リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

新作委嘱

2005年07月31日 17時49分21秒 | 音楽系
リュートは過去におびただしいレパートリーがありますが、現代作品となると非常に少ないのが現状です。今までに書かれたすばらしい作品大杉(笑)なので、現代作品が必要ない感じもしますが、21世紀に生きている以上あってもいいような感じもします。

それでもルネサンス・リュートのための作品は数としてはそこそこありまして、日本人による作品だと、武満の室内楽が2曲(サクリファイス、リング)があります。でもマイナーですよね。めったに演奏されることはないし。あと日本人以外の人の作品もありますが、武満のギター作品のように今後もずっと残りそうなのはあまりない感じです。
バロック・リュートのために書かれた作品は、伊福部昭のファンタジアがあります。なかなかいい曲なので一度弾いてみたいですが、どうやって楽譜を手にいれたらいいのでしょうかね。

この間名古屋在住の若い作曲家、ジェイソン・テイラーさんに会いまして、バロック・リュートのための新作の打ち合わせをしました。彼の作品は基本的には和声的で、なかなかいいムードを持っています。実はバーゼルにいたときに何回かやりとりをしていまして、作曲をお願いしていましたが、会うのはこの間が初めてでした。打ち合わせの内容はナイショですが、構成としては組曲になるはずです。できあがり次第コンサートで、チョイ出しをしていくかもしれません。

違和感?

2005年07月30日 17時34分14秒 | 音楽系
日本に戻って3週間とちょっとになりましたが、リュートを弾いていて思うのは、自分の耳に聞こえてくるサウンドの違いです。戻ってすぐのときに感じた違和感みたいなものはいまだにつきまとっています。
普段は8畳の広さの自宅スタジオで弾いているんですが、少なくとも静かさという点では簡易防音を施してあるわが家のスタジオの方が上で、バーゼルの下宿の一室よりは条件がいいはずです。バーゼルの下宿は鳥の声やら、人が通る声、時には土木工事の音など、意外にいろんな生活音に囲まれていました。でも不思議にその中でリュートの音がすごく通って聞こえていました。(もちろん土木工事の最中は最悪でしたが(笑))
多分部屋の響きと湿度の問題が直接的な原因でしょうけど、自分がバーゼルで出していた音からどんどん離れていく感じがしてちょっと面白くないです。日本の部屋と高温多湿の空気に自分の耳と指がどんどん勝手に適応していく感じで困ったもんです。(笑)
完全にジャパナイズされてしまう前になんとか手を打ちたいですが、さてどうしたものか。

また見舞い

2005年07月30日 00時50分48秒 | 日々のこと
昨日はまた息子を見舞いに東京に行ってきました。
経費節約のためバスで行くので、いつもよりかなり朝早く起きて、大変感心なことに、少し音階練習をしてから出かけました。帰りが深夜バスで帰るので、この日は全く練習できません。短い時間でもやらないよりマシでしょう。

息子は見かけはそんなに変わりませんでしたが、以前よりは多少元気が出てきたような感じを受けました。主治医の先生に聞きましたら、血液検査で感染を表す数値(何ていうのかは忘れましたが(笑))がかなり下がったとのこと。とりあえず一安心です。3時過ぎに病院に入って、とりとめのないことをあれやこれやと話をしているうちに、あっという間に退出時間の8時になり、病院を出ました。

帰りは新宿から深夜バスです。前回はJRの深夜バスでしたがイマイチでしたので、別のプランに変えました。こちらは車両がベンツ製で乗りごこちもまずまずでした。これからはしばらくはこれですね。

台風

2005年07月26日 18時28分08秒 | 日々のこと
今日は私の誕生日ですけど、台風の風が一日中吹いていました。幸い直撃はしませんでしたが、それにしても一昨日の東京の地震と言い、この台風と言い、日本は自然事象イベントが多い国ですね。

バーゼルは一年を通じてほとんど嵐、大雨、地震がなく、ある意味大変平板な環境です。別の言い方をすれば過ごしやすいということですけど。(笑)

でも、日本のこの多彩な自然事象イベント、私は大好きだったりします。大きな台風が来るときなど、テレビは臨戦態勢になり、刻々とせまりくる敵の情報を伝えてくれます。この臨場感はいいですね。もっとも災害に遭うと困るんですけど。

ウチの近所は、40何年か前の伊勢湾台風でやられまして、家の中に水が入ってきたことを憶えています。まだ小学生低学年で、ぼーっとしていたこともあったので、恐怖感は全く残っていませんが、今同じことが起こったら恐怖ですね。1階のスタジオに置いてあるリュートを全て上の階に非難させて、楽譜類も水につからないように・・・考えただけでも恐ろしい。

