リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

リュート3台到着

2011年04月30日 13時22分46秒 | 音楽系
スイスの製作家モーリス・オッティガーに頼んであったバロック・リュート3台が届きました。2台は11コースであと1台は13コースです。ともに弦長は66cmとバロック・リュートとしては短いです。

これらは私の3人の生徒が3年近く前に注文した分です。3年は長いと思っていましたが、なんかあっという間でしたねぇ。その間にはリーマンショックという未曾有の経済危機がありましたが、海外の楽器を買う場合は未曾有のチャンスでもあったわけです。



この間録音が終わってから彼のスタジオを訪問したときにはすでにできあがっていた楽器ですので、すでに30分程弾き込んであります。

3台ともボディは同じで、ピエトロ・ライリッヒのモデルです。多分今日本国内にあるリュートの中では、ほとんどないモデルでしょう。大半のモデルはホフマンあたりのすらりとした細長いものですが、モーリスが使ったライリッヒのモデルは丸に近いものです。従ってボディは短く、短い弦長とマッチします。フレンチの曲やヴァイスの比較的初期のものであれば11コースで弾けますし、バッハでもアレンジ次第では弾けますので、バロック・リュートを弾く人にとっては大変扱いやすい楽器と言えます。



リブは15枚、胴は薄めでフラットに近いのでホールド性も上々です。見た目も大変均整がとれていて美しいです。短めの胴体のお陰で、弦長66cmの楽器としては珍しくフレットが10本巻けます。



モーリス・オッティガーの特徴である、豊かで味わい深い澄んだ音色はこれらの楽器においても健在です。私は大きな楽器しか持っていないので、こういうコンパクトな楽器もいいですねぇ。ひとつ欲しくなってきました。(笑)

プレゼン

2011年04月29日 23時04分26秒 | 音楽系
桑名市が主催する、くわな市民大学「市民企画講座」のプレゼンに行ってきました。これの応募の〆切が4月8日でしたが、ドイツに録音に行く関係上、早々と3月末に企画書を提出しました。

場所は、前回と同じメディアライブの1階です。プレゼンの時間は5分です。ストップウォッチを前においてしゃべりましたので、ジャスト5分で終了。ええ、1秒の違いもなかったはずです。こういうのは、実は意外と得意なんです。

今回は私の企画以外に4団体応募されていまして、そのうち一つだけが今回初応募です。この企画が始まった5年前は、10団体くらいの応募があったと記憶していますが、中には方向性が定まっていない企画や計画性に疑問符がつくようなものもありました。今回はさすがに継続されている団体が多いこともあり、5団体全てが市の認定を受けました。

認定をうけると、市が関連している施設を優先的に借りることができたり、市の広報に宣伝を出してもらうことができます。さらに予算的なバックアップも得ることができます。
これで正式に認定されたので、チラシに書いてあった(認定)予定の文字を取って宣伝することができます。早速、5月1日に桑名六華苑でおこなわれる「バロックのトリオ」というコンサートでチラシを配布する予定です。あと、いくつかのメディアにもお願いして宣伝してもらったりDMも出す予定です。

通り雨

2011年04月25日 16時50分45秒 | ローカルネタ
娘夫婦が昨年末アメリカから帰省した際、娘婿に少しお金を貸してやりました。その返済として郵便為替が送られてきました。もうかなり前に送られてきたのですが、すっかり忘れていまして、今日郵便局に換金に行ってきました。

為替の裏に名前やらナンやらカンやら書くところがありましたので、あらかじめ少し書いておきました。郵便為替を示すと郵便局の職員は、

「ちょっとお待ち下さい。今マニュアルをみますので」

といって奥に引っ込んでしまいました。そういや先週モーリスのところに送金するときも、マニュアルと首っ引きで調べてました。多分、その職員の方は「チッ。またこいつか」なんて内心思っていたかも。(笑)

調べて頂いた結果、裏書きには印鑑もいるらしいのですが、それは拇印で代用が可でした。なんかややこしいなぁ。あらかじめ書いてあったのは書く場所が違っていたそうで、それを二重線で消してそれに拇印の訂正印を押し、あと住所氏名、それと「国外送金法第何条の規定に基づきナンタラカンタラを告知します」と書かなければならないそうで、そういうのを2回書きました。(郵便為替が2通だったので)で、署名にまた拇印、で完成でした。郵便為替を渡して身分証明かなんかを見せれば、換金という訳ではなかったんですねぇ・・・という訳でかなり時間を食ってしまいました。

