リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

DOS/V Power Report最終号

2024年02月29日 13時23分45秒 | 日々のこと

以前DOS/V Power Report最終号の話を書いたと思いますが、あれは実は最終号の予告で実際の最終号はその後の昨年12月に出版されました。

DOS/V Power Reportという雑誌は知る人ぞ知る、パソコン・パーツの専門誌です。パソコンの自作をする前は必ずこの雑誌を購入してパーツの下調べをしたものでした。

本屋で見つけたのは2月ですが、平積みになっていて立ち読みのあとが全くなかったので最近出たばかりだと勘違いしてしまいました。先に書きましたように発刊は12月ですから2ヶ月近くひっそりと本屋に平積みされていた姿が涙を誘います。思わず買ってしまいました。

33年前に始めて世に出たDOS/V Power Reportですが、これは奇しくもバブル崩壊で株価の低迷が始まった頃です。これまた奇しくも日経平均が34年ぶりに最高値を更新した少し前にその使命を終えました。日本の失われた34年をひとりで支え役割が終わったらひっそりと退場する、あっぱれです。まぁ別にこの雑誌が日本を支えていたわけではありませんが、なんかひとつの時代が終わったという感じはします。

自作用のパーツは実際は結構PCゲームが支えていて活況ですので、この手の情報の必要性は充分あると思いますが、ただ3年半前に製作した自作8号機のパーツ情報はDOS/V Power Reportからも得ましたが、You Tubeやブログからの方が多かった感じです。すでに時代が変化してきてたんですねぇ。

 


BWV1003のリュート編曲(18)

2024年02月27日 22時20分18秒 | 音楽系

アンダンテの譜面は音の密度も音域もまるでギター譜のような感じです。実際大学に入りたての頃はこの曲をギターでよく弾いたものでした。でも実際には7小節目の3拍目目のようにギターではとても弾きにくいところもありましたが。

前にも書きましたがこの曲に書かれているバスは普段はメロディ中心に演奏する楽器であるヴァイオリンで弾けるように書いてあるもので、これを普段からバスを入れるのが当たり前のリュートで弾くには少し注意が必要です。

ひとつの方法ですが、このバスをリュートでは少し切り気味というかノンレガートで弾き、メロディはレガートで弾くというのが考えられます。実際ヴァイオリンではそのような感じで演奏されています、というか弓で弾く関係上そう弾かざるを得ないわけです。

弾かざるを得ないというと消極的な意味合いに聞こえますが、バッハそういった楽器上の制約を制約としてではなく音楽表現上の個性として作曲レベルで使っているということがとても重要です。

ですからヴァイオリン版の響きを模してリュートでもバスを少し音色が柔らかめになるように弾き、なおかつノンレガートで弾くというのがいいのかなという感じがしています。
バッハはこの曲を鍵盤楽器用に編曲しています。(BWV964)ここではバスはメロディと1オクタ-ブ離れたラインで動いています。このBWV964をチェンバロで弾いた演奏が何点かありますが、確かに楽譜通りに弾いているんですが、低いバスがとてもうるさい感じがします。同じ鍵盤楽器でもアラールがクラヴィコードで弾いているのはうるさく感じません。これはバスの音量や音色をコントロールしているからです。

リュートのバスも音量や音色をコントロールできます。メロディをオリジナルと同じ音程関係で少し短めに弾くか、オリジナルより1オクターブ下にしてよりレガートに弾くか、これが問題です。

私はどう弾くべきか、実はまだ迷っています。(笑)


待ってろよ!

2024年02月26日 17時15分54秒 | 音楽系

私の自作曲でガヴォット「まっとって」という曲があります。まぁ取るに足らない曲ですが、11月の桑名市内の某レストハウス兼喫茶店でのコンサートで久しぶりに演奏しました。

このガヴォットのモチーフの一部に「まっとって」に聞こえるのがあるのがその名の由来ですが、まっとっては桑名の言い方で標準語では「待ってろよ」でしょうか。

今日のニュースで、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などに問われた東京高裁の判決に対して「おれが出るまで待ってろよ」と言った、というのがありました。

まだ記憶にも新しい東名高速道でのあおり運転事故裁判の被告の話です。懲役18年という判決が出ましたが、確定したのかどうかはわかりませんが、ムショから出た18年後にはオマエに復讐するぞ、ということですよね。裁判官は当然何も言わなかったでしょうけど、ホントはなんか言いたかったのではないかという感じもします。

