
よく晴れた日曜日、午前中に自宅裏の果樹園のサクランボを剪定し、タマネギの草取りをして、よく働いた満足感を持って山響の演奏会にでかけました。「オーケストラの日2025」と題して、県民ホールで開催されるイベントのまとめとなる演奏会で、毎年楽しみにしているものです。今回のプログラムは、
第1部
ロッシーニ 歌劇「セヴィリャの理髪師」序曲
ハイドン トランペット協奏曲 変ホ長調 Hob.Viie:1 児玉隼人(Tp)
第2部
モーツァルト 歌劇「フィガロの結婚」K.492(ハイライト)
語り手:桂米團治、スザンナ:梅津碧、
伯爵夫人:尾形志織、ケルビーノ:上久保沙耶
出口大地(指揮)、山形交響楽団
という構成です。

今回の席は1階の奥の方でしたので、楽器編成と配置は見通せず、いくぶん不確かなところがありますが、おそらくは 8-7-5-5-3 の弦楽5部に Fl(2), Ob(2), Cl(2), Fg(2), Hrn(2), Tp(2), Tb(3), Timp. Perc. というものではなかろうか。コンサートマスター席には犬伏亜里さんが座ります。

今回、指揮をする出口大地さんは、以前、私的に肘折温泉に三日間ほど滞在したことがあるそうですが、山形市も山響も初めて。山響の印象は、古楽器を採用した独特な響きとスピード感のある音を持つオーケストラとのこと。颯爽とした明快な指揮ぶりで、ロッシーニの軽やかな曲を振りました。たぶんこの選曲は、「セヴィリャの理髪師」というオペラが「フィガロの結婚」の前日談になっているからではなかろうか。
続いてハイドンのトランペット協奏曲です。ソリストの児玉隼人さんは、この春に中学校を卒業したばかりのピカピカの15歳。第1楽章:アレグロ、第2楽章:アンダンテ、第3楽章:アレグロ、見事な演奏を聴かせてくれました。アンコールはアーバンの「ヴェニスの謝肉祭」だそうです。
児玉さん、この春からは通信や海外などで勉強することとなり、学生生活は終了だそうです。同い年の人たちが高校に進学し、吹奏楽部でアンサンブルをするのが楽しそうと語り、今までソロだけだったので室内楽やアンサンブルをやりたいと抱負を語ります。将来はオーケストラで演奏したいそうで、山響ともぜひ再演を期待したいものです。
ここで15分の休憩。

第2部、モーツァルトの「フィガロの結婚」です。ステージ中央に上方落語風の高座が設けられ、語り手の桂米團治さんが登場します。ご本人が大好きなモーツァルトのオペラを落語にアレンジしたきっかけを簡単に説明、指揮の出口大地さんと山形交響楽団を紹介し、さっそく序曲が始まります。序曲が終わる直前に米團治さんが高座に上がり、冒頭のフィガロが家具を置く寸法をはかる場面を演じます。なるほど、フィガロは米團治さんが演じる趣向なんだな。続いてケルビーノが登場、自分で自分がわからないと歌います。伯爵夫人のアリアに続きケルビーノが「恋とはどんなものかしら」を歌い、どたばたが起こります。スザンナは伯爵をこらしめる自分の計画を夫人に話し、伯爵夫人とスザンナの手紙の二重唱となります。このあたりの筋は米團治師匠が上方落語風にぶっちゃけて展開。フィガロ役だけでなく歌も、またアルマヴィーヴァ伯爵の役もやってしまうのですから実に大活躍。でも、真っ暗な東屋でスザンナに扮した伯爵夫人に触って「少し太ったかな」はイエローカードかレッドカードか判断に苦しむところですよ(^o^)/
伯爵夫人の許しの場面、夫人とスザンナとケルビーノの三重唱がステキでしたし、フィナーレの大団円も実に楽しく素晴らしかった。

最後は「楽器づくり」イベントに参加した小さい子供たちもステージに上がり、梅津さん、尾形さん、上久保さんを含む出演者みんなで「ラデツキー行進曲」を。そうそう、児玉隼人さんも楽器を持ってオーケストラに仲間入り、一緒に演奏しました。これが会場全体の大きな盛り上がりを生み、聴衆の皆さんの手拍子も実に楽しそうでした。もちろん私も、大満足の演奏会でした(^o^)/
児玉さんのハイドン、同じラッパ吹きの端くれとしては羨ましい限りです!
相当な実力派なので、将来はソリストとして活躍してほしいですね
>narkejpさん、お久しぶりです... への返信
コメントありがとうございます。今年も楽しい演奏会でした。そういえば児玉隼人さん、北海道釧路市生まれだそうですね。独奏者の孤独を感じてアンサンブルや室内楽の楽しさを求めているのでしょうか。これから国際的に良い音楽仲間ができてくるといいですね。