池の平の入口に「見慣れぬ花が」との問い合わせがあり、現場に行ってみました。
バラ科ダイコンソウ属のオオダイコンソウ、この近辺では初めて見ます。
この歩道沿いに2株を確認しましたが、靴の底などで種が運ばれたのでしょうか。
株をのぞき込んでいると、木陰で休んでいたご夫婦から声がかかりました。
ダイコンソウとの見分けをお話しすると、ご婦人がルーペを取り出しました。
ルーペがあると見分けにはとても便利、なかなかの山野草通のご様子です。
オオダイコンソウの花と、花弁が落ちて成熟を始めたダイコンソウの果実です。
ダイコンソウとオオダイコンソウの見分けは、強老眼の私はルーペ頼りです。
花柄の毛の種類、花柱の腺毛の有無、花托の毛の長さは決め手に有効です。
花柄の毛は分かりやすい特徴で、ダイコンソウは短毛が密生しています。
オオダイコンソウは短毛が密生し、さらに、粗い長毛が開出しています。
子房の先の花柱に、腺毛が見えるのはダイコンソウです。
オオダイコンソウの花柱は滑々していて腺毛がありません。
花托または花床(花後は果托または果床)に生える毛の長さも異なります。
高原の花を分解するわけにはいきませんが、成熟して種子が落ちると見られます。
ルーペがなくとも葉の形態でおおよその見当はつけられます。
画像は、茎の基部から出る葉で、地中から出ているように見える根生葉です。
頂小葉の形が、ダイコンソウは円形、オオダイコンソウは長めとのこと。
また、側生葉が互生であればダイコンソウ、対生でオオダイコンソウとか。
葉での見分けは、個体などによって形態差が多く、戸惑うこともあります。
名の由来は「大根草」で、根生葉がダイコンの葉に似ているからとのことです。
果実は集合果と呼ばれますが、その形も見分けのポイントです。
ダイコンソウは球形、オオダイコンソウは成熟してくると楕円形になります。
オオダイコンソウはダイコンソウより標高の高い場所に生育するようです。