信州自由人

のぐケーンのぶろぐ

残雪回廊から春の渓谷

2014年04月27日 | 自然
雪で閉ざされていた志賀・草津高原ルートが開通です。
昨日、4年ぶりに行ってきました。





信州中野ICで上信越自動車道を下り、志賀草津高原ルートに入りました。
里では散り始めた桜も、地獄谷野猿公苑の入り口辺りでは開き始めでした。
一気に標高2,172mの横手山ドライブインまで登ってきました。
北アルプスはかすんで眺めませんでしたが、登ってきた雪の回廊が一望です。
アルプスが見えないので、尖った山の笠ヶ岳(2076m)が存在感を示しています。




今日の目的の一つは、ここからリフトに乗り横手山(2,305m)に登ることでした。
そして、山頂ヒュッテの日本一高いパン屋さんで昼食をと計画しておりました。
高いというのはパンの値段ではありません。標高が高いということです。
ところが、4年前に来たときは動いていた移動コースが雪で埋もれています。
画像の赤線がスカイレーターというエスカレーターのような乗り物のコースです。
(帰ってから分かったのですが、渋峠からも横手山に登れる乗り物があるようです)




今日のメイン、山田峠から草津に下り始めた地点の「雪の回廊」です。
今年は雪が多く、最大積雪はいまだに8mほどあるそうです。
回廊を少し下った道路脇に20台ほどの駐車スペースがあり、そこから歩きました。




横手山に登れなかった分、時間が空いたので、吾妻渓谷に足を伸ばしました。
淡い芽吹きの渓谷は、ミツバツツジの花が春の訪れを祝っています。




吾妻渓谷のダム工事も本工事に入るのか、谷底には建設物が建てられておりました。
川原湯側の遊歩道は通行止めになっており、残念ながら滝見橋は渡れません。




せっかくきたので、吾妻渓谷に自生するミツバツツジの種類を見ようと思いました。
ところが、ミツバツツジは岩場に咲いており、とても近づくことはできません。
そこで、沿道の植え込みに植えられたミツバツツジを見てみました。
咲き始めの株の中から、早く咲き始めた株の写真を撮りました。
名前の由来になる三つ葉は開いていませんでしたが、若葉には毛が密生しています。




花の中をのぞき込み、雄しべの数を数えてみると10本でした。
また、雌しべの花柱の下部には細かい腺毛らしき白いものが見えます。
ミツバツツジとトウゴクミツバツツジは自生地が重複していることが多いようです。
ミツバツツジは、雄しべ5本、花柱は無毛、葉は両面とも無毛、開花期が半月ほど早い。
トウゴクキツバツツジは、雄しべ10本、花柱に腺毛あり、若葉には毛が密に生える。
これらのことから、沿道に植えられ株はトウゴクミツバツツジと思われます。
自生株はいずれの種類か、または両方か、次に訪れてそれが分かるか楽しみです。




JR吾妻線川原湯温泉駅付近の線路沿いに「タラノキ」が芽が吹きました。
いよいよ山菜の季節です。


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道草歩き【布引観音】

2014年04月20日 | 自然
乾燥気味のこの頃、金曜日にようやく雨の恵みをいただきました。
そして、土曜日はすばらしい青空、布引観音近辺の里山歩きです。





この略図は、お気に入りのハイキングコースです。
小諸市にある布引観音の近くの温泉をベースにぐるっと一周5kmほどの道のりです。
温泉から桜を見ながら千曲川べりまで下り、川の流れに沿って歩きます。
図の中の赤い数字は画像を写した場所です。


布引観音の登り口をいったん越し、『布引温泉』の裏手に着きました。
牛に引かれて善光寺参りの老婆の伝説でお馴染みの布が岩肌に白く残されています。
石に化した白い布の下には、今が盛りの白いコブシの花が春の訪れを知らせています。
布引温泉や同じ方向の御牧の湯をベースにするコースもおすすめです。




布引観音への参道はかなり厳しい山道です。
奇岩や山野草などを楽しみ、道草を食いながらゆっくり登ります
今は、ヤマエンゴサク、アズマイチゲ、アブラチャンなどが咲いておりました。
画像は仁王門から見上げた崖にそびえ立つ布引観音堂です。
ケヤキの大木の上部が伐られており、すっかり見通せるようになりました。
観音堂の上にはオウバイが岩肌を真っ黄色に染めています。




