リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

2つの演奏会(2)

2009年09月29日 12時33分39秒 | 音楽系
26日はフランス・バロック音楽、チェンバロとロトラヴェルソ・フルートの調べというタイトルのコンサートでした。テオルボもガンバも入っていましたし、カプスベルガーもバッハも演奏しましたので、全くタイトルとは異なる内容の演奏会でしたが、演奏はすばらしかったので、よしとしましょう。

この日の演奏会は地元の出身の方がいないので、ちょっと聴衆は少な目でした。こちらも宣伝不足だったみたいです。地元のリュートやトラヴェルソやチェンバロやガンバの愛好家が大挙しておしよせてもよかったのになぁと思います。もったいないことです。

チェンバロの脇田英里子さんとヴィオラ・ダ・ガンバのMargaux Blanchardは2004年からバーゼル・スコラ・カントルムで勉強している人たちです。個人的には1年間ご一緒させていただきました。脇田さんは、英語の勉強意欲がとても高く、私は専属の英語教師を仰せつかっていました。(笑)Margauxは入学当初から美貌と凄腕のガンバ奏者としてすでに評判だった人です。

脇田さんの演奏は残念ながらソロはありませんでしたが、とてもしなやかに歌っていたいい演奏でした。スコラに入学した頃は、若干音楽に固さが見られましたが、ずいぶん成長したものだと思います。使用していた楽器もとても豊かな音量できれいに響く楽器でした。リュートはいろんな楽器を同じ場所で弾き比べが可能ですが、チェンバロはそれがなかなか難しい楽器です。宗次ホールで何回かチェンバロの音を聴いたことがありますが、脇田さんが演奏した楽器は比較にならないくらいいい楽器でした。それが彼女の充実した演奏と相乗効果をもたらしたのは言うまでもありません。その楽器製作者の名前を彼女から聞いていたのですが、今ちょっと思い出せません。確か、ヨーロッパの人のようだったですが・・・(笑)

テオルボのThomas Dunfordは弱冠21歳(もう1歳若かったら文字通りの弱冠です)、スコラには18歳から学んでいるという逸材です。まだ少年の面影が残る面立ちながら、繰り広げる音楽はすでに大家を思わせます。うーむ、まだ21歳でこの充実ぶり、天才というのはこういうものなんでしょうねぇ。彼を見ていると、スコラのリュートクラスで私と勉強していた人たちが普通の人に見えてきます。

終演後話をしましたら、彼のお父さん(リュート奏者です)と今村泰典さんとはよく知っている間柄で、彼が小さいときによくアイスクリームを食べさせてくれたと言っていました。彼の使っていた楽器が、モーリス・オッティガーでしたので、何年製と訪ねたら2007年生だとのこと。私のと同じです。2007年の6月にモーリスの工房に行ったときに、ほぼ完成したテオルボが1台ありましたが、それが彼の楽器だったのかも。

彼曰く、「先生も共通だし、今村さんもよくご存じだし、テオルボまで同じ製作家、なんかすでに共通点が多いですね」ほんとにそうですね。ええ、こんなおっさんですが、これからもよろしくおつきあい下さい。

2つの演奏会(1)

2009年09月28日 11時53分43秒 | 音楽系
先週の24日と26日、いずれも名古屋市内の宗次ホールで2つのコンサートを聴きました。主催は2つのコンサートとも若手音楽家育成アヤメ基金で、パンフレットを見たらやけにスイスで知り合った人が多く出演するのでどうしてかなと思っていました。

パンフレットの最後のページを見て、バーゼル在住の野川等さんが中心になってオーガナイズしたと書いてあったので、理由がわかりました。野川さんはスコラ・カントルムとバーゼル音楽院で学ぶ学生たちをいろんなかたちで支援されている方で、私もそのおこぼれにあずかり、何度かご自宅のパーティに寄せていただいたことがあります。

24日のコンサートは地元出身の野田亜希さん(オルガン)と日渡奈那(ギター)さんのコンサートでした。日渡さんは、バーゼル音楽院でオスカー・ギリアに師事された方で、現代曲からルネサンス・バロックまで非常に音楽性に富んだ演奏をします。日本の「ギター界」では数少ないタイプの演奏家です。現在スイスのベルンで演奏活動をしています。そういや、終了演奏会の直前に私の下宿にやって来て、歌の日本語訳をいっしょに考えたのを思い出しますねぇ。結構きわどい内容の歌詞だったので、訳語の選定が大変でした。(笑)

