信州自由人

のぐケーンのぶろぐ

ウソのスーパーE難度

2015年08月29日 | 動物

「ウソ」はスズメよりやや大きく、頭と翼と尾が黒色で、背中は灰青色の野鳥です。
雄は頬と喉が紅色で目立ち種の判別が容易で、雌は紅色がなく雌雄の区別も容易です。
「フィフィ」と口笛のような澄んだ小さな鳴き声を針葉樹林内でよく聞かせてくれます。
その昔、口笛をウソ(嘯)と言ったそうですが、それがウソの名の由来なのでしょうか。


そのウソが、人通りの少なくなった山道脇の草むらで、ペアー仲良く食事中でした。
足音しのばせて近づいたのですが、雌鳥はいちもくさんに飛び立ってしまいました。
雄鳥は、気にする様子もなく、夢中でワレモコウの実をついばんでいます。
ところが、ワレモコウの茎は細く、茎に捕まっての食事はできず、もどかしそうです。


そこで一計、人の侵入防止用ロープに止まり、ワレモコウの多い場所まで移動しました。
絶好の食事処を見つけたウソ、ワレモコウを見ながら、なにやら作戦を練っている模様。


次の瞬間、ロープを握り、スーパーE難度の大技でワレモコウの実を見事にゲットです。
見事、ぶら下がっても身体がフラフラしないよう、尾をロープに添えて固定させています。
ウソが食事で見せた大技を何度も駆使する本当の話、息をするのも忘れて見入りました。
後に残ったワレモコウの穂軸、わずかに残された種子が芽生えることを祈るばかりです。


昨日の朝、小鳥の水場にホシガラスが降り立ち、美味しそうに水を飲んでいました。
毎日の山のノンフィクション、動物も植物も自然全体が語りかけてくれます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

湯の丸高原花便り8.22

2015年08月23日 | 山野草

湯の丸高峰林道沿いには高原の花が彩り、ロマンスの花道を演出しています。

 
池の平へ訪れたご夫人、蝶の”おもてなし”に大感激、仲間が早速記念撮影です。
長野県の天然記念物に指定されている「ベニヒカゲ」、観光への貢献大です。


そのベニヒカゲ、花の蜜、人の汗、そして獣の糞も大好きのようです。
お弁当にも寄ってきますが、この際は、シィ・シィ・シィとご遠慮願います。


まことに端正な作りの白花、「ウメバチソウ(梅鉢草)」が咲き始めました。
中心を黄色く囲む5つの仮雄しべは、繊細な腺体を伸ばし先に輝く玉をつけます。
仮雄しべは花粉をつくりませんが、昆虫を誘う役割を担っています。
花の中央に5個の雄しべがあり、1日に1本だけ立ち上がって花粉を出します。
すべてが花粉を出し終わると、中心の雌しべが開き、他の花から花粉をもらいます。
このように、雄しべと雌しべの成熟時期をずらして自家受粉をさけています。
芸術的な花を見て感激し、子孫繁栄の戦略を知って感嘆する、すばらしい花です。


静かな針葉樹の林内は、「カニコウモリ」の白色の花でにぎやかです。
名残の花:エゾスズラン、クガイソウ、コキンレイカ、ホツツジ、マルバダケブキなど。
見頃の花:アキノキリンソウ、アマニュウ、イタドリ、イブキジャコウソウ、イワアカバナ、
イワインチン、ウスユキソウ、ウツボグサ、ウド、ウメバチソウ、エゾカワラナデシコ、
オノエイタドリ、オンタデ、カニコウモリ、カワラマツバ、キオン、コウゾリナ、コオニユリ、
ゴマナ、シオガマギク、シシウド、シャジクソウ、シラネニンジン、ススキ、タチコゴメグサ、
ツリガネニンジン、ノアザミ、ノコギリソウ、ノハラアザミ、ハクサンフウロ、ハナイカリ、
ハンゴンソウ、ホソバノキリンソウ、マツムシソウ、ミヤマコウゾリナ、ヤナギラン、
ヤマハハコ、ヤマホタルブクロ、ヤハズヒゴタイ、ヨツバヒヨドリ、ワレモコウなど。
はしりの花:エゾリンドウ、ヤマラッキョウ、オヤマボクチなど。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

白花で生まれた山野草

2015年08月15日 | 山野草

稀に見かける、本来の花の色をつくらない白花の株、今年の画像を整理してみました。
アルビノと思っていたのですが、白花変種(ハクカヘンシュ)という現象にたどりつきました。
画像はフウロソウ科の「グンナイフウロ」、6月から濃い紫色の花を咲かせます。


長野・群馬・岐阜県の一部のみに分布するとされる、希少種の「グンバイヅル」です。  
この辺りにはたくさんの淡紫色の花が咲きますが、白花は滅多にお目にかかれません。


