信州自由人

のぐケーンのぶろぐ

八方尾根から秋の眺め

2017年09月30日 | 自然

9月24日の6時50分、モミジ色に染まり始めた八方黒菱平の鎌池湿原(標高1680m)です。


八方池山荘から50分、唐松岳・不帰ノ嶮(かえらずのけん)の絶景スポットに到着です。
画像左の石積みの中に山並み展望の略図板があり、それを画像下に模写しました。


標高2050mに水を湛える神秘の八方池と、白馬三山の勇姿です。
三山のガスが切れ、日を浴びた山並みが、風のない静かな水面に映されました。
右から白馬岳(標高2932m)、杓子岳、白馬鑓ヶ岳(しろうまやりがたけ)です。


登山道を少し登り八方池を振り返ると、遠方に信州北部の名峰が望めます。
八方池の上方は、雨飾山、焼岳、火打山、妙高山、高妻山、黒姫山で雲に隠れます。


黒菱平付近から八方池付近までは森林がなく、低木や草本で高山性植物もあります。
八方池から少し登ると、ダケカンバなど亜高山性の落葉樹林帯に入ります。
ダケカンバは葉を落とし始め、ミネカエデは紅葉の見頃、木々の隙間には白馬三山が。


八方尾根の固有雑種ハッポウワレモコウが、僅かに花を残していました。
短く直立する花穂はワレモコウに、長く突出した雄しべはカライトソウに近いとか。


展望が開け、勇壮な五竜岳(標高2814m)と鹿島槍ヶ岳、そして爺ヶ岳も僅かに見えます。


扇雪渓を過ぎた標高2350m付近から、本来の高山性の植物群落があらわれます。
陽があたると花を開くミヤマリンドウ、今日は晴天で青紫色の花はご機嫌です。


山道沿いに1株のウサギギクが今年のなごり花を咲かせています。
白毛をまとってスクット立ち、高嶺の気品を漂わせるのはタカネヤハズハハコです。


10時10分、唐松岳頂上山荘に到着、唐松岳まではあと20分ほどです。


標高2696mの唐松岳山頂から見る立山連峰です。
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在来カワヂシャの奮闘

2017年09月23日 | 自然

ここは、東御市県(とうみしあがた)の「あがた御膳水公園」内にある、鉢ノ木沢湧水です。
明治天皇ご巡行の際に御膳水として利用された湧水、市の天然記念物になっています。
この清流に、在来種のカワヂシャと外来種のオオカワヂシャが同居しています。
同居と言ってもカワヂシャがかなり押され気味、数株ほどしか見あたりません。


カワヂシャは、環境省や長野県のレッドリストに「準絶滅危惧種」として指定されています。
オオカワヂシャは、旺盛な繁殖力などから「特定外来生物」に指定されています。
両種ともゴマノハグサ科の同属で良く似ていますが、見分のポイントはいくつかあります。


葉では、色、形、縁の鋸歯や波打ち程度が異なり、歩道から見ても見当がつきます。


花が咲いていると見分けは容易、カワジシャは白色に見えます。


果実に近づいてみると、先に残っている花柱の長さの違いが分かります。


オオカワヂシャに囲まれ1株のカワジシャが孤軍奮闘をしています。
両種が交雑し、ホナガカワヂシャという雑種も形成されているとのことです。
その雑種は発芽能力のある種子を有し、在来種の遺伝的攪乱が生じているとか。
カワジシャも負けておらず、開花時期を異にして交雑を避けているのでしょうか。


サワガニが心地よさそうに歩き回る、きれいな環境が保たれた水系です。
周辺の方々が、公園内の清掃や水草の抜き取りなどを行っているそうです。
その代表の方にお会いし、カワジシャの希少性の話をさせていただきました。
カワヂシャが安心して生育できる場所を探し、移植していただけるそうです。
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オオハンゴンソウ駆除

2017年09月16日 | 自然

特定外来種のオオハンゴンソウがにぎにぎしく花を咲かせています。
2016年6月11日に「高原に侵入した外来種」でブログに掲載した場所です。


すさまじい数の株がはびこっていた土手は駆除が進み、花をつけている株は僅かです。
この日に抜き取った株は、ほとんどが小さい幼株、根気よく端からミツマタで抜きました。


以前は軽トラの荷台にいっぱいだった抜き取り株、半分ほどの量に減ってきました。
貴重な在来植物を守るため、この日も活躍したマンパワー、疲れましたが満足です。
一帯には春から多くの植物が花を咲かせますが、この日に見たいくつかを紹介します。


「ミズタマソウ」、萼、花弁、雄しべが各2個で、白毛の生え た果実が水玉を思わせます。


花の美しい「ミゾソバ」と茎のルビー色が美しい「タニソバ」、葉の形が見分点です。


この日に出会った3種のアザミ、中央のアザミは湿地内で見かけましたが、はて?


