信州自由人

のぐケーンのぶろぐ

カギザケハコベ勢力大

2025年04月05日 | 自然

上信越自動車道から下りて国道18号につながる道路脇の植え込みです。
この時期に植え込み内に生える植物を毎年見に来ます(この日は4月4日)。


2019年4月に見たことのない植物が生えていることに気づき、調べた植物です。
ナデシコ科のカギザケハコベというヨーロッパ原産の帰化種です。
日本では1990年に仙台港で初めて採取されたそうです。


葉の多くは地際部にかたまってロゼット状につきます。
茎葉は対生で2,3対がつき、形状は狭長楕円形で、先端が尖ります。


葉の縁や茎には腺毛が目立ちます。
腺毛は全草に生えるのではなく、ない葉や茎もあります。


茎の先に5~10数個の花を散形状につけます。
蕾のころは花柄が下がることが多いですが、開花時には上向きになります。


蕾で特徴的な点は、蕚の基部に黒色の模様をつけることです。
模様は点であったり、U字形であったりします。


花弁は透けるような白色で5個、先端が不規則に切れ込みます。
雄蕊は3~4個で、柱頭は3裂します。


果実は蒴果で、熟すと先端が外側に巻き、たくさんの種子をまき散らします。
種子は1mmほどの楕円形で中央部がとって状に隆起します。
全面がいぼ状突起で覆われます。


今日の本題はここからですが、カギザケハコベ元気がよく陣地を広げています。
隙間があれば根を下ろし、3月から種子を実らせ散布をします。
この周辺では春の花のナズナやホトケノザなどとの勢力争いが激化しています。


民家の庭にも侵入が始まりました。
今後、畑の雑草とならないかととても気がかりです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

令和7年早春の花模様

2025年03月29日 | 自然

3月10日、雪の中に咲くキンポウゲ科フクジュソウです。


3月12日、キンポウゲ科セリバオウレンが蕾を持ち上げ始めています。


開き始めた株もちらほらとあり、左の花が両性花で、右の花が雄花です。


まだらに雪の残るスギ林、これからにぎやかになります。


3月18日、キンポウゲ科セツブンソウの自生地です。


木漏れ日を受け、思いっきり花を開いています。


花弁に見えるのは、花弁状の蕚片ですがふつうは5個です。
この花は蕚片が10個、変わり花を探すのもセツブンソウ巡りの楽しみです。


翌日の3月19日、大雪で我が家の小鳥の餌場は大賑わいです。
左がシジュウカラとスズメ、右がヒマワリの実をほおばるカワラヒワです。


3月28日、今週は初夏の陽気、ノジスミレやヒメスミレの開花はじめです。
画像は運動公園の石垣脇に咲くヒメスミレです。


3月29日、またまた寒の戻り、雪が舞い始めてきました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マイヅルソウ属

2025年03月22日 | 山野草

クサスギカズラ科(キジカクシ科)マイヅルソウ属です。
かつては独立していたユキザサ属もマイズルソウ属に加わりました。
二年がかりの「ユリ科で親しんできた仲間」、今回で終わります。


三方ヶ峰の6月の針葉樹林内、マイズルソウ(舞鶴草)が花を咲かせます。
名は、葉の模様が家紋の舞鶴紋に似るとか、2枚の葉が鶴の舞う姿に似るとか。


陽当たりが良いカラマツの株元、マイヅルソウがたくさんの花がつけました。
日陰の林床でよく見られるマイヅルソウですが、半日陰でも生育旺盛です。


マイズルソウは葉や花も注目ですが、果実も楽しめます。
夏ごろからウズラの卵模様がつき、秋には真紅に染まります。
果実を早春まで残す株もあり、雪解けの時期に赤い実が姿を現します。


ヒメマイズルソウは画像のような特徴を持つそうですが、出会っていません。
見分けにはルーペ確認が必要そうで、小さな株を確認するのは至難の業・・?


マイヅルソウ属のユキザサ(雪笹)、若葉は春の山菜としても知られています。
北海道在住の頃は、春一番のユキザサ(アズキナ)摘みが楽しみでした。


ユキザサは、小さな白色の両性花をたくさんつけます。
この白い花を雪にたとえ、葉の形状が笹に似ることから付いた名前だそうです。


ハルナユキザサ(榛名雪笹)、軽井沢町植物園で撮った株です。
6-7月に花を咲かせ、秋になると球形の液果が赤く熟します。


ユキザサとハルナユキザサの花はよく似、花での見分けは難しいです。
茎と葉の大きさや毛の多少が異なり、ハルナユキザサは大型で多毛です。


ユキザサは、一つの花の雄蕊と雌蕊が明瞭で、柱頭は丸いかわずかに3裂します。
ヤマトユキザサ(オオバユキザサ)とヒロハユキザサは雌雄異株です。
ヤマトユキザサは、茎が丸く赤味を帯びて多毛、雌花が緑色、柱頭の裂片が短い。
ヒロハユキザサは、茎に陵があり緑色で毛は疎、両花が緑色、柱頭は裂片が長い。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アマドコロ属

