信州自由人

のぐケーンのぶろぐ

サルトリイバラ科

2024年01月27日 | 山野草

サルトリイバラ科の仲間は近所の野山でよく見かける身近な植物です。


サルトリイバラ属のシオデ(牛尾菜)は、山菜としても親しまれています。
シデコなどの愛称もありますが、私の郷里では「ムコナカセ」と呼んでいました。


タチシオデ(立牛尾菜)、名のとおり立ち上がります。
シオデとともに山菜で、味と形から「山のアスパラガス」の名もあります。


シオデとタチシオデは葉の裏の色でも見分けられます。


花が咲いていれば見分けは容易です。


シオデやタチシオデの品種ですが、まだ見たことはありません。


サルマメ(猿豆)、草原の中で頭一つ抜け出した株に淡黄緑色の花を咲かせます。


画像の花は雄花、雌株は夏から秋にかけて実が熟れる頃に目立ちます。


サルトリイバラ(猿捕茨)、雌雄異株、円形の葉に3脈が目立ちます。
ヤマカシュウ(山何首鳥)、茎に刺が生え、林内歩きでは要注意です。
マルバサンキライ(丸葉山奇粮)、葉は円でなく広卵形、つるも刺もありません。


ハマサルトリイバラは海岸付近の草地などに生え、茎に刺はありません。
種子島にいた頃、この葉で草餅を包んだ「かから」の美味しさを思い出します。
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イヌサフラン科

2024年01月20日 | 山野草

イヌサフラン科チゴユリ属のホウチャクソウ(宝鐸草)です。
お寺の軒先に吊られる飾りの宝鐸(風鐸)に似た花、雰囲気が出ています。


イヌサフラン科チゴユリ属のチゴユリ(稚児百合)です。
小さくて可愛らしい花にちなむ名、毎年、出会いが楽しみな春の花です。


イヌサフランはコルチカムの名でお馴染みの園芸植物です。
ホウチャクソウとチゴユリの自然雑種があり、ホウチャクチゴユリと呼ぶそうです。


ホウチャクソウは多年草で、草丈は30-60cm、茎は上部で分かれます。 
花期は春から初夏にかけて、枝先に細長い筒状の花を1-3個つけます。


ヒメホウチャクソウは見ていませんが東海地方以西に分布するそうです。
ホウチャクソウとの見分け方をまとめてみました。。


チゴユリは「疑似一年草」で、毎年新しい地下茎を作って親から独立します。
茎はふつう分枝しないで、枝先に盃状の花を横向きから下向きにつけます。
分枝するものをエダウチチゴユリと呼ばれることもあります。


いずれも清楚な花で、ホウチャクソウは筒状、チゴユリは盃状です。


チゴユリの花の花弁と雄蕊を1組だけ除かせてもらって写真を撮りました。
子房と雌蕊、花糸と葯の長さ比べをしてみました。


オオチゴユリにはお目にかかっていませんが、図のような違いがあるそうです。


標高2000mほどの三方ヶ峰山麓で見た花、オオチゴユリかとわくわくしました。
数日後に再度見ると、雌蕊も花糸も伸びていて、2:1のチゴユリの特性でした。


場所が変わって鹿児島県十島村で見たホウチャクソウです。
ナンゴクホウチャクソウかもと思い、花の長さを測ると2cmです。
ホウチャクソウの花の長さは2-3cm、ナンゴク・・はこれより短いとか。
他の特徴の「匍匐枝が地上を這い、花に芳香」を確認していませんので? 残念!

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シュロソウ科2

2024年01月13日 | 山野草

シュロソウ科エンレイソウ属のミヤマエンレイソウ(深山延齢草)です。
深山から湧き出る清流沿いに清楚な花を咲かせていました。


シュロソウ科の2回目、6属のうちの「果実は液果」の3属です。
長野県では他に、エンレイソウ属でムラサキエンレイソウ、ヒダカエンレイソウ。


それぞれ似ていますが、葉の数や花被片の数などの特徴で見分けます。


ツクバネソウ属のツクバネソウ(衝羽根草)です。
羽根突きの羽子に似た黒紫色の液果をつけます。
葉は4個が輪生しますが、稀に5個のものもあります。


ツクバネソウ属のクルマバツクバネソウ(車葉衝羽根草)です。
葉は6-8個が輪生しますので、葉が開けばツクバネソウとの見分けはできます。


クルマバツクバネソウの花です。
緑色で糸状線形の内花被片と葯から長く突き出る葯隔が特徴的です。


ツクバネソウの花には内花被片はなく葯隔は葯から突き出しません。


キヌガサソウ属のキヌガサソウ(衣笠草)、高山の林縁などに咲く人気花です。
和名の由来は、傘状に輪生する葉を貴人にさしかけた衣笠に見立てたとか。
長さ20-30cmの大きい葉を8-10個輪生しますが、11個の葉もみかけます。


花は直径が5-10cmで目立ち、白色の花弁に見えるのは外花被片(萼片)です。
花弁にあたる内花被片は糸状の線形で、黄色い葯を持つ雄蕊の陰に隠れています。


エンレイソウ属のエンレイソウ(延齢草)とミヤマエンレイソウです。
漢方薬の「延齢草根」はミヤマエンレイソウの根で、名の由来になったとか。
同じ場所に偶然にも両者が生えていましたが、葉では見分けがつきません。


エンレイソウとミヤマエンレイソウは花で見分けます。
エンレイソウは色が紫褐色~紫緑色で内花被片がありません。
ミヤマエンレイソウは外花被片が淡緑色、内花被片が白色で目立ちます。


エンレイソウの仲間は「森の貴婦人」とも呼ばれ、葉は優雅な緑色のドレスです。
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シュロソウ科1

2024年01月06日 | 自然

今年の仕事始めはシュロソウ科です。


6属ありますが2回に分け、今週は「果実は蒴果」の3属についてです。


長野県植物目録2017年版では他に、シライトソウ属でクロヒメシライトソウ。
シュロソウ属でコシジバイケイソウ、ミカワバイケイソウ(生育地は南信)、
ムラサキタカネアオヤギソウ。


ショウジョウバカマ属のショウジョウバカマ(猩々袴)です。
名は、花の色を大酒飲みの妖怪「猩々」の赤ら顔に、ロゼット葉を袴に、とか。
山草園芸店で「少女袴」と可愛らしい名で出ているのを何度かみました。


山で「この花なあに」の質問トップ10は、この状態のショウジョウバカマです。
花弁や雌蕊、花糸が結実期まで色を変えて残り、全く別の花のようです。
蒴果は3つに深くくびれ、中央の縫合線から2裂して、線形の種子を散布します。


シュロソウ属のバイケイソウ(梅蕙草)、多年草の高山植物です。
和名の由来は、花がウメに、葉がシンピジュウム属のケイランに似ることから。


バイケイソウによく似たコバイケイソウ(小梅蕙草)です。
夏山を代表する人気の花の一つですが、花の多い年と少ない年があります。


バイケイソウとコバイケイソウは遠目でも花序の雰囲気がなんとなく違います。
コバイケイソウは花が密について円錐花序になり、先端が丸くなります。
分枝はバイケイソウより短くて開き気味です。


花を近くで見ることができれば、たくさんの違いが観察できます。


花が終わっても果実の毛の有無と宿存花柱の向きなどで見分けられます。


シュロソウ属のショロソウ(棕櫚草)です。
茎の基部に枯れた葉鞘の繊維がシュロ毛状に残ります。
シュロソウの仲間は環境によって形態の変化が多いようです。


果実を見るとバイケイソウと同属であることが伺えます。
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