道路沿いの石垣に、キキョウ科の「ヤマホタルブクロ」が紅白お揃いで咲いています。
ここは地蔵峠下の67番観音付近、紅白株の開花を楽しみにしているフアンが多そうです。


マメ科の「シャジクソウ」、名の由来は、葉が車輪の軸のようにつくからだそうです。
紅紫色の花が、7月始めから8月下旬までの2ヶ月間ほど、夏の高原を彩ります。


茂みの中から長い紫色の穂を出すオオバコ科(APG分類体系)の「クガイソウ」です。
覚えやすく、なじんでいる新エングラー体系での分類では、ゴマノハグサ科です。


日当たりの良い草原に青紫色の花を咲かせるキキョウ科の「ツリガネニンジン」です。
かって、「山でうまいはオケラにトトキ」と唄われ、親しまれていた山菜のトトキです。


志賀高原の東舘山植物園で見た、アカバナ科の「ヤナギラン」です。
「しろばなうすげやなぎらん」とありましたが、・ウスゲ・の存在を始めて知りました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

湯の丸高原夏山模様

2015年08月08日 | 山野草

三方ヶ峰入口の『小鳥の水場』で、「ホオジロ」が気持ちよさそうに水浴びです。

鏡池の周辺では、高層湿原に棲む「カオジロトンボ」が、木道で羽根を休めていました。
アキアカネや、アオイトトンボ、オニヤンマの仲間など、夏空はトンボ達で大賑わいです。


湯の丸・高峰林道では、夏の高地トレーニングが行われています。
林道沿いの「マルバダケブキ」の花には「アサギマダラ」が長旅に備え、食事中です。


涼しい高原といえど油断は禁物、水分補給や日よけ対策などの体調管理が必要です。


夏山名物のひとつは雷、先日、樹高10mほどのカラマツが雷の直撃を受けました。
木の上から根元までを、すさまじい威力で走り抜いた痕跡が残っています。
木の下での雨宿りは危険「木の全ての幹、枝、葉から2m以上は離れる」を再認識です。


ホシガラスは子離れの夏、可愛がられて育った甘えん坊にはその意味が分かりません。
人目をはばからず、見通しの良い高い樹の上から親をさがして大声で呼び続けます。
大きくなれば縄張り争いでライバルの身、いくら呼んでもお母さんは来てくれません。


真夏の青空に「シシウド」が、白い花火を打ち上げました。
名残の花:クルマユリ、コマクサ、ニッコウキスゲ、バイケイソウ、ヤマオダマキなど。
見頃の花:アオヤギソウ、アキノキリンソウ、イタドリ、イブキジャコウソウ、イワオトギリ、
ウスユキソウ、ウツボグサ、エゾカワラナデシコ、エゾスズラン、オノエイタドリ、オンタデ、
クガイソウ、コキンレイカ、シオガマギク、シモツケ、シモツケソウ、シャジクソウ、
シュロソウ、タチコゴメグサ、ネバリノギラン、ノアザミ、ノギラン、ノハナショウブ、
ハクサンフウロ、ホソバノキソチドリ、ホソバノキリンソウ、マツムシソウ、ミヤマフタバラン、
ヤナギラン、ヤマホタルブクロ、ヨツバヒヨドリ、リョウブ、ワレモコウなど。
はしりの花:イワアカバナ、イワインチン、キオン、シラネニンジン、ハナイカリなど。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ツチアケビの妙と美

2015年08月02日 | 山野草

ラン科植物の「ツチアケビ」を訪ね、佐久の山間に案内していただきました。
緑の森になんともミステリアスな様相の物体、初めての出会いに目が釘付けです。
ヒトや獣から保護しているのでしょうか、各株には金網の囲いが設置されています。


ツチアケビは栄養を自分でつくらず、菌類からそっくりいただいて暮らしています。
ですから、光合成を行う器官は必要なく、葉をつけずに奇妙な形をしています。
ツチアケビに栄養を搾取される菌類は、キノコでお馴染みのナラタケだそうです。


ラン科の植物ですが、葉がないほか、花序も一般的なランとは少し違いました。
蜜を貯める「距」、蕾を守る「苞」がなく、子房花柄のねじれも見あたりません。
受粉は、花粉塊が下の柱頭に滑り落ち自家受粉が起こる、との研究報告があります。


受粉が成立して結実が始まると子房が膨らみ、ツチアケビの名の由来になってきます。
今はウインナーソーセージ状でしたが、まだまだ大きく膨らむそうです。
実が熟すとスイカ並の甘さになるそうですが、食味体験談によると極めてまずいとか。


この日見たもう一つの妙は、花の向きが上下左右そして斜め向きと様々なことでした。
とはいえ、黄色の唇弁、白い蘂柱の先に黄色の花粉塊、桃色様の萼片と美しい花です。
妙と美を兼ね備えたツチアケビ、興味津々な植物のひとつです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする