信州自由人

のぐケーンのぶろぐ

師走に咲くスミレ(3

2018年12月15日 | 趣味の園芸

近所の庭に、ニオイスミレと同居している不明なスミレです。
月初めの葉は緑色がかっていたのですが、14日には茶色になっていました。


このスミレも家の方から株をいただき、ニオイスミレと一緒に写真を撮りました。
地上茎は見られず、地下には匍匐枝はなく、根茎は太くワサビ根のようです。


根茎を拡大してみると、葉が出た痕跡はありますが、古い葉柄は残っていません。
上向きに出た幼芽らしき塊がたくさん見られます。


地際部もニオイスミレとはかなり異なります。


葉や葉柄には毛は見られません。


夏以降に葉を大きくするスミレは多いのですが、特に大きく10cmほどあります。
虫食われの葉ですが葉先は尖り気味、ニオイスミレの葉先は円頭です。
葉縁の鋸歯は両者ともありますが、鋸歯の先の形は画像のように異なります。


花柄(果柄)の毛は全く見られません。
生育盛期の株は見ていませが、アメリカスミレサイシンに見当をつけました。


アメリカスミレサイシン(学名:ビオラ・ソロリア)の特徴です。


また、アメリカスミレサイシンについては、次のような記述がありました。
アメリカスミレサイシンンはニオイスミレと長い間混同されていた。(日本では)
かっては、紫花種をパピリオナケア、白色に紫色混合種をプリケアナと呼んだ。
近年は、両者ともアメリカスミレサイシンに含まれるとされている。
また、白花のスノープリンセスや、紫斑点があるフレックスなどの品種がある。


昨日(14日)の庭の様子、ニオイスミレがたくさんの花を咲かせていました。

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師走に咲くスミレ(2

2018年12月08日 | 趣味の園芸

ニオイスミレの花を正面から撮りました。
スミレの花は左右対称、花弁は上弁2個、側弁2個、唇弁(下弁)1個の計5個です。
側弁の基部には白毛がありますが、毛の有無などは種類の見分けポイントです。
花弁の中央には雌しべと雄しべがあり、橙色に見えるのは雄しべの付属体です。
雌しべの真下に穴がありますが、この穴は距(きょ)に通じています。


花の基部には5個の萼片があり、後部の付属体が特徴的な形の種類もあります。
花の後方に突き出た部分は、唇弁と一体の距(きょ)で、蜜が隠されています。
昆虫はこの蜜を目指し、距の入口から入り込みます。
距の入口の大きさと距の奥行で、蜜をごちそうになれる昆虫は限定されます。
スミレの花に集まる昆虫を絞り込み、受粉交換を効率よく行っているのだとか。


上弁と側弁を取り除くと、白色の雄しべ全体が良く見えます。
雄しべには花糸がなく、5個の葯が雌しべの周りを取り囲んでいます。


距(きょ)を半分に切断すると、距の中の様子が分かります。
雄しべから脚(きゃく)と呼ばれる、2個の蜜を分泌する器官が出ています。
脚(きゃく)は距(きょ)の中を塞ぐほどの大きさです。
昆虫が脚に触れると、その刺激で葯から花粉が出て虫の躰につくのだそうです。
持ちつ持たれつの巧妙な仕組み、見るたびに感心させられます。


雄しべを2個取り除くと、雄しべに囲まれていた雌しべの全体が見えました。
雄しべの内側には葯が見えますが、花粉は出ていないようです。


子房を切断すると、中にはたくさんの胚珠が入っていました。


柱頭が受粉した花粉は花柱を通って子房内に運ばれ、ここで受精が行われます。
受精が完了すると、子房は果実に、胚珠は種子になります。
庭で果実を探したのですが、ニオイスミレは果実をつけていませんでした。


そこで、近くの車道の縁石沿いに密生するスミレの果実を見つけました。
スミレ属を全て「スミレ」とも呼びますが、画像はスミレという名のスミレです。


果実の果皮を切断してみると、中には茶褐色の種子がたくさん入っています。
スミレの果実は蒴果(さくか)で、熟すと上を向き、果皮が3つに裂けます。
果柄を伸ばして果実を高くに位置させ、種子をなるべく遠くまで弾き飛ばします。


画像左は、種子が熟して3列に裂け、種子をはじき飛ばす直前の果実です
さらに、スミレの子孫繁栄策は、種子にアリの大好物をつけていることです。
エライオソームと呼ぶごちそう、アリはこれが欲しくて巣に運び込み餌にします。
種子はアリにとっては不要品、捨てられて、結果として広く散布してもらえます。
スミレの仲間はこのように、“あの手この手” で種族の存続を工夫しています。
次週は、ニオイスミレと同居するもう一種類のスミレを見てみます。
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師走に咲くスミレ(1

2018年12月01日 | 趣味の園芸

12月1日、7時の気温は0.7℃の寒い朝、近所の庭のスミレが花を咲かせています。
このスミレ、家の方の話では「ニオイスミレだと思っている」とのことです。


ニオイスミレの特徴を図鑑読み放題サイト図鑑JPなどで調べてみました。
以下見た図鑑:神奈川県植物誌2001(2001).神奈川県立生命の星・地球博物館.
増補改訂版 図説植物検索ハンドブック“埼玉2882種類”(2016).さきたま出版会.
日本のスミレ(1996).山と渓谷社. 日本のスミレ類早見表(2018).同.
日本帰化植物写真図鑑 Plant invader 600種(2001).全国農村教育協会.


