僕のほそ道   ~ のん日記 ~

  
これと言ったテーマはなく、話はバラバラです。 つい昔の思い出話が多くなるのは年のせい? 

うつ病を理解できない医師たち

2009年02月24日 | 心と体と健康と

22日の夜、NHKスペシャル「うつ病治療・常識が変わる」という番組を見た。なかなか見ごたえがあった。

現在、わが国のうつ病患者は100万人を超えるという。僕が勤務する役所でも、最近しばらく顔を見ないな~と思っていたら、うつ病で長期休暇中である、というケースが増えている
「え~っ、あの人がうつ病で休んでいるの…? 信じられへん」
と驚く場合も、少なくない。とにかく、意外な人が心の病を抱えていたりして、考え込まされることが多い。

僕も一昨年秋に耳鳴りが発症した後、病院に行って動悸や吐き気を訴えたとき、若い脳神経外科医から、
「うつ病も考えられるので、心療内科を受けられたらいいですよ」
と言われたことがある。

まあ僕は今も不眠症のために睡眠導入剤を飲み、抗不安剤のデパスもほぼ毎日飲んでいることは何度も書いてきたけれど、でもね、僕はうつ病ではありませんよ。念のため言っときます。あれは生真面目な人ほどかかりやすい傾向があるらしいので、僕はいい加減な人間だから大丈夫なのです。
…とは言え「うつ病」というものがなんとなく気になることも、確かである。

その日のNHKスペシャルの番組は、いかに多くの医師が、うつ病に対して無知であったり、苦しむ患者を理解しようとせず、おざなりの対応をしているかを、実例を挙げて厳しく批判した番組であった。

最も問題なのは、うつ病を訴える患者の症状が改善されない場合、どんどん薬の量を増やしていく医師が多いことだという。

「とにかく、薬さえ出せばいい、という考え方ですね。薬はもちろん大事ですが、薬は治療の一環であり、すべてではないのですから…」
と、スタジオにいた医師は、そういうやり方を批判していた。

薬を増やされたあげく、意識不明で倒れた60歳代の女性が、この番組に出演していた。8年間同じクリニックに通っていたが、その間、医師にはろくに話も聞いてもらえず、ただ回復しないというだけで薬を増やされ続けたという。そして意識不明に陥ったが、幸い一命は取り留め、さすがにそのクリニックはやめて、別の専門医に見てもらうことにした。そこでの診断は、意識不明は薬の副作用によるものだったという。

やがて女性は徐々に薬を減らしてもらい、元気を取り戻した。
「こんなに人生が楽しいものだとは思いませんでした」
と、スタジオで、顔をほころばせておられた。

最近は街に心療内科の開業医などが増えているが、その分野をきちんと勉強していない医師でも、精神科の看板を挙げることができる今の制度が問題だと、番組に出演していた医師が言っていた。ということは、専門的知識がなく、臨床経験も少ないのに、「心療内科」とか「心のクリニック」などという看板を挙げて、心の病にかかった患者を診ている医師が、そこらじゅうにごろごろといる、ということになってくる。

これは怖い話である。

番組では、次のような一例を挙げていた。

うつ病は、脳細胞間の神経刺激の伝達物質であるセロトニンという物質が不足したり、障害が起こったり、何かそういうことによって気分が塞いでくる、というのがひとつの原因だと考えられているそうだ。

セロトニンは脳の働きを良くし、情緒を安定させ、自律神経を調整し、感情をコントロールさせる役割を果たしている、という。

そこで、脳内に不足したセロトニンの分泌を促進させる薬が、いわゆる「抗うつ薬」というものらしい。しかし、これを大量に服用すると、こんどはセロトニンが出すぎて問題が生じてくるのだそうだ。

ここに、もう一つの神経伝達物質であるドーパミンという物質が登場する。これはやる気をジャンジャン起こさせ、喜びや快楽を感じ取るきわめて前向きな脳内物質なのだそうだ。ドーパミンをアクセルに、セロトニンをブレーキに例えることもできるという。この2つの、ほどよいバランスが健全な精神を形成するのだ(…とテレビは言っていました)。

抗うつ薬に含まれるセロトニンが、薬の大量服用によって脳内にどんどん増えていくと、今度はドパーミンを制圧するようになり、やる気を起こさせるこの物質を減少させていくので、うつ病の人は、抗うつ薬を増やせば増やすほど、ドパーミン不足になり、ただでさえ無気力なのに、ますますだら~んと無気力になってくる。

この無気力状態を、医師はドパーミン不足とは見抜けず、うつ病の延長だと勘違いし、まだ薬が効かないのだな~、と判断をして、さらにセロトニンの含まれた抗うつ薬を増やしていく。こうして、患者の脳内のドパーミンの働きは、いよいよ希薄になり、とことん無気力になる。

…ということで、セロトニンが過剰になっているのに、まだ足らないと判断しているのだから、こんなトンチンカンな診断はない。おまけに、服用する薬の量が増えてくると、命に関わるような副作用が起きる。

「初診の人にいきなり3種類の抗うつ薬を出す医師がいます。これなんかは、薬に対する無知以外の何物でもありません。これでは、うつ病がよくなるどころか逆に副作用が出て、ますます症状が悪化します」

テレビの中で、医師は、そう警告していた。

僕はここ数年で、いろんな開業医や大病院へ行き、さまざまな医師と出会ったけれど、本当に、医師はピンからキリである。それも、ピンが少なくてキリが多い。思い出すだけでムカムカする医師も何人かいる。特に、一昨年夏の心臓カテーテル手術を受けた際にいた、一人の態度のデカい無知・無神経な医師のことは、僕は一生忘れない。

首相の麻生太郎さんは相変わらずパッとしないけれど、かつて、
「医師には常識のない人間が多い」
と言ったのは、この人にしては珍しく的を射た発言であった。

医師には、変わった人間が多い。
患者が自分の意見を言うと、それだけで機嫌が悪くなる医師もいる。

医師の見立てが腑に落ちなかったら、インターネットでも何でもいいから、さっさと別の医療機関を探すことが大切である。

うつ病に関するこのNHKスペシャルを見て、これまで思い募っていたことが、よみがえって来た。そして、この番組は、うつ病に限らずどんな病気であっても、医師を盲信していては、結局自分自身の健康を損なったり、あるいは命を落としたりしかねない、という、今後起こりがちな危険を予告する番組としても、十分見る価値があったと思う。

さすが~、NHKである。
受信料を払っている値打ちがあるなぁ。

 

その番組は、これです ↓

http://www.nhk.or.jp/special/onair/090222.html

 

 

 

 

 

 

 

コメント (10)
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