リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

バロック音楽の旅11第1回

2017年06月27日 11時52分18秒 | 音楽系
今年もバロック音楽の旅講座(全6回)が始まりました。今年で11回目を迎えます。結構長く続いているものですねぇ。今年は88名の受講希望があり、例年になく多いです。この分ですと途中参加者も入れると今年は最終的には90名を超えるかも知れません。



会場となる「くわなメディアライヴ1F多目的ホール」は全体を4つに区切れるのですが、いつもは真ん中で仕切っていたのを今回から拡大して3/4に仕切りました。

今年は宣伝の方法を少し拡大しまして、桑名市内と東員町に48000戸+各公共施設にポスティングしているという「クワナビミュ」に有料で宣伝を掲載してもらいました。掲載されてページが2ページ目の左下、サイズがページの1/4と、結構アピールできる場所であったため「クワナビミュ」の分だけで20名近く申し込みがありました。桑名市の広報や中日新聞にも掲載して頂きましたが、記事のサイズが格段に大きくカラーの写真も掲載したのでアピール度合いが高かったようです。

第1回講座は例によってバロック音楽基礎講座です。第1回のタイトルは例年大体同じでやっていますが、中身は変えています。参加される方の半分以上がリピーターで昨年の「バロック音楽基礎講座」を聞いてらっしゃいます。ですから全く同じ内容ではだめですけど、同じような内容のレクチャーにしなければならないのがなかなか難しいところです。

いつものように参加された皆さんはとても熱心にメモを取りながら聞いていらっしゃいました。次回は9月24日(日)15時、会場は同じくくわなメディアライヴ1F多目的ホールで、レクチャー「いけないバロック音楽~真作と贋作のはざまで~」を行う予定です。第3回~6回(最終回)はコンサートです。途中参加も可能ですので、興味のある方はぜひお越し下さい。レクチャー、コンサートの詳細は私のHPをご覧下さい。

ローデドナイルガットその3

2017年06月24日 07時04分21秒 | 音楽系
新たに注文しましたローデドナイルガットが届きました。今回はわずか1週間で届きました。大体3週間くらいは見ておかなくてはいけなかったのですが、今回は優秀です。もう在庫は充分あるようです。

今回は、前回注文した分で、不良だったものを取り替える分と予備の分を注文しました。それと一番細いCD75も注文して4コースに張ってみました。

今までにわかっている「切れる」問題点はまだ残されていました。つまりCD125がプッツンした問題点は、たまたまその弦の個体の問題ではないようだということが分かってきました。今回注文したCD120もやはりプッツンします。

6コースにCD120を使っていたのですが、音程不良のため交換しましたところ、ペグボックス内にある部分で切れました。例によって切れた弦を、「一重結び引っ張り」をしてみましたところあっさり切れます。ちなみに古いほうのCD120も「一重結び引っ張り」をして見ましたところ切れました。この弦はずっと切れずに使うことができていたのですが、たまたま切れなかったということです。予備に購入した他の2本のCDについても同じ実験をしてみましたが結果は同様でした。

一番細いCD75も切れっ端を使って「一重結び引っ張り」をしてみましたら、これは切れません。他のより太いゲージについても同様のことをしてみましたらやはり切れません。

ということでCD120と125についてはとても切れやすいので注意が必要です。ふつうにセットしたら切れると思った方がいいと思います。近接ゲージのCD115とかCD130がどうなのかは分かりませんが、このことは重大な情報であるのでアキーラに問い合わせてみなくてはいけません。

切れる上限がとても低いと言うことですから対処法としては不要な張力がかからないようにしなくてはいけません。(CD125をアーチリュートに張った結果からすると4.2kgくらいで切れる感じです。バロックの6コースCD120は計算上は3.3kgです。)バロック・リュートの6コースバスはどんな弦をはっても、ナットからペグまでの距離が長いので、ペグを回してもその分で力が吸収されてしまいがちです。CD120,125が切れてしまうのは、ナット部分のフリクションのため、ペグボックス内の部分のテンションだけが上がり上限を超えてしまうからでしょう。本当はそのくらいで切れてもらっては困るのですが。