「そういうことは言うものではありません」というのは冷静で常識的です。「はい・・・」これはちょっと気弱でよくないかも。「そうですか・・・」はちょっとはぐらかす感じかな。

「おお、まっとったるがや!」「上等やんけ!」は下品ですねぇ。「そういうことを仰ると後悔しますよ」「勝手に言うがよい。だが私は権力に守られている立場、おまえごときでは何もできぬ」「ふふ、愚か者め、地獄に落ちるがよい」このあたりは私が裁判長なら言ってみたい気もします。

以前ヤクザの親分の判決文言い渡し後にも、その被告のヤクザが同じようことを裁判官に向かって言ったこともありましたが、裁判官はプロですのでこういうことには動じないとは思います。全く動ぜずホンネも何もなく、仏様の像みたいな感じなのが本当のプロなんでしょう。


バロック音楽の旅16第6回講座コンサート(最終回)

2024年02月25日 20時59分56秒 | 音楽系

バロックバロック音楽の旅16シリーズの最終回のコンサートで、リコーダーの古橋潤一さんとポジティヴ・オルガンの能登伊津子お迎えしてのコンサートです。

実はお二人共もう随分前からの知り合いで、特にリコーダーの古橋さんとはチェンバロの岡田龍之介さんと私の3人で神戸、四日市、桑名、名古屋、東京など各地でコンサートを開いたことがありました。もう30年くらい前になります。神戸のコンサートは阪神大震災の前年でした。

さて今日のプログラムはスペインとイタリアの作品で次のような曲目でした。

ジョヴァンニ・バッティスタ・フォンターナ(c.1571-1630)/ソナタ第2番

フランシスコ・コレーア・デ・アラウホ(1584-1654)/2本のソプラノの分割ストップのための第2旋法のティエント

ベルナルド・ストラーチェ(1637-1664)/戦い、パッサカッレス

バルトロメオ・デ・セルマ(c.1595-1638-)/カンツォン第3番

ビアージョ・マリーニ(1594-1663)/モニカのテーマによるソナタ

フアン・カバニーリェス(1664-1712)/ガリャルダス

セバスティアン・アギレラ・デ・エレディア(1561-1627)第4旋法によるティエント・リェーノ

フアン・カバニーリェス(1664-1712)/パサカーレス

 

前回の増野さんと杉浦さんによるフランスの曲を中心にしたプログラムとは随分雰囲気が異なり、受講生の皆さんも存分にスパニッシュとイタリアンのテイストを楽しんでいただけたのではないかと思います。

本年度のバロック音楽の旅16はこれが最終回、来年度は同17が始動します。すでに来年度の先行予約をされた方も大勢みえました。来年度は久しぶりに自分のソロ・コンサートを組んでみました。これ、密かな楽しみです。(笑)

 


海外送金

2024年02月24日 14時21分05秒 | 音楽系

外国製の楽器を買う場合は、製作家に代金を送金しなければなりません。大きな金額は昔は銀行から送っていました。旧東海銀行に行って結構高い送金料を払って(1万円くらいしたかな?)送ったこともありました。その後郵便でも送れることがわかりそちらに切り替えました。マイクロフィルム代のような少額は最初から郵便局から送っていましたが。

送金の申請用紙に手書きで記入して郵便為替を送るという方法でしたが、10何年か経って口座間振込ができるようになりました。受け取り側も口座に直接入金されるので郵便局に現金引き換えに行く必要がなくなりました。そのためにこちらはゆうちょ銀行の口座をつくりました。申込用紙も登録しておけば印字サービスをしてもらえるようになりました。

このあたりまではちょこちょこ変わったと言ってもまぁ基本同じでしたが、2018年に国際送金をオンラインで出来るようにしてきて旧来の方法をかなり値上げしてきましたころから急に変わってきました。(私比です。世間はもう少し前から大きく変わっていたはずです)オンラインの国際送金もそう安くはないので、他の送金サービスを探してみましたらWISEというサービスが使いやすそうでしたので、何回かこれを使ってみました。手数料が安くて送金が早いです。