野田さんは私がバーゼルにいた時期とは重なりませんが、2007年6月にバーゼルに行ったとき、スコラの学内ホールにいたときに声をかけてもらいました。なぜ私だとわかったのか今もってよくわかりませんが、彼女の先輩にあたる方をよく知っているので、その人から私のことを聴いていたのかも知れません。その彼女、終演後にこれからどうするのかと訪ねたところ、今後もスイスで活動していきたいとのこと。うーむ、名古屋で少しくらいはと思っていましたが、ちょっとあてがはずれましたね。(笑)

さて、コンサートですが、オルガン(ポジティブ・オルガン)とギターという組み合わせはどういう響きになるのかなと興味津々でした。若干危惧はありましたが、それは全くの杞憂で、マッチングはとてもよかったです。よくあるギターとピアノの組み合わせよりずっとよいと感じました。まぁ考えてみればあたりまえで、音が減衰していく楽器同士より、減衰音楽器と持続音楽器の組み合わせの方がいいのは理屈にかなっています。

会場はほぼ満員に近かったですが、残念なことに地元のギターや古楽愛好家の人は全然見あたりませんでした。ちょっと宣伝不足という感じでしたが、いいコンサートだっただけに残念でした。

SA

2009年09月26日 10時56分19秒 | 日々のこと
そのSA社ですが、うちにも結構同社の製品があります。掃除機、息子のラジカセ、ポータブル録音機です。このうちはじめ二つは安いので買いましたが、録音機はスペックで選びました。

録音機はピアノ製造で有名なY社にOEMで出しているだけあって、なかなかの優れものです。SA社はこの手の録音機では定評がありますからね。でも掃除機とラジカセは全然設計がなっていません。

掃除機は管の継ぎの設計がでたらめで、掃除をしている間にすぐはずれてしまいます。こんなのではもう掃除になりません。アルミ管とプラ管を継いでいるせいでしょうか、それともテーパーの角度とか表面処理に問題があるからでしょうか。こんな基本的なことが押さえられていないというのは社内の体制に問題がある証拠ですね。私が掃除がきらいなのはこの掃除機のせいなんです。

ラジカセは持ちあげるための取っ手がなく、かつ形状が非常に持ちにくい三角柱のような形です。設計をした人は、このラジカセをどっかに移動しようとしたことはないんでしょうかねぇ。こんなものを出しているようでは会社の将来は暗いです。

SA社は外部から社長を呼んだりしていろいろ再建をしていましたが、結局P社の子会社になることになったようです。会社の再建って難しいことなんでしょうが、ユーザーにとって本当に使いやすい製品を追求するという一番基本的なことを押さえるというのがスタートでありゴールであるような気がします。

家にあるSA社の製品と対極にあるのがアップル社の製品群です。iPodやiPhoneはカッコいいけど、何よりまず手に馴染みます。マックOSのビジュアルは美しいけど、何よりまず扱いやすいです。でもこういう製品が出てくるまでには、ものすごい膨大な試行錯誤があったことでしょう。でもそんなことはおくびにも出さず、素敵な衣装をまとって登場、こういうのってかっこいいですね。

お洗濯

2009年09月24日 10時54分12秒 | 日々のこと
今日はお天気がいいので、洗濯日和ですね。我が家の洗濯機は東芝の乾燥洗濯機ですが、なかなかいい製品です。今日は家内が朝忙しかったらしく、洗濯してないので、私がお洗濯。洗濯といっても洗剤を投入してボタンを押すだけ。20分くらいたったら、ぴーっぴーっと鳴り洗濯終了。後は干すだけです。天気のいい日は外に干すに限ります。

私は新しいものが好きですので、乾燥洗濯機が出始めた頃に早速導入いたしました。以前は液晶で有名なSH社の乾燥洗濯きを使っていましたが、ものすごい振動が出る製品でした。乾燥が始まると、家中が振動するくらいでした。ひょっとして、この振動で家の寿命を縮めたかも。

