信州自由人

のぐケーンのぶろぐ

地衣類ワールドを覗く

2018年12月29日 | 自然

春一番の植物観察会で、筑波大学の出川先生が1本の枯れ枝を拾いあげました。
枝に付く物体は「地衣類」とかで、先生は10種ほどの種名と解説をすらすらと。
もうびっくり“枯れ枝1本侮るなかれ”その枝は地衣類ワールド、惹かれました。


先日、烏川渓谷緑地の「からすの学校」で、地衣類の学習会が開かれました。
講師は出川先生、熱く、楽しく地衣類について教えていただきました。
地衣類は菌類と藻類が合体した生物で、菌類が藻類を挟んでいるそうです。


「先生いわく」木々の葉が落ち明るくなった林内は地衣類の観察に最適です。
そして、花や虫に目を奪われず、地衣類が主役になることができる季節です。
また、同じ場所でほぼ同じ形で、しかも年間通して観察できるのが地衣類です。


地衣類の観察グッツは、ルーペにカメラのほか双眼鏡も便利そうです。
特徴を示す器官などが非常に小さいので、拡大して見えるグッズが必要です。
スマホは優れもの、拡大画面は見やすく、淡い黄色でも見た目の色で撮れます。


地衣類の観察は独特で、気づいたスタイルのスナップ写真3枚です。
ルーペ観察は、ルーペを目につけ、対象物に額が付くほど近づけるのだとか。
地衣類の撮影には、カメラの接写機能が威力を発揮します。


見た目では3つの形状があるそうで、葉状、樹状と痂状(かじょう)とか。
葉状といわれる地衣類は、これまでコケの仲間だと思っていました。
幹の模様だと思っていたのは痂状地衣類、なんと、生物だったのです。


地衣類の増殖は、胞子での有性生殖と栄養体での無性生殖があるそうです。
胞子はキノコのような形の子器(しき)と呼ばれる器官で形成されます。
栄養体は、粉芽(ふんが)、裂芽(れつが)、バスチュールの形態があるとか。


この日の地衣類は、形態的な特性由来の種名が多く、覚えやすくて助かりました。
子器に黒褐色の縁どりがあるヘリトリゴケ、カラタチの枝に似たカラタチゴケ。
梵字(ぼんじ)模様のボンジゴケ、ピンを刺したようなピンゴケなどです。


この木はケヤマハンノキ、地衣類とは相性が良いのか、幹一面を覆っています。
もっとたくさんの種名を教えていただいたのですが、書き取れた名を載せました。
これまでは通り過ぎていた地衣類ワールド、存在を知り10倍楽しい冬の観察です。


家の周りは無味乾燥な人工物と思いきや、実はそこにも多くの生物がいたのです。
地衣類の世界をほんの僅かですが覗かせていただき、そのことに気がつきました。
この画像が地衣類かは分かりませんが、いくつもの顔があり楽しめます。
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今年出会った野山の獣

2018年12月22日 | 動物

春に嬬恋村で出会ったけもの・・はて珍獣か・・急いでカメラを構えました。
よく見ると、どうやら疥癬(かいせん)病に罹ったタヌキのようです。
疥癬病とは、ヒゼンダニというダニが皮膚に寄生して起こる感染症だそうです。


三方ヶ峰に連なる見晴登山道脇で出会ったカモシカ、こちらを伺っています。


登山道でけものの死骸に出くわすことは珍しくありません。
けものの死骸や糞などは、地域での分布状況を知る重要な手掛かりになります。


高峰高原の車坂峠から下る途中で、ニホンザルの集団に出会いました。
子ザルも上手に電話線を渡っており、感心して眺めました。


野生のスカンプーをお供にウオーク、ポケモンゴーレベル40達成記念です。
今年は、100種以上の新たな野生のポケモンに出会いました。


クリスマスシーズン恒例の電飾の森で、カモシカのカップルに出会いました。


上田市菅平の大洞林道で、来年の干支イノシシのウリボウに出会いました。
今年もたくさんの野生のけもの達に出会え、刺激のある野山歩きが出来ました。

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師走に咲くスミレ(3

2018年12月15日 | 趣味の園芸

近所の庭に、ニオイスミレと同居している不明なスミレです。
月初めの葉は緑色がかっていたのですが、14日には茶色になっていました。


このスミレも家の方から株をいただき、ニオイスミレと一緒に写真を撮りました。
地上茎は見られず、地下には匍匐枝はなく、根茎は太くワサビ根のようです。


根茎を拡大してみると、葉が出た痕跡はありますが、古い葉柄は残っていません。
上向きに出た幼芽らしき塊がたくさん見られます。


地際部もニオイスミレとはかなり異なります。


葉や葉柄には毛は見られません。


夏以降に葉を大きくするスミレは多いのですが、特に大きく10cmほどあります。
虫食われの葉ですが葉先は尖り気味、ニオイスミレの葉先は円頭です。
葉縁の鋸歯は両者ともありますが、鋸歯の先の形は画像のように異なります。


花柄(果柄)の毛は全く見られません。
生育盛期の株は見ていませが、アメリカスミレサイシンに見当をつけました。


アメリカスミレサイシン(学名:ビオラ・ソロリア)の特徴です。


また、アメリカスミレサイシンについては、次のような記述がありました。
アメリカスミレサイシンンはニオイスミレと長い間混同されていた。(日本では)
かっては、紫花種をパピリオナケア、白色に紫色混合種をプリケアナと呼んだ。
近年は、両者ともアメリカスミレサイシンに含まれるとされている。
また、白花のスノープリンセスや、紫斑点があるフレックスなどの品種がある。


