電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

コーンウェル『遺留品』を読む

2009年09月26日 06時09分35秒 | -外国文学
バージニア州の女性検屍局長、ケイ・スカーペッタを主人公とするシリーズ第三作、パトリシア・コーンウェル著『遺留品』(講談社文庫)を読みました。人畜無害の読者である当方(^o^;)には、毎回ハラハラドキドキの展開ですが、検屍に登場する生化学的な知識やコンピュータ・ネットワークのリアリティが詳しくて、それらがストーリー展開に密接に関わりあっているところが新鮮かつ魅力的です。

今回の事件は、若いカップルの連続殺人事件。相棒となるピート・マリーノ刑事は相変わらずぶっきらぼうですが、ケイのことを信頼するようになっているようです。直近の被害者の母親は、前州地区検事で全米麻薬対策委員長であるパット・ハービーの娘です。いわば、検察や警察の内情に精通した有力な政治家の娘、というわけです。4組8人の若者の死に、政府機関の影が見えるのか。

最後まで読ませる魅力は前作どおりで、幕切れに明かされる、犯人と証拠のDNAの不一致という難問は、骨髄移植という医学的知見によって解決されます。このあたりの展開もなかなか意外性があり、おそらく作者が工夫したところなのでしょう。

ところで、第一作で登場した驚異の十歳児、姪のルーシーが少しだけ登場します。現在はハイスクールの生徒に成長しておりますが、切れの良い頭脳は健在のようです。

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