信州自由人

のぐケーンのぶろぐ

湯ノ丸山系のラン4

2017年01月28日 | 山野草

今回もツレサギソウ属の仲間です。
陽の射し込まない針葉樹林の中に花を咲かせるキソチドリです。


高さ20cmほどで花は淡緑色、競合する植物が少ないので目につきました。


花の特徴は、萼片がやや膜質、背萼片は狭卵形、側花弁は先が細く伸びるなどです。
よく似るヤマサギソウでは、萼片は草質、背萼片は広卵形、側花弁は狭い三角状とか。


草原で稀に見かけるタカネサギソウ、丈は低いもののがっしり型で遠目にも分かります。


7月上旬に咲いた花が、その下旬には子房を膨らませています。


タカネサギソウの側花弁は、基部が広く上部が急に細まるタイプです。


湯ノ丸山系のランの中では、最も多く見られるホソバノキソチドリです。


池の平にも多く、人通りのない時間帯に木道上に寝そべると間近に見ることができます。


6月には葉を出し、7月はじめには茎を立ち上げてきます。


側花弁は、先が細くならず、基部と上部の幅がほぼ同じタイプです。
花の向きは偏らず、交互に別の方向を向いて咲き、距は水平かやや下向きにつきます。
変種のコバノトンボソウは、花の向きが偏り、距の先が跳ね上がるそうです。


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湯ノ丸山系のラン3

2017年01月21日 | 山野草

前回に続いてツレサギソウ属です。
ミズチドリは湿地に多く、葉や花に特徴があることから、同属では見分け易いランです。


ふつう10~20cmと長い披針形の葉を5個ほどつけますが、短い葉の個体もあります。


純白の大きめの花を密につけ、存在感は抜群です。


真夏に花を咲かせるジンバイソウです。
地面に接する2個の大きい葉が特徴で、形も大きさもほぼ同じです。


落葉樹林内をくねる山道脇に群生しています。


淡緑色で膜質系の花を10個ほどつけます。


唇弁は広線形で先端を後方に巻き込み、距は前方に曲がります。


登山道沿いの林内や草地に目立って咲くオオヤマサギソウです。



周囲の草より茎を一段上に伸ばし、花を密につけた花穂は見事です。


見分けのポイントは側萼片、大きな半切卵形で目立ちます。
唇弁は先が後へ巻き込む個体と、巻き込まない個体がありました。
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湯ノ丸山系のラン2

2017年01月14日 | 山野草

トンボソウはツレサギソウ属に分類することもあり、この属の仲間とよく似ています。


湯ノ丸山系に分布するツレサギソウ属の仲間とは唇弁の形で見分けられます。
トンボソウの唇弁はT字形に3裂し、ツレサギソウ属の仲間の唇弁は分裂しません。
唇弁の長さは3mmほどですので、私の視力ではルーペがないと確認は難しいです。


長楕円形の大きい葉が2個、茎の下部にやや弓なりに湾曲して互生します。
この特徴もツレサギソウ属との見分けのポイントになります。
茎の上中部には3~5個の鱗片葉が互生します。


花は淡緑色で幅が5mmほどと小さく、訪れたヒラタアブと比べてみました。
背萼片と側花弁に守られてずい柱があり、そのすぐ下に距の入口があります。
距は長さが5mmほどで子房に沿うように下に曲がり、奥には蜜が入っています。
その密を求めて昆虫が訪れる際に受粉が行われます。


ツレサギソウ属の仲間はよく似ていて見分けには苦労します。
図鑑を頼りに見当をつけているのですが、自信があるわけではありません。
撮った写真から特性などを整理して、今年のシーズンに備えようかと思います。


湯ノ丸山系に分布するとされる8種の内、葉での見分けでは3種が特徴的です。


残る5種は、ふつう大きい葉は1個で、上部の葉は小さくなり鱗片葉になります。
キソチドリは葉が開きぎみになり、他の4種はふつう斜上します。
4種のうち、タカネサギソウは草姿ががっしりしているので見分けは容易です。


大きい葉1個の5種は、側花弁の特徴によって2つに分けられます。
キソチドリなど3種の側花弁は斜卵形で、下半部が広く、先が急に細くなります。
ホソバノキソチドリなど2種の側花弁は長楕円形で、先が細くなりません。


ヤマサギソウはまだ見ていませんが、キソチドリとは花でも見分けられるそうです。
萼片は見分け表のとおり、側花弁は先端部が細く伸びるのがキソチドリとのことです。
葯室は、キソチドリが逆さ八字型、ヤマサギソウが八字型と聞いたこともあります?


側花弁の先が急に細くならずに同じ幅の2種のうち、コバノトンボソウは見ていません。
2種は、花の向きや、距の先端の向きで見分けられるそうです。
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湯ノ丸山系のラン1

2017年01月07日 | 山野草

似たもの同士の見分けや山案内などに使えるよう、植物写真の整理を始めました。
表は、湯ノ丸山系に分布するとされているラン科の植物です。


参考にした報告書や書籍です。
湯ノ丸山系の範囲は、湯ノ丸山や三方ヶ峰の周辺の山々、鹿沢高原、湯道周辺です。


表に示した順に、アツモリソウ属のキバナノアツモリソウから始めました。
本種は特徴的で、花が咲いていれば他のラン科植物との見分けは容易です。
葉は互生しますが、接近してつくために対生しているように見えます。


花茎を1本立ち上げ、茎の先に白いベレー帽を被ったような蕾を1個つけます。


花の付け根には苞があり、花の上部には、ずい柱を守るように背萼片があります。
側萼片は2個が合着して1個になり、花の後ろ側について、先が2裂しています。
唇弁は円筒状の袋形で特徴的、側花弁とともに茶褐色の斑点があります。


ずい柱の先には仮雄しべがあり、肉質で白色を基調に黄緑色の斑点があります。
基部は黄色く目立ち、、両側に雄しべがあって、その先に花粉をつけます。
受粉が成立すると子房が肥大を始め、中にたくさんの種子をつけます。


アオチドリ属のアオチドリが、4月下旬からやや湿り加減の林内に咲き始めます。


苞は長く、花より外に出ているのでよく目立ちます。


距は丸くて小さく、子房の下に隠れるようについています。


特徴的なのは唇弁で、長さが1cmほどあり、先端が3つに分かれています。
側裂片の2つに比べて中裂片は小さく、肉眼では2裂のように見えます。
側花弁は萼片に隠れているので、下から覗き込まないと見えません。
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