信州自由人

のぐケーンのぶろぐ

シソ科トウバナ属

2020年01月25日 | 山野草

トウバナ属(クルマバナ属)のイヌトウバナです。


近隣で見られるトウバナ属の見分け方のポイントです。


小苞の長さでの見比べですが、差は顕著で分かりやすい特徴です。
クルマバナなどは小苞が長くて萼に達し、ふちには開出する粗毛があります。
小苞が小さい仲間は、花序の下から覗き込まないと小苞の確認ができません。


花や萼の特徴ですが、萼の毛や腺毛などの観察にはルーペが必要です。
本属は紛らわしい名前が多いので、下記のように一覧表にまとめておきます。



葉の裏の腺点の多少も見分けのポイントです。


ミヤマクルマバナですが、画像の株は山ノ内町の東館山高山植物園での撮影です。
本属の中では最も花が大きく、開花期には見栄えがします。


クルマバナはよく見かけ、車状に数段の仮輪をつける花穂は特徴的です。
似たヤマクルマバナは、花が白色系で、萼は紅紫色を帯びずに緑色です。


ミヤマトウバナは花序が長く、まばらな車状に何段もつきます。


イヌトウバナはミヤマトウバナに比べ花序が短く花が密につきます。
葉裏に腺点が多いことと萼に密生する開出毛は特徴的です。
トウバナは田の畔や湿りがちの道端で見られるそうですが、まだ見ていません。
特徴は、葉裏に腺点がなく、萼には短毛、花や萼は淡紅紫色を帯びるそうです。


ヤマトウバナはイヌトウバナに似ますが、見分けは、花序の付き方と萼の毛です。
ヒロハヤマトウバナも近隣にもあるようですので、お目にかかりたいものです。
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シソ科シソ属など6属

2020年01月18日 | 山野草

シモバシラ属のシモバシラ、軽井沢町植物園で9月24日に撮影した画像です。
大変に見栄えのする花姿ですが、凍てつく時期の株元に咲く氷の花も見事です。


雄しべ4個が完全で、花冠の背面が兜状に膨らまないシソ科の仲間の6属です。


ナギナタコウジュ属のナギナタコウジュ、苞は偏円形で中央付近の幅が最大です。
花が花穂の一方だけに向いてつく様を、薙刀の刀身に見立たことによる名だとか。
似たフトボナギナタコウジュは、苞が扇状の楕円形で中央より先の幅が最大です。


近所の田畑の道脇や川原で見かけたハッカ属ですが、見分けは難関です。
左からハッカ、コショウハッカ、ミドリハッカと見当をつけたのですが、はて?
ハッカ属は外来種が多く品種や雑種もあるとかで、下表をもとに今年の課題です。



植栽株のようですがテンニンソウ属のフジテンニンソウと紹介されました。
神奈川県植物誌によると、本種は茎、花序枝、葉裏に開出毛が生えるとあります。
画像の株は、葉裏の主脈に開出毛が見られましたが多くはありませんでした。
また、茎や花序枝には開出毛が見られないことから、テンニンソウとしました。


シソはシソ属の総称でもありますが、お馴染みのアカジソをシソとしました。
全体が赤紫色で、葉裏には腺点が良く見え、葉の縁は裏側に丸まります。
品種が多くチリメンジソやマダラジソ、大葉の名もあるアオジソなどがあります。


花は紅紫色の唇形で上唇の背面は膨らまず、4個の雄しべは同長で完全です。


萼は唇形で、上唇が3裂、下唇が2裂、果実の表面には網目模様があります。


全体が緑色のアオジソ、白色の花にほんのりと紅紫色に染まった葯が印象的です。


イブキジャコウソウ属のイブキジャコウソウ、芳香が特徴的です。
茎は細くよく分枝して地表を這い、紅紫色の花をたくさんつけます。
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シソ科アキギリ属など