今回Larsに送ったのは、HSBCのオンラインサービスから送ったのですが、手数料はまだ見ていませんがとにかく送金が早いです。昨日の朝に銀行から送金して夕方にはLarsから届いた旨のメールをもらいました。便利で早いですねぇ。第一私は香港に行っていないし。

あと向こうの人から編曲料やらCD代を頂くことがたまにありますが、これはPayPalのサービスを利用して頂いています。ここ10年くらいで大きくオンライン化が進み世の中便利になってきました。


弦を替えます

2024年02月23日 14時33分59秒 | 音楽系

昨夜1コースと2コースを新しい弦に交換しました。リサイタルまで3週間あまりになってきまして、弦を交換する最終リミットです。

ギターの人なんかは本番の直前に替える人もいますが、24弦もあるリュートではとてもそんなことは出来ません。というかできれば替えないで本番に臨みたいところです。

バス弦に張ってあるCD弦(アキラのローデドナイルガット弦)は一定の期間が過ぎると切れるリスクが出てきます。バス弦にあるまじきことですが、仕方がありません。以前は欠陥品と言われても仕方がないレベルで、張った直後から3ヶ月くらいで切れてしまっていましたが、その後アキラが改良品を出してくれたおかげで1年くらいは全く切れることはありません。でもその期間を超えると、経験上切れる弦が何本かに1本は出て来ます。もちろんずっと切れないでいる弦もありますが・・・

つまり1年くらいで交換していれば断弦のリスクはなくなるわけです。これも経験則からの話ですが、実際に1年以内で切れた弦はありません。ということで、1年くらい前に交換した7~13コースを交換することにしました。

あと1コースと2コースはGamut社のナイロン弦を使っていますが、昨年の秋頃に交換した弦です。ここは切れることはまずないですが、(確率はゼロではありません。実際2年くらい前に1コースが切れましたことがありましたがとても珍しいことです)弾いているうちにフレットが当たる部分がへこんできて音程が悪くなります。

見にくいかもしれませんが、↑の部分がへこんでいる部分。フレットの間隔で7ポジションくらい分ついています。このへこみというか傷が音程を悪くする原因です。

残りの3コース~6コースとオクターブ弦は今回は交換しません。3コースはGamut社のナイロン弦ですが、他はカーボン弦なので100%切れないと言ってもいい弦です。それにオクターブ弦は昨年末に替えたばかりです。

一気に替えると練習が出来なくなるので、第1段は1,2コース、今朝12と13コースを交換しました。これでとりあえず11コースまでの曲は弾けます。今夜にバス限の7~10コースを交換する予定です。


Attiorbatoが届きます

2024年02月22日 18時22分13秒 | 音楽系

Larに頼んであるAttiorbatoです。まだ彼のスタジオです。

ラソオマ製の超軽量ケースに入っています。

 

ぴったり入っていますねぇ。

弦は私が選定したものを彼に送り、それを張ってもらっています。1コース2コースがGamut のナイロンです。この会社のナイロンはいいですよ。他社のナイロン弦よりずっと精度が高く音色もいいです。音色が他社とはことなるので多分もとのナイロンの組成が異なるのだと思います。3コース~14コースまではSavarezのAlliance(カーボン)です。7コース以下または9コース以下はAquilaのLoaded Nylgut(CD)も考えましたが、長いCDは切れやすいので避けました。でもこの楽器のバス弦は90cmでそんなに長くはない微妙な長さです。この長さなら切れないかも知れません。カーボンの場合は絶対に切れません。

まだ送金していないのでこれから送ります。


BWV1003のリュート編曲(17)

2024年02月21日 10時19分24秒 | 音楽系

このフーガはほとんど原曲の通り(実音は1オクターブ下ですが)弾けますが、91小節目のバスにテーマが現れる部分は、バスをオクターブ下げてリュートのバス弦(開放弦)で弾けるようにしました。さらにその部分の上声部のヴォイシングもリュートに適したように変えました。バッハは限られたヴァイオリンの弦を巧みに使っている部分ですが、巧みすぎてリュートに置き換えられなくなっている部分です。

終わりの方の272小節からバスに導入されるテーマは、オクターブ下げるべきでしょうけどヴァイオリンの音域の関係でオクターブ上になっています。ここはリュートではオクターブ下げて弾けますので、バッハがやろうとしてもヴァイオリンの制約で出来なかったことをやってみましょう!余計なお世話かも知れませんが。

