リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

台風でコンサート延期!

2012年09月30日 18時10分26秒 | 音楽系
今日はコンサートが朝と夜の2回という日ですが、台風の接近のため夜のコンサートは延期と相成りました。

朝は、三重県内で最大の楽器店である第一楽器(四日市市)主催の「胎教コンサート」。妊婦の方および小さい子供さんと一緒のお父さんお母さんのためのコンサートです。おなかの中にいるうちからリュートを聴いてもらえば、大きくなっていつかふとリュートが無性に聴きたくなる・・・なんてこともあるかもしれませんですね。(笑)

できるだけ平易な曲をということでしたので、今回はルネサンス・リュートの曲でプログラムを組んでみました。



コンサートにさきだって「おむつの講座」がありましたが、今はとても便利な布おむつがあるんですねぇ。是非娘に紹介せねば。(笑)私の演奏のあとに絵本の読み聞かせがありまして、それのBGMも担当しました。本の内容は始まる前に少し見せていただきましたが、本番では朗読をされている方のほうを見ながら、話の内容や言葉のリズム、勢いに合わせてグラウンド・ベースの曲を即興演奏いたしました。

10時30分開始のコンサートでしたので、まだ台風による雨脚も強くなく無事終了できました。夜のコンサートはその第一楽器からすぐのところにあるイタリアン・レストラン「サンマルコ」です。実はサンマルコさん、昨日の段階では延期の決定を保留していました。朝のコンサートの帰りに寄ってみたんですが、残念ながら延期と言うことになりました。決断をギリギリまでねばったようですが、やはりどうみても夜こっちの方に台風が接近するみたいですね。まだ最終的に決まっていませんが、10月の6日か7日に延期ということです。おなかが空いていたのでサンマルコさんでランチを食べて帰宅いたしました。

9月のコンサート

2012年09月25日 14時06分44秒 | 音楽系
9月はあちこちでコンサートや講座をやっています。

2日にはミューズサロンで、ギターを弾く人たちのための講座「そう弾くんだったのか!ソルの月光」と題して公開講座を持ちました。公開レッスンの形をとって、フェルナンド・ソル作曲の練習曲ロ短調「月光」をどう弾いたらいいかというのを聴いて頂く講座です。このソルの練習曲はロ短調で書かれていて、ギターを弾く人にはとても人気のある曲です。でもこのロ短調というギターではやや弾きにくい調であることもあってか、変な弾き方がなんか定番みたいになっている、ということでこの曲を公開講座の題材に選びました。



私が弾いているギターは、ケルン在住のヘンドリック・ハーゼンフース氏に作ってもらった楽器です。パリにある作者不詳のギターをモデルにした楽器です。今回はガムート社のビーフ・ガットを張ってみましたが、とてもきれいに響きます。

12日には新城市で、チェンバロの杉浦道子さん、ソプラノの平野とも子さんと一緒に、お昼と夜の2回コンサートをしました。はじめは夜の部だけだったんですが、お昼に夜の会場とは別の場所、地区の公民館でお年寄りの方に聴いて頂きました。公民館は典型的な昔風の造りで、土間があり「おくどさん」がありました。ここで今でも餅つきをしているそうです。おじいちゃんおばあちゃんが聴衆なら、ルネサンスリュートでスコットランドの曲を用意しておいてもよかったですねぇ。でもみなさん、ヴァイスの曲も自作の夜間飛行もとても熱心に聴いていただきました。

夜の部はJR新城駅のすぐ近くにあるサクラ座・和音というところです。会場はもともとはスナックだったというところで今は喫茶店をされているとのこと。音がとてもきれいに響くところで、近くの厨房からのモーターの音も入らず、小さな専用コンサートホールみたいに音がきれいに響きました。



曲はバロックリュートのソロとヘンデルのアリア、ヴィヴァルディのトリオ(チェンバロと)その他を演奏しました。ヴィヴァルディの曲は7月に岐阜でのコンサートで弾きましたが、今回は弦をガットに変えて演奏してみました。ガット弦の音はやわらかめ(言い換えれば多少地味目)なので、チェンバロと合うかなと若干心配はしましたが、結果はナイロン弦を使って演奏したときより大きくきれいに響いていました。

