信州自由人

のぐケーンのぶろぐ

十島村への旅1 出発

2018年03月31日 | 旅行

「刻(とき)を忘れさせる島 吐噶喇(トカラ)」の旅がようやく実現しました。
十島村へは「フェリーとしま」が週2便、奄美の名瀬港往復で運航されています。
今回は有人島7島のうち、2回の往復便を利用して、中之島と宝島を巡りました。
往復便で行ったり来たりを繰り返すと、4往復便で全島を巡ることもできます。
もし、島に渡った後に悪天候に見舞われた場合は、じっくりと刻を忘れましょう。


フェリーは鹿児島本港の南埠頭から、夜中の11時に出航します。
9時から乗船ができると聞きましたので、8時30分ごろに乗り場に到着しました。
>右の建物が、としま旅客待合所で、光って見えるのが「フェリーとしま」です。


乗船券は出航が決まってから販売するとのことで、空港で出航の確認をしました。
鹿児島港から中之島までの料金は、二等客室で、一人6,180円です。


今日はそれほど混んでいませんが、混雑時は通路にも寝具が敷かれるようです。


レストランには売店と、10種類ほどのメニューがあり食事ができます。
ですが、営業時間や、船酔いなどの事情で食事がとれない場合もあります。
島内には食堂はありませんし、店屋さんも夕方のみの営業だったりします。
そこで用心のため、カップ麺や保温ポット、腹持ちの良いおやつを持参しました。


届け先と花屋さんの名の書かれた花束が、洗面所の脇にありました。
離島でのこの時期の花束、すぐにピンときました(後に紹介)。


ほぼ定刻に十島村の玄関口、北緯30度の口之島に到着しました。


島の生活物資は、すべて「フェリーとしま」によって運ばれてきます。
下したばかりのコンテナの脇に車をつけ、さっそく荷物を積み込んでいます。
生協、取引店、あるいはネットなどから、お米や嗜好品、衣料品などが届きます。


口之島を出て間もなくすると、高い山が見えてきました。
トカラ列島の中で一番高い山、標高979mの活火山、御岳(おたけ)です。


天候に恵まれて軽快な7時間半の船旅、中之島港に着岸しました。
降りる皆さんは、島民の方、仕事の方がほとんどで、観光客は稀です。
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早春のフクジュソウ

2018年03月23日 | 山野草

まだ寒い3月の里山、フクジュソウの花に出会うとホッとして温かくなります。


開いた花の中に、虫が入り込んでいます。
フクジュソウは虫によって受粉をしてもらう、虫媒花です。
ですが、虫を引き寄せるための蜜は見当たりません。
フクジュソウの虫を呼ぶ知恵は、寒い時期の温かさの提供だそうです。
花の色、パラボナアンテナのような形、陽を追う構造で温みを集めるのだとか。


花が集めた温みが身体にしみわたり、心地よさそうで、じっとして動きません。
この位置が、花の中では一番温かい場所なのでしょう。
アップで見ると、花粉の出る雄しべの先の葯の部分に手足がかかっています。
こんなふうにして暖を取るうちに、花粉が体についてしまうのでしょうか。


少し身体の大きな昆虫が花の中心に止まっていますが、ニホンミツバチでしょう。


黄金色の花弁が白く光って写るのは、花弁が陽の光をいっぱい受けている証です。
このハチ、暖をとっているようには見えませんので、花粉集めでしょうか。
いずれにせよ、フクジュソウにとっては、作戦どおり受粉を成し遂げられます。


里山は、一昨日から昨日の朝にかけて早春の雪に見舞われました。


昨日は一日曇天で、フクジュソウは花を閉じ、雄しべや雌しべを守っています。
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野ばら5種の見比べ

2018年03月17日 | 山野草

紅紫色の花を咲かせるノバラの仲間の5種を、画像で見比べてみます。
生育地や株によっては、特徴が紛らわしいものもあります。
カラフトイバラとオオタカネバラは似ており、複数の特徴から見分けています。


茎の刺は特徴的で、夏季でも冬季でも見分けのポイントになりそうです。
カラフトイバラとオオタカネバラは、茎の刺の様子がかなり異なっていました。
タカネバラの刺は密生する部分もありますが、画像も観察も不十分でした。
ハマナスは鋭い長短2種類の刺と毛が密生、サンショウバラは強い刺が疎生。


葉はいずれの種も、葉軸の先端と左右に小葉をつける奇数羽状複葉です。
小葉の数は、オオタカネバラが2~3対、サンショウバラが4~8対です。
他3種は3~4対ですが、ハマナスは、葉脈のへこみのシワが特徴的です。
タカネバラは、葉先が丸く縁の鋸歯が鋭いなど、葉での見分けが容易です。


カラフトイバラとオオタカネバラは葉の形が似ておりますので、近くで見ます。
前者は、葉軸に刺と軟毛を有し、葉裏全面に軟毛を密生させます。
後者は、葉軸に腺様の突起物を有し、葉裏は未確認ですが脈に毛があるそうです。


