電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

土橋正『文具上手』を読む

2018年09月08日 06時00分29秒 | -ノンフィクション
東京書籍刊の単行本で、土橋正著『文具上手』を読みました。2012年8月刊の第1刷で、某図書館から借りてきたものです。著者の本は以前にも読んだことがあり(*1)、このときは「はじめに」の冒頭の一文にカチンと来たものでした。今回はどうか。

他の人が文具をどう使っているかという興味は、なかば野次馬根性で、良さそうなものがあれば真似して使ってみたいという気持ちもあります。その意味では、デザイナーやイラストレーターといった立場の人が3分の1を占めるなど、デザイン系が多いという偏りはありますが、まずまず当方の野次馬根性を満たしてくれる内容ではありました。

ただし、どうしても引っかかる部分もあり。例えば満寿屋の専務さんを取材した記事では、現在はノートを使わなくなり、ジョッターに書いている理由として、ノートでは読み返した時に欲しい情報がすぐに見つからずに不便に感じたためだと説明しますが、理系石頭人間にはこのへんの理由がよくわからない。ノートに書いて見つからないと言うけれど、ジョッターで書きとめたメモがたまっていったら、ますます探しにくく見つからなくなるだろう。もっともらしく格好をつけてはいるけれど、要するにジョッターを使ってみたかっただけではないのか(^o^)/

また、空間デザイナー・クリエイティブディレクターの取材記事中に、打合せの「議事録」では図はラミー・サファリ万年筆に紫色のインクで、文字はフリクションボールを使い、変更を消して書き直すため、としています。でも、我が家のリフォームの際に、建築士さんは毎回その日に打合せた事項の記録を油性ボールペン(Jetstream)で書き、感圧紙の控えを私(客)に渡してくれていました。要望に応じた図面の訂正はフリクションボールを使っていましたが、消して勝手に変更できてしまうので記録には使わないように会社で決まっていたそうです。仮にも「議事録」と呼ばれるような内容であれば、消せるペンで書いていたら、証拠能力が不十分なのでは?と思ってしまいます。

どうも、著者の視点はカッコよさのポーズ重視で、ビジネスの本質の理解がいささかズレているのではなかろうか(^o^;)>poripori

(*1):土橋正『文具の流儀〜ロングセラーとなりえた哲学』を読む〜「電網郊外散歩道」2012年9月

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