社務所前の広場からの眺めは絶景です。
ケヤキの上部がなくなり、シダレザクラ越しに浅間山もはっきりと姿を見せています。
ここからは車道沿いの春の花を楽しみながらのコースです。
車道も歩けばいろいろな自然に巡り会えます。
車の通りは希なので、のんびりと春に浸ることができます




観音堂の裏山は北斜面で、辺り一帯にカタクリが自生しています。
種がこぼれて増え、車道脇の株も花を開いています。
カタクリは、葉と花の色や花弁の曲線が優しく、ついつい見入ってしまいます。



キブシ科の「キブシ」の花で、今が盛り、この道にもたくさん見られます。
子供の頃、キブシの幹で木刀を造り、チャンバラごっこに明け暮れました。
地際から適当の太さのまっすぐな幹が出ているので、銘刀が造りやすかったものです。




キンポウゲ科の「アズマイチゲ」です。
花弁に見える12枚程のガク片、繊細な多くの雄しべ、そして雌しべの先は全て純白です。
車道の土手は、まるで白無垢の春の妖精が舞い降りているように見えます。




クスノキ科クロモジ属の「ダンコウバイ」です。
上の方はアブラチャンだったのですが、この辺りまで下るとダンコウバイが多くなります。
両方の黄色い花も今週が見納めのようで、花を散らせ始めました。




久しぶりに気に止まった樹、名前を忘れていました。
花に気に止めてまじまじ見たのは始めてかもしれません。
弱々しそうに2つが寄り添い、透きとおったような白い花をまばらに咲かせています。




布引観音堂一帯にある可憐な花を咲かせるサクラです。
調べてみると「チョウジザクラ」のようです。
目立つことなく、やわらかな早春の日差しが似合う花です。

春の花に魅せられ、道草を食いながらコース1周、最後は湯に浸って春を満喫しました。




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春いっぱい

2014年04月13日 | 自然
春本番、草も樹も動物も、そして人も活気にあふれています。




白い小さな花が畑を覆っています。
ジャーマンアイリスを栽培する方から退治に困っていると連絡をいただきました。
農家にとって、春の訪れは希望の季節ですが、雑草との闘いの始まりです。
見たことのない雑草で、とりあえずデジカメのマクロモードで撮影し調べてみました。




草姿や円筒形のさく果からナデシコ科のミミナグサの仲間に見当をつけました。
ヨーロッパ原産の外来種オランダミミナグサは脅威の雑草です。
この外来種は、茎や葉に毛を密生しますが、画像のように本種の毛は希です。




また、ミミナグサもオランダミミナグサも花弁の先端は2列です。
本種は花弁の先端はギザギザと多くの切れ込みがあります。
ガクも上記2種に比べるとかなり短めです。
正体はつかめませんでしたが、外来種の可能性もあります。




日本一のアンズの里『森地区』は一目百万本の杏の花色に染まっています。
昨年は晩霜に見舞われ大被害を被りましたが、今年は大豊作であることを祈ります。




アンズはサクラやウメと同じバラ科の植物です。
花はほとんど無柄で5弁、雄しべは多数で雌しべは1本です。
花が終わると実がふくらみ始め、2ヶ月も過ぎる頃には色づきが始まります。




今年は雪が多く近くの山にも雪が残っていますが、雪遊び道具はしまいます。
これからは、トレッキングポールとノルディックウォーキングポールの出番です。
トレッキング用ポールの先は丸いゴムですが、ノルディック用は斜めカットです。
これで地面への接地面が増し、食いつきが良くなります。




グリップのストラップも違います。
ノルディックウオーキング用は親指と他の指がそれぞれ別々に固定されます。
これによってポールを後方に押し出すことが容易になるのです。
そして醍醐味であるダイナミックな推進力を得ることができます。




今日は信州上田ノルディックウオーキング協会の定例会です。
お寺巡りのコースで、八分咲きの桜の中を巡り楽しいウオーキングでした。




ウオーキング終了後に、上田城千本桜まつりに駆けつけました。
絶好の天気と桜の開花に恵まれ、沢山の人が花に酔いしれておりました。
真田十勇士の甲冑を身にまとい上田市ボランティアのシャッターマンの「はいポーズ」。




