信州自由人

のぐケーンのぶろぐ

苗場山みちくさ山旅

2017年09月02日 | 自然

苗場山(なえばさん)標高2145mを目指し、秋山郷の小赤沢三合目駐車場から入りました。


登り始めて10分も経たないうちに、見たことのない植物に出会いました。
ユキノシタに似た腎円形の葉を根基から出し、縁には鋸歯があります。
小さい暗紅紫色の花をたくさん咲かせ、花弁は5個で黄色い葯が目立ちます。
調べてみたところ、ユキノシタ科のクロクモソウ(黒雲草)に行きつきました。


木の根っこが浮き出た登山道をしばらく進むと四合目の標識が見えてきます。
ここからは、傾斜がゆるく水はけの悪い道には丸太の輪切りが敷かれています。
登山道の脇にはオオバスノキの実が黒く熟し、葉も赤く色付き始めています。


五合目を過ぎると赤い実を輝かす、タケシマランとオオバタケシマランが目立ちます。
遠目でもおおよその見分けはつきますが、見分けのポイントを撮ってみました。
タケシマランは、葉の基部が茎を抱かず、花柄に関節がなく真っ直ぐです。
オオバタケシマランは、葉の基部が茎を抱き、花柄に関節があり曲がります。


またまた、知らない植物に出会い、水場もあり、足はすっかり止まってしまいました。
暗紫色で5mmほどの小さい花の植物は、シソ科のクロバナヒキオコシでしょうか。
葉はアザミに似、花はシオガマギク属の仲間らしき植物は、オニシオガマのようです。


登山道は、六合目の手前から鎖場が始まり、険しくなってきます。
最初の鎖場にアザミを見つけ、ジョウシュウオニアザミかと勇んで駆け寄りました。
ジョウシュウオニアザミは、総苞片の幅が狭く線形で、片の列数は7~8列とあります。
総苞片とは図左の花を包む濃暗紫の片、数えると6列ですのでオニアザミかも?。


汗を拭きながら七・八号目を登りつめると、そこが、広大な高層湿原の入口です。
地塘(ちとう)の縁にはキンコウカがわずかに黄金色の花を残していました。


湿原を渡る木道の脇にはイワショウブ、清楚な白やピンクの花穂が高原に似合います。


イワショウブは、チシマゼキショウ科の多年草、葉はショウブのような線形です。
花穂の色の違いは生育ステージの違いで、白い花弁が散り、実を結ぶと赤くなります。
別名をムシトリゼキショウと言いますが、この茎にはたくさんの腺毛があって粘ります。


九合目の手前で、坪場を振り帰った景観、思わす息を深く吸い込みました。
文人、鈴木牧之が文化年間に苗場山に登り、「絶頂に天然の苗田あり」と記したそうです。
そして「峻岳の巓に苗田ある事甚だ奇なり」と結ぶ、現在、苗田の数は3000個に及ぶとか。


苗田にはイネならずミヤマホタルイが花盛り、ホタルイの花に比べ鱗片は柔らかめです。


山頂付近にある自然体験交流センター下の広場には、ワタスゲが白穂を残していました。

600ヘクタールと言われる広大な高層湿原、木道に導かれ天空の園を堪能しました。
夏の花チングルマ(稚児車)は、名の由来の風車をかざし、秋の装いになってきました。

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