電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山響第243回定期演奏会でバラキレフ、ドヴォルザーク、ボロディンを聴く(2)

2015年03月10日 21時18分34秒 | -オーケストラ
昨日の記事(*1)の続きです。
2曲目は、ドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲です。
独奏者は、千住真理子さん。私が山響で千住さんとの共演を聴くのは、今回が二度目のはず。テキストファイル備忘録を検索して見たら、

$ grep "千住真理子" memo-utf.txt
1998/01/18 千住真理子/山響の定期演奏会 1月22日(木)19時、村山市民会館で、村川千秋指揮山形交響楽団、シベリウス/バイオリン協奏曲、同/交響曲第4番など。連絡先:0237-XX-XXXX、一般前売り1500円、親子前売り2000円、小中学生前売り800円。

なんと1998年の冬でした。実に17年ぶりということになります。今回は黄色?金色?の地に色々な大きさの黒い丸が配されたドレスで、颯爽とした姿は全く変わらず。
楽器編成は、ホルン(2)が追加されて、8-7-5-5-3の弦楽5部に、Fl(2),Ob(2),Cl(2),Fg(2),Hrn(4),Tp(2),Tb(3:うち1はBsTb),Timp. という通常配置です。
第1楽章:アレグロ・マ・ノン・トロッポ。冒頭の力強い全奏による開始で、ぐいっと音楽にひきこまれます。歌にあふれる独奏ヴァイオリンは、まさにドヴォルザークの世界。オーケストラも、見事に応え、協奏曲の醍醐味です。第2楽章:アダージョ・マ・ノン・トロッポ。独奏ヴァイオリンの魅力をふんだんに発揮する楽章です。第3楽章:フィナーレ、アレグロ・ジョコーソ~マ・ノン・トロッポ。軽やかに、はずむように、音楽が踊ります。楽しい音楽ですが、演奏は真摯に。
全体として、ドヴォルザークの音楽自体がそういう要素をもっているのだと思いますが、激しさのある表現と感じました。



お客さんの入りは、千住真理子さんの人気も加わってか、けっこうな入り具合です。最前列に空席が見られる程度で、これなら一安心。
15分の休憩の後は、ボロディンの交響曲第1番(*2)です。
楽器編成は、協奏曲とほぼ共通ですが、オーボエがイングリッシュホルン持ち替えになるなど、若干の変更もあります。
第1楽章:アダージョ~アレグロ~アンダンティーノ。重々しい序奏で始まり、しだいに表情を変えていきます。主部は力強さもあり、盛りだくさんな印象。ちょいとメンデルスゾーンのような雰囲気もあります。第2楽章:スケルツォ~プレスティッシモ、トリオ~アレグロ。細かな弦の動きで始まる、軽快なスケルツォです。木管楽器の低音を効果的に使っています。斎藤真美さんのイングリッシュ・ホルンがと~っても魅力的に響きます。第3楽章:アンダンテ。コントラバスと2nd-Vnが導きだす音楽。やっぱり斎藤真美さんのイングリッシュ・ホルンのソロが印象的。旋律の魅力は、いかにもボロディンらしいです。第4楽章:アレグロ・モルト・ヴィーヴォ。プレトークで話題にした、シューマンのシンコペーションを伴うリズムという件、なるほど~。冒頭から、たしかに活気あるシューマンのリズムみたいに聞こえます。金管楽器群も活躍、ティンパニも要所を締めて、明るく幸せにフィナーレを飾ります。

終演後のファン交流会には、残念ながら千住真理子さんはすでに帰京されたとのことで欠席。指揮者の大井剛史さんが話をされました。私は「マイナーな曲担当?」と笑わせた大井さん、プログラムの写真で見るよりもずっと若いのですね。1974年生まれといいますから、41歳でしょうか。今回のプログラムは、とても面白かった。きわめてマニアックな曲でもよいですので(^o^)、ぜひまた聴いてみたいものです(^o^)/



そうそう、この曲で新たに発見したのは、川上さんがクラリネットで吹いていた森のフクロウの鳴き声みたいな音。あれは良かった! 思わず真似したくなるほど、絶妙でした。



作曲された1860年代後半は、日本で言えばまさに黒船来航と開国への激動の真っ只中。ボロディンが生きた当時の帝政ロシアも、決して明るくはなかった。思わず同時代の対比をしてしまいます。

(*1):山響第243回定期演奏会でバラキレフ、ドヴォルザーク、ボロディンを聴く(1)~「電網郊外散歩道」2015年3月
(*2):ボロディン「交響曲第1番」を聴く~「電網郊外散歩道」2011年10月

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