外に出ると雨が降ってきました。徒歩で傘なしできましたので、近くのタリーズで雨宿りをすることに。ここは向かいのシ○ノワールなんかで有名な喫茶店より静かで、分煙されていますので、時々立ち寄ることがあります。コーヒーを飲みながら、メールをチェックしたり、ヤフーニュースを見たりして少し時間をつぶしていまして、外を見ると雨は止んでいます。通り雨でしたね。

ついでに、アピタに行って、郵便為替の換金を銀行に預けて、駐車場代を振り込んで行くことにしました。それらが終わって、ちょっとついでに本屋で立ち読み。そろそろ帰ろうかと外に出ると、アラララまた雨です。傘は持ってないので、この際だから一つ買っておこうかと傘売り場を探しました。実は私は傘忘れの帝王で、つい最近もひとつ・・・

アピタにはどうも100円とか500円とかの格安傘はないみたいです。どうせ忘れるのだからそういうのでいいんですけどねぇ。あるのは980円とか1980円・・・いい傘なんですけど、もったいないです。

そういえばお腹がすいていましたので、遅いお昼を食べながら、時間をつぶせばまた雨は止んでいるだろうと思ったので、630円の冷やし中華をいただきました。こっちの方が傘より安いです。

で、外にでましたら、予想通り雨は止んで日が差していました。今日は変な天気ですねぇ。

本来ならば

2011年04月20日 19時28分51秒 | 音楽系
本来ならば、一昨日にはモーリスが日本に来て、昨日今日と日本を案内していたはずでしたが、大震災のためキャンセルしてしまいました。かわりにといってはナンですが、この間の録音が終了した後でモーリスのスタジオを訪問致しました。ということは既にブログに書きましたね。(笑)

途中で何度か乗り換えてやっと到着いたしましたが、本当にあたたかかったです。モーリスの話では、今年はとうとうスキー場に雪が降らなかったらしく、向こうの方に見える切り立ったスイス風の山にもほとんど雪はありませんでした。

いつぞや4月に訪問したことがありましたが、そのときは結構寒かったと記憶しています。そういや昨年の8月の終わり頃の彼からのメイルには、もうストーブを入れたというようなことが書いてありましたが、それ以降はそんなに寒くはならなかったわけですね。

私の生徒が注文してあった楽器が完成していました。



ピエトロ・ライリッヒをモデルにした、丸っこいボディを持つ弦長66cmのかわいいバロック・リュートです。私の楽器は、ライリッヒではなくティフェンブルッカーをモデルにしていて弦長もこれよりは5cmも長いので、弾き比べてみると相当キャラは異なると感じました。でも不思議なもので共通したモーリスの音がしています。


帰国

2011年04月15日 10時02分05秒 | 音楽系
昨日お昼頃帰国いたしました。

ホテルを出たら、出口のところでオルガンの野田さんにばったり。何という偶然!(笑)久しぶりに聞く日本語です。7月のバロック音楽講座をよろしく、ということでお別れいたしました。

バスに乗るまで少し時間があったので、スタバでコーヒーを飲みながらメイルチェック。バスはバーゼル駅から出ている空港行きの50番です。

以前はチューリヒまで日航やスイス・エアが中部空港から来ていたので、そのルートがバーゼルに来るには一番便利だったんですが、今はもうそのルートがないので、フランクフルト経由でバーゼル空港まで来るのが一番便利なようです。

バーゼル空港から飛行機に乗るのは、よく考えてみると、6年ぶりです。以前よりはきれいになっていてちょっと見違えました。以前ここから飛行機に乗ったのは、格安のEasyJetでロンドンに行った時以来でしたが、そのEasyJet、カウンターが倍くらいに増えていました。繁盛してるんですねぇ。日本にもこういう格安航空会社が各地を結ぶ飛行機を飛ばしてくれるといいんですけど。名古屋-台北5000円みたいな・・・