不要な張力がペグボックス部分の弦にかからないようにするためには、弦をナットのすぐそばあたりからほとんど伸びず耐過重力が高い素材で繋いでやることです。素材としては高強力アラミド繊維「帝人テクノーラ」がいいと思います。そうすることによって、切れずに済む(といいな)と思います。今のところ大丈夫です。帝人テクノーラで繋ぐことにより調弦もしやすくなります。現状では6コース7コースはこういう方法をとったほうがいいと思います。それと6コースは3kgを超えない弦をセレクトした方が無難です。

それからCD75を4コースに張ってみた結果ですが、音色的にはいけると思いましたが精度がよくなくて、開放弦でぴったり合わせることができません。音程もだめです。4本購入したうちの3本がだめでした。あと1本はもう試さず諦めてもともと張ってあったカーボン弦に戻しました。

ということでCD弦はちょっと「危ない」かつ精度もばらつきもある弦ではありますが、回避可能あるいは許容範囲内なので、5または6コース以下のミッドレンジおよびバス弦には音色、安定性ともにとてもいい弦だというのが今のところの結論です。CD弦以外を全てガット弦にするという組み合わせもとてもいいバランスです。実態を正しく認識して使いましょう!


花盛り

2017年06月19日 23時13分45秒 | 日々のこと
今年も天然ドクダミ園は花盛りです。



冬には枯れ枯れになるのに、放っておいても今頃には青々と繁り花をつけます。すごい生命力です。今年はいつもよりさらに勢力を伸ばし敷地一杯生い茂っています。例年だと画面の右側の部分は別の種類の草が生えているのですが、今年はびっしり。敷地の右側の部分はたの部分に較べ日照時間が多少長いので、ドクダミも多少は勢力が弱まるのではと思っていましたが、今年はそんなことはものともせず大繁茂です。

ドクダミの花はとても可憐なんですが、結構臭いはきついです。お陰で野良猫や蛇はよってきません。ウチに離れで広い納屋でもあれば刈り取って干しておくのですけどねぇ。干したのを煎じて飲むととても健康にいいようです。

昔田舎に住んでいたとき、前の田んぼの農薬空中散布が原因だったのか、急にじんま疹が出てきて困っていました。あるときふと思いついてドクダミを煎じて飲んでみたところ、あら不思議1週間でじんま疹が出なくなり、今に至っています。じんま疹の原因が農薬であったかどうかは定かではありませんが、ドクダミでそれが消えたのは確かです。そんな薬効あらたかな草を放って置くのもなんかもったいない感じはします。

ローデドナイルガットその2

2017年06月08日 09時08分29秒 | 音楽系
ローデドナイルガット弦を張って3週間目になりました。

先週からは湿度、温度対策上、このような弦の組み合わせにしています。



13~6のバス弦、5コースにローデドナイルガット、13~6のオクターブ弦、3,2コースにナイルガット、4コースはカーボン、1コースはナイロンです。

4コースのカーボンは手持ちの弦がなかったので張っているだけで、積極的な選択ではありません。4コースにもローデドナイルガットを張りたいところです。全体のスキームとしてはローデドナイルガット(CD)とナイルガット(NG)の2種類です。たとえ音色的によくても安定性を考えると弦の素材の種類があまり増えるのは好ましくありません。1コースもナイルガットという選択は可能ですが、細いNG弦(NG42とかNG44)はとても切れやすく怖いのでナイロン(.44)にしています。

細いガット弦は使っているとすぐに切れますが(1日や2日という意味ではありません。もう少しは保ちます)、実は予兆もなく突然切れる訳ではありません。切れるな、という時期は明確にわかります。ところが細いナイルガットは突然プツンと切れます。体験的には、NG48以上であれば大丈夫ですが、NG44以下だと何度も突然のプッツンを経験したことがあります。アキーラではそのことを認識をしているのですが、ナットの削り方のせいにしています。でも細いNG弦で次の実験をしてみてください。

弦を写真のように、一重の結び目ができるようにして下さい。そしてその両端を滑らないように両手で左右にひっぱってみてください。(手が痛くなるかも知れませんので、革手袋などをするといいでしょう)



この実験をすると、NG44以下の細いナイルガットはいとも簡単にきれてしまいます。でも他のどんな素材でもどんなに細くても手で引っ張るくらいで切れることはありません。細いナイルガットはブリッジとかペグの結び目のところで切れやすいという特質を持った素材なのです。ですからどうしてもナイルガットの音がいいという方は、そういった特質を理解した上で、慎重に扱い「覚悟」して使うべきです。

