電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

佐伯泰英『失意ノ方~居眠り磐音江戸双紙(47)』を読む

2015年01月24日 06時09分06秒 | -佐伯泰英
『陽炎ノ辻』に始まる佐伯泰英著『居眠り磐音江戸双紙』シリーズも、ついに第47巻まで到達しました。本巻では、絵師・北尾重政の絵筆を通して、小梅村の尚武館坂崎道場の日常風景を描きながら、出羽国山形の前田屋奈緒母子の苦難を救うべく旅立つ師弟、老中田沼意次と磐音の対面など、エンターテインメント的名場面ば展開されます。

第1章:「弥助の出自」。幕府の密偵であった松浦弥助は、わが手にかけた若者の遺髪を持ち、伊賀の泉下寺に参ります。供養の後に向かったのは、出羽国山形の前田屋奈緒母子のもとへ、でした。磐音は偶然にもやくざの借金取りに追われる絵師の北尾重政を助け、尚武館坂崎道場に居候させることになります。

第2章:「神保小路の屋敷」。弥助を助けるべく霧子も山形へ出発し、磐音は奈緒母子を迎え江戸で暮らせるように根回しを始めます。やっぱり頼るのは今津屋の由蔵さん。しかし由蔵さんの情報網・人脈の幅広さと的確さには、驚かされますね~(^o^)/

第3章:「婿選び」。奈緒の働く先については、本所の紅花染め職人の篠之助親方が力になってくれそうです。ところが道場に戻ったら、迷惑な爺さんと孫娘と七人の侍が道場破りに来ていました。なんでも、孫娘の婿選びのために剣術の試合をしたいという申し出、それはまた破天荒なというか、無茶苦茶というか、作者はよくもまあこういうストーリーを考えだすものです(^o^)/

第4章:「玄妙妖術ひな」。妖女の妖しさは、「八犬伝」中の「玉梓の怨霊~」なみですね~(^o^)/
また、それを熱心にスケッチする北尾重政殿は、充分に怪奇作家の資格有りです。

第5章:「失意の方」。やっぱり! 田沼意知の墓前で意次と1対1で対面したというのに、磐音クンは家基の、あるいは養父母の仇!と立ち向かうこともせず、どうやらその気はなくなったようです。田沼意次の晩年は、誰かに仇討されたという史実はないので、磐音が敗北するか、仇討を諦めるか、悟りを開いて赦しを与えるくらいしかないのでは(^o^)/
さて、作者はどのような結末を与えるのでしょうか。あと残すは3巻です。

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