむさぼり読む僕だ。
「えぇっ! プレスリーが不整脈…?」

かつてのアイドル歌手・甲斐智枝美さんが自殺した原因も「不整脈に悩んでいたから」と報道されていたことを思い出す。

こういうふうに見ていくと、不整脈もやはり「死に至る病」のひとつなんだなぁ…と思ってしまう。

「大丈夫です。不整脈では死にませんから」
と、僕の以前の主治医は、笑顔で口癖のように言っていた。
それはそれで、患者を安心させる言葉であり、ありがたい。

しかし、あの、頻脈性の心房細動が起きたときの猛烈な苦しさを医師自身が経験していないから、そう言えるのであろう。

不整脈といっても、出ているか出ていないかわからない不整脈が多いので、医師もそれと同じような程度だと思って、そう言うのである。

耳鳴りも、医師には患者の本当の苦しさがわからないのと同じである。

不整脈も、種類によっては非情に危険なのである。

僕は3年前の夏に、不整脈が原因で心臓に血液が滞留して固まり、その破片が脳血管にまで飛んで詰まって右半身が麻痺するという、一過性脳虚血発作という軽い脳梗塞状態になったことがある。

長島前巨人監督が脳梗塞になったのも、不整脈が原因だ。

それだけに、不整脈の薬と血液凝固抑止剤(ワーファリン)は、僕にとって欠かせない薬である。

このプレスリーのように、死因が不整脈だった、というようなこともあるのだから、不整脈を決して甘く見てはいけないのだということを肝に銘じたのが、その新聞記事が出た「2年前の8月16日」であった。

折も折。
…その数日後。
僕は某大学付属病院に入院し、不整脈の原因となる部分を焼き切ってもらうため、カテーテルアブレーションを受けることになっていた。

入院直前に、プレスリーの死因・不整脈の記事を読んだので、
「う~ん。不整脈で死んだらえらいこっちゃがな」

ちょっと、ビビッた。

早くカテーテルアブレーションをして、不整脈を根治し、心安らぐ生活を送りたい…。

そんな期待をもって臨んだ手術だが、手術中に不都合なことが起こって中止され、期待は無残にも裏切られたのである。

あ~あ。ショック。

そのショックが尾を引いたのか、翌月に、耳鳴りが発症した。
まったく、踏んだり蹴ったりである。

あれからしばらく、カテーテル…と聞くだけで、目をそむけ、耳を塞いでいた僕であった。

しかし、時が経つとともに、最近は、カテーテルに対しても客観的に向き合えるようになった。

そんなときに、朝日新聞で不整脈とカテーテルの連載が始まったのだ。

これを読みながら、僕の場合、結局は失敗に終わったが、カテーテルアブレーションに積極的にチャレンジしたことがよかったのか? 手術にどれだけのリスクがあったのか? もう一度、受けることについてはどうか? 手術がたとえ成功しても後日また不整脈が出たという症例がこの記事に書かれていたが、僕の場合はどうなのか…? などと、冷静に考える時間を持つことができた。

やっぱり、いろんな治療にチャレンジすることは大事だと思う。

先日、山城新伍さんが亡くなったが、糖尿病の悪化で歩けなくなり、車椅子生活を送っていたという。まだ70歳だったのに…。

僕も糖尿病を持っている。
放置しておくと、これも死に至る病だ。

新聞やテレビで、こういうさまざまな病気や逝去の報に接していると、考えさせられることが多い。もはや「ひとごと」ではないのだ。

 

 

 

 

 

 

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8 コメント

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病気と共に (yukari)
2009-08-17 20:35:05
私もこの5年程で、父の糖尿悪化に母の軽い心不全とか、自身の耳鳴りに虚弱体質?!と、
ほんとに、健康のありがたさが身にしみてきております。
つい最近ですが、近所の方が「大動脈瘤破裂」で倒れられて、近くの病院へ運ばれましたが、運よく、奈良の(TVなどに出ている)有名な神の手と言われる、心臓外科医を紹介され、又運よくその先生のおられる日だったみたいで、一刻を争う危篤から、生還されました!
近くの病院では、おそらく助かってなかったでしょう。。なんだか、運の良し悪しもありますねぇ。。
これまた、近所のおじいさんも、年に一回は心臓の具合が悪くなり「もう10個くらいステントがはいってるで~」と笑顔で言っておられました。
やはり医学は進歩していますねぇ(耳鳴り以外は)。
のんさんを悩ませる不整脈も、なんとか手術で根治できればよいですね。
糖尿は、父を見ていますので60を過ぎたら、ちょっとお酒を休む日を設けてくださいよ~。
耳鳴りもそうですが、簡単に治らない病気とは上手に付き合って共に生きるのも重要ですね。
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不整脈とカテーテル (のこたん)
2009-08-17 22:31:11
 私の母は、カテーテルの経験者という事は、以前のんさんにもお伝えしましたよね。
 ですので、私は、カテーテルを。けっこう簡単に考えていました。
 申し訳ありません。

 不整脈はやっかいですよね。私自身恐いです。

 母は心臓の持病を持っています。
 18年前に父は、突然不整脈に襲われ、他にも手術が必要な病気が同時に見つかったのですが、心不全で他界しました。
 私の姉妹も、私以外、全て不整脈で病院へかかっています。
 そのうち一人は、もう4ヶ月入院しています。
 私もいつかは・・・。

 のんさんの仰るように、耳鳴り・・、心臓と関係していたのかしら・・。
 原因も解らないのは困りますよね。

 のんさん。糖尿もですか・・・。

 もやめて、お野菜中心の食事ににしましょうよ。のんさん。(もうしているのかな~~。)

 健康診断で、ほとんど全て引っかかった夫にも「ベジタリアンになろうよ。」と言ったら、「うさぎのえさは食べられない。」と却下されました。
返信する
お酒を休む日…をねぇ (yukariさんへ)
2009-08-18 07:56:17
薬物の害も大きそうですが、「酒害」も小さくありませんね。
先月の定期検査で、ガンマなんとかという肝臓の数値が上がっていました。アルコールによる肝臓のダメージ度を表す数値ですが、ここ数ヶ月、徐々に上がり、先日は3ケタの大台に乗りました(春頃は50前後でしたが…)。

糖尿病も、今は数値が安定していて、医師から薬の必要はない、と言われていますが、調子に乗って暴飲暴食を重ねていると、そのうちひどい目に遭いそうです。

yukariさんは、お父さんを見ておられるので、糖尿病の怖さをよくご存知なのですね。僕は、自分が罹っているわりには、症状が出ないので、糖尿病の実態がよくわかりません。yukariさんのほうが、きっとよく知っておられるのでしょうね。
そのyukariさんから、お酒を休む日を設けるようにとのご助言ですので、そうすることにします。はい。

どんな人でも、いろいろな態様の病気を持っていますよね。
治す、というより、付き合っていくという考え方をしたほうがいいかも知れませんね。
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お酒をやめて野菜中心の食事…ねぇ (のこたんさんへ)
2009-08-18 07:59:08
そうでしたね。
のこたんさんのお母さまがカテーテルをしておられたのでしたね。

心臓カテーテルも、狭くなった心臓の血管を広げるカテーテルが一般的ですが、不整脈の原因を焼き切るカテーテルの場合は、原因場所を探す作業もあって、4~6時間かかるのが普通のようです。僕の場合は2時間で中止されましたけど。

それにしても、不整脈が「遺伝」と関係あるのでしょうか。
姉妹の方たちは全て不整脈で病院へ…
でも、だからと言ってのこたんさんも「いつかは」ということには、必ずしもならないと思いますけど。
あまり考え過ぎると、本当に不整脈が出たりしたら大変ですのでね。