フランクフルトで2時間程待ち時間がありましたので、ナンプレをやって時間をつぶしていました。(笑)ナンプレは時間つぶしはもってこいです。

帰りの飛行機は行きよりは随分空いていて、近くの席には私よりは少し上の年代の方の団体が座っていました。どこに行ってらしたんでしょうね。ロマンティック街道あたりでしょうか。みなさんちょっとお疲れのようでした。(笑)

日本時間の朝9時前に中部空港に到着、もうこちらもすっかり春でした。明日からすぐレッスン、またがんばりましょ。


最後の日

2011年04月12日 20時55分50秒 | 音楽系
今日はラスト・デイですが、始めてのフリー・デイです。昨日までは初夏を思わせるような陽気が続いていました。もちろん全部晴天です。やっと街をブラブラというかフラフラ歩くことができる日が来たと思ったら、朝からあいにくの小雨。気温もフリース一枚だとちょっと小寒い感じです。雨は昼過ぎには上がって晴れ間ものぞくようになってきましたが、気温は今までよりはかなり低く、風も少しあります。

ま、雨男の私としてはこれでも上出来で、録音や移動しているときに雨が降らなかっただけでも御の字です。

ドイツのホテルを出るときに注意をしていたんですが、日本語の小説をトイレに忘れてきたようです。ヤンに連絡してこの次来るまでとっておいてもらうようにします。こっちに来てさらにもう一つ忘れ物をしてしましました。

昨夜9時過ぎにスタバへ行ったんですが、帰り際にフリースを忘れてきました。椅子にひっかけたまま帰ってしまったようです。今朝フリースがないのに気づきましたが、まず間違いなくスタバだろうと思い、朝食がてら出かけました。やはりここはスイス、ごくあたりまえにとっておいてくれてありました。ま、あの安物のフリースなんか、どこの国へ行っても持って行ってしまう人なんかいないでしょうけど、とりあえず一安心。

午前中はお土産のスープの素とメルクアのチョコレートとメガネ紐買いに行きました。土産というよりりどっちかというと生活用品という感じですが・・・最初に書きましたように今日は最初で最後のフリーな日ですので、これから美術館にでも行ってみようかと思います。

モーリスの工房を訪問

2011年04月12日 16時21分30秒 | 音楽系
ホテルの支払いを済ませて、ヤンに近所の駅まで送ってもらいました。このあたりはスイスとドイツが入り組んでいまして、車で走っているとすぐスイスにはいってしまいます。乗った列車はシャフハウゼン方面来ていまして、途中でドイツに入り、またスイスにはいります。国境がこんなに入り組んでいるということは、昔はややこしい争いんごとなんかが一杯あったんでしょう。 このローカル列車を途中で一回乗り継いでチューリヒの中央駅に到着です。ここからモーリス宅の最寄り駅、シャテル・サン・ドゥニまで行きます。目的駅までまだベルンとパレジューで乗り換えなくてはいけません。 本当に素晴らしい天気で、パレジューで乗り換えたあとは、超ローカル線(何線というのかは知りませんが)の車窓は春は真っ盛りりという完成度のでした。もっとも以前この時期にきたときは小寒い感じでしたので、多分異常気象なんでしょう。 シャテル・サン・ドゥニ駅までにはほぼ時間通りに到着。モーリスはすでに車で迎えに来てくれていました。この前ここに来たのは確か2008年の秋ですから2年半ぶりです。モーリスはとても元気そうでした。迎えに車の中の話題は、はやり日本の大地震と原発事故のことでした。そのときはわたしはまだ知りませんでしたが、また大きいので余震がおこったと彼は言っていました。 自宅近くのレストランでお昼を一緒にとり、早速自宅兼工房へ。わたしの生徒3人が注文している楽器はスイスにでも完成していまして、そのうち2台には弦もかけてありましたので、早速試奏です。まったく音を出したことのない状態から30分くらい演奏していると楽器はというものは見る見る目覚めて来るものですが、今回も音がどんどん変化してのが手に取るようるに分かります。ま、楽器ですから実際に手手に取っているわけですが。(笑) あと1台については弦が張ってなかったので、残念ながら試奏はできませんでしたので、これは日本に送ってもらってからのお楽しみ味です。 わたしの楽器の弦高が少しは高めだということを話したら、無料で直してもらえるということでしたので、急遽予定変更してあずけることに。従って帰りは荷物がひとつ減り楽になりました。