前の画像の「ニオイスミレの形質」に沿って、画像を並べてみました。
【①耐寒性多年草】この時期に葉が茂り花を咲かるスミレ、まさに耐寒性は強。
【②地上茎は有るもの(地面を這う)と無いものがある】


幸いにも家の方から数株をお土産に頂き、地下部の写真を撮ることができました。
【③地下茎は長く横に走る】


【④株の付け根は地上】
【⑤葉は分裂せず円心形、葉先は円頭、縁に鋸歯あり】


【⑥葉の両面や葉柄に毛がある】


【⑦托葉は縁に毛状の突起がある】



【⑧花柄には毛がある】
【⑨花は紫色、直径約2cm、距は短く、】ここまでは順調、が、香りがはてな?
家の方にお聞きすると、「香りは強いのだが、今日はしないな」と残念そう。


【⑩柱頭はカギ形】
今回見た図鑑などには、側弁の毛についての記載はありませんでした。
この家で今咲くスミレは、どの花も、側弁に白い毛を持っています。


【⑪果実は球形で密毛】果実が見つかりませんでしたので、子房を撮りました。
芳香は心残りですが、他の多くの特徴からこのスミレをニオイスミレとしました。
次週は、花をもう少し詳しく調べてみます。

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カイザイクの花飾り

2017年08月12日 | 趣味の園芸

今年の家庭菜園には「カイザイク」を植えてみました。
オーストラリア原産のキク科カイザイク属、主に庭などで楽しむ花です。


花びらのようにみえる金属製の光沢をもった部分は、蕾を守る役目の苞葉です。
これが二枚貝の内側のように見えることから「カイザイク」の名がついたそうです。
花は内側の黄色い部分、先に雄しべが花粉を出し、後に雌しべが伸びてきます。


種子が熟した花がらを落としておくと、次の年にはたくさん芽を出します。
増やしやすく栽培しやすく、暑さにも寒さにも比較的強く、ありがたい花です。
石が多い畑はカイザイク専用、毎年ここで発芽してきた実生を育てています。


カイザイクを乾燥させると、色の変色の少ない大変に良質なドライフラワーができます。


ドライフラワーにするには開いた花より、右側程度の花の方が良いようです。
開いた花は蝶のお気に入り、この日はシータテハが花から離れません。


ドライフラワーの行き先は、夏休みで大盛況の木工クラフトコーナーです。


カイザイクは大変な人気アイテム、小さい容器に入れて少しずつ提供しています。


隣のクッキングコーナーで、竹串パンのおき火焼きが始まりました。


こちらは農園探検でじゃがいも掘り、女の子がたくましく掘りまくっています。


クラフトコーナーに戻ると、カイザイクの花で飾られた多くの力作が出来上がっていました。
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フウセンカズラの稔り

2016年09月24日 | 趣味の園芸

フウセンカズラ(風船葛)は、ムクロジ科フウセンカズラ属のつる性植物です。
熱帯性の植物とかで発芽適温は高そう、5月上旬、ポリトンネル内に種子をまきました。
種子の皮が破れて根を出し、軸が伸びて子葉を持ち上げ地表に現れます。
ここまでに種をまいてから約2週間、本葉が出た株を6月始めに移植しました。


7月になると、白色で径3mmほどの小さな花をたくさんつけます。
中心の黄斑は昆虫に蜜のある場所を教える、いわゆる蜜標なのでしょうか。


一見近寄りがたい昆虫が仕事中、花にとってはありがたいお客さんです。


8月には2メートルほどの高さの支柱に、鈴なりの果実をつけました。


フウセンカズラの果実を見ると、子供の頃、薬屋さんにもらった紙風船を思い出します。
果実の中は3つ分かれた部屋があり、そこに一つずつ種子が入っています
黒地に白のハート模様が描かれた愛嬌のある種子で、別名ハートシードと言うとか。


9月になると果実が落ち始め、支柱の下には‘ふうせん’が敷き詰められます。
この果実を拾い集め、種子を取りだして良いものだけを選び出します。


その種子の行き先は、子供達でいっぱいの木工クラフトエリアです。
自然の材料がいっぱいのボックスのひとつに初登場です(画像下左から2番目)。


子供達の発想力は大変に豊です。(ちょっと画像がぼやけてしまい済みません)
初登場1日目の創作品2題、リス君のお耳とハート面にハートシードのお目々です。
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