花に酔って酒によってリフレッシュ、明日からまた仕事に精出すでしょう老若男女。

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春の妖精で華やぐ森

2014年04月06日 | 山野草
4月最初の日曜日、白い粉がうっすらと舞い降りる寒い朝となりました。
とはいえ、各地から花の便りが入り、ウキウキと落ち着かない春の始まりです。
千曲市戸倉は温泉で名を馳せていますが、山野草の豊かな里でもあります。
3月から春の妖精が花を開き、生のみなぎる活力と安らぎを与えてくれます。





国道18号線から、千曲川に架かる大正橋を渡ると正面に佐良志奈神社があります。
神社は八王子山の北面の裾で、今はカタクリ祭りの最中です。
温泉街に面した人里近くで妖精達の居心地を守るのは「緑のサポート隊」の皆さんです。
画像は今が盛りの、ピンク色のカタクリと淡紫青色のヤマエンゴサクの花です。
近隣の山にはエゾエンゴサクも自生しますが両者は苞葉で区別できます(後の図参照)。




八王子山のカタクリを後に、国道を挟んで向かいの山に車で10分ほど移動します。
戸倉宿キティパークの駐車場に車を止めて、20分ほど歩くとセツブンソウの自生地です。
「戸倉セツブンソウを育てる会」の方が二人おられ、いろいろと聞かせていただきました。




今年は開花が遅れたとのことで、3月下旬を盛期に、今も花が残っていました。
雪の下で開花の準備を行い、春早くに花を開いて種を稔らせ、晩春には土中に潜みます。
地上に顔を見せるのはせいぜい3ヶ月程度、可憐さとはかなさが魅力の山野草です。
つかの間の地上生活を営む春の植物を、スプリング・エフェメラル(春植物)といいます。
人の心躍らす春の花達が「春植物」では味気ないので、「春の妖精」とも呼ばれています。




セツブンソウは、切れ込みの深い苞葉の上に2cmほどの小さい白い花を1輪咲かせます。
下に絵で描いたように、白い花びらに見える部分はガク片で通常は5個あります。
本来の花びらは退化し、先端が二またに分かれた黄色い蜜腺になっています。
蜜線に囲まれて雄しべが多数あり、濃い紫色の鮮やかな葯をつけています。
花の中心には紅紫色の雌しべが2~5個あり、可憐な花も拡大すると鮮やかな色彩です。




左図のようにセツブンソウは虫媒花としての機能を十分に備えた花です。
この妖精の子孫を増やす戦略は巧妙で、風媒花の機能も兼ね備えているそうです。
右図は、先ほどのヤマエンゴサクとエゾエンゴサクの苞葉の違いです。




いたる所に土のようなものが入ったビニール袋が下げられておりました。
これは木酢液で、イノシシなどの獣から妖精達を守っているのだそうです。




林道沿いには「自在神社」と空に突き出す赤松の神木「天狗の松」があります。
その辺りまで下るとカタクリとアズマイチゲが紅と白の花を咲き競っています。
芽吹き前の林の中に、黄色い花をつけた低木が目に入りました。
近づいてみると、クスノキ科クロモジ属の落葉低木「アブラチャン」です。
この時期、黄色い花を咲かせる、似た樹には「ダンコウバイ」があります。
見分けは容易で、アブラチャンには画像右下のように花柄が目立ちます。
中下の花は雄花で、ガクは深く6裂し雄しべが外側に6本、内側に3本あります。




自宅に戻った後に、近くの林にダンコウバイを見に行ってきました。
ダンコウバイもクスノキ科クロモジ属の落葉小木です。
アブラチャンと同じく、葉が出る前に開花し早春の山の中では目立つ存在です。
画像右下図のように花柄は見えず、アブラチャンとの見分けのポイントです。
雌雄異株で、画像左下が雌花で雌しべが1本、中下が雄花で雄しべが9本あります。




近所の庭で黄色い花を咲かせるミズキ科の「サンシュユ」も今が花盛りです。
大陸から薬用として江戸時代に持ち込まれたとされ、現在は花木として栽培されています。
遠目には上記2種と似ていますが、花弁4個、雄しべ4本、雌しべ1本です。
以前から気になっていたのは、宮崎県椎原村の民謡『ひえつき節』に出てくる木です。
歌詞の「庭のさんしゅの木 鳴る鈴かけてよー・・」のさんしゅの木とはなにか、でした。
調べてみると、この民謡は壇ノ浦合戦後の平家の落ち武者の悲恋の歌ということでした。
ということは、サンシュユは当時まだ日本にはないので、サンショウが正解でしょうか。



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