3種のシソ科植物、いずれも花は小さめですが、群生して目立っていました。


お馴染み花々、野原で「オミナエシ」が見られる地域はめっきり減ってきました。


赤、白、紫、橙、色とりどりの花が楽しめます。


「アケボノソウ」と「シラヒゲソウ」は、見入ってしまう魅力的な花です。


チョウの名前は日本チョウ類保存協会員の花岡さんに教えていただきました。
「ハンゴンソウ」、オオハンゴンソウと茎葉は似ますが、花はかなり感じが違います。

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移したツツジのその後

2017年09月09日 | 山野草

数年前に移植したレンゲツツジのその後の生育状況を調べるために集まりました。
2012年10月7日に本ブログに掲載した「開発と自然保護」の場所です。
ここは湯の丸高原の一角の牧場内、牛さんも参加して賑やかな打合せになりました。


道路拡張工事予定地内のレンゲツツジを、この広いスキー場跡地に移植しました。
この日は数百株の移植株について、枝、葉、芽の状態を調べ、野帳に記録しました。


調べ終わった株には赤いテープを巻き、今後の調査のため、番号札を付けておきます。
私が担当した数十株は、株の半分以上の枝が枯れており、とても残念な結果でした。


5年前に移植した際の株の状態ですが、根もたっぷりつき良さそうだったのですが。
10月は、この辺りの移植時期としては遅かったのか、山での移植は難しいものです。


移植時にあった枝はほとんどが枯れてしまったものの、希望はあります。
株元から出た2,3年生の若い枝は元気いっぱい、ヤッター! 楽しみが出てきました。
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苗場山みちくさ山旅

2017年09月02日 | 自然

苗場山(なえばさん)標高2145mを目指し、秋山郷の小赤沢三合目駐車場から入りました。


登り始めて10分も経たないうちに、見たことのない植物に出会いました。
ユキノシタに似た腎円形の葉を根基から出し、縁には鋸歯があります。
小さい暗紅紫色の花をたくさん咲かせ、花弁は5個で黄色い葯が目立ちます。
調べてみたところ、ユキノシタ科のクロクモソウ(黒雲草)に行きつきました。


木の根っこが浮き出た登山道をしばらく進むと四合目の標識が見えてきます。
ここからは、傾斜がゆるく水はけの悪い道には丸太の輪切りが敷かれています。
登山道の脇にはオオバスノキの実が黒く熟し、葉も赤く色付き始めています。


五合目を過ぎると赤い実を輝かす、タケシマランとオオバタケシマランが目立ちます。
遠目でもおおよその見分けはつきますが、見分けのポイントを撮ってみました。
タケシマランは、葉の基部が茎を抱かず、花柄に関節がなく真っ直ぐです。
オオバタケシマランは、葉の基部が茎を抱き、花柄に関節があり曲がります。


またまた、知らない植物に出会い、水場もあり、足はすっかり止まってしまいました。
暗紫色で5mmほどの小さい花の植物は、シソ科のクロバナヒキオコシでしょうか。
葉はアザミに似、花はシオガマギク属の仲間らしき植物は、オニシオガマのようです。


登山道は、六合目の手前から鎖場が始まり、険しくなってきます。
最初の鎖場にアザミを見つけ、ジョウシュウオニアザミかと勇んで駆け寄りました。
ジョウシュウオニアザミは、総苞片の幅が狭く線形で、片の列数は7~8列とあります。
総苞片とは図左の花を包む濃暗紫の片、数えると6列ですのでオニアザミかも?。


汗を拭きながら七・八号目を登りつめると、そこが、広大な高層湿原の入口です。
地塘(ちとう)の縁にはキンコウカがわずかに黄金色の花を残していました。


湿原を渡る木道の脇にはイワショウブ、清楚な白やピンクの花穂が高原に似合います。


イワショウブは、チシマゼキショウ科の多年草、葉はショウブのような線形です。
花穂の色の違いは生育ステージの違いで、白い花弁が散り、実を結ぶと赤くなります。
別名をムシトリゼキショウと言いますが、この茎にはたくさんの腺毛があって粘ります。


九合目の手前で、坪場を振り帰った景観、思わす息を深く吸い込みました。
文人、鈴木牧之が文化年間に苗場山に登り、「絶頂に天然の苗田あり」と記したそうです。
そして「峻岳の巓に苗田ある事甚だ奇なり」と結ぶ、現在、苗田の数は3000個に及ぶとか。


苗田にはイネならずミヤマホタルイが花盛り、ホタルイの花に比べ鱗片は柔らかめです。


山頂付近にある自然体験交流センター下の広場には、ワタスゲが白穂を残していました。

600ヘクタールと言われる広大な高層湿原、木道に導かれ天空の園を堪能しました。
夏の花チングルマ(稚児車)は、名の由来の風車をかざし、秋の装いになってきました。

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