2025年03月15日 | 山野草

クサスギカズラ科(キジカクシ科)アマドコロ属の7種類の見分け方です。
いずれの種類も山の人気者です。


ワニグチソウ(鰐口草)、花を覆う笠のような大きな苞が特徴です。
花は株の下から覗くと見つけやすいのですが、上から見ると見過ごすことも。
ワニグチソウが見つかると大騒ぎ、カメラが取り囲みます。


ヒメイズイ(姫委蕤)、姿勢の良い直立した茎に筒状の白い花をつけます。
可憐で清楚なヒメイズイの白花に出会うと、笑みがこぼれます。
アマドコロ属の中で、ワニグチソウとヒメイズイはわかりやすい種類です。


アマドコロ属で見分けに戸惑うのは、アマドコロとナルコユリの仲間です。
両者の見分けは、画像のように茎の断面や花柄と花の間に注目します。
混同しないように、ナルコユリは茎が丸いので「まるこゆり」と憶えています。
また、「茎には陵をつけないが、花には短柄をつける」と、ダメ押しです。


アマドコロ(甘野老)は人里から山地まで多く見られます。
ヤマアマドコロはアマドコロと一見そっくり、葉裏を見ないと区別ができません。
オオアマドコロは全体に大型ですが、近隣ではまだ出会っていません。


ヤマアマドコロは、アマドコロとオオアマドコロの中間的なタイプとか。
葉裏の小脈上に細突起が見られますが、確認にはルーペが欲しいです。
オオアマドコロの葉裏の突起は、かなりはっきりしています。


ミヤマナルコユリはナルコユリの特徴に加え、画像の特徴を持ちます。
葉には短い柄があり、花序は斜め上に伸びて先が下に垂れます。
花の中が見れれば他との違いは決定的、花糸に長い軟毛を生やします。


ナルコユリ(鳴子百合)は、ふつうアマドコロより草丈が高く80cmほどです。
オオナルコユリはさらに高く、2m越えの株もあり見事です。
草丈は中間的な株もありますので、葉裏、花の長さ、花糸などで確認します。


葉裏の脈上の突起を見ます。
ナルコユリはごく小さな突起を持ち、オオナルコユリには突起がありません。


花の長さも個体差はありますが、区別できます。
ナルコユリは17-22mmで、オオナルコユリは25-35mmです。


花糸の表面を見るとはっきりします。
ナルコユリはなめらかですが、オオナルコユリは微細な突起があります。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スズラン属

2025年03月08日 | 山野草

クサスギカズラ科スズラン属のスズラン(鈴欄)です。
よく見かけるスズランは2種類があり、在来種のスズランと外来種があります。
外来種のスズランはヨーロッパ原産のドイツスズランです。


春の菅平高原に群落をつくって咲くスズラン、人気の野花です。
君影草(きみかげそう)の別名もあります。


スズランは平地でも生育旺盛です。
我が家の小さな庭の植物は、スズランの勢力に押され気味です


春の訪れを告げるスズランの花は、名のとおり鈴形の花をつけます。
陽当たりの良い庭でも、毎年、元気な花を見せてくれます。


こちらはドイツスズラン、庭などに植栽されるスズランの多くは本種です。
観光地の高原などに植えられることもあり、在来種のスズランと混同されます。
本種の野生株は見ていません。


ドイツスズランの花です。
在来種も外来種も同じに見え、ふつうはあまり区別されていません。


両者の見分けはいくつかあるようですが、2点のポイントに注目しています。
一つは、遠めに見て花序と葉の長さ比べをします。
在来種のスズランは花序が葉より短く、ドイツスズランは花序が葉より長めです。
生育地の環境などによって変化もありますので、近寄って花の中を確認します。


腰をかがめて花の中を覗いてみると、容易に区別ができます。
在来種は真っ白、ドイツスズランは雄蕊の基部が赤紫色に染まります。


花が落ちても果実があれば、葉との長さ比べでいずれかの見当がつきます。
画像の株は在来種のスズランですが、果実の位置が葉より明らかに下です。
果実は、夏には緑色ですが熟すと橙色になり、存在感を増してきます。


種子で増やすには、果肉をきれいに洗い流して種子を取り出します。
この種子が乾く前に土にまき、冬季間はワラなどで覆っておきます。
我が家の庭のスズラン(前出の2020/5/7の画像)は、この鉢で育てた株です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする