リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

新製品

2016年11月21日 23時44分19秒 | 音楽系
イタリアのアキーラ社から新しいタイプの合成樹脂弦が登場です。

CD TYPEという名前の弦で、リュートのバス弦専用です。合成樹脂(多分ナイルガット?)に銅の粉を練り込んだものだそうで、質量はガットの2倍以上とのことです。


10コースルネサンス・リュートの6コース以降のバスに「新製品」が張ってあります。

アキーラのミッモさんは「巻き弦は、振動が長すぎるし、プレーンガットやロープ式のガットは音がぼうっとしている。このCD TYPEはちょうどいいところを行っている」なんておっしゃっていますが、自社の巻き弦(D TYPE)とかロープ式ガット(VENIS)を自ら否定することになってしまうんですが、商売として大丈夫なんでしょうか?

昔の絵を見ると、バロック・リュートのバス弦に赤色や茶色の濃い色の弦が使われているときがあります。それと同じ質量の弦を合成樹脂と金属粉で再現しようとしたわけです。



この夏から秋にかけてバス弦にガムート社のピストイを張った、オールガットのバロックリュートで何回かコンサートをしましたが、バス弦の狂う度合いには閉口しました。音が狂い過ぎてコンサートで演奏を続けるのにかなり支障がでますので、現在はバス弦には「マグロカーボン」を張っています。ガットとカーボンの混成ですが、なかなか音的にも行けます。もちろんカーボンの太い弦(マグロカーボン)はとても安定しています。

さて、アキーラ社の新製品はどんなもんでしょうか。カーボン弦より更に質量があるので、減衰時間は長くなるでしょう。温度に対する感受性はどんなもんでしょう?実際に使ってみないとわからないので、早速注文いたしました。(笑)


注)マグロカーボン→クレハ社が製造している、マグロを釣るための太いフロロカーボン製の釣り糸です。

バロック音楽で巡るヨーロッパ

2016年11月15日 21時03分12秒 | 音楽系
バロック音楽の旅講座第4回「バロック音楽で巡るヨーロッパ」が終了致しました。今回は、リコーダーの坂本洋子さん、ヴィオラダ・ダ・ガンバの上田牧子さん、そして私のアーチ・リュートのトリオです。坂本さんは今回初登場、上田さんは今回で3度目の登場です。



プログラムは次の通り:

アントニオ・マルティン(西?~1734~?)
ラス・フォリアス

ヤコブ・ファン・アイク(蘭 1589-1657)
  「帰っておいで」による変奏曲

マラン・マレ(仏1626-1728)
組曲ト長調より(ヴィオール曲集第3巻)
 (プレリュード、アルマンド~変奏、サラバンド、イギリス風ジグ


ゲオルク・フィリップ・テレマン(独1681-1767)
デュエット
(アフェットゥオーゾ、アレグロ、アンダンテ、プレスト)

ジョヴァンニ・ザンボーニ(伊 ?~1718~?)
ソナタ第9番ハ短調(リュート・タブラチュアによるソナタ集より)
(プレルーディオ、アレマンダ、ジガ、サラバンダ、ガヴォッタ)

ヘンリー・パーセル(英1583-1643)
トリオ・ソナタ ト短調
(アダージョ~アレグロ、ラルゴ~ヴィヴァーチェ)

タイトルの通り、スペイン、イタリア、オランダ、フランス、ドイツ、イギリス各国から1曲ずつ厳選して各国のバロック音楽の個性をお楽しみ頂こうという構成です。ヴィオラ・ダ・ガンバの音は、アーチ・リュートの通奏低音にとてもマッチし、会場の響きがもっとも生かされる組み合わせのひとつです。テレマンの作品では、ヴォイス・フルートが使用されましたが、そのしっとりとした響きは、ガンバの柔らかな音と一体化し、わずか2声で書かれているは思えないほど豊かに響いていました。

さて次回第5回(12月11日(日))は、チェンバロの藤目由梨さんをお迎えします。第5回以降からでもこの講座(コンサート)は参加できますので、興味がお有りの方は是非お越し下さい。