おまけにしょっちゅう故障していました。洗濯の後、乾燥もこなす洗濯機は出始めたばかりだったので、こんなもんかなと思っていました。

バーゼルにいた頃、家内から連絡があり、新しいのに買い換えたいが何がいいと聞いてきました。早速価格ドットコムの口コミ情報を調べてみました。この口コミ情報は必ずしもあてにすることはできませんが、書き込み件数がある程度の件数以上ある場合は一定の情報を手に入れることができます。

例えば口コミ情報で、苦情とか文句みたいな書き込みが多いのは何か製品に問題があると見ていいでしょう。はじめカタログスペックだけで、SA社のものにしようと思っていたんですが、価格ドットコムの口コミ情報を見てみましたら、結構故障の話題が多かったのでこれは何かあると思いました。そこで「からくり儀右衛門」を社祖に持つT社の口コミを見てみましたら、全然話題が違います。故障関連は皆無でした。そこで家内にはT社のものを買うように指示をしました。

T社のものは一度も故障せず、振動もSH社のものはいったい何だったんだというくらい静かです。よいものを買いました。(^^)

最近、「SA社、3度リコールした洗濯機で修理済み品から発火。全数交換へ 」という記事が出ていましたが、やっぱりー、という感じでした。売れ筋というだけで飛びつかなくてよかったです。毎日使うものですからねぇ。

バロック音楽の旅2009

2009年09月22日 16時45分11秒 | 音楽系
19日は、バロック音楽の旅2009講座の立ち上げ、第1回目でした。早いもので、今年度で3年目を迎えます。一昨年の立ち上げ時は、20人集まったら御の字で、もし15人を切ったら、親戚郎党をみんな会員登録をして・・・なんて考えていましたが、それは杞憂でした。

15人というのは、15人を下回ると桑名市から補助が下りなくなる数です。桑名市教育委員会と共催という形にすると開催の支援をしていただけるのですが、いろいろ制約もあり、ちょっと大変なところも。

さて、今年は若干宣伝効果が薄かったのか、それとも未曾有の経済危機のためか、昨年度と比べると滑り出しがよくなかったのですが、それでも最終的には50数人の方に登録していただきました。大変有り難く感謝しています。

第一回目の講座は、バロック音楽の楽しみと題して、バロック音楽を聴く上でいろいろ参考になりそうなお話をCDの演奏例を聴きながらすすめて行きました。途中みなさんの熱気のためもあってか、会場の温度がどんどん上がり、冷房を入れなくてはいけない程でした。

世の中の状況が厳しい昨今では望むのは難しいかもしれませんが、こういう講座にどこかがスポンサーになって支援をしていただけると有り難いんですけどねぇ。コンサートを中心とした本講座は、一般的な市民講座と比べると経費がかかります。(といっても出演者の方にはずいぶんと泣いてもらっています)でもスポンサーからあれこれ口出しされるものいやだし・・・カネは出すが口は出さないスポンサーがいいですねぇ。ってそんな虫のいい話はなさそうです。(笑)

次回は、10月10日(土)で荻野美和ヴァイオリンコンサートです。

一周年

2009年09月15日 21時03分36秒 | 日々のこと
今日はリーマンブラザーズ破綻からちょうど一周年です。その日、私はたまたまバーゼルにいました。以前お世話になっていた下宿にころがりこんで(四畳半一間くらいの部屋をかしていただきましたが、贅沢は言えません。ただですから)、朝は駅にあるカフェに行っていました。

そこに、大きなテレビがあるんですが、多分CNNだったと思うんですが、東京市場急落、リーマンブラザーズ破綻、AIGも危ないとか言っていました。最初はピンと来ませんでしたが、字幕も出てたので、確認して驚きました。

リーマンブラザーズは直接関係がなさそうですが、AIGは、アリコに少しお金を預けているので、これは冗談じゃないと思いました。実はその日久しぶりに師匠の家に遊びにいくことにしてたのですが、まず日本と連絡を取ることに。情報収集です。でも日本とは時差があるし、電話代がないので、まずメイルしてこっちに電話してもらう方法を取りました。結構時間がかかってしまい、結局師匠の家には行けませんでした。

