信州自由人

のぐケーンのぶろぐ

湯ノ丸山系のラン8

2017年02月26日 | 山野草

シャクナゲの葉陰などでよく見かけるミヤマフタバランです。


登山道沿いの林内に咲くミヤマフタバラン、左上はキソチドリです。
6月に二葉を出し、7月~8月には花を咲かせ、8月~9月には種子を稔らせます。
この道を通るたびに生育ステージの様変わりを楽しませてくれます。


生育地で腰をかがめて目を凝らすと、小さなコフタバランが出迎えてくれます。


子房は膨らんだ楕円形で5本の筋があり、その先に小さな淡黄緑色の花を開きます。


ミヤマフタバランとコフタバランの見分けのポイントは、唇弁の形です。
ミヤマフタバランの唇弁の先は2裂し、裂片は楕円形で先は丸です。
コフタバランの唇弁の先は2深裂てし広く開き、裂片は線形で先は尖ります。
耳状裂片はタカネフタバランなどとの区別点、小さいので確認にはルーペが必要です。


他の見分けのポイントは、花茎の色が紫と淡緑、葉の形が心臓形と三角状です。
花茎の毛も違いそうで、ミヤマフタバランには花茎全体に腺毛が密生しています。
コフタバランにも毛が見えますが、撮影時に毛についての意識不足で不鮮明でした。


お馴染みのネジバナ、またの名がモジズリです。


湯の丸牧場に咲いているネジバナ、花と牛の落とし物が重なってしまいました。


紅色の萼片と、白色の唇弁の色合いが良く、端正な花で、見入ってしまいます。


たくさんの花をつけますが、つけ方は様々で、一方に偏ったり、螺旋状に巻いたりします。
右の画像は種子をまいて育てた4株、1株が左上がり、3株が右上がりに巻いています。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

湯ノ丸山系のラン7

2017年02月18日 | 山野草

春の落葉樹林内に白い清楚な花を咲かせるギンランです。


ギンランによく似て、同じ時期に花を咲かせるササバギンランです。


ギンランとササバギンランの見分けは、苞の長さでの比較が一般的です。
紛らわしいものもありますので、唇弁の中裂片の形や隆起線の様子で確認します。
また、ササバギンランは、茎の稜上、葉の縁や裏、花序などに白い短毛を密生させます。
唇弁や隆起線、また短毛の良い写真が撮れていないので残念ながら載せられません。


ギンランもササバギンランも、唇弁の基部に短い距が飛び出ています。
ギンランの変種でよく似たクゲヌマランは近隣地域に生育し、見分けは距とのことです。
クゲヌマランの距は突出しないとのことですので、距を意識して見ています。


登山道沿いでよく目にするエゾスズラン、アオスズランとも呼ばれています。


蕾のうちは花序を下向きに垂らしていますが、花を開く頃になると背筋を伸ばします。


全体に短い縮毛が生えてザラつき感があり、しっかりした丈夫そうな草姿です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

湯ノ丸山系のラン6

2017年02月11日 | 山野草

一見してそれと分かるオニノヤガラ、大地に矢が突き刺さっているかのようです。
花が白色系をシロテンマ、緑色系をアオテンマとも呼ばれているようです。


葉を持たず、円柱状の茎に膜質の鱗片葉をつけ、数十個の花を総状につけます。


花の形は変わっていて、左右の側萼片と上の背萼片が合着して壺状になっています。
唇弁の縁は黄色を帯びて細かく裂け、中にはずい柱や葯が見えます。


花の色がトキの翼の色に似ることからトキソウ、淡紅色の花が人目を引きます。


周囲の植物に覆われる前に花を咲かせますが、株数が少ないと見逃しがちです。


花は横向きで、唇弁は紅紫色が濃く、縁や内側に長めの突起が密生します。


ヤマトキソウは茎葉も花も小さく、1株程度では気づかれることの少ないランです。


登山道脇に数十本が密生する人気の株、毎年にぎやかに花を咲かせてくれます。


花は上向きでほとんど開かず、花色が薄く、トキソウとの見分けは容易です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

湯ノ丸山系のラン5

2017年02月04日 | 山野草

ミズズランの和名は、発見地である信濃の枕詞「美篶(水篶)刈る」に由来するそうです。
環境省(2007)絶滅危惧IA類で稀少の上、極めて目立たず出会いは難しそうです。


湯ノ丸山系一帯では人気の高いランの一つハクサンチドリです。


テガタチドリはハクサンチドリより10日ほど遅れて咲き始め、遠目には同じに見えます。


ノビネチドリはハクサンチドリより1ヶ月ほど早く花を咲かせます。
このあたりの花は紅紫色がごく薄くほぼ白花です。


チドリ3種の葉での見分けは、ノビネチドリと他2種の葉は明確に区別できます。
テガタチドリの葉は画像のように、縦に2つに折れる個体が多いようです。
花のない時期、ハクサンチドリとの見分けの目安にしています。


登山道沿いに咲く株は間近で花が見られますので、3種の違いがよく分かります。
ハクサンチドリは、萼片や花弁の先が尖り、唇弁には濃紅紫色の斑紋があります。
3裂する唇弁の中裂片は先が鋭く尖り、側裂片は不規則に切れ込みます。
テガタチドリは、萼片や花弁の先は丸く、斑紋などの模様はありません。
3裂する唇弁の中裂片と側裂片は同じ長さです。
ノビネチドリは、白色気味の唇弁に2本の紅紫色の縞が入ります。
3裂する唇弁の中裂片は先が円頭形で、側裂片は中裂片より長く先がやや尖ります。


3種の距はそれぞれが特徴的で、見分けのポイントになります。


夏になると可愛い花を咲かせる、ミヤマモジズリです。


淡紅紫色で径が1cm以下の小さな花を、ゆるい螺旋状か片方に偏ってつけます。
唇弁は細く3裂して基部に紫斑を持ち、距は短く前方に湾曲し、特徴ある花です。


遠目の草姿や和名が似ているネジバナ(別名:モジズリ)、近づくと違いが分かります。
ミヤマモジズリの葉は長楕円形で2個、ネジバナの葉は細長く3個ほどつけます。
花は唇弁が見分けのポイント、前者は3裂し、後者はふちが細かな歯牙状になります。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする