紅紫色の花を咲かせるノバラの仲間の第3回は「オオタカネバラ」です。
カラフトイバラとは葉、萼筒、花柄の長さや腺の有無などが異なります。
タカネバラとは小葉の数や形、枝先の花の数などが異なります。
ここは標高1680mの鎌池湿原、八方尾根自然研究路の起点です。
湿原の周囲に敷かれた木道脇に「オオタカネバラ」の案内板があります。
ササに押され、木道側に茎を伸ばし、そこでご機嫌に花を咲かせています。
径は3~4cmと大きな淡紅紫色の花は、この時期の高層湿原の華のひとつです。
茎は長い刺を密生させていますが、古い幹の刺は折れ落ちているようです。
小葉は2~3対で、葉先は尖り、縁の上部2/3ほどに粗い鋸歯がつきます。
頂小葉は、長さ6.5~7cm、幅3~3.5cmと、タカネバラより大きい葉をつけます。
葉柄や葉軸には、腺毛がまばらに生えています。
葉裏は、主脈上にやわらかな伏毛があるそうですが、確認し忘れました。
托葉は幅広く、中位まで葉柄に合着し、上部は二つに分かれて先端は尖ります。
縁は全縁 で無柄から短柄の腺を列生し、一見鋸歯があるように見えます。
萼片は細長く伸び、美しい曲線で蕾を装飾し、楕円形の萼筒が支えます。
小花柄は長さ3~5cmで、やや長い腺毛が密生し、カラフトイバラとは違います。
紅紫色で美しい花を咲かせた後、花弁が散ると、萼筒と萼片が目立ちます。
枝先の花の数は、1個の場合が多かったのですが、2個や3個もありました。
果実(偽果)は長さ1.5cmほどの楕円形になり、黄赤色に熟していました。
7月に複数の花をつけていた枝ですが、稔った実は1個でした(画像3枚目の花)。
実が熟した9月下旬の鎌池湿原、緑の高原が黄色や紅色に染まり始めています。