ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

チロ基金の活動「ビタペクト&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第161回」

2014-03-24 |   ビタペクト配布活動
 3月24日にビタペクト3と「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピー無料配布運動として、SOS子ども村への第161回目の配布を実施いたしましたので、ご報告いたします。

 今回はビタペクト3を5個、そして「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピーを10部渡しました。
 これで今までに配布したビタペクト2、ビタペクトT、ビタペクト3の合計は2149個、「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピーは1980部となりました。
 今回で通算175回目の配布となりました。
 延べ人数ですが、2149人の子どもにビタペクトを、1980家族に「放射能と栄養」のコピーを配布したことになります。

(これまでのビタペクト配布運動について、詳細はこちらをご覧ください。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/bitapekt/index.html


http://blog.goo.ne.jp/nbjc/c/e1e67d76a4796f3c95377bb7bdabd215


(またこの活動報告を読むにあたり、「チロ基金の活動『ビタペクト2無料配布』について追加のご説明」も併せてご覧ください。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/67c3b73ea2f30e880c3d4eb8bedded13


(ビタペクト2とビタペクトTについてはこちらをご覧ください。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/5cab63b65562dd2f64a820a7e4298a0b


(ビタペクト3についてはこちらをご覧ください。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/922c333857741c5448f66d4fe00b25e1


(チロ基金は以前ビタペクトに代わり、ペクチン入りセルロースを配ったことがあります。セルロースについてはこちらです。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/43f810eddd1efc451f5171ef3cd35a7a



(「チェルノブイリ:放射能と栄養」について詳細はこちらをご覧ください。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/chel/index.html


(SOS子ども村についてはこちらをご覧ください。) 

http://belapakoi.s1.xrea.com/jp/no2/2001/soschild.html


(WBCによる測定、ビタペクトを開発、製造、販売しているベルラド放射能安全研究所の公式サイトはこちらです。)

http://www.belrad-institute.org/


(ベルラド研究所について日本語でご紹介している記事はこちらです。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/c382ef7eca8660531e895c8a646e7f2a


http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%A9%E3%83%89%E6%94%BE%E5%B0%84%E8%83%BD%E5%AE%89%E5%85%A8%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80



 今回は3家族がストルブツィ(チェルノブイリ原発から約325キロ)保養滞在していました。それぞれの家族にお話をうかがいました。

(家族A)

 この家族は2013年3月にもSOS子ども村に保養滞在したことがあります。そのときの様子はこちらをご覧ください。
 チロ基金の活動「ビタペクト&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第145回」 (家族A)

 お母さんが3人の子どもを引率していました。この家族には2個のビタペクト3を渡しました。
 それぞれの体重1キロあたりの放射能測定結果はこのとおりです。2013年と2014年の測定結果を表しています。○印の子どもにビタペクト3を1個ずつ渡しました。

母親(事故発生時18歳)11ベクレル → 13ベクレル
女子(13歳)22ベクレル ○ → 23ベクレル ○
女子(12歳)21ベクレル ○ → 18ベクレル
女子( 6歳)26ベクレル ○ → 27ベクレル ○

 このお母さんには5人の実子がいますが、そのうち年少の3人を保養に連れてきていました。子ども達の健康状態についてききましたが、子ども達はよく風邪をひく、ということでした。
 しかしこの冬インフルエンザの予防接種は受けなかったそうです。予防接種を受けると直後にかえって子ども達の体調が悪くなってしまうのだそうです。

 お母さんは足に静脈瘤ができて、手術をして切除したのですが、そのときの麻酔の影響か、背中や腰が痛くなってしまい、今も痛みが取れず困っているという話でした。
 お母さんはストルブツィ市の生まれですが、事故が起きたときは大学に入学しており、ミンスクに住んでいました。
 ストルブツィ市はミンスク州にあり、放射能汚染地域に指定されたことは一度もありません。

 測定結果ですが、1年前とほとんど変化がありませんでした。
 やはりビタペクト3を飲んでも、汚染された食べ物を食べているとし言いようがありません。やはり近所で売られている食品に放射能が基準値以下としても入っているんだろうと思われます。


(家族B)

 お母さんが4人の子どもを引率していました。この家族にも2個のビタペクト3を渡しました。
 それぞれの体重1キロあたりの放射能測定結果はこのとおりです。○印の子どもにビタペクト3を1個ずつ渡しました。

母親(事故発生時6歳)22ベクレル
長女(13歳)17ベクレル
長男 (9歳)26ベクレル ○
次男 (7歳)22ベクレル ○
次女 (3歳)16ベクレル

 子ども達の健康状態についてお話をうかがいました。
 4人ともよく風邪をひき、胃炎をよく起こす、ということでした。
 次男は足の爪がおかしいと話していましたが、よく聞くと爪そのものではなく、爪の奥(足の指の深部)が常にかゆいのだそうです。本人はそれが気持ち悪いので、足の指を曲げたような格好で、歩きにくそうに歩いているときがあり、お母さんはリリヤ先生に相談していました。手の指のほうもときどき爪の奥がかゆいときがあると話しており、これは爪(皮膚)の病気ではなく、神経に異常があるからではないか、という話でした。病院の皮膚科ではなく、神経科を受診するほうがいいということでした。

 次女は足の長さがちがいます。赤ちゃんのときは気がつかなかったのですが、歩き始めた頃、よく転ぶので病院に行くと、足の長さがちがうことが分かりました。現在は特別な靴を作ってもらってそれを履いています。
 