続きまして、23日は「リュート音楽のひととき11」をミューズ・サロンで開催しました。この「ひととき」シリーズは、定期的(半年に1回くらいのペース)に開いている私の主催コンサートです。今回は、ガロのトンボー、ジェイソンの組曲からの抜粋、自作の組曲、シェドルの現代作品、およびバッハの組曲という、超重いプログラム。まるでリサイタル並です。(笑)

まぁ自分が主催しているので、誰に気兼ねすることもなくプログラムを組むことができるのですが、それにしてもシェドルの作品から聞こえてくる強烈な和音ははじめて聴いた方はちょっと耳になじまなかったかも知れません。

古楽器で現代作品を演奏するのはなかなか大変で、現代楽器であるギターやヴァイオリンとかモダナイズされた和楽器で演奏するのとは次元が違う感じがします。ちょうど50年代の古い車でレースに挑むような・・・

でもその次元が異なることこそ、リュートで現代作品を演奏する意義であると思います。モダン楽器のようなダイナミクスレンジも音量もない、楽器をたたいたりするパーカッシブなこともあまり器用にできない、フラジオレットもあまりクリアに響かない、なにより弦が多すぎて邪魔くさい!!=これはヴァイスやバッハを演奏するにはとても都合がいいのですが・・・でもこれこそが個性であり、現代音楽を演奏する楽器としての新しいリュートというものが見えてくるというものです。

私は個人的には高校生の頃から現代音楽が好きでして、今でもよく聴きます。カーステレオで松平頼則を聴きながら買い物に出かけたりしています。(笑)でも自分で演奏できる楽器であるリュートのための作品はとても少ないので、何年か前から何人かの作曲家に作品を依頼したり試作をお願いしたりしています。来年のリサイタル用に、ベルリン在住の久保摩耶子さんに曲を依頼したのもこの流れからです。

話が現代音楽の方に行ってしまいましたが、今までの9月のコンサートではガット弦を張った楽器を使いました。(実は今月はまだあと2回ありまして、それはナイルガット弦を張ったルネサンスリュートを使います)ギターは全部ガット弦を張りましたが、バロックリュートは実は4コースまでがガットであとはオクターブ弦を除いて合成樹脂弦です。メロディはガットで奏でているが、バスは現代式の弦という感じです。1コースは0.42ミリとか0.44ミリというとても細い弦なので、いままでならよく切れて使い物にならなかったのですが、今回使用しているガムート社のビーフガット弦の0.44ミリの1弦は3週間近く使っている弦です。

この弦は強度的には充分実用的であると言えます。音のヘタリも少なく、ケバもほとんど出ていません。E.G.バロンの著書に、ローマのなんとかという弦は4週間保つ・・・云々の記述がありますが、当時としても細いトレブル弦が4週間保つというのは特筆モノだったわけです。ですから、ビーフガット弦が3週間保つというのはかなり立派だと思います。でも同じガムート社のビーフガット弦でも0.40とか0.38は全く実用にはならないくらいモチが悪かったですが、0.02ミリだけ直径が増えただけで、こんなにモチが違うのは何なんでしょうねぇ。

ガムート社のガット弦はドルで買える(アメリカの会社です)ので、昨今の円高のお陰でとても安く購入できます。1弦に関して言えば、合成樹脂も含めてあるゆる弦の中で一番安価です。といって私はあらゆる人にガット弦をすすめることは出来ません。というのも湿度と温度が急に変化したときは大きく狂うし、全く切れることは心配しないでよいナイロン弦と比べたらやはりガット弦は切れます。弦の表面も常に湿度の影響を受けます。ほぼメンテナンスフリーに近い合成樹脂弦に比べたら、手間はかかります。でも音はやわらかく、豊かな音色でダイナミクスレンジも合成樹脂よりは優れます。このあたりを承知の上で使ってみるというのもいいかも知れません。なお、この話はせいぜい5コースまでの話で、バス弦に関しては何とも申し上げられません、はい。

ガット弦レポート

2012年09月06日 13時15分53秒 | 音楽系
ガムート社から新しいビーフガット弦が到着しました。注文してから大体10日くらいで届いています。送ってもらう方法が47ドル85セントのEMSでも17ドル60セントのなんとかエクスプレスでも到着するのは大体10日後くらいです。

