40日間以上に及ぶ学校の夏休みに疲れ果てている親も多い。24日付けの朝日新聞「声」の欄に『学校の夏休み 2週間にして』という42歳主婦の投書が載った。主婦は言う。
「最大の問題は自由研究、工作、ドリルの答え合わせ等。私の小中学校時代には全部自分でやるのが当たり前だった宿題が、今は親の手助けなしには完成できないものが多くなっている。(中略)。最近は猛暑で一日中エアコンの利いた自宅にこもり、手持ち無沙汰にしている。家でゲームをする娘を見ると、怒りを通り越して気の毒に思える。夏休みを2週間に短縮し宿題は一切なしにすれば、親は負担軽減、子どもは解放感いっぱいの充実した休暇になるのではないか」
と書かれている。これに共感するお母さんたちも多いと思う。主婦であっても(いや、主婦だからこそ)子どもと向き合う時間を多く取らなければならないという思いと同時に、他にもやるべきことは無限にあって、超忙しい。
確かに、ECCやヤマハのお母さんたちも「はやく9月が始まらないかなぁ」と言う人は多い。先日ECCで小学4年生の女児生徒のお母さんから、僕に「モミィちゃん、夏休みの宿題できました?」と聞いたので、「ええ、何とかできているみたいですよ」と答えたら「うわぁ、もうできたんや~。えらいですね~」と目を丸くし、「うちなんか、まだまだですよ。特に自由研究が残っていて、これがもう手に余るのですわ」とおっしゃっていた。自由研究というのは、わが町では4年生から始まるらしいのだ。「でもモミィちゃんはえらいわね。うちもがんばらなくっちゃ」とほめてくださった。
モミィの学校の勉強に関することは、すべてうちの奥さんの「担当」である(時には厳しくなるので、モミィはうちの奥さんの言うことはよくききます)。モミィもDSなどのゲームで遊びたがるのは他の子供たちと同じで、放置しておくといつまでもしているので、決めた時間でやめさせ、毎日の学校の宿題(これがまた多い)、さらに学校以外の「学研のドリル」など、いろんな教材を与えてモミィに勉強させ、答えが合っているかどうかをチェックし、間違っていたら丁寧に説明している。
一方僕のほうは、ヤマハエレクトーン教室とECCには週1回付き添い、近くにある週2回のダンス教室への送り迎えもし、最近では隣接の羽曳野市にあるマック体操教室にも連れて行っている。土曜日のスイミングのみ、うちの奥さんが連れて行ってくれている。
この夏休みは2度、2泊3日の旅行に出かけ、マック体操教室の5日連続夏季集中練習にも参加し、その他の習い事も休まず出席し、特にエレクトーン教室では8月31日にコンサートがあり、モミィはそこで「美女と野獣」を弾くことになっている。現在通常レッスンに加え個人レッスンも受けながら、あと5日と迫った本番に向けて家で「特訓」を続けているところである。これがまたモミィには難しい曲なのですが…、担当の若い先生に励まされ(実は僕はこの先生のファンなのです)、最近は1日最低2回、自宅でレッスンを続けています。本番の8月31日まで、どんどん日が迫って来て、気が抜けない毎日です。
英語も次の児童英検の実施日が10月25日と決まり、ブロンズ・シルバーと合格してきたので、ここで一気に頂点のゴールド制覇をめざし、これまたモミィと二人三脚で合格への攻略法を考えていなければならない。本人はどんなにスケジュールが混んでもいっこう平気で、くじけるということを知りません。これと言った才能はありませんが、このくじけない気持ちだけは、まぁ、取り柄でしょうね。それに比べて僕はすぐに心が折れてしまうタチなので、どうもいけません。
そんなモミィの夏休みですが、うちの奥さんがモミィにさせている「学研の夏休みドリル 算数・国語」というのをパラパラめくっていると、「漢字の読み書き」とか「説明文の読み取り」とかの中に「俳句に親しむ」という項目がありました。前回は学校で習っている「ことわざ」にちなんだ話を書きましたが今度は俳句です。
このあいだ、モミィがいきなり「かき食えば鐘が鳴るなり法隆寺」と言ったので「え…? そんなん、知ってるの」と思わず聞き返した。「ほかは…?」と問うと、ドリルを出してきて、「山路来て何やらゆかしすみれ草」と芭蕉の句を口にした。あと、ドリルには子規や一茶、蕪村、虚子などの有名な句が並んでいた。問題は「その中の季語が現す季節を漢字で書きましょう」というものだった。たとえば、さきほどの「山路来て…」なら、季語がすみれで答えは「春」だった。こういうものも、3年生で習っているんだ。
今、モミィは日本の歴史にもハマっており、図書館で借りた「漫画人物日本史」という全7冊をおととい読み終えて図書館に返したばかりだった。その本からもいろんな知識を得たようで、テレビで「少年H」という映画を見ていたら、映画の中に「キリシタン」という言葉が出てきて、それを耳にしたモミィが、「豊臣秀吉という人がキリシタンをダンアツするんやろ」と言ったのには驚いた。「ところでダンアツて何?」というおまけはついていたけれど…。さらにもひとつおまけ→「織田信長はお寺で死んだんやね。明智光秀という人が『敵は法隆寺にあり~』と言うたんやろ」とモミィ。
お~い、法隆寺違うで。「敵は本能寺」や!
またある時はモミィは僕に「ねぇねぇ、松尾芭蕉って知ってる?」と得意そうに聞いたのである。(芭蕉を知らんわけ、ないやろ)。
「芭蕉…? よ~く知ってるわ」
僕はここでモミィに自分史の一部を語った。
「昔むかし、芭蕉の『奥のほそみち』という本を読んで憧れて、自転車で東北のほうへ走ったこともあったしね。今も芭蕉は大好きで、その『奥のほそみち』に出てくる俳句は全部おぼえているよ。『山路来て…』はそこには入っていないけど、ドリルにもうひとつ入っていた『閑(しず)かさや岩にしみ入る蝉の声』は『奥のほそみち』で芭蕉が山形県を歩いたときに作った俳句なんだよ」
…なんだか学校の先生みたいな口調になってしまった。
このブログタイトル「僕のほそ道」は「奥のほそみち」をもじったものだとは、モミィはもちろん知らない。このブログの存在も知らないのだから当然である。成長したらこのブログを読むようになるんだろうか? 何か感想みたいなものを言われると恥ずかしいなあ。まぁ、自然に「発覚」するまで内緒にしておこう。
ともあれ、夏休みも残り5日。
とにかく5日後に向け、エレクトーン練習に全力を注ごう。
こう振り返ってみると…
「恐怖」の夏休みも、あっという間だったという気がします。