 お母さん自身は甲状腺に線種ができており、最近それがどんどん大きくなってきたので、物を飲み込むときに違和感を感じているそうです。医者に尋ねると
「そのうち線種が小さくなって消えるかもしれないから。」
と言われ、半年おきに超音波検査を受ける以外は何の対策もしていないそうです。甲状腺種がいつの間にか消えるなんてありえないでしょう? と思いましたが、リリヤ先生も
「あまり大きくならないうちに手術して取ったほうがいい。」
とアドバイスしていました。
 このお母さんはチェルノブイリ原発事故当時6歳でしたが、その後間もなく父親が軍人で、当時東ドイツにあったソ連軍基地に移動になったので、家族全員で移り住んだそうです。
 5年間東ドイツで暮らしていましたが、その後またストルブツィに戻ってきました。つまり長期の海外保養に行っていたと言ってよいと思います。

 今回の測定の結果を見て、お母さんは2人の男の子だけ高い数字なのは、ベッドのせいではないかと考えました。
 最近モズィリの家具工場が作ったベッドを買ってきて、それに男の子2人が寝ているそうです。
 WBC測定の後、お母さんはお父さんに電話をして、「ベッドのせいかもしれない。」と話したところ、お父さんは「じゃあ、すぐに線量計で調べてみる。」と言い出しました。そしてすぐに知人から線量計を借りてきてベッドの周りをを測定したのだそうです。すごい行動力ですね。(たのもしいお父さんだ・・・)
 そして結果をすぐにSOS子ども村に滞在中のお母さんに電話で知らせてきたのですが、「放射能は検出されたが、非常に弱かった。」そうです。
 お母さんは私にも「こんなベッドに子どもを寝かせていいものでしょうか?」と相談してきたのですが、そもそもベラルーシには材木についても基準値が定められており、それを越える材木は販売したり、建築や木工品の材料にしてはいけない、という法律があるのです。
 モズィリの家具工場はけっこう大きい企業で、このような法律を守っていると思われる、と話しました。仮にそれに寝ているだけで被曝するようなベッドだった場合でも、今回のWBCの測定は内部被ばく、つまり体内に放射性核種がだいたいどれぐらいの数があるのかが分かるのであって、外部からの被爆はこのような方法では分からない、息子さん2人の値が高かったのはベッドは無関係でしょう・・・と話しました。
 もちろん次男の足の指の内部のかゆみの原因はベッドから出ている放射線のせいで、それで病気になっているのかもしれませんが、お父さんがベッドだけから出ている放射線を測定したとも言い切れません。
 ベッドの周りにもいろいろな物が置いてあるだろうし、そもそも部屋の空気中の放射能を測定している可能性が高いです。それに私から言わせれば男の子2人が特別高く被曝しているようには思えません。
 心配しすぎないほうがいいのでは、とお母さんに話しました。
 しかし、楽観的すぎて何にも気にしないお母さんよりも、これぐらい意識の高いお母さんのほうが子ども達は運がいいなと思いました。 


(家族C)

 5人の子どものお母さんが長男をのぞく4人の子どもを連れてきていました。この家族には1個のビタペクトを渡しました。
 それぞれの体重1キロあたりの放射能測定結果はこのとおりです。○印の子どもにビタペクト3を1個ずつ渡しました。

母親(事故発生時11歳)20ベクレル
長女 (9歳)11ベクレル
次女 (8歳)18ベクレル 
次男 (4歳)29ベクレル ○
三男 (2歳)10ベクレル

 子ども達の健康状態ですが、長女は食後、胆嚢の痛みを訴えるので、さまざまな食事制限があるそうです。
 次女は1年以上前から手の指に茶色の縦の筋が入っています。ほくろの一種という可能性が高そうなのですが、ビタミン不足かもしれない、というリリヤ先生の話でした。ビタミン剤を飲んで改善しなかったら、一度専門医に見てもらうほうがいいかもしれない、とも言っていました。

 今回は保養に来ていなかった長男(10歳)ですが、小学校に入学したときの視力検査で、片目が遠視、片目が近視であることが分かりました。こういうことってあるんですね。
 それに合わせた眼鏡をかけているそうですが、将来弱視になってしまう可能性もあるとか。
 
 画像は記念撮影したものです。(1人保養とは関係のない子が写っていますが・・・ 今春休み中なので、うちの子に着物モデルをしてもらいました。)
 今回も子どもたちに折り紙、折り鶴、折り鶴の作り方(千羽鶴プロジェクト)、日本語で子どもの名前を書いた絵葉書、着物で作った巾着袋などをプレゼントしました。
 保養滞在2回目の子どもたちに「前に会ったときに折り鶴の作り方教えたけど、どう? 鶴ちゃんとできた?」ときいたら
「途中までしかできなかった。」
という返事が・・・(がーん。)ベラルーシの子どもに鶴の折り紙はハードルが高いのか・・・
 でもあきらめずに今回再挑戦してください、と言いました。
 今回は折紙より日本語に興味がある子どもが多くて、たくさん質問されました。メモまで取って、本当に熱心でした。

 最後になりましたが、ビタペクト3の購入費、そして「放射能と栄養」をコピーするために必要な経費を寄付してくださった方々、折り紙や絵葉書など子どもたちへのプレゼントを寄贈してくださった方、また日本ユーラシア協会大阪府連主催のバザーなどでSOS子ども村への交通費を捻出してくださった多くの日本人の皆様に深くお礼申し上げます。ベラルーシの子どもたちもお母さんたちもSOS子ども村の職員の方々も皆様に大変感謝しております。本当にありがとうございました。