湯の丸山系はいたるところノアザミの花盛り、虫たちはお目当ての花をめざします。
キアゲハが吸蜜を待ちきれない様子で、飛びながら口吻を伸ばし始めています。
アザミは大きな花に見えますが、いくつもの小さい花の集まりです。
蕾から管状の雄しべが伸び、その中には葯と雌しべの花柱が包まれています。
筒状になった葯を葯筒、このような構造の雄しべを集約雄ずいというそうです。
雄しべが伸びてくると開花の始まりで、外側から中心に向かって咲きます。
やがて、雄しべの先端から雌しべが顔をのぞかせ、伸長します。
アザミには、雄しべが花粉を出す雄性期と雌しべが受粉する雌性期があります。
濃い紫色の雄しべからはいつでも花粉が出ているわけではありません。
刺激を受けることによって花粉を出すようです。
ヒラタアブがやってきて花の上を動きまわると、白い花粉か噴き出しました。
虫の動く刺激が伝わると、雄しべの下部にある5本の花糸が縮み、葯筒が下がります。
葯筒の中の花柱にある毛(集粉毛)が花粉を葯筒の上部から外へ押し出します。
風雨などから大事な花粉を守り、無駄なく昆虫に花粉を広めてもらっているようです。
この見事な仕組み、「スプリング式花粉噴出装置」付きの花というところでしょうか。
アザミには大変に失礼なのですが、ちょっと遊ばせてもらいました。
花粉の出ていない花を探し、雄しべの先端を優しく指で撫でてみました。
するとまたたく間に、真っ白な花粉が飛び出し、「噴出装置」の性能の良さに感激です。
雌しべの花柱が伸びながら、雄しべの中の残った花粉を全て外に押し出します。
花柱には花粉がついていますが、柱頭が開いていませんので受粉はしません。
花粉がなくなると雌しべは受粉体勢が整い、雌性期に入ります。
雌性期に入った花にハナバチが花粉をいっぱいつけてやってきました。
雌しべ先端の二つに割れた柱頭には、虫が運んできた他の花の花粉が着いています。
以上のように、花粉を出す時期と受ける時期を分け自花受粉を防いでいます。
何とも素晴らしい工夫、二つ目のお見事です。