信州自由人

のぐケーンのぶろぐ

野ばらオオタカネバラ

2018年02月24日 | 山野草

紅紫色の花を咲かせるノバラの仲間の第3回は「オオタカネバラ」です。
カラフトイバラとは葉、萼筒、花柄の長さや腺の有無などが異なります。
タカネバラとは小葉の数や形、枝先の花の数などが異なります。


ここは標高1680mの鎌池湿原、八方尾根自然研究路の起点です。
湿原の周囲に敷かれた木道脇に「オオタカネバラ」の案内板があります。


ササに押され、木道側に茎を伸ばし、そこでご機嫌に花を咲かせています。
径は3~4cmと大きな淡紅紫色の花は、この時期の高層湿原の華のひとつです。


茎は長い刺を密生させていますが、古い幹の刺は折れ落ちているようです。


小葉は2~3対で、葉先は尖り、縁の上部2/3ほどに粗い鋸歯がつきます。
頂小葉は、長さ6.5~7cm、幅3~3.5cmと、タカネバラより大きい葉をつけます。
葉柄や葉軸には、腺毛がまばらに生えています。
葉裏は、主脈上にやわらかな伏毛があるそうですが、確認し忘れました。


托葉は幅広く、中位まで葉柄に合着し、上部は二つに分かれて先端は尖ります。
縁は全縁 で無柄から短柄の腺を列生し、一見鋸歯があるように見えます。


萼片は細長く伸び、美しい曲線で蕾を装飾し、楕円形の萼筒が支えます。
小花柄は長さ3~5cmで、やや長い腺毛が密生し、カラフトイバラとは違います。


紅紫色で美しい花を咲かせた後、花弁が散ると、萼筒と萼片が目立ちます。
枝先の花の数は、1個の場合が多かったのですが、2個や3個もありました。


果実(偽果)は長さ1.5cmほどの楕円形になり、黄赤色に熟していました。
7月に複数の花をつけていた枝ですが、稔った実は1個でした(画像3枚目の花)。


実が熟した9月下旬の鎌池湿原、緑の高原が黄色や紅色に染まり始めています。


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野ばらカラフトイバラ

2018年02月17日 | 山野草

紅紫色の花を咲かせるノバラの仲間の第2回は「カラフトイバラ」です。
ハマナスとは、茎の刺が少なく、葉表面のシワがないことなどが異なります。
タカネバラやオオタカネバラとは、枝先の花の数や果形などが異なります。


当地でもごく稀なカラフトイバラの花山景色、6月から7月に見せてくれます。
花径3~4cmと大きな淡紅紫色の花は存在感が抜群です。


夏は大きな葉に覆われて樹形がわかりませんので、冬の姿を見てみます。
樹高は1mほど、下部は真直ぐ伸び、上部の枝は四方によく分枝しています。


茎は紫褐色で疎らな刺がありますが、ハマナスのように密生はしません。
若い茎の下部は、刺が多いこともありますが、茎も枝も毛はありません。
葉柄基部の1対の大きな刺は本種の特徴、時が経つと脱落するものもあります。


小葉は3~4対、葉の表面は淡緑色でハマナスのようなしわっぽさはありません。


葉軸には短毛が密生し、小刺を散生して、その刺にも毛があります。
葉裏は軟毛に覆われ、ときには葉の下部に腺点があります。


托葉は中程まで葉柄に合着して筒状に巻き、縁は全縁で腺点と毛をつけます。


萼片は5個で披針形、長さ 2.5~3 cm、先は細く葉状になります。
萼片の縁と内面には短毛が密生し、縁には腺毛も見えます。
萼筒はほぼ球形、花柄は8~20 mmで、萼筒とともに無毛ですべすべしています。


花は枝先に1~3個つき、1個のタカネバラとの見分けのポイントになります。


果実(偽果)は8月に黄色に色づき、9月には赤くなり熟します。


偽果の径は1~1.5cm、ほぼ球形であることがタカネバラとの見分けになります。
株により形が微妙に違いますので、いくつかの特性を見て種類を判断しています。
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野ばらハマナス

2018年02月10日 | 山野草

紅紫色の花を咲かせるノバラの仲間の第1回は「ハマナス」です。
近隣に自生株はありませんが、民家の庭、公園や道路わきに植え込まれています。
他のノバラの仲間に比べ、かなり特徴的です。


画像は近所の公園に植えられた株で、品種改良が行われているかもしれません。
ふつうは高さが1~1.5mですが、この株は2m以上あります。
画像のように、幹が叢生するのはハマナスの特徴の一つです。


幹や枝には刺が密生し、太い扁平な刺と針のように小さな刺が混生しています。
その枝や刺には白色の軟毛が密生しますが、老眼の私はルーペで覗きます。


葉は茎に対して交互に出る互生です。
葉の付き方は、葉柄から続く葉軸の左右に小葉が配列された羽状複葉です。
先端には1枚の小葉(頂小葉)がつくので、奇数羽状腹葉となります。
左右の小葉は3〜4対で、この対数が見分ける際のポイントにもなります。


葉脈が凹み、しわが多く目立ち、葉の縁はやや葉裏側に巻きます。
葉の表は無毛で、裏面には短い白色の軟毛が密生し、下面には腺点が混じります。


托葉は膜質で幅が広く、中程まで葉柄に合着し、先は二つに張り出して尖ります。
縁には毛はありますが、カラフトイバラなどのように腺点はありません。
葉柄や葉軸は短毛が密生し、刺をまばらに生やします。


花は紅紫色で径は5~8cmと大きく、枝先に1〜3個ずつつけます。
花柱は他のノバラの仲間に比べ短いそうですが、確認はしていません。
花には香りがあり、天然香料の原料になります。


萼片には軟毛と細い刺があり、ときには腺毛が混じります。
萼筒はほぼ球形で大きく、仲間との見分けのポイントになります。
花柄は長さ1~2cmで、短毛が密生し小さな刺があります。


実は、子房と種子に萼筒が肥大して加わり、偽果と呼ばれています。
偽果の先端に長い萼片が残るのが、この仲間の特徴です。


偽果の径は2~3cmと仲間の中では大きく、扁球形で赤く熟します。

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近隣のノバラのなかま

2018年02月03日 | 山野草

園芸バラの原種でもあるノバラの仲間は、野山でも美しい花を見せてくれます。
近隣には、夏になるとノイバラとテリハノイバラが白色の花を咲かせます。
住宅の庭、道路脇や公園などに植え込まれたハマナスも、豪華な花を咲かせます。
少し標高が上がると、カラフトイバラがピンク色の花を咲かせます。


ノイバラ(野茨)は、ノバラの代表的な種、刺が多く嫌われるこもあります。
秋から初冬に赤い実を付け、ヤブの中を覗くと、小動物の食べかすをよく見ます。


日当たりの良い里山のノイバラが、赤い幹肌の新梢を上に伸ばしています。
陽だまりの地表近くに照りのない葉を残し、冬芽の先はルビー色に輝いています。


テリハノイバラ(照葉野茨)も、ノイバラと同様に身近に多い種です。
この種の葉は、表面にクチクラ層が発達し、艶がある“照り葉”です。
ノイバラとの見分けは、主幹が地を這い、冬に残る葉にも艶があることなどです。


人気のハマナス(浜茄子、浜梨)、園芸用に品種改良されたものだと思われます。
赤い実を残していますが、すさまじい刺のせいか、野鳥は寄り付かないようです。


標高1700m付近に生育する、希少種のカラフトイバラ(樺太茨)の冬姿です。
雪に覆われた真っ白な大地、白い幹肌のシラカンバ林の中に赤い実が映えます。


雪の深山に紅く輝くカラフトイバラの実は、まだまだ早春まで楽しめそうです
冬芽の先に白い毛、ノイバラにはなく(3枚目の画像)、寒さ対策でしょうか。
本種はハマナスの近縁で、タカネバラやオオタカネバラも同様に仲間です。
次回から数回に分けて、仲間の4種についての特徴を予定しています。
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