AIGはご存じの通り破綻を免れまして一安心でしたが、その後の株安の影響を受けて、我が家の蓄えも評価損を被ってしまいました。アメリカ人が勝手にやった失敗のつけが、日本の一般庶民のふところに影響を及ぼすなんて、とんでもない時代だと思ったものでした。

シベリウス6

2009年09月10日 18時44分56秒 | 音楽系
愛用している、シベリウスという楽譜浄書ソフトがバージョンアップするようです。英語版はもう出ているみたいですが、日本語版は今秋発売ということで、時期は未定です。

http://www.sibelius.jp/

今回のバージョンアップで、シベリウスはなんか単なる楽譜浄書という領域を越えたような感じがします。今までもそういう方向には進んでいましたが、今回の新バージョンでその方向が鮮明になった感じです。

現行バージョンでもリュートタブはそれなりに扱えますが、新バージョンではどうなっているんでしょう。現行では、バス弦の表記には対応していませんでしたし、二分音符の「タマ」が表記されない、という不完全さがありましたが、これらに対応したのでしょうか。

シベリウスは結構古楽対応度が高いソフトで、例えば通奏低音の数字なんかは手で書くよりずっと速く入力できますし、小節線の区切りのない楽譜もいともたやすく対応できます。これでリュートタブのバス弦やいろんな装飾記号に対応できれば、もうタブセット専用ソフトは不要になるかも。日本語版の発売が楽しみです。

音のいいビートルズ

2009年09月09日 22時26分10秒 | 音楽系
今日テレビのニュースで、ビートルズのCDのことをやってました。音が最新の技術でよりよくなったという触れ込みです。

私が中学校の頃にビートルズは来日しましたが、その1年ちょっと前から、なかなかのビートルズファンでした。その頃ラジオで2つベストテンみたいな1時間番組がありまして(CBCで前田武彦と木元教子、東海ラジオで小島よしお(よしおの感じは忘れました))、それらを毎週欠かさず聞いておりました。順位を毎週ノートに記録もしてましたが、残念ながらそのノートは残っていません。

それらの番組に頻繁に出てきていたのがビートルズで、ちょうど日本で彼らがブレイクし始めた頃です。普通とはちょっと違うコード進行にただならぬものを感じていた中学生でした。

その頃になけなしの小遣いを貯めて買ったEP盤は今も持っています。LPも欲しかったんですが、確か2000円くらいしたと思いますが、なかなか中学生で買える代物ではありませんでした。その頃リリースされたばかりのアルバム「ラバーソウル」が欲しかったんですけどねぇ。

CDが出始めて、まだ日本の著作権法が改正されていなかった頃、ビートルズのCDが一枚700円くらいで出てましたので、このときとばかり、全アルバムを大人買いしました。著作権の規定が変わったので、このたぐいのCDはもう売っていません。

いつぞやコンピュータ雑誌に、SACDでなく既存のCDで新しい技術がいくつかあり、ノーマルのCDよりはいい音で再生できる、というようなことが書いてありましたが、今回再発売の音のいいビートルズはそういった技術を使ったのではないのでしょうか。なんか、大人買いをしてみたくなりましたねぇ。(笑)

週間零戦

2009年09月02日 19時19分36秒 | 日々のこと
テレビで宣伝していた、「週間零戦」がすごく気になって、本屋で見てきました。テレビの宣伝によると、1/16の巨大金属モデルを毎週来るパーツ付きの書籍を買って組み立てていくというもの。エンジンはもとより、機体の骨組みまで精密に再現するといますので、これはそそられます。

本屋で中身を立ち読みしてみましたら、なんと100号まであるといいます。うーん、長すぎる。100号というと2年弱です。2年間ずっと零戦を作り続ける・・・何か労役みたいな感じがしますねぇ。もっとも内容的には7日間かかりそうな感じはせず、多分1,2時間もあれば、その週の分はできるかなとは思います。

お値段は各号1590円で、第1号だけは半額という、この出版社お得意の方法です。1/16の精密モデルを100回分割払いで約16万弱ですねぇ。結構なお値段です。で、初回号をすみからすみまで読んで、さんざん迷ったあげく、やっぱり断念しました。あれだけ精密ならこんなもんかとも思いますが、やはりちょっとお値段が・・・