信州自由人

のぐケーンのぶろぐ

セスジスズメ芋虫記

2014年08月24日 | 動物
セスジスズメのいもむしを飼ってみました。




家庭菜園のサトイモにいた3匹の赤ちゃんいもむしを発砲スチロールの箱に移しました。
セスジスズメの好物といわれる、ヤブガラシ、ノブドウ、サツマイモなどを入れてみました。
数日後、サトイモの葉以外を食べそうもないので、以降はサトイモオンリーとしました。




菜園のサトイモには、セスジスズメの卵と思われる1.5mm程の丸い卵がついていました。
ほとんどが黒変しており、寄生バチなどに卵を産みつけられたようです。
家庭菜園から持ち帰った3匹のいもむしには名前をつけました。
淡緑色で体長が8mmほどのプウ、黒色で体長が10mmほどのクウとムウです。




プウが脱皮したと思われる形跡を3回見ることができました。
1回目は8月5日の朝で、緑色の体が黒に変わり、頭やしっぽ(尾角)は真っ白でした。
夕方には頭や尾角は黒くなり、8日の朝には2回目の脱皮の形跡が見られました。
その後、3回目の脱皮を見逃したようですが、12日の脱皮で終齢の体つきなりました。




プウの体長や模様の変化を並べてみました。
脱皮を見逃したのは9~11日の間と思われ、11日に見た模様は変わっていました。
飼い始めは体長が8mm程でしたが、終齢幼虫は80mm以上になりました。




プウ達はどんどん食欲が増してきましたので、サトイモを鉢植してそこに移しました。




プウとクウは仲良しで同じ行動をとることが多いようです。
ムウは旅好き、飼育箱のふたを開けると身を乗り出して辺りをうかがいます。
旅に出て2日後に飼育箱の周りをうろついているムウを保護したこともあります。
お腹が減って戻ってきたのでしょう。




17日の朝、これまでの1cmほどの固形の便が、軟らかい緑色の便に変わっていました。
蛹化が間近、3匹を移して発泡スチロールの箱をきれいに掃除をしました。
2日ほどの旅で餌にありつけなかったムウはやや小ぶりです。




次の日の18日、クウとムウが繭状の中で盛んに家の完成めざして働いています。
19日にはプウも糸と発泡スチロールの破片でできた繭の中に入っていました。
20日にムウと思われる繭を持ち上げて中を覗いてみると、まだ蛹にはなっていません。
21日の朝、ようやく蛹になり体の長さも4~5cmほどに縮んでいました。




鉢植えの餌の葉についていたのか、後から産まれたミイも元気で終齢を迎えています。
セスジスズメの幼虫は尾角や紋の模様が特徴的です。
頭の下の6本の赤い足も愛きょうがあります。




ステルス機の翼に似た羽根を持つ成虫の出現が楽しみです。
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見分け混乱セリ科植物

2014年08月17日 | 山野草
セリ科の植物の見分けは、いつも迷ってヨロヨロしています。
まもなくシラネセンキュウやオオバセンキュウの開花が始まります。
1年も経つと見分けのポイントがぼやけてしまい、復習が必要です。





近隣の野山で見るセリ科植物をまとめてみました。
自信のない種類もあり、今後の見分けの整理が楽しみです。
今回は、赤字で書いたシシウド属の5種類について整理してみました。
シシウド属はこの他にもたくさんの種類があるようです。




見分けは、葉の縁の鋸歯(きょし)といわれるギザギザの形がポイントの一つです。
総苞片(そうほうへん)や小総苞片の有無も見分けのポイントになるそうです。
苞とは花や花序の基部にあって、つぼみを包 んでいた葉のことをいいます。



葉の特徴で見分けることが容易なようです。
シシウドは、葉に光沢がなく、小葉は長楕円形で鋸歯があります。(撮影所沢川上流)
アマニュウは卵形三角形で3浅裂し、縁には不揃いの鋸歯があります。(同場所)
ノダケは葉の縁に粗い鋸歯、小葉の下部は葉軸に沿って流れ、翼状となります。



シラネセンキュウとオオバセンキュウの見分けはいつも迷います。
両種とも、茎葉が各節で内側に折れて半曲することが他のセリ科と異なるとされています。
決定的な識別ポイントは小葉の鋸歯を比較することだそうです。(撮影所沢川上流)
シラネセンキュウは重鋸歯で、オオバセンキュウは単純な鋸歯です。



花や果実にも特徴があり、シシウドは大自然のなかで存在感を示しております。
アマニュウには小総苞片が見られ、種子の翼はあまり大きくはありません。
ノダケは紫黒色の花をつけ、非常に特徴的です。(撮影鹿沢野草園)



シラネセンキュウとオオバセンキュウの花や果実の違いはよく分かりません。
両者とも小総苞片はけっこうあるようです。



家庭菜園のニンジンの花と実で、セリ科の仲間だということがよく分かります。
大きな目立つ小総苞片と果実の白い毛が特徴的です。
コメント (2)
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食欲モリモリ畑の芋虫

2014年08月10日 | 動物
無農薬の家庭菜園は昆虫の見学コース状態になってしまいました。
チョウやガの幼虫が作物の葉や実をモリモリ食べて大きくなっています。





獣害対策万全のトマトでしたが、食べ頃の実に穴が空いています。
割ってみると、果肉の中に淡緑色の芋虫が大量の糞とともに姿を現しました。
ナス科作物やレタスなどで恐れられている害虫、「タバコガ」類の幼虫です。
この類のタバコガとオオタバコガの幼虫の見分けは難、トマトには後者が多そうです。




幼虫を捕りだしたところ、2匹がすさまじい勢いでからみつき始めました。
攻撃し合っている様子で、この種類のタバコガの幼虫は相当に仲が悪そうです。
東御市に移り住んで5年目ですが、始めてタバコガ類の襲撃を受けました。
蛹で越冬し、成虫は1卵ずつ産卵、年2,3回発生するそうで、今後は要警戒です。




「キアゲハ」の幼虫がニンジンの葉をムシャムシャと勢いよく食べています。
キアゲハはセリ科の植物を食べますので、この辺りではニンジンに多く見かけます。
食欲モリモリですが、1匹の幼虫がニンジン1株全てを食べ尽くす訳ではありません。




キアゲハはハデハデ昆虫で、幼虫も緑の肌に黒の縞、橙色の点の配色は目立ちます。
幼虫の躰は伸びたり縮んだりしますが、画像の状態での体長は35mmほどでした。
終齢幼虫でしょうか、蛹化まであとわずか、それまで”おすそわけ”です。




サトイモの葉を食い尽くす勢いの芋虫は、「セスジスズメ」です。
通常は右側の全体が黒っぽい幼虫ですが、今回は珍しい黄緑色の幼虫もいました。
スズメガは尾角を持ちますが、本種の特徴は、付け根がオレンジで先端が白色です。




幼虫はサトイモや、野生植物のヤブガラシなど、いろいろな植物の葉を食べます。
食欲はすごい旺盛で、作物の葉を食い荒らし、数日で畑が全滅することもあります。
終齢幼虫は、画像のように指の半分ほどの太さの巨大な糞を出します。




手に載せてみると、体長はおおよそ95mmの大物です。
左側が頭で右側が尻、尻の尾角を触角と思い、尻を頭かとの勘違いもあるようです。
体の両脇には、7個ずつの神秘的なオレンジか黄色の目玉模様を持っています。
また、腹脚という4本の足をもっていますが、成虫になるとなくなってしまいます。

 
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カリガネソウの妙技

2014年08月02日 | 山野草
7月も多くの植物に出会い、大発見がありました。
特に、「カリガネソウ(雁金草)」には驚かされました。





菅平植物園の入り口に、楚々とした淡紫色の花が、まるで舞うように咲いていました。
カリガネソウといい、近年の研究で、クマツヅラ科からシソ科に編入された植物です。
カリが飛ぶ姿に見立てた名前だそうですが、ホカケソウ(帆掛草)の別名もあるそうです。
茎を揺らすと、この清楚な花を咲かせる植物のイメージとはほど遠い臭気を漂わせます。




花冠は淡紫色で、長い筒の先が5裂し、下側の花弁には濃い紫色の斑点が入ります。
花の中心からは、雌しべと雄しべ4本が、昆虫の触角のようにスクッと伸びています。
この独特の配置を見て、昆虫による受粉をしない植物なのか、と思ってしまいました。
通常、植物は花色や蜜で昆虫をおびき寄せ、受粉しやすい花の構造を工夫しています。
この花の構造では雄しべも雌しべも高すぎて、吸蜜の際に触る可能性が低くそうです。




そんな疑問を、一匹の昆虫が実演によって教えてくれました。
カメラを向けしばらくすると、花に昆虫がとまりました(1枚目の画像の右側の花)。
静かに写真を撮りながら見ていると、なんということでしょう。
花弁が動き、吸蜜中の昆虫に雄しべや雌しべが近づいてきたのです。
クマバチのような大きい昆虫なら、背中に花粉がついたり受粉が十分可能です。
家に帰って調べたところ、これがカリガネソウの受粉の妙技と知りました。
体を開いて昆虫を受け入れ、蜜をご馳走したり飛び去る間に受粉を済ませるのです。




菅平自然園に自生する「オオマルバノホロシ」も大変印象の深い植物でした。
ナス科のナス属で、花がそっくりのナスやジャガイモなどの仲間です。
画像の実は、まだ青色ですが熟すと真っ赤に染まるそうです。




名前が、植物分類学のリンネ博士に由来する「リンネソウ」です。
木陰を淡く照らす小さなやさしいピンクの花が、大きな岩を覆って咲いていました。
茎のてっぺんに左右に花が一つずつ咲くことから、メオトバナとも呼ばれています。
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