信州自由人

のぐケーンのぶろぐ

クサスギカズラ属

2025年03月01日 | 山野草

クサスギカズラ科のクサスギカズラ属です。
近隣には2種類があり、オランダキジカクシは野菜のアスパラガスです。


里山などに自生するクサスギカズラ属のキジカクシ(雉隠し)です。
山のアスパラとして山菜でも紹介されることがあります。


棒状の若芽が大きくなると、株が広がり周囲を覆います。
キジが隠れることができるほど茂ることからついた名だそうです。


我が家の家庭菜園でつくっているオランダキジカクシです。
画像の左が成株で、右がお馴染みのアスパラガスとも呼ばれる若芽です。
果実は鳥の大好物、糞に混じって種子が散布され山では野生の株も見かけます。


クサスギカズラ属の葉はすこし変わっています。
アスパラガスで“はかま”と呼ばれる部分が、生物学的には葉だそうです。
そして、葉に見える部分が分枝した小枝で、葉緑素を持ち光合成をします。


葉に見える部分は、葉状枝や疑葉などと呼ばれています。
キジカクシとオランダキジカクシは、葉状枝で見分けることができます。
画像はキジカクシですが、3-7本束生した葉状枝が鎌状に湾曲しています。


こちらがオランダキジカクシ、5-8本束生した葉状枝がまっすぐに伸びています。
この辺りでは見かけないクサスギカズラの葉状枝は、1-3本の束生で湾曲だとか。


蕾や花がついていれば、花柄の長さで簡単に見分けられます。
キジカクシの花柄は1-2mmで、花が茎に直接ついているように見えます。


こちらはオランダキジカクシで、花柄が7-8mmと長く花も大きめです。
花が咲いていると、山で両者に出会っても見分けられます。


キジカクシもオランダキジカクシも若芽は“アスパラ”です。
キジカクシの若芽も食べてみたいのですが、まだ味わったことがありません。
稔った種子に出会えたら、少しいただいて栽培してみたいと思っています。
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ジャノヒゲ・ヤブラン属

2025年02月22日 | 山野草

あちらこちらの木陰で見かけるオオバジャノヒゲとヤブランです。
運よくラッキー、仲良く並んで咲いている株に出会いました。


クサスギカズラ科のジャノヒゲ属とヤブラン属の検索表です。


オオバジャノヒゲとヤブランは生えている場所や葉がよく似ます。
花が咲くと見分けは容易で、前者の花は白系で下向き、後者は紫系で上向きです。


花が開いて花糸や葯が見えると、さらに違いがよく分かります。


種子の色でも両属の違いは明瞭です。
花が終わると果皮はすぐに落ち、種子はむき出しになります。
画像は果実のように見えますが、種子です。


オオバジャノヒゲとジャノヒゲは葉の大きさが違います(検索表)。
画像のジャノヒゲは庭に植えられた園芸品種です。
匍匐枝を出して増え、根の先の肥大した部分が漢方の「麦門冬」です。


また、オオバジャノヒゲは、葉の縁があまりざらつきません。
ジャノヒゲは、葉の縁のざらつきが明瞭です。


ヤブラン属のヒメヤブランは稀に見ますが、画像がありませんでした。
ヤブランより小さく花数が少なく、ヤブランにはない匍匐枝を持ちます。


ヤブランの種子は1本の果柄に1-3個がついていました。
果柄側にわずかに残る淡褐色の皮が果皮の名残でしょうか。


ヤブランの種子を切ると、外側の黒い皮の内側には肉質の部分がありました。
2層の種皮に包まれた胚乳部分は弾力がありやや硬めです。
ひょっとすると、鳥に種皮をごちそうして、胚乳を散布してもらうためかも?
胚乳の中心には白色の根と芽の元気な赤ちゃん(胚)が見えます。

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ギボウシ属、オモト属

2025年02月15日 | 山野草

クサスギカズラ科(キジカクシ科)のギボウシ属は、近隣に2種類があります。
この仲間は春の山菜として、ウルイやウリッパなどの名で親しまれています。


コバギボウシ(小葉擬宝珠)、お盆ころに近くの田の土手に毎年咲きます。
日当たりのよいやや湿り気のある場所が好きなようです。


トウギボウシ(唐擬宝珠)、別名がオオバギボウシ(大葉擬宝珠)です。
夏になると長い花径を大空に突き上げ、たくさんの漏斗形の花をつけます。


ギボウシの名の由来は、神社の橋の欄干などに付く飾りの擬宝珠だとか。
花茎の頂に蕾が集まって付くさまが擬宝珠に似ていることからだそうです。


コバギボウシとトウギボウシの葉での見分けです。
見分けでよく聞くのは、葉身の基部の形や葉身と葉柄のつながり方です。


迷う場合は、ルーペを使うなどして葉の裏の下部の脈を観察します。
トウギボウシの脈上には小突起があり、指で触れてもざらつきが分かります。
コバギボウシには突起がなく、つるつるしています。