托葉もカラフトイバラとオオタカネバラでは異なっていました。
前者は、葉柄を巻くような筒状になり、縁には黒色じみた腺をつけていました。
後者は、葉柄に対して水平気味に広がり、腺には短い柄がついていました。


萼(ガク)とその下の花柄は、見分け易い特徴のひとつです。
カラフトイバラ:萼筒は球形で萼裂片は長く、花柄はやや短めで表面は滑々。
オオタカネバラ:萼筒は紡錘形で萼裂片は長く、花柄は長く腺毛を有す。
タカネバラ:萼筒は紡錘形で萼裂片は長く、花柄はやや長く腺毛の有無は未確認。
ハマナス:萼筒は球形で萼裂片は長く、花柄は短く軟毛と短い刺を有す。
サンショウバラ:萼筒は球形で萼裂片は短く、萼と花柄に鋭く長い刺を有す。


枝の先に花をつけますが、その数はおおむね種によって異なっていました。
タカネバラとサンショウバラが1個で、他の種は複数でした。


果実(偽果)も特徴的で、サンショウバラは刺を残して黄色く熟します。
カラフトイバラはほぼ球形で赤色に熟し、枝先に1~2個の果実をつけます。
オオタカネバラとタカネバラは紡錘形で、タカネバラの果柄側は太めです。
ハマナスは扁球形で赤色に熟し、果径が2~3cmの大きな果実です。



富士山に咲くタカネバラ、小葉の先が丸く、縁には鋭い鋸歯が見えます。
日本一の富士の山に、紅紫色の大きな野ばらの花が印象深く残っています。
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野ばらサンショウバラ

2018年03月10日 | 山野草

紅紫色の花を咲かせるノバラの仲間の第5回は「サンショウバラ」です。
和名のとおり、葉がサンショウ(山椒)の葉によく似ています。
生育地は限られ、富士箱根地域の山地のみに自生するそうです。


バラ属の中では最大とか、軽井沢町植物園の株は高さ数m、幹径10cm以上でした。
樹皮は淡褐色ではがれ、古い幹に刺は見えません。


若い枝には刺が疎らにあり、扁平な強い刺で、猛禽類の爪を想像させます。


葉は4~9対の小葉からなり、小葉は長楕円形で、先端はやや尖ります。
縁には細かく鋭い鋸歯があり、両面に短い軟毛が生えます。
裏面の脈上と葉軸に軟毛が密生し、葉軸には刺や稀に腺毛も見られます。


萼は刺を密生し、萼筒は扁球形、萼裂片は蕾より短い大きな裂片です。
花柄は太くて短く、鋭い刺を生やし、托葉は幅が狭く目立ちません。


花は枝先に1個をつけ、径5~6cmの淡紅色の5弁化を咲かせます。
美しい大輪の花は、開いたその日のうちに花弁を散らすのだそうです。


果実(偽果)は径2cmほどの扁球形、針状の刺をびっしりと残しています。
熟すと黄色くなり、樹の周囲にたくさんの果実を落としていました。
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野ばらタカネバラ

2018年03月03日 | 山野草

紅紫色の花を咲かせるノバラの仲間の第4回は「タカネバラ」です。
カラフトイバラやオオタカネバラとは、葉の形や、枝先の花数などが異なります。


標高2000mほどの八方池の周辺に「タカネバラ」の案内板がありました。
本州中部以北の高山帯の石礫地に生え、ミヤマハマナスとも呼ばれるそうです。


高山植物としては珍しい、濃いピンク色で4cmほどの大きな「高嶺のバラ」です。
開花期は6~7月で、訪れた7月17日に残っている花はわずかでした。


葉が茂り樹姿や茎の状況が分かりませんので、秋の画像を載せました。
樹高は50cmほどで、株元からたくさんの茎を出しています。
刺を残す幹もありましたが、ほとんどの茎には刺が見られませんでした。


葉は特徴的で、似た仲間との見分けのポイントになります。
小葉は楕円形で3~4対、葉先が丸く、鋸歯は刺状に鋭く尖っています。
頂小葉と下位の葉の大きさは、オオタカネバラのような大きな違いはありません。


若い株では、小葉が5対の葉も見られました。
生育場所が歩道から離れており、葉裏や葉軸などの確認はできませんでした。


托葉の状況、萼筒や花柄の腺毛や毛の有無についても確認ができませんでした。
枝先の花の数は1個で、複数のものは見当たりませんでした。


9月下旬、タカネバラが葉を暗赤色に染め、高嶺の秋が始まっています。


高山の石ごろの地での生活は厳しそうですが、りっぱな実をつけています。


歩道から株が遠いので、登山用ポールの先にメジャーをセットして近づけました。
果柄と、果実(偽果)の長さがなんとか計測でき、ともに1.5cmほどでした。
果実の形は楕円形です(紡錘形と言った方が良いでしょうか)。
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