東御市でミヤマシロチョウの保全についてのシンポジュウムが開催されました。
昆虫写真家の海野和男先生の特別公演があり、貴重な写真と話に釘付けでした。
「東信」とは、4つに地域分けされる長野県(信州)の東部地域を指します。
このチョウがミヤマシロチョウ、好物のノアザミの蜜を吸っています(吸蜜)。
翅は白色で外縁と翅脈が黒く、後翅の裏面の基部にある黄色班が特徴的です。
山野に咲くノアザミなどの蜜源植物は、成虫にとって重要な餌資源です。
幼虫の餌となる食樹は、メギ科のヒロハヘビノボラズとメギです。
いづれの樹種とも、日当たりの良い場所を好む落葉低木です。
食樹の葉に卵が産み付けられ、孵化した幼虫は葉を食べて(摂食)育ちます。
巣作りにも励み、越冬巣内で冬を越し、葉が出る頃に再び摂食を始めます。
6月には蛹となり、2週間程度の蛹期を経て羽化した成虫が舞い立ちます。
日本での分布域ですが、浅間山系を除いては観察が難しくなっているようです。
保全に係る各地の皆様から、活動状況と生息状況などの現況報告がありました。
大変なご苦労をされておられるようですが、なかなか厳しい状況のようです。
パネルディスカッションでは、今後の保全対策について討議されました。
シンポジュウムの様子が翌日の信濃毎日新聞に掲載されておりました。
今も空を飛ぶチョウの姿が観察される浅間山系もいくつかの心配があります。
一つは、麓から山頂に向かってカラマツなどの森林化が進んでいることです。
木が地表を覆うと、お花畑はなくなり、低木のメギなどは隠れてしまいます。
そして最近、浅間山系にもシカの姿を見かけるようになったことです。
シカも栄養価が高く蜜を含む甘い花が大好物、今年は食べ跡が目立ちました。
幸いにも、ミヤマシロチョウが好むとされる花はたくさん咲きました。