286-287小節の32分音符の速いパッセージはリュートではスラーと開放弦を上手に組み合わせると意外にも結構素早くスムーズに弾けます。もっとも練習を積み重ねる必要はありますが、リュートの技術の範囲内です。

最後の和音は、オリジナルでは乖離位置のA Durの和音です。このままでも特に問題なくバロックで弾ける和音ですが、私は個人的にこの乖離位置の和音があまり好きではありません。といいますのは5度音が弦の関係で妙に前に出て来てしまうからです。G Durの場合も同様です。ですので、あえて5コース2フレットのミを1オクターブ上げて2コースで弾き密集位置にしています。


焦りました

2024年02月20日 16時15分47秒 | 音楽系

リサイタルに向けての練習を終えて、iPad Proの電源をサスペンドにして、翌日の練習のために充電器に接続しました。私が使っているiPad Proは第1世代と第2世代それぞれ1枚ずつで、接続はThunderboltケーブルです。これを接続すると軽くポンという音がなり接続したと言うことが確認できます。ところが第2世代の方からその音が聞こえません。

ケーブルを挿し直し、電源ボタンを押したのですが今度は電源が入りません。つい1分前には普通に動作していたのにどうしたことでしょう。電源の長押しをしてもリセットされません。

「iPod突然死」でぐぐってみましたら、実はリセットの方法が間違ってたことがわかりました。リセットは指紋認証を行う真ん中下のボタンと右上の電源ボタンの同時長押しでした。何か勘違いしていました。

第2世代のiPadにはリサイタルで使う楽譜が入っていて、いろいろ修正の書き込みがレイヤーとして保存されています。楽譜そのものはクラウド上にあるので、べつにそのiPodがなくても楽譜データがなくなってしまったということにはなりませんが、レイヤー情報はなくなるととても困ります。まぁ大体は記憶しているので再現はできませすがそのためにかなりの時間が取られてしまいます。

そんなことになったらえらいこっちゃ、と大いに焦りましたが、指紋認証ボタンと電源の長押しで難なくリセットできて一安心。PCのデータは必ずドロップボックスでバックアップされるのですが、iPadの楽譜閲覧アプリForScoreのレイヤー情報はそういやバックアップ体制は全くできていませんでした。これは盲点でした。システムが復帰して真っ先に行ったのは、iOSを最新にしてPCにバックアップを取ることでした。これで取りあえず安心です。仮に第2世代iPadが物理的に壊れても新しいのを買えばすぐに復活できます。新しいのは高いですが・・・あと紙に印刷もしておく予定です。やはり紙メディアは強くて信頼性が高い!

よく考えてみたら今のiPadで楽譜を見るという方法は始めてからもう6年近く経っています。第1世代の方はアップルの中古整備品で買ったのでもう少し古いです。電池くらいは替えておかないと行けないかも知れません。

 


BWV1003のリュート編曲(16)

2024年02月19日 15時14分45秒 | 音楽系

45小節目から始まるあたらしいエピソードはイ短調なので3コースの開放弦(ラ)を使ってとてもスムーズに演奏できますが、これが53小節目から同じエピソードがホ短調に転調し、一転して左手の押弦が難しくなります。バロックリュートにはミの開放弦がないからです。オリジナルのヴァイオリンだとラ(2コース)もミ(1コース)も開放弦があります。やはりこの曲はヴァイオリンに都合良く弾けるよう作られた曲だということがわかります。

このホ短調のエピソードをバロックリュートで弾くとなるとローポジションで弾くか、5ポジションで弾くかが考えられますが、ローポジション(2ポジ)だと1コースで弾くシの音が出てくるのでかなり左手のスパンがないと難しいです。

2フレットのバレをキープしつつ小指が1コースと3コースの6フレットまで伸ばす必要があります。私の場合あと5ミリ小指が長いか手の幅が広かったら楽にできるのですが・・・練習を重ねれば楽にできるようになる可能性はあるかも知れませんが、この部分は5ポジションでいくことにしました。

ただその場合、イ短調のエピソードと音色がガラッと変わってしまうのが難点。それに押弦自体もより難しくなってしまいます。小指さえ楽に届くといいのですが。