5コースのガットにPistoy Beefの0.88ミリを前回張ってみましたら、強くはじくと2本の弦がバシッとあたる音がします。ある程度は弾き方の工夫で軽減はできますが、はやりちょっと問題です。そこで、Pistoyの0.90と普通のガット(treble gut)の0.88を頼んでみまして試してみました。

結果は残念賞。(笑)ただtreble gut0.88を半音上げてみますと、そういう現象はなくなります。ひょっとしてtreble gut0.90だといいのかもしれません。あるいはアキーラのローデドガットが行けそうかも。でもローデドガットはもっと太いのしかないし、そもそも現在供給ストップの状態なのでだめですね。

注文したPistoy0.90とtreble gut0.88はフレット用に。高いフレットです。(笑)

現在モーリス・オッティガーの楽器には4コースまでビーフガット(treble gut)5コースはニューナイルガット、6コース以下はピラミッドを中心にした弦を張っています。ガットと合成樹脂弦混在です。境目をどこに作るかはなかなか難しいですが、5コースをちょうど橋渡しにするのが一番良いようです。5コースにはCopper Gimped Gutもいけるかもしれません。バス弦はアキーラ社のopen wound弦が多分いけそうですが、現在のところ供給されていません。Gamut社のGimped Gutは質量不足のような感じがします。Silver Gimpedもありますが、お値段が試しに張ってみるというには高すぎです。でも多分銀を巻き込んであっても写真で見る限りは結構巻きが荒いの質量不足の感じがします。

しかしヴァイスはどんなバス弦を使っていたんでしょうねぇ。

巨大地震

2012年09月03日 20時28分19秒 | ローカルネタ
先日南海トラフ地震の被害想定が発表されました。南海トラフ地震は、東南海、南海、東海地震が全部連動して起こる地震ということらしいです。ヤフーニュースによりますと、私の住んでいる三重県の桑名市では、津波による5メートル以上の浸水はないみたいですが、これってどの辺まで水がくるのでしょうかねぇ?ウチは伊勢湾台風のときは床下浸水をしましたので、多分津波に襲われるってことでしょうか。

でも歴史的には桑名旧市街が津波で浸水したという記録はないみたいで、実は津波による浸水は心配しなくてもいいのかも知れません。

最近「日本人はどんな大地震を経験してきたのか」(寒川旭著、平凡社新書)を読みましたが気になる部分がありました。それは、745年と1586年に起こった大地震のことです。この2つの地震は、養老・桑名・四日市断層帯と阿寺断層帯、庄川断層帯が連動して起こった巨大地震で、1586年のものは天正地震と呼ばれています。なんでもこのとき「琵琶湖南西岸の坂本城(現・大津市)にいた羽柴秀吉が、地震に肝をつぶして、大阪城に逃げ帰った」そうです。

桑名市にとってはこの養老・桑名・四日市断層帯等が動いた地震の方がよっぽど怖い感じがします。なんせこの断層はウチから4km位西にいったところを走っていますから。800年くらいの間隔みたいなので、次は2300年代ということでまだ大丈夫かな?でもわかりません。

記録がないのでよくわかりませんが、断層のすぐそばの桑名市汰上(ゆりあげ)というところは、地元の人によると、(地震で)ゆれて上がった土地ということらしいです。これってもしかすると、1586年の天正地震のときのことでしょうか。

市内の結構奥に入ったところに船着神社があったりするのも海岸線(川岸?)が後退したということでしょう。

近鉄益生駅から421号線沿いに東にいきますと、三ツ矢橋、浅川通り、矢田積(やだがわら)、相川町という地名があることからこのあたりに川が流れていたということがうかがわれます。この川は多分員弁川(桑名のひとは町屋川といいます)なんでしょうけど、員弁川は地図で見ますと明正中学校付近で90度右折しています。桑名旧市街を流れていた(だから「町屋」)川がなんかの理由で90度曲がってしまった!?

それとも誰かが河川改修した結果そうなった?本多忠勝の慶長の町割り以前に河川改修ってあったのでしょうか。それとも天正地震で地面が盛り繰り上がったため、町屋川の流れが変わってしまった?桑名市(だけじゃないけど)にそんな大地震が起こる可能性があるというのなら南海トラフ大地震よりよっぽどこっちの方が怖いじゃないですか。

勝手な推測が進んでしまいますが、このあたりのホントのところはどんなもんなんでしょう?