電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

J.S.バッハ「チェロとハープシコードのためのソナタ第2番」を聴く

2019年02月25日 06時04分39秒 | -室内楽
このところ、通勤の音楽としてずっと聴いてきたのは、J.S.バッハの「チェロとハープシコードのためのソナタ集」(DENON COCO-70745)です。ヤーノシュ・シュタルケル(Vc)とズザナ・ルージッチコヴァ(Hrpsc)によるアナログ録音で、DENON とスプラフォンとの共同制作です。1977年に同世代の二人の名手がプラハで初共演し、シュタルケル側の希望で、同年秋に「芸術家の家」で収録されたものだそうです。もともとは OX-1024 というLPレコードで発売されていたようですが、クレスト1000シリーズに加えられて初CD化されたのだそうな。



収録された三曲のうち、今回は第2番ニ長調BWV1028が特に心に残りました。緩ー急ー緩ー急の四楽章。

第1楽章:アダージョ、4分の3拍子。例えばチェンバロの右手をチェロが模倣し、左手は独立した声部を奏するというように、「二人でトリオ・ソナタ」ふうな音楽です。次の楽章の前奏のように、ふっと終わります。
第2楽章:アレグロ、4分の2拍子。いきいきとした活発なリズムで、ここは運転も楽しくなる音楽です。
第3楽章:アンダンテ、8分の12拍子、ロ短調。美しく繊細な音楽。どうしても、こういう音楽に心が惹かれてしまうのです。
第4楽章:アレグロ、8分の6拍子。ここも、実に聴き応えのある音楽です。モダン・チェロとモダン・チェンバロではありますが、往年の名手二人が気合充分に室内楽の妙味を聴かせてくれます。

もともとは、ヴィオラ・ダ・ガンバとハープシコードのために書かれた曲らしく、樋口隆一著『バッハ』(新潮文庫)によれば、ケーテン時代、留守中に奥さんを失う悲劇に見舞われた1720年頃の作品らしい。



ネットにも様々な動画が投稿されていました。例えば第2楽章をチェロとピアノで。

Bach: Viola da Gamba Sonata in D Major, BWV 1028 Allegro | Dale Henderson & William Chapman Nyaho


第3楽章アンダンテをVn、Vc、Cbの弦楽三重奏で。
J. S. Bach: Sonata in D major BWV 1028 - Andante


冬場の通勤の音楽には、ロードノイズに紛れがちなため、繊細なチェンバロの音は不向きです。それでも、不足する音は脳みそで補完し、バッハの音楽は楽しむことができます。週末には自室のステレオ装置でしみじみ聴く、という具合です。



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