電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

星亮一『ジョン万次郎』を読む

2016年04月14日 06時04分47秒 | 読書
山本一力さんの『ジョン・マン』をおもしろく読んでいますが、発刊スピードはゆっくりしたもので、とても待ちきれません。たしか、PHP文庫中の1冊に、『ジョン万次郎』の本があったはずと思い出し、再読しました。

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2002/05/20 『ジョン万次郎』読了 PHP文庫で星亮一著『ジョン万次郎~日本を開国に導いた陰の主役』を読了した。本書では、英仏が明治維新に大きな役割を果たしているが、日米和親条約が英仏の領土的介入を防ぐ役割を果たしていたと評価する。この解釈は、はたして適切なのであろうか。先に読了した吉村昭著『アメリカ彦蔵』で描かれたジョゼフ・ヒコの物語からもわかることだが、アメリカは南北戦争で内戦状態にあったために、英仏の領土的介入を防ぐことなど実際上できなかったと考えられるが。

うーむ、ほぼ14年ぶりの再読になりますが、今回はわりにおもしろく読むことができました。

本書によれば、ジョン・万次郎の前半生は、炊夫として漁船に乗り組み、嵐で難破漂流して鳥島に漂着します。そこでアメリカの捕鯨船に救われ、船乗りになります。やがてアメリカに渡り、小学校やフェアヘブン海員学校等で教育を受けたのち、捕鯨船に乗り組み、一等航海士になります。カリフォルニアのゴールドラッシュに刺激され、金鉱探しで金を稼ぎ、ハワイに残っていた仲間と共に上海行きの船に乗り組んで、沖縄に上陸します。

後半生は、沖縄を支配する薩摩藩の取調べを受け、島津斉彬の知遇を得るところからです。長崎奉行所の取調べを受け、幕府の頑迷さにがっかりするというパターンは定番の表現。土佐の山内容堂に身元を移され、ようやく郷里に帰ることができます。やがて幕府に召し出され江戸に出ますが、来航した黒船との折衝・対応は叶わず、江川太郎左衛門の塾に移り、結婚します。ここからは幕臣として教育にあたることとなり、通訳として咸臨丸に乗り組んでアメリカに渡り、案内役を果たします。帰国後、幕臣の身分のまま薩摩に出向し、教育にあたりますが、ここは open mind で対応します。明治維新にも薩長と幕府を超えた立場で対応、山内容堂に仕えます。

こんな感じでしょうか。あらすじを淡々と紹介するタイプの筆致ですので、余分な思い入れは少なく、ワクワクドキドキの物語ではありません。PHP文庫に収録されるだけあって、どちらかといえば薩長史観の親米路線(^o^)に立った『プレジデント』風の本です。山本一力『ジョン・マン』の続巻を待ちながら、ジョン万次郎の生涯を端的に知りたいときの本。そういう割り切りをして、興味深く読みました。

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