信州自由人

のぐケーンのぶろぐ

春の渓流

2016年04月30日 | 山野草

湯の丸山系からの雪解け水を集める渓流にも春がやってきました。
ネコノメソウの仲間が陽を浴び、黄色い花を咲かせています。


ネコノメソウの仲間は似ていて見分けが面倒ですが、よく見るといくつか違いがあります。
花序の付き方、雄しべの長さや数。葯の色、萼裂片の開き程度、葉の付き方などです。
これらについて調べてみると、画像の個体は「ニッコウネコノメソウ」だと思われます。


今の時期は、清水が湧き出す上流でもネコノメソウの仲間が存在感を示しています。


「ツルネコノメソウ」と思われますが、花の終わる頃に走出枝の確認ができれば正解です。


花序は密につき、葉は対生、雄しべ4本、萼裂片は直立などから「ネコノメソウ」でしょう。


葉は対生、緑色の萼裂片が平に開き、雄しべは8本、葯が赤味がかった橙色など。
これらの特徴は、「チシマネコノメソウ」か「イワネコノメソウ」と思われます。
両者の見分けは、花時に根生葉が残っているかどうか、種子表面の隆条の形態だとか。
また、イワネコノメソウの方が葉の鋸歯が鋭いことなどで、もう少し調べてみます。


タチツボスミレの密を吸う昆虫が枯葉の上で翅休め、息をこらしてのパチリです。
画像を送って名前をお聞きしたところ、「ビロードツリアブ」だと教えていただきました。
ホバリングが大得意、空中に吊られているように静止できるところからの"ツリ"だとか。


沢へ流れ込む支流脇には「エンレイソウ」や「シロバナエンレイソウ」が咲き始めました。
エンレイソウは、暗紫褐色の花びらに見える外花被片(萼)が特徴です。
シロバナエンレイソウは、緑色の外被片と白色の内被片の両方があります。


春の清流に白い穂を控えめに出す「クリンユキフデ」、九輪雪筆と書きとてもいい名です。
花も小鳥も虫たちも春がきた喜びでいっぱい、渓流沿でそれを分けてもらいました。
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山にも春の訪れ

2016年04月23日 | 山野草

三方ヶ峰への登山道、コメツガとダケカンバの原生林に薄陽が射し込んでいます。


ここは標高2000m付近、雪解けを待ちきれず「セリバオウレン」が花を咲かせました。
花の隣の三つ葉は「ミツバオウレン」で、同じキンポウゲ科オウレン属の仲間です。


セリバオウレンの葉は、セリの葉のように細かく切れ込み、名前のとおりです。
この辺りではいたるところで見かけるミツバオウレンも常緑、6月に花を咲かせます。


花びらのように見える外側は萼片、内側に小降りの花弁が10数枚ついています。
セリバオウレンは雌雄異株で、雄花と両性花をつけますが、雌花もあるとのことです。
今回は両生花を探せませんでしたので、初旬に植物園で写した画像をのせました。
花を散らす頃には実を結び、立派な実を車軸状に広げ、薄暗い林内で輝きます。


志賀草津高原ルートも、『雪の回廊ウォーキング』の開催をもって春の訪れです。
冬季閉鎖区間が開通する前日は、*日本国道最高地点(標高2,172m)を歩こう*デー。
今年は4月21日、この日は道路いっぱいの広がり歩きを満喫、渋峠の気温は5℃です。


天気予報どおり午後からは雨、雨合羽姿で積雪4.5mの雪の回廊地点に到着しました。
ガイドの方から、雪の層が教えてくれる冬の間の気象状況などをお聞きし、なるほど。
参加者とお世話の皆さん、そして報道関係の皆さんが、山に訪れた春を喜びあいます。

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裏山に咲く春の花

2016年04月16日 | 山野草

落葉樹の林内には暖かい陽が射しこみ、春の花が楽しめる季節になりました。
野生ランでは春一番に花を咲かせる「シュンラン」(春蘭)です。
今も花を咲かせていますが、画像の撮影日は3月31日です。



林縁を彩り始めたシソ科の「カキドオシ」、濃い紫色の斑紋と白く光る毛が派手目です
茎は長く横に這うことから、垣根を通して隣に入り込む『垣通し』ということのようです。
葉は対生で丸く、長い葉柄や茎など全体に白い毛が目立ちます。


イラクサ科の「カテンソウ」、点の様な小さい花、漢字で書くと『花点草』です。
風媒花ですので、虫たちの気を引く花弁も蜜も必要なく、なんとも目立たない花です。
雄しべの葯はポッと弾けて白い花粉を飛ばすとか、その瞬間を見れたらと願っています。


神社に続く石段にキク科の「センボンヤリ」が、白や紫の花を開き始めました。
花は春型と秋型があり、春型は縁の1列に舌状花をつけ、中央に筒状花をつけます。
秋型は茎の長い閉鎖花をつけますので、いかにも名の『千本槍』の様相をみせます。


春にはお馴染みのスミレ、「タチツボスミレ」です。
特徴は、茎が伸び、葉は卵形、側弁は無毛、托葉がくしの歯状で見分けは容易です。


早春に咲くスミレで、タチツボスミレの次ぐらいに花を開かせる「ヒナスミレ」です。
特徴は、茎が伸びず、葉は披針形、側弁に毛があり、柱頭はカマキリの頭形です。


眩しいような鮮やかな黄色い花、遠目からもキンポウゲ科だと分かります。
がっしりした株なので「キツネノボタン」か「ケキツネノポタン」と思ったのですが。
1回3出の複葉が見られず、花弁が碗状に開いているので「ウマノアシガタ」でしょうか。


マッチ棒の頭ほどの白い小さな花をつつましく開く、ユリ科ネギ属の「ヒメニラ」です。
『姫韮』の名前のとおり、ニラのような臭いを春の林内に放ちます。


比較的明るい林に咲くユリ科で、キバナノアマナ属の「キバナノアマナ」です。
甘菜とつく植物、その昔には食用となったのでしょうが、今は多くが保護されています。


フクジュソウの根と連がっていたことから「レンプクソウ」、漢字で『連福草』いい名です。
淡黄緑色で目立たない5個の花を、サイコロのような立方形に咲かせる、珍しい花です。


セリ科でヤブニンジン属の多年草「ヤブニンジン」の開花が始まりました。
似たセントウソウの方が早咲きなのですが、この株はどうしたことか、急いでいます。
ヤブニンジンは果実がこん棒状で有毛、セントウソウの果実は紡錘型で無毛です。


早春の明るい林内に咲く、高さ1~2mの落葉低木「ハヤザキヒョウタンボク」です。
ヒョウタンボクの仲間では最も早咲きで、この画像の撮影は4月1日です。


同じくヒョウタンボクの仲間「アラゲヒョウタンボク」と「ミヤマウグイスカグラ」です。
ミヤマウグイスカグラは『ぐみ』とよばれる甘い実を結び、昔は子供たちのおやつでした。
仲間のヒョウタンボクの実は多くが有毒、実の形で食毒の見分けをしていました。


白に近い淡い紅色の花をさりげなく開く、サクラの仲間の「チョウジザクラ」です。
花を横から見ると丁字や丁子(クローブ)のように見えることから『丁字桜』だそうです。


木五倍子と書いて「キブシ」、実を染料の五倍子(ふし)の代用に使ったことによるとか。
10cmほどの花茎に多くの鐘形の花をつけ、雄花は淡黄色、雌花はやや緑色を帯びます。
別名をキフジと呼びますが、和装の髪飾りを連想し、春の出会いが楽しみな花です。


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木落とし勇と美

2016年04月09日 | 文化財

7年に1度の諏訪大社御柱祭、4月3日は序盤の見せ場、上社山出しの「木落とし」です。
8本の神の柱、そのうち最も太い「本宮一」は最初で、9時が予定の時間になっています。
桟敷席の予約はしなかったので、あちこちをうろうろ、線路脇に居場所をみつけました。
7時46分、200mほど先に氏子衆に守られた「本宮一」が見え、興奮で身体が震えます。


7時48分、会場の「木落し公園」に赤い法被のラッパ隊が整列して祭事が始まります。


8時20分、御柱に立つV字形の棒「メドデコ」に氏子が乗り、おんべを力強く振ります。


8時54分、心をひとつにした数千人の氏子衆が、息を凝らして出発の合図を待ちます。


8時58分、大歓声とともに勇ましく美しく、平均斜度26度の急坂を一気に滑り落ちます。


8時58分、片側に倒れる激しさの中、メドデコてっぺんの氏子さんは美しい姿を保ちます。


9時00分、見事に木落としを成し遂げ、歓喜の声と拍手で会場は一体となりました。
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食事処店じまい騒動記

2016年04月02日 | 動物

野鳥の食事処も店じまいの時期、残ったヒマワリの実を大盤振る舞いです。
食卓に実をおくやいなや瞬く間に集まるイカル、さっそく場所取り合戦が始まりました。


かなり派手な大立ち回り、ヒマワリの実がボロボロとこぼれ落ちます。


落ちてくる実を待つ集団、食べ物を無駄にはしません。

 
攻撃なのか愛情表現なのか? これだけ騒げば、さぞかしお腹も空くでしょう。


イカルより小柄で、‘ちょっと似’の鳥がやってきました。
この鳥、かなりの根性持ち、何回も激しく追われたのですがへこたれません。
根負けしたイカル、とうとう死守してきた食事処を明け渡してしまいました。
攻撃をしかけることなく『尻圧』で城を獲るとは、なんともしたたか、あっぱれです。


この鳥、イカルの変異個体なのかと思って調べたところ、「コイカル」のようです。
黒地の翼に白色の紋が2つ(イカルは1つ)、わき腹のオレンジ色も特徴とのこと。
また、黄色のクチバシの先端が黒色(イカルは全黄色)、コイカルの特徴に一致です。
黒頭巾を被っていないのはメスで、雄はイカルより大きな黒頭巾を被っているそうです。

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