信州自由人

のぐケーンのぶろぐ

近隣のスミレの見分け

2023年03月25日 | 山野草

スミレの季節が始まりました。
スミレの仲間は似た種類が多く、冬の間に名前や見分け方を忘れてしまいます。


近隣には30種類ほどがあります。


まとめた2つの画像は、これまでにほぼ確認できた種類です。


スミレは、地上に茎が出るか、出ないかで、大きく分けることができます。
地上に出る茎には、立ちあがる種類と、地表をはう(匍匐)種類があります。
花が咲く前の若い株はほとんど地上茎が見られませんので、要注意です。


花が咲くと見分け易いのは、色や大きさと、側弁の毛の有無です。
有茎無毛:タチツボスミレ、ニオイタチツボスミレ、オオタチツボスミレ、
キバナノコマノツメ。
有茎有毛:アオイスミレ(少毛で、稀に無毛)、ニオイスミレ、ツボスミレ、
イブキスミレ、エゾノタチツボスミレ、サンシキスミレ。
無茎無毛:ノジスミレ、コスミレ(稀に有毛)。
無茎有毛:エイザンスミレ、スワスミレ、アメリカスミレサイシン、
アケボノスミレ(稀に無毛)、シロスミレ、アリアケスミレ、スミレ、
ヒメスミレ、アカネスミレ、サクラスミレ、ゲンジスミレ、ヒカゲスミレ、
マルバスミレ(稀に無毛)、ヒナスミレ(少毛で、稀に無毛)。


花柱の先の形も見分けのポイントですが、小さくてルーペ頼りの種類もあります。
有茎種、先が直角に曲がる:イブキスミレ
有茎種、先がカギ形に曲がる:アオイスミレ、ニオイスミレ
有茎種、こん棒状で、先の曲がりは個体差がある:タチツボスミレの仲間
有茎種、こん棒状で先端がやや膨らみ突起毛がある:エゾノタチツボスミレ
有茎種、先が二又になりY字型:キバナノコマノツメ
先はカマキリの頭形:スミレなど無茎種の全て、有茎種ではツボスミレ



花の大きさ、距の形や色、萼や萼の付属体、花柄の毛の有無も決め手になります。
花の径は、ツボスミレ(ニョイスミレ)で1cmほど、サクラスミレで2.5cmほど。
距は細長い筒状など、色は地や斑が白、紫、赤紫色、後部上の割れ目の有無など。
萼は先端の形や毛の有無、付属体は切れ込みの有無や形など。
花柄の毛は、ヒカゲスミレやヒカゲスミレを親とするスワスミレは密生。


似たタチツボスミレとオオタチツボスミレ、花の出る位置で見分けられます。
タチツボスミレの花は根生と腋生、オオタチツボスミレの花は茎の腋生のみ。


托葉は有茎種の見分けのポイントです(有茎種は株元でかくれやや見にくい)。
托葉の縁は、イブキスミレが全縁、ニオイスミレは毛状の突起。
タチツボスミレの仲間は櫛の歯状で、種類によって少し違いあり。
無茎種では多くが葉柄の基部に延着し、アケボノスミレなど2種類は離れる。


葉も個性があるのですが、変異が多かったり季節によって大きさが違います。
葉の形や色、毛の有無、縁の鋸歯、葉柄の毛の有無や翼の有無も特徴的です。
スミレは種類が多い上に雑種もあり、手強いのですがコツコツとやっています。
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近隣のサクラの見分け

2023年03月18日 | 山野草

日本のサクラの種類で基本となる10(11)種類のうち、近隣には7種類があります。


あちこちで花の便りが聞こえますので、見分け方を整理して待ちます。


サクラの見分けでよく知られているのは、「花が先」か「花と葉と同時」かです。
「花が先」は、ソメイヨシノの母親でもあるエドヒガン、他の6種は同時です。


長い軸に花柄が間隔をあけてつく総状花序のサクラは、ミヤマザクラだけです。


サクラの花は、少し離れて見て、その美しさに和みをもらいます。
そして、近づいて花を下から覗いて見て、名前を教えてもらいます。


花柄、萼筒、萼片の特徴は見分けの大きなポイントになります。


花の終わった後は、葉が見分けのポイントになります。
山に咲くサクラは、ふつう“やまざくら”と呼ばれていますが・・・
近隣の山に多いサクラはカスミザクラで、本来のヤマザクラはありません。
両種はよく似ていますが、花柄や葉柄の毛の有無で見分けられます。


葉の縁のギザギザしている鋸歯(きょし)の形や毛も決め手になります。



蜜腺のつく位置は、花後の分かり易い見分けポイントです。
ミヤマザクラとタカネザクラの花後の見分けは、蜜腺と葉柄の毛です。


冬芽や若い枝も、いろいろな情報を教えてくれます。
今朝は雨ですが、信州もサクラの花時が間近、うきうきしてきます。
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早春キンポウゲ科3種

2023年03月11日 | 山野草

ぽかぽか陽気に誘われて、千曲市戸倉日影平を訪ねました。
キンポウゲ科のセツブンソウ(節分草)の群生地です。


花弁にみえる萼片は、ふつう5個ですが、5-8個で八重もあります。
セツブンソウの花見の楽しみの一つは、変り花探しです。


茎葉は、柄のない2個が花のすぐ下につきます。
花は、白色の萼片、黄色い花弁変りの蜜腺、青紫色の葯、赤紫色の雌しべです。


午後からは上田市武石余里をまわりました。
キンポウゲ科のフクジュソウ(福寿草)が、早春の斜面を彩りました。


蜜を持たないので、花弁を丸めて太陽の光を集め、暖を提供して昆虫を集めます。
花の中を歩きまわる昆虫、知ってか知らずか、花粉を媒介しています。


花弁の裏側に、身を潜めるかのような素振りのクモがいます。
暖まりに来る昆虫を待ち構えているのでしょうか。


昨日は、佐久市のヒノキ林を訪れました
キンポウゲ科のセリバオウレン(芹葉黄連)が花の盛りです。


朝までの雨で花には水玉が残っています。
この花は両性花で、中心が雌しべで白色のぼんぼりが雄しべです。


純白の雄花、中心に退化した雌しべが残り淡い紅色に見える雄花もあります。
外側には花弁状の萼片が5-6個、その中側のへら状が花弁で10個ほどあります。


陽があたり、雨露が乾き始めてくると、たくさんのハチの仲間がやってきました。
セリバオウレンの蜜のありかをハチさんに教わろうと粘ったのですが?でした。
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近隣タンポポの見分け

2023年03月04日 | 山野草

近隣に咲くタンポポは4種類、もう2種類ありそうで探しています。
タンポポといえば、今はほとんどがセイヨウタンポポ、名のとおり外来種です。


注意深く探すと、この辺りではけっこう出会える在来種のシナノタンポポです。


こちらも在来種で、まれに出会えるエゾタンポポです。
外見ではシナノタンポポとの見分けはほとんどつきません。


花が白色で、咲いていればすぐに分かるシロバナタンポポ、在来種です。


前出の画像4種と、探しているアカミタンポポとカントウタンポポの見分け方です。
外来種のアカミも在来種のカントウも近隣の市町村で発見されています。


セイヨウタンポポと日本のタンポポの見分け方で良く知られる総苞片の反りです。
萼(がく)のように見えるのは総苞(そうほう)、花全体を包んで守っています。


タンポポはたくさんの花がつき、外側は舌状花、中側は筒状花になっています。
舌状花の色は、ほとんどの種類が黄色ですが、白色や淡黄色もあります。


種子のように見えるのは果実、果実と種子は ‘皮一重’ で、中は種子です。
探しているアカミタンポポは、この果実の色が赤褐色になります。


シナノタンポポとエゾタンポポは花粉粒が均一か不揃いかで見分けます。
ちょっと厄介ですが、花粉を顕微鏡で観察します。


探しているもう一つはカントウタンポポ、黄色い花で総苞片は反り返りません。
シナノとの見分けは、総苞片の先の三角状の突起の有無です。
3月に入りタンポポの咲く時期、今年もタンポポ探しをしてみます。
最近のタンポポは雑種が多いとか、「たかがタンポポ、されどタンポポ」です。
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