僕は、今は不整脈と耳鳴りに気をとられていますが、本当に怖いのは糖尿病の方かも知れません。山城新伍さんが糖尿病のため歩けなくなった、ということを聞いて、やはり放置していてはだめだなぁ、と思いました。

yukariさんからも言われましたが、お酒を控えるのが一番だとは思っているのですが、なかなかねぇ~。
お酒をやめて、野菜中心の食事ですか…?
できるかなぁ。自信は全然ありませんけど、関心は大いにあります。
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それって。 (akira)
2009-08-19 00:45:07
カテーテルアブレーションは私も情報を集めています。
心房細動を持っている者にとっては、あれは本当に死ぬかと思ってしまいます。
横浜ということですが、横須賀共済病院に3時間でやってのける医者がいると聞いてます。テレビでも紹介されたようです。それのことでしょうか。
場所を特定しても、また別の場所で起きてしまうので再発を抑えるために、大きく焼灼するというものです。それだと、1回の手術で再発しなかった人の確率が60%、2回目の焼灼で80%の人が再発していない、というものでした。
まだ、これから再発する人が増えれば、再発率は高くなっていくので、どれくらいの期間でデータを取っているのかもわからないため、信用できるデータかどうかは定かではありません。でも、一度調べてみようと思っています。成功率についてはまだ情報不足です。
心房細動や不整脈は、なんとか治したいですよね。
これだけは、突然くるのが不安です。
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…ではなかったです (akiraさんへ)
2009-08-19 04:27:34
横浜の男性は、最初、「東京都内」でカテーテルアブレーションを受けたとのことです。病院名は公表されていません。
「手術は3時間程度です」と言われたのが、8時間以上かかり、しかも、退院3日後に再び発作が起きました。
それからというもの、症状は治療前よりひどくなったそうです。

その男性は、不整脈に関する雑誌で、前橋市の群馬県立心臓血管センターの内藤滋人という医師を知り、そこへ出向いて、悩んだ末、思い切って2度目のカテーテルを受け、成功したということでした。

カテーテルアブレーションは「心房細動では必ずしも確立された治療法ではない」と言われている向きもあり、僕自身も、手術が中断された時に、他の医師にセカンドオピニオンを求めたら、「カテーテルはよほどでないとすべきではない。まだまだ危険性が高いし、成功しても再発する例が多い」と言われました。

僕がカテーテルを受けるとき、担当医師はやはり、1回の手術で再発しなかった人の確立は60%、2回目でそれは80%に上がる、と説明を受けました。akiraさんのお話と一致しています。

僕自身としては、手術を受けた病院が悪かったと思っています。
担当医師に紹介されたままに行ったのですが、自分でもいろいろ調べていたので、そこから選ぶべきだったと思っています。もう遅いですけど(笑)
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no-title (アナザービートル)
2009-08-21 05:08:49
前にも書いたと思いますが、不整脈とくれば、死んだ母親を思い出します。
不整脈が出る、出るとよく言ってました。
月に一度くらい定期健診にも行ってましたが、
ある日突然、白血病になり、一年半くらいで死にました。
身体は健康に越したことはありません。
母親は74で死にましたが、父親は91で健康です。
ずっと父親は健康管理をやってましたし、マラソンもやってました。母親はよく散歩などしてましたが、
少し身体の弱い面があり、時々しんどいと、寝込まないにしても、今思えば、父親よりも弱かったですね、基本的には--。
やはり健康でなかったら、抜本的な改革が必要だと思います。でないと、いずれ現在の弱点が、一挙に未来のある時点で出ると思います。
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抜本的改革 (アナザービートルさんへ)
2009-08-21 05:44:26
アナザービートルさんのお父さんは、普通ではありませんからね(笑)。
スーパー老人中のスーパー老人ですよ、本当に。
しかし、マラソンをしていたというだけではなく、健康管理もされていたのですね。そうでしょうね。走っていただけでは、90歳を過ぎてもあれだけのお元気を保てるかどうか…。やっぱり陰の努力があるわけですね。

抜本的改革が必要…という言葉が身に沁みます。
僕の場合、運動はしていますが、健康管理に問題があります。
不整脈は、今でも飲酒が過ぎると、夜中に出たりします。
僕の健康上の抜本的改革は、飲酒の量を減らすことでしょうね。

yukariさんからも休肝日を作るようアドバイスをいただいていますし、のこたんさんからは、ビールをやめて野菜中心の食事を…とお勧めいただいていますが、今のうちに何かやっておかないと、アナザービートルさんが言われるように、「現在の弱点が、一挙に未来のある時点で出る」可能性が大ですね。
う~ん。抜本的改革ですか。
真剣に考えます。
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