花もやや異なり、コバギボウシの方が花の紫色が濃く、花数が少ないです。
苞の色もふつうは異なり、コバギボウシは緑色でトウギボウシは白みがかります。


クサスギカズラ科(キジカクシ科)オモト属のオモト(万年青)です。
画像は冬のオモト、冬季間につける赤い実が緑の葉に映え、人気の植物です。


夏に黄緑色の花を咲かせ、秋に赤い艶のある豪華な実をつけます。
果実は近所の庭に鉢植えで置かれた株で、2月3日の撮影です。


雪を被った庭のオモトの果茎を掘り出して計ってみました(2024/2/6)。
果茎の長さは約8cm、赤い実から取り出した種子は6mmほど、真珠のようでした。

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クサスギカズラ科

2025年02月08日 | 山野草

ユリ科のスズランで親しみましたが、APG分類体系ではクサスギカズラ科です。


たくさんの植物が属するクサスギカズラ科の検索表です。


多くが身近な植物で、10属が近隣で見られます。


検索表では蒴果と液果に二分し、蒴果はさらに鱗茎と根茎に分けられています。
蒴果は、果実が熟すと裂開して乾いた種子が風などで散布されます。
液果は、種子が多汁質などで包まれていて、鳥などに食べられ糞で散布です。


液果は、葉の形態によって分けられていますが、小形鱗片状の画像です。
小形鱗片状の葉を持つのは、クサスギカズラ属(アスパラガスの仲間)です。
葉が鱗片状に退化し、葉に見えるのは分枝した小枝で、変わった形態を持ちます。


ツルボ属のツルボ、初秋に長い穂を出してピンク色の花を咲かせます。
春先に出た葉は夏にいったん枯れ、初秋に花径とともに2回目の葉を出します。
似た植物は見当たりませんし、日本のツルボ属はツルボ1種のみだそうです。


日当たりのよい場所では繁殖力が旺盛で群生します。
花径の高さは20-40cmで、稲穂の垂れるころ田の周辺を彩ります。


オオアマナ属のオオアマナ、明治末期に観賞用として渡来したそうです。
名はアマナに似ることから大甘菜ですが甘菜と違い有毒植物だそうです。
性質が丈夫で、庭でも鱗茎があちらこちらに広がり増えて困っています。


検索表では花被片の中肋の有無でツルボとオオアマナを見分けるとしています。
ツルボの花被片の中心にある縦の筋が中肋です。


花糸の形状での見分けで、ツルボの糸状とオオアマナの扁平の画像です。
花が咲けば、花被片の中肋や花糸を確認しなくとも見間違うことはありません。
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ヒガンバナ属、スイセン属

2025年02月01日 | 山野草

ヒガンバナ科ヒガンバナ属のヒガンバナです。


ヒガンバナ属の3種とスイセン属の検索表です。


ヒガンバナ属の3種は花の色が違いますので、見分けは容易です。


ヒガンバナ(彼岸花)はマンジュシャゲ(曼殊沙華)とも呼ばれます。
秋の彼岸ころ、突然に花径を伸ばして強烈な赤い花を咲かせて目立ちます。
種子はできませんが、球根の分球が旺盛で群生します。


ナツズイセン(夏水仙)、夏に花が咲き葉がスイセンに似ていることからの名とか。
ヒガンバナと同様、古い時代に中国から観賞用として入ったといわれています。
花は優しい淡紅紫色、葉は早春に出て初夏に枯れ、その後に花径を伸ばします。


キツネノカミソリ(狐の剃刀)、名の由来は狐に関わりますが諸説があるようです。
初夏に葉を落とし、夏のお盆のころ茎の先にオレンジ色の花を3個ほどつけます。
前の2種は渡来種ですがキツネノカミソリは在来種、また本種は実を結びます。


ヒガンバナ属は葉が枯れた後に花径を出して花を咲かせます。
ヒガンバナの葉は光沢のある線形で、冬に茂って栄養を蓄え春に枯れます。
ナツズイセンとキツネノカミソリはスイセン似の葉で、早春から初夏まで茂ります。


今の時期、ヒガンバナは葉を茂らせ、他の2種は芽の先をわずかに出した程度です。
3種の葉とも、その植物だと気づかれることは少ないようです。
これら3の種は、茂る時期と葉の幅で種類の見当がつけられます。


スイセン属のスイセン、花と葉が同時に出る点がヒガンバナ属と異なります。
空き地などでよく見かけるフォンシオンという古くに渡来した品種かと思います。
派手さはなく、八重咲でスイセン特有の副花冠も花弁化しています。


スイセンの花や鱗茎の構造です。
花被片は白色か黄色が基本、ひときわ目立つ副花冠がスイセンの特徴です。
ヒガンバナやスイセンは鱗葉が重なり合ってできた鱗茎に養分を蓄えます。
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