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リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

バロック・リュート奏法の歴史的根拠と実践(20)

2022年12月07日 14時54分42秒 | 音楽系
いろんなホールドの仕方があって、なんでもアリみたいな感じもしますが、昔にはほとんどなかったパターンもあります。それは現代のクラシック・ギタリストのように左足を足台に乗せて演奏する方法です。ギターだと真ん中がくびれたボディの形状から、楽器を左足の上に乗せると安定しますが、リュートのティアドロップ型のボディでは左足の「乗せ場」がないからでしょう。(クラギ式ホールディングはひとつ見た記憶はあります)

あとストラップを使う例(前回に掲載)はありますが、そう多くはありません。テオルボなんかよくストラップなしで安定するものだと思いますが、よく見てみるとテーブルに楽器を当てて安定させている絵がいくつかあります。あるいはテーブルに乗っけているものも。テーブルの材質によっては、音を大きく響かせる効果があると思います。



楽器をどう構えるかで重要なことは楽器が体に接する部分をできるだけ少なくして、楽器の響きを阻害しない方法を採ることです。

その考え方に立つと、両足で楽器を挟んだり、左足代を使ってクラシック・ギタリストのように弾く方法は楽器が足に接する点が2点になるので、実際かなり楽器が響かなくなります。せっかくいい楽器で弾いてもこれでは台無しです。

私が採っている方法はストラップを使って、楽器を足に接触させない方法です。この方法だと座奏だけでなく立奏も可能です。座奏のときも椅子や足台の高さ調整が必要ないので実用的です。楽器が体に接する部分はリブの一部だけですので有利です。

なお最近のギターでは胴体にはさむアタッチメントを使って演奏をする方法もあるようですが、これは絶対に楽器の響きを減らしてしまうので損な方法です。同じアタッチメントでも乗せるだけのものもありますが、こちらの問題は少ないと思います。この楽器に挟むタイプのアタッチメントはもちろんリュートで使っても得なことはありません。せっかく良く鳴る楽器が鳴らなくなりますし、鳴らない楽器はさらに鳴らなくなります。