信州自由人

のぐケーンのぶろぐ

羽衣荘ゆかりの松柏類

2018年05月26日 | 文化財

水彩画家丸山晩霞(ばんか:1867~1942)の自宅兼アトリエの「羽衣荘」です。
晩霞は植物に関する知見が高く、各国から植物を集めて育てていたようです。


羽衣荘の名の由来の樹なのか、「ハゴロモガシワ」と言われる樹は健在です。
「昭和七年三月指定 天然記念物羽衣檞長野県」と石碑には刻まれています。


深い切れ込みの細長い葉が垂れ気味につき、天女の羽衣を思わせます。
古くから伝わる園芸品種とのことですが、情報が少なく、よくわかりません。


保存会の役員さんに、ハゴロモガシワの落ち葉を2枚いただきました。
葉は長さが25cmほど、切れ込みは十数裂で先端は細く尖ります。


羽衣荘から数百m上ると、城山を望む位置に東御市祢津の西宮公民館があります。
その公民館の脇に、以前から大変に気になっていた針葉樹があります。


葉はアカマツのように、針状で2本ずつ束生しています。
幹はプラタナスに似た鹿の子まだら模様で美しく、不思議な感じのする樹です。


地元の方もほとんどが、「何気なく見ていた」とおっしゃいます。
先月ようやく、「晩歌が朝鮮半島から持ち帰った樹だ」と教えていただきました。



クレソンとも呼ばれるオランダガラシ、この辺りでは今が花の盛りです。
別名をバンカゼリともいい、これも挽歌ゆかりの植物と伝えられています。

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一輪、二輪、三輪草

2018年05月19日 | 山野草

花茎の先に一輪の花を咲かせるイチリンソウ、花弁に見えるのは萼片です。


民家の土手はイチリンソウの花盛り、山里の豊かな春の風景です。


春の陽が射し込む落葉樹林内はニリンソウの世界です。


ニリンソウはお馴染みの花。♪♪呼んで呼ばれて寄り添って♪♪二人は二輪草♪♪


上の2種より標高の高い場所に生育するサンリンソウ、清流が大好きです。


名はサンリンソウですが、1輪咲きも2輪咲きもあります。


これら3種のキンポウゲ科イチリンソウ属、遠目には非常によく似ています。
見分けその1は、種名のとおり1つの花茎につける花の数です。
イチリンソウは主に1個、ニリンソウとサンリンソウは1~3(4)個です。


見分けその2は、花茎につく葉の柄の有無で、分かりやすい違いです。
ニリンソウは柄がなく襟巻きのように花茎につき、葉状の小片と白斑があります。
イチリンソウとサンリンソウには、明らかな葉柄があります。


見分けその3は、根生葉で、地中の根から出ているように見える葉です。
イチリンソウは少なく、しかも花茎から離れた位置に出し、無いように見えます。
ニリンソウとサンリンソウは、花茎脇からたくさん出し、根生葉が目立ちます。


見分けその4は、花の大きさで、イチリンソウは約4cm、他2種は約2cmです。
萼片の数は5個ですが、イチリンソウとニリンソウでは6個も普通に見られます。


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石楠花まつりは花盛り

2018年05月11日 | 山野草

群馬県嬬恋村にある浅間高原シャクナゲ園のお祭りが今日から始まりました。
画像は昨日のもので、ここ数日の低温で浅間山は雪化粧をしています。


昨日は、祭り期間中(5月11日~6月3日)のボランティアガイド研修です。


今年は花の開花が例年より1~2週間早く、すでに満開です。
また、どの株も花付きが非常に良く、圧倒されるほどの花数です。


登り口に、園内の案内板と、浅間山が噴火した際の避難用シェルターがあります。
右上にわずかに見える建物は、園の中腹にある展望台です。


園内はいつでも入場可能で昨日もちらほら、おいでになった皆さんはご満悦です。


手前から、シャクナゲの濃淡紅色、カラマツ芽吹きの緑色、山に降った雪の白色。


10ヘクタールほどの園内に植え込まれた株数は、15万株とも言われています。
それらの株は、花の咲く時期や色が異なり、景観に絶妙な文様を作り上げます。


蕾から開きかける花、最も紅色が濃い時期で、蒼い山麓にまぶしく輝きます。


標高は、園の入口が約1520m、最上部が約1650mと、100m以上の差があります。
開花は下から上に向かって進みますが、今年はすでに上部も咲き始めています。
祭り後半は花は散りそう、その際の見どころなどはガイドにおまかせください。


画像は、園内植栽株と自生株の4種類の葉、葉での見分けもお楽しみください。
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春の旧碓氷峠遊覧歩道

2018年05月05日 | 山野草

旧軽井沢から入る旧碓氷峠遊覧歩道は、山野草いっぱいのコースです。
人通りもまばらな朝の商店街を通り抜けると、ショー記念礼拝堂です。
二手橋の脇には、公衆トイレと旧碓氷峠行き定期バスのバス停があります。
バスは通称「赤バス」、道脇には2種類のネコノメソウが咲き競っています。


二手橋から300mほど歩くと遊覧歩道入口、立派な案内標識がたっています。
入口からわずかの間は別荘への車が通りますが、つり橋からは山道に入ります。


つり橋までの間に見た、道脇の足元に咲く小さな春の花々です。


赤バスの走る道の土手に群生するニッコウネコノメソウは見事です。
遊覧歩道の中ほどの道脇にも2種類のネコノメソウが花の盛りです。


次々と新たな山野草が目に留まり、なかなか前へ進めません。


歩道橋まで来るとコースの2/3ほど、ここからも歩きやすい緩斜面です。
2時間ほどで到着、歩道を出て右に曲がると見晴台、左に曲がると峠です。
見晴台は標高1200mほどの展望公園、峠の駐車場からは厳かな門をくぐります。


見晴台に行くと、なんと!天女が舞い降りてきてカメラを置き、踊り始めました。
ここは、長野県と群馬県の県境で並ぶ石柱は境界線、眺望抜群の見晴台です。


近隣の木陰に咲く花、まるで宝石をちりばめたように輝いています。
オオコガネネコノメソウは鮮やかな黄色で今が見頃、歩道全般で見られます。
長野県植物目録(2017)では、コガネネコノメソウと同じ種で、別名とあります。


ネコノメソウは種類が多く、2,3種類が同居していることもあります。
見分けは、葉の付き方、茎の毛の有無、花の付き方、萼や雄しべの色と形状です。
また、匍匐枝、根生葉、茎葉、むかご、蒴果も種によってはポイントになります。
これらの特性を観察して頭の中で整理するのは、なかなかどうして大変です。


見晴台から数分、旧碓氷峠の頂上に鎮座する熊野神社を詣でました。
日本武尊(やまとたけるのみこと)と八咫烏(やたがらす)の話があります。
峠の濃霧の道を案内した八咫烏を祀った神社をネコノメソウが飾っています。


昼もだいぶ過ぎペコペコ腹、峠の茶屋では運よく県境の席が空いていました。
まずは峠湧水のコーヒーをいただき、竹を割った器に盛られた力餅を堪能します。
芽吹きの森から聞こえる野鳥のさえずり、寿命が延びる峠の春です。

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