昨日(14日)の庭の様子、ニオイスミレがたくさんの花を咲かせていました。

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師走に咲くスミレ(2

2018年12月08日 | 趣味の園芸

ニオイスミレの花を正面から撮りました。
スミレの花は左右対称、花弁は上弁2個、側弁2個、唇弁(下弁)1個の計5個です。
側弁の基部には白毛がありますが、毛の有無などは種類の見分けポイントです。
花弁の中央には雌しべと雄しべがあり、橙色に見えるのは雄しべの付属体です。
雌しべの真下に穴がありますが、この穴は距(きょ)に通じています。


花の基部には5個の萼片があり、後部の付属体が特徴的な形の種類もあります。
花の後方に突き出た部分は、唇弁と一体の距(きょ)で、蜜が隠されています。
昆虫はこの蜜を目指し、距の入口から入り込みます。
距の入口の大きさと距の奥行で、蜜をごちそうになれる昆虫は限定されます。
スミレの花に集まる昆虫を絞り込み、受粉交換を効率よく行っているのだとか。


上弁と側弁を取り除くと、白色の雄しべ全体が良く見えます。
雄しべには花糸がなく、5個の葯が雌しべの周りを取り囲んでいます。


距(きょ)を半分に切断すると、距の中の様子が分かります。
雄しべから脚(きゃく)と呼ばれる、2個の蜜を分泌する器官が出ています。
脚(きゃく)は距(きょ)の中を塞ぐほどの大きさです。
昆虫が脚に触れると、その刺激で葯から花粉が出て虫の躰につくのだそうです。
持ちつ持たれつの巧妙な仕組み、見るたびに感心させられます。


雄しべを2個取り除くと、雄しべに囲まれていた雌しべの全体が見えました。
雄しべの内側には葯が見えますが、花粉は出ていないようです。


子房を切断すると、中にはたくさんの胚珠が入っていました。


柱頭が受粉した花粉は花柱を通って子房内に運ばれ、ここで受精が行われます。
受精が完了すると、子房は果実に、胚珠は種子になります。
庭で果実を探したのですが、ニオイスミレは果実をつけていませんでした。


そこで、近くの車道の縁石沿いに密生するスミレの果実を見つけました。
スミレ属を全て「スミレ」とも呼びますが、画像はスミレという名のスミレです。


果実の果皮を切断してみると、中には茶褐色の種子がたくさん入っています。
スミレの果実は蒴果(さくか)で、熟すと上を向き、果皮が3つに裂けます。
果柄を伸ばして果実を高くに位置させ、種子をなるべく遠くまで弾き飛ばします。


画像左は、種子が熟して3列に裂け、種子をはじき飛ばす直前の果実です
さらに、スミレの子孫繁栄策は、種子にアリの大好物をつけていることです。
エライオソームと呼ぶごちそう、アリはこれが欲しくて巣に運び込み餌にします。
種子はアリにとっては不要品、捨てられて、結果として広く散布してもらえます。
スミレの仲間はこのように、“あの手この手” で種族の存続を工夫しています。
次週は、ニオイスミレと同居するもう一種類のスミレを見てみます。
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師走に咲くスミレ(1

2018年12月01日 | 趣味の園芸

12月1日、7時の気温は0.7℃の寒い朝、近所の庭のスミレが花を咲かせています。
このスミレ、家の方の話では「ニオイスミレだと思っている」とのことです。


ニオイスミレの特徴を図鑑読み放題サイト図鑑JPなどで調べてみました。
以下見た図鑑:神奈川県植物誌2001(2001).神奈川県立生命の星・地球博物館.
増補改訂版 図説植物検索ハンドブック“埼玉2882種類”(2016).さきたま出版会.
日本のスミレ(1996).山と渓谷社. 日本のスミレ類早見表(2018).同.
日本帰化植物写真図鑑 Plant invader 600種(2001).全国農村教育協会.


前の画像の「ニオイスミレの形質」に沿って、画像を並べてみました。
【①耐寒性多年草】この時期に葉が茂り花を咲かるスミレ、まさに耐寒性は強。
【②地上茎は有るもの(地面を這う)と無いものがある】


幸いにも家の方から数株をお土産に頂き、地下部の写真を撮ることができました。
【③地下茎は長く横に走る】


【④株の付け根は地上】
【⑤葉は分裂せず円心形、葉先は円頭、縁に鋸歯あり】


【⑥葉の両面や葉柄に毛がある】


【⑦托葉は縁に毛状の突起がある】



【⑧花柄には毛がある】
【⑨花は紫色、直径約2cm、距は短く、】ここまでは順調、が、香りがはてな?
家の方にお聞きすると、「香りは強いのだが、今日はしないな」と残念そう。


【⑩柱頭はカギ形】
今回見た図鑑などには、側弁の毛についての記載はありませんでした。
この家で今咲くスミレは、どの花も、側弁に白い毛を持っています。


【⑪果実は球形で密毛】果実が見つかりませんでしたので、子房を撮りました。
芳香は心残りですが、他の多くの特徴からこのスミレをニオイスミレとしました。
次週は、花をもう少し詳しく調べてみます。

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