録音最終日

2011年04月11日 03時01分36秒 | 音楽系

今日はヴァイスの曲を録音いたしました。曲目は、

ロジー伯爵に捧げるトンボー、ソナタ変ロ長調より、サラバンドとメヌエット、ファンタジアハ短調の4曲です。

ロジー伯爵のトンボーは変ロ短調という、リュートにとってはたいへん稀な調のため、左手を押えるのがなかなか大変な曲です。何回も録ってると左手がへとへとになってきまして、途中でヨーグルト休憩を入れさせてもらいました。まるで初夏を思わせるような陽気の中、外のベランダでヨーグルトをいただきなら30分ほど休憩いたしまして、すっかり疲労が回復しました。というかなんかこれでもう終わったような感じがしてきましたので、気合をいれなおしました。(笑)

バッハ、ヴァイス作品集第二集の曲目は、次のとおりです。

バッハ作曲組曲第二番BWV1008全曲
ヴァイス作曲ロジー伯爵に捧げるトンボー、ソナタ変ロ長調よりサラバンドとメヌエット、ハ短調のファンタジア
バッハ作曲組曲第三番BWV1009全曲

という感じです。

第一集は大変遅れていましたが、もうすぐ出ます。今回の中に第二集はそんなに遅れずに出せそうです。


二日目終了

2011年04月10日 03時02分37秒 | 音楽系
録音の第二日目が終了しました。今日はバッハの組曲第三番全曲を録音しました。さすがに昨日の第二番と比べると時間がかかりました。11時半頃から録り始めて、ぶっ続けでやって終了したのは7時前でしたから、7時間以上やってた訳です。これであとヴァイスの曲を数曲残すだけになりました。峠は超えた訳です。(笑)

それにしてもバッハの曲は演奏するのが大変だと今更ながら感じました。できる限りリュート的になるようにアレンジしたつもりですが、リュートに都合のいいようなメロディーラインではないのところが沢山でて来るので苦労します。アレンジものの常でしょうけど、録音直前はおろか録音中でさえも運指やバスの音をいじっていました。

昼ぬきでやってたので、ホテルの一階のレストランに直行、ラムのステーキをいただきました。ヤンは風邪をひいたみたいだといっていたので、今日は一人でいただきました。

ここのレストランは辺鄙な所にあるんですがとてもよく流行っています。Gasthof Kranzという名前ですが、近所にゴルフコースがあるので、ゴルフが終わってから食事のパターンもあるんでしょう。あるいはチューッリヒから車で30分もかかりませんから、今日は少し遠出をして夕食くをという人達もいるかもしれませんね。お値段は大体3000円前後ですから、一般ピープルが少し値がはったところで食べるという感じのレストランでしょうか。

録音第一日目終了

2011年04月09日 02時43分58秒 | 音楽系
昨日バーゼルからドイツのロットシュテッテン・ナックという片田舎に移動しました。ここに録音スタジオがあります。スーパーもお店も何もない、人口200人の村です。ホテルの前の道を10分くらいあるくとスイスに入ってしまいます。

この村に一軒だけあるレストラン兼ホテルに滞在しています。こんな片田舎のホテルですが、無線LANでインターネットに接続できるのは時代というものですねぇ。ここでもiPod touchが大活躍です。

来るときユーロに両替しようかなと思ったんですが、よく 考えてみたらお金を使う場所がそもそもないんですよね。ホテルのは支払いはカードだし。従ってユーロなしでやって参りました。

今日は録音の第一日目です。バッハの組曲第二番を録りました。この組曲は無伴奏チェロのための組曲はをリュートにソロに編曲したものです。バッハの無伴奏チェロ組曲の中ではもっとも知られていない曲のようですが、とても素晴らしい曲です。この曲が6曲が中でもっともマイナーであるのは、ひょっとすると第二番をであるからかもしれません。もしこれを第一番だったらもっと知名度が上がってたのかもしれません。作品は、憂を帯びた表情が魅力的な傑作です。