今の家を建てるときに、伊勢湾台風時の冠水ラインまで土地をかさ上げして、さらに土台分だけ高くして家を建てました。だから仮に伊勢湾台風並みの水害があっても大丈夫なはずなんですが・・・でも昔といろんな条件が異なっていますから、どうなるかはわかりませんよね。そうそう、知り合いが災害時の長期停電に備えて発電機を用意しておくといいと言っていましたが、これは良さそうですね。

荷物

2005年07月25日 17時53分16秒 | 日々のこと
バーゼルから送った荷物がまだ片付きませんねぇ。(笑)
荷物自体はこちらに戻って来た次の週に届いたんですが、家にいないときも結構あったりして、しばらくそのままでした。3日前にやっとまとまった時間ができてその気になったんですが、中味を取り出して元に戻す作業を始めると、入る場所がないことに気がつきました。そこで、まず不要なものを捨ててスペースを確保することにしましたが、これがまた結構大変。本棚に空きスペースを作ったらそこをぞうきんがけしてきれいにして、捨てるものは素材によって分別して、と言う具合にどんどん仕事が増えていきました。

で、結局その日は部屋の片付けを8割かたしただけで終わってしまいました。向こうで新たに買った楽譜や作成した資料も多分入るスペースが確保されたと思うんですが、それ以降またまとまった時間が取れず、そのまま。見た目には何も伸展していない感じです。(笑)

あと、向こうに行く前に作りかけたパソコンパーツが転がっているのでそれを完成させなければいけないし、(パーツがもう旧式化してしまってイマイチ意欲がでませんが)スタジオのMIDI周りを少し整備するのと、あと録音関連の機器もセットアップしなければならないなどなど・・・やることがわんさかあります。で、一番先にやらなければならないのが、あと2割くらい残っている部屋の片付けですね。これをしないと後に続くものが全て始まりません。ま、ブログ書いているヒマがあればさっさと片付ければいいんですけどね。(笑)

ドレスデン写本

2005年07月24日 21時57分25秒 | 音楽系
自分で修正加筆したヴァイスのドレスデン写本の原稿を確認してみました。
もう20年以上経っているので、ひょっとして写真が変色、なんてことになっていなければいいが、と恐る恐る見てみました・・・私の部屋の某所に秘匿されていた原稿は、全て問題ない状態でした。ほっ。

ドレスデンの博物館から買ったマイクロフィルムを写真に焼いてそれを加筆修正を加えるための原本にしました。もちろん印画紙はコピーに使う専用の薄手のものです。そのころのカラー写真は色がだいぶあせていますが、白黒は全く変化ありません。でも白黒でも定着や水洗をいい加減にすると20年も経つと黄ばんできます。確か、100年はもたせなきゃと、念には念を入れて処理した憶えがあります。

今度これを再版する予定ですが、いくつか再修正加筆をしようと考えています。でも今のところ全くの手つかず。9月にはあげようと思っていたのですが、ちょっと無理かもしれません。これを待っていらっしゃる方、ごめんなさい。m(_ _)m

大須、のちコンサート

2005年07月24日 02時42分34秒 | 日々のこと
今日は友人とひさびさに大須に行って来ました。1年ぶりにというか、実質2年ぶりに行く大須はなんかすっかり変わってしまってびっくりしました。
もともとコンピュータの街は変転がはげしいものですが、2年も足が遠のいているとその変化にはもうついて行けない感じです。マザーボードやチップセットも3世代くらい進んでしまって驚きの連続です。
何がどう変わっていったのか、頭の整理をするのにしばらく時間がかかりそう。
そういや、DDIポケットがウィルコムになっていたし・・・

そのあとミューズ音楽館で行われた高田元太郎さんのギターコンサートに。
ギターの世界は、最近数年間ギターの方たちとおつきあいを再開したとはいうものの、レパートリーがすっかり昔と変わってしまったようで、今日の彼のコンサートも知らない曲の方が多かったです。もっともこちらはコンピュータの世界とは異なり、2,3年で変わったわけではなくその10倍以上の時を経た結果ですけど。

難病

2005年07月22日 10時11分49秒 | 日々のこと
昨日と一昨日は東京にいました。実は20歳になる息子が潰瘍性大腸炎という病気で東京の病院に入院していまして、その見舞いに行っていました。潰瘍性大腸炎というのは最近若い人によく見られる病気で、今のところ完治させる方法がないそうです。(いわゆる難病指定されている病気です)
私の息子は生まれてこの方病気らしい病気はしたことがなく、6月までは元気に東京でラッパーの修行にいそしんでいました。(何の因果かリュート弾きの息子がラッパーです(笑))
それがちょうど私がスイスから帰国しようとしていたころあたりから血便が出始めたらしく、それでも放っておいたらなおるだろうと本人は思っていたようです。でも一向によくならず、病院に行くことにしたというメイルを帰国途中のシンガポールで読みました。でも、その時は潰瘍性大腸炎という病気のことは全然知らず、ちょっとお腹をこわした程度だろうと思っていましたが、一応東京病院まで行ってやることにしました。それが帰国の翌日の8日のことです。
病院では検査をするとのことだったので、検査が終わったら、久しぶりなので消化のいいうどんでも一緒に食べようかななんて思っていました。でもそれは実はとんでもない見当違いでした。担当の先生から病名を告げられ、即入院と言われたときは思わず声をあげてしまいました。
8日に入院以来家族で交替で東京まで行っています。私は昨日で帰国以来東京滞在5日目です。治療は対症療法しかないらしく、しばらくは薬の反応は全くなく心配しましたが、ここ2、3日は少し反応があるようで少しほっとしています。
でも8日以来何も食べず点滴だけの息子の頬はげっそりとこけ、毎日数回から10回近く襲ってくる下痢と下血に耐えています。健康な人がお腹をこわしたときの下痢と異なり、1回の下血を伴う下痢は30分から1時間を要するのです。
私がスイスにいる間は一切親に心配をかけなかったのですから、親孝行な息子ではあります。入院は8月一杯は必至で、しばらくは週に1,2回東京に行くという生活が続きそうです。

さわり

2005年07月19日 18時55分24秒 | 音楽系
新聞で読んだんですが、最近クラシック名曲のさわりばかりをCD6枚に集めたセットが売れているそうです。なんでもベートーヴェンの第9交響曲は第四楽章の一部だけで3分19秒だそうな。

春だけは妙に詳しいヴィヴァルディ

って感じですね。(笑)でもこの場合は一応全曲入ったCDを買ってはいるので、まだいいのかも。でも春だけとか、春の第1楽章のみしか聴かないのなら、「さわり」集と同じかな。

で、それをきいて「オリジナル」のCDが売れ始めたかというとそうではないらしい。要するにクラシックは長すぎて聴く気が起こらないけど、世に名曲と言われている曲については知っていたいというところかな。でもさわりだけ知っていてどうするんだろう?それで教養人になったつもりになるのかな?それとも全く知らない人に蘊蓄を垂れるのかな?
ヴァイスのリュート曲なんか40分くらいかかる組曲やソナタがごろごろしていますが、ああいうのも現代的テイストには合わないのかもしれませんね。リュート1本で延々と40分も・・・どういう層が聴いていたかはわかりませんが、曲が残っている以上誰かが聴いていたのですよね。多分途中で休憩を何回か取りながら、2時間くらいかけてソナタを2曲くらいという感じでしょうか。

ヴァイスのさわり集を作るというのも手でしょうけど、件のさわり集の編集者にかかれば、作ったとしてもあの膨大な作品の中からクーラント1曲ってことになるんでしょうね。
でもそのさわり集、なんか聴いてみたくなってきました。イントロクイズなんかに使えそう。(笑)

移調

2005年07月18日 13時02分28秒 | 音楽系
10月にリコーダーアンサンブルのコンサートに出演します。リコーダーアンサンブルが名古屋市の南山大学ロゴスセンターでリハーサルをしているということなので、そこまで出かけて楽譜を頂くことにしました。南山大学は私の出身の大学なので、とてもなつかしいところです。
大学のまわりの道に路駐して(たぶん無余地違反かな)ロゴスセンターに行きました。ロゴスセンターの建物は私が学生の頃はまだ新しかったんですが、やはり時の流れを感じさせます。Oさんに会い、楽譜をもらいましたが、リコーダーのピッチを聞いてびっくり。何と466と440だそうです。うーん、いくら何でも415用の楽器を1音上げるのはいくら何でもきびしすぎるし・・・移調するか・・・移調するとイ短調がロ短調になる・・・テオルボならやれなくはないけどなぁ・・・
いろいろ迷ったあげく一番楽な(笑)方法が見つかりました。バロック・ギターにカポタストです。バスの音は出せないけど、(Oさんに聞いたら、それでも構わないということなので)楽譜も書き直しする必要もないし、これはいい方法です。
440の曲はルネサンス・リュートで対応することにしました。
本当はテオルボで豊かな低音を出してアンサンブルを支えようと思っていたんですが、仕方ないですね。
ん?ちょっと待ってください。今ちょっとひらめきました。415のA-tuningテオルボを一音上げて466にして、それを今度は一音下げると466のG-tuningテオルボが出来上がりますね。簡単に言えば、415A-tuningをG-tuningのつもりで楽譜を見ればいいんですね。なんだ。これで行きます、はい。(笑)