僕のほそ道   ~ のん日記 ~

  
これと言ったテーマはなく、話はバラバラです。 つい昔の思い出話が多くなるのは年のせい? 

自転車旅行に出発した日

2022年06月17日 | ウォーク・自転車

ここ数年前から「今日は何日?」というのがすぐに頭に浮かばない。曜日はわかるのだけど、何日か、というのがねぇ、咄嗟には出てこないのです。認知症のテストでは、まず「今日は何月何日ですか?」という質問から始まると聞いているが、その意味では日がわからないとヤバい。僕の場合、スーパーで食料品を買いに行くと賞味期限が記載されているので、今日が何日なのかを知っておかなければならない。で、品物を前にしてスマホで日を確かめたり、近くに店の人がいたら「今日は何日でしたっけ?」と尋ねたりしていました(笑)。

でもまぁそんなことから、このごろは朝起きた時に「今日は〇月〇日!」と自分に言い聞かせるようにしているのです。

そして今日の朝、「今日は6月17日だぁ」と思いながら起きたのですが
その時、遠い記憶がよみがえってきました。
「6月17日」というのは、僕にとって「思い出の日」だったのです。

1969(昭和44)年。20歳だった学生時代。自転車で東日本一周の旅に出発したのが6月17日だった。でも、その日もここ数年、もうすっかり忘れてしまっていた。それが今朝、なぜか「6月17日だぁ」と心の中でつぶやいたとたんに、「えっ?」と思い、「あ、そうか」と、自分にとって記念すべき日だったことを思い出したのです。

大学3年生だったあの時
出発の日だというのに朝から強い雨。あとからわかったけれど、この日はちょうど梅雨入りした日だったとのこと。「気を付けてね」と父母が心配そうに見送る中、ポンチョ(カッパ)を着て、僕は重い荷物を積んだ自転車に乗って大阪・柏原市の自宅を出発した。

大阪から福井~石川~秋田~青森と日本海側を走り、北海道を時計回りに1周して本州に戻り、今度は下北半島から岩手、宮城、福島、茨城、千葉、東京そして名古屋と太平洋側を走り、大阪に着いたのが8月25日。70日間の自転車一人旅だった。旅行中のエピソードは、それはもう書いても書いても書ききれないほど沢山のことがあり過ぎて、生涯忘れられない旅となった。

旅行中は野宿が多く、放浪の旅みたいなものだったけど、そんな中、心温まる人々との出会いや、珍体験、爆笑体験、恐怖体験など、次から次へとハプニングの連続で、その後の人生では決して体験できないことが山ほどあった。今から思うと、本当に濃密な70日間だった。

まぁ今の生活では70日間といっても大した出来事もありません。つまりそんな平凡な日常だから6月17日もつい忘れちゃうんですね(笑)。

さて、
いつか曽野綾子さんの本で、こんな文章を読んだことがあります。

若いうちから、楽しかったことをよく記憶しておいて、これだけ面白い人生を送ったのだから、もういつ死んでもいいと思うような心理的決済を常につけておく習慣をつけるといい。(中略)。やはり冒険はいいものだ。冒険は心の寿命を延ばす。若い日に冒険しておくと、たぶん死に易くなる。

いつまでも心に残る文章で、死ぬまで座右の銘にしようと思っています。

そして、あの「自転車の冒険」から53年が経ちました。

「若い日に冒険しておくと、たぶん死に易くなる」という曽野綾子さんの言葉を噛みしめながら、年々歳を重ねても、それなりに楽な気分を持ち続けている僕です。

 

 
  憧れの最北端の駅「稚内」に着いたのは、
  大阪を出発して27日目の7月12日でした。

 


 

コメント (2)
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