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電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

フォーレの組曲「ペレアスとメリザンド」Op.80を聴く

2015年02月09日 06時05分29秒 | -オーケストラ
山形弦楽四重奏団の定期演奏会の演目に取り上げられた、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第14番嬰ハ短調をずっと続けて聴き続けておりましたので、このところ通勤の車中がほとんど巡礼気分でありました(^o^;)
少し気分を変えようと手に取ったのが、ジャン・フルネ指揮オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団によるフランス音楽の録音から、フォーレの組曲「ペレアスとメリザンド」作品80です。

原作はベルギーの劇作家メーテルリンクの劇「ペレアスとメリザンド」(1892)。それから六年後の1898年にフォーレが劇音楽「ペレアスとメリザンド」を作曲しましたが、その後次々に同タイトルの作品が作曲発表されます。ドビュッシーのオペラ「ペレアスとメリザンド」が1902年に初演されておりますし、シベリウスも1905年に劇音楽「ペレアスとメリザンド」を作曲、なんとシェーンベルグも1903年に交響詩「ペレアスとメリザンド」を作曲しているのだそうな。
行き倒れていた若い娘メリザンドを発見した兄ゴローが助け、二人は結婚しますが、メリザンドは弟ペレアスと仲良くなり、三角関係になってしまいます。兄は弟を殺し、娘は死を選ぶという、悲惨な、でもよくあるパターンの悲劇です。今ではそんな典型的な三角関係に基づく悲劇はステレオタイプとみなされ、書かれないのでしょうが、この時代にはけっこう衝撃的で、流行したのでしょうか。

第1曲:「前奏曲」。クワジ・アダージョ。弦楽合奏を主体とした、静かで情緒ある優しい音楽です。管楽器やハープが、そっといろどりを添えています。
第2曲:「糸を紡ぐ女」。アンダンティーノ・クワジ・アレグレット。弦楽を中心とした合奏の中で、オーボエが可憐な旋律を歌います。主題は先の曲とよく似ています。
第3曲:「シシリエンヌ」。アレグレット・モルト・モデラート。フルートの曲としてあまりにも有名な音楽で、はじめは「おや、この曲の中に含まれていたのか」と驚いたものでした。今は遠くなった学生時代に、吹奏楽経験者らしい女学生が芝生の上でこの曲を練習していたのを思い出してしまいます。
第4曲:「メリザンドの死」。モルト・アダージョ。恋人ペレアスがゴローによって殺され、望みを失ったメリザンドが死を迎える悲劇を描く、葬送行進曲のようなものでしょうか。

1988年10月に、オランダのユトレヒトにあるムジツェントルム・ヴレデンブルグにて収録されたデジタル録音で、CDの型番は DENON COCO-70503 というものです。録音は自然なもので、自宅のステレオ装置で音量をあげると、繊細ななかに訴える力も感じられて、たいへん聴きやすいです。演奏・録音ともに、素晴らしいものだと思います。

■フルネ指揮オランダ放送フィル盤
I=5'57" II=2'41" III=3'42" IV=4'05" total=16'25"


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Unknown (バルビ)
2015-02-09 18:17:29
 佳いCDの紹介、ありがとうございます。この曲を久しぶりに聴き、佳い気分になりました。フルネさんは、存命中に群響を度々指揮して下さいました。素晴らしいフランス音楽の演奏の数々でした。彼の指揮したこの組曲や、ショーソンの交響曲、ドビュッシーの管弦楽曲の数々の演奏は忘れられない思い出となっています。フルネさんには、感謝しています。
 今日は、佳い思い出をたぐり寄せるのに、またとない記事でした。感謝致します。
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バルビ さん、 (narkejp)
2015-02-09 20:45:46
コメントありがとうございます。ジャン・フルネ氏は、日本とのご縁がけっこう深かったようですね。たしかN響アワーで紹介されていたところでは、最後の引退演奏会も日本でしたね。
当方、遺されたCDでドビュッシーやイベール、デュカス、フォーレ等に素晴らしい演奏を聴いております。そのほか、オネゲルの交響曲第3番などに意外なほど劇的な対比を強調した表現を示す等、たいへん興味深い素晴らしい録音が多いと感じます。
http://blog.goo.ne.jp/narkejp/e/eae15c5c27f57f250168e674b7376de6
そうですか、群響で実演をお聴きになっていたのですね。フルネ・マジックを実際に体感されたことでしょう。それは忘れられない思い出ですね。
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