2020年01月11日 | 山野草

アキギリ属のキバナアキギリです。
完全雄しべは2個で花冠上唇に沿って斜上し、雌しべの先端は2裂です。


近隣で見られるアキギリ属、イヌコウジュ属、シロネ属の見分けポイントです。


アキギリ属のキバナアキギリとシナノアキギリの見分けは葉の形です。
野山のシナノアキギリにはお目にかかっておらず、画像は植物園の株です。


アキギリ属のミヤマタムラソウ、似たナツノタムラソウとの見分けは難しそう。
分布域が異なりますので、当地で見る似た株はミヤマタムラソウとしています。


ミヤマタムラソウとアキノタムラソウは花の色と雄しべの様子が異なります。
ミヤマタムラソウは花が淡青紫色で、雄しべは花の外に突き出ます。
アキノタムラソウは花が青紫色、雄しべは初めに斜上し、後に下方に曲がります。
花の咲く時期は、ミヤマタムラソウが6-8月、アキノタムラソウが7-10月です。
同属にミゾコウジュがありますが、名に“溝”がつくように湿地が好みだそうです。


イヌコウジュ属の3種ですが、この仲間に出会うといつも見分けに迷います。


ヤマジソは花序が短く、苞が卵形で大きくて小花柄より長いので花が隠れがち。
イヌコウジュやヒメジソは花序が長く、苞が小さくて小花柄と同長か短めです。


イヌコウジュとヒメジソは葉の鋸歯、茎や花序軸の毛、萼歯などを見比べます。
とはいえ、紛らわしい株が多く、下記のいくつかの特徴で判断しています。



シロネ属のエゾシロネとコシロネの草姿はよく似ています。
見分けは、茎や花序の毛、萼歯の尖り程度や分果の長さや形状などです。
同属のヒメシロネとの見分けは、葉身や葉の基部の形状と萼歯の形状です。
エゾシロネとコシロネは、葉身が菱状卵形で基部はくさび形、萼歯は三角状です。


シロネ属のヒメシロネ、葉身は披針形で鋸歯が鋭く基部は円形、萼歯は針状です。
よく似るシロネはまだ見ていませんが、茎の太さと葉の幅で見分けるとか。
ヒメシロネ茎太3mm以下、葉幅15mm以下、シロネ茎太3mm以上、葉幅15-40mm。
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シソ科ヤマハッカ属

2020年01月04日 | 山野草

『近隣のシソ科』、年のはじめは、ヤマハッカ属のカメバヒキオコシです。
亀に似た葉と、葉汁一口で病の人も起き上がるというおめでたい名前です。


近隣で見られるヤマハッカ属の見分け方のポイントです。
一見よく似るこれらの仲間、花が咲いていればなんとか見分けられます。


ヤマハッカとヒキオコシは、上唇に紫色の斑点があり、萼歯の形がほぼ同じです。
花で見分けるには雄しべと花柱の様子で、ヤマハッカは下唇に中にあります。
ヒキオコシの雄しべと花柱は長く、花の外まで長く飛び出します。


こちらの3種は、花冠上唇に紫色の斑点がなく、萼は唇形です。
セキヤノアキチョウジは花冠が長い筒状で、特徴的な花です。
イヌヤマハッカとカメバヒキオコシの花は似ていますが、葉が全く異なります。
イヌヤマハッカとその近縁のコウシンヤマハッカは、ヤマハッカにもよく似ます。
上唇の斑点と萼での見分けとなりますが、いずれも小さいのでルーペが頼りです。
イヌヤマハッカ似のタカクマヒキオコシは、萼と花柄に腺毛を持つそうです。


この属で分果に毛のある種はクロバナヒキオコシのみですが、近隣では見ません。
萼の形は見分けのポイントですが、花が散った後の萼が分かりやすいです。


周辺も青紫色に染めるヤマハッカと、白っぽくみえるヒキオコシの全景です。


近づいて見る花穂、ヤマハッカとヒキオコシの花の雰囲気はかなり違います。


ヤマハッカの葉は広卵形で鋸歯が粗く、葉の基部は急に細くなり翼に続きます。
ヒキオコシの葉は長楕円形で鋸歯が細かく、葉の基部は円形で葉柄は明瞭です。


セキヤノアキチョウジ(関屋の秋丁字)、山野の木陰に繊細な草姿を見せます。
名の由来は、秋に丁字形の花をつけ、箱根の関所近くでよく見られたからとか。
似たアキチョウジは見ていませんが、本種より葉柄が短く萼歯は鈍頭だそうです。


カメバヒキオコシの葉ですが、葉の先が3裂し、中央裂片は細い尾状です。
近縁のハクサンカメバヒキオコシは、中央裂片が太く鋸歯があるとのこと。
タイリンヤマカッカの葉も3裂で、日本海側で見られ花冠が大きいとか。

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