さてCD弦ですが、とても安定度の高い弦です。張って1,2日もすれば安定期に入ります。湿度の影響は受けないですし、温度変化に対しても最近の気候の中ではとても安定しています。同時期に張った4コースのカーボンよりはずっと安定しています。ちなみに4、5コースにNGを張るのも音色バランス的には可能ですが、太いNGは温度変化に敏感かつ他の素材に対して音程的に逆の方向の変化を致しますので、扱いづらいです。その意味では、11~13コースのオクターブ弦も「太いNG」になりますので、同じ問題を持っています。4、5コースにNGを張ると扱いづらい弦が7本になりますが、11~13コースのオクターブ弦だけにすれば、3本で済むのでずっとマシ、という選択です。

CD弦は音の減衰時間がオクターブ弦や他のコースの弦とほぼ同じですし、音色も必要な程度に明確です。巻き弦のように減衰時間が長すぎるということもありませんし、太いガット弦(キャットラインタイプも含む)やカーボン弦みたいに太さによっては音が不明瞭になるということもありません。お値段もそこそこだし、いろんな点を総合すると今後暫くはバロック・リュートのバス、ミドルレンジ用の弦の主流になるのではないでしょうか。

ただ今回使用した中で、精度のよくない弦も何本かあったのが気になるところ。それからCD125がペグボックスあたりで切れてしまったことです。その弦を上述の一重結びして左右に引っ張ってみますと、あっさりプッツンときれます。これはひょっとしてCD弦はNG弦の細いのと同じ特性を持つのではと心配になり、それより細いCD弦でも同様の実験をしてみましたが、切れることはありませんでした。その弦に限って現象だったのでしょうか。

CD弦はとても柔らかい素材です。張る前はこんなに柔らかな素材で弦として使えるのかと思った程です。でもこの素材はあるポイントまではよく伸びるが、そこからはパッタリと伸びなくなるといった感じの素材のようです。この特質のためペグに巻く分が他の素材よりずっと多くなり、上手く巻かないと巻きしろがなくなってしまいますので注意が必要です。またこの伸びやすいという特質のため、ペグの回転と音程の上下があまりリンクせず(特にネックが折れているバロック・リュートの5~8コースあたり)調弦に他の素材とは異なるコツがいります。

以上CD弦についてまとめてみますと:

1)音程はとても安定しており、環境の影響を受けにくい。
2)音の減衰時間は長くもなく短くもなく程よい。
3)音色は必要な程度に明確。
4)価格はそれほど高くはない。
5)製造上の精度にやや問題あり。
6)調弦にコツが必要。

1)や5)については今後使用していく中でもっと細かいことが分かってくることでしょうけど、しばらくはこのパターンの弦を新しい楽器で使っていくつもりです。それから、湿度が下がってくる季節だと、ここで紹介したスキームのNG弦とナイロン弦の替わりにガット弦を使うという選択肢があります。実は先週まではこの組み合わせで使っていましたが、とてもいいバランスです。

ガット弦を張らなければリュートではないという、誰かが言ったことを鵜呑みにするのではなく、合成樹脂弦も含めてガット弦も弦の素材のひとつとして捉え、現状で入手可能なもので一番いいものを選択すべきではないでしょうか。ここ数年来細いプレーンガットはそこそこ実用的になってきましたが、バス弦に関しては少なくともヴァイスが満足していたような弦のレベルに達しているものはまだないのが現状だという事実を知っておくべきです。世界の多くの演奏家達が録音も含めてオールガット(現在得られるオールガットという意味です。私は決して本来の「オールガット」を否定しているわけではありません)で運用していないということが何よりそれを物語っています。今回の話題はガット弦ではなくCD弦ですので、この話はこのくらいで。

娘家族来日!

2017年06月01日 09時09分59秒 | 日々のこと
アメリカに住む娘の家族が来日中で、我が家の人口がいっきに増えました。夫婦2人でひっそりと生活をしていましたが、娘夫婦が小さい子供3人をつれて来ましたので一気に7人家族に!家中大賑わいです。

3人の子供は上から、もうじき5歳男、3歳女、1歳8ヶ月女です。上の2人は日本語もそれなりに理解して話すことができますが、英語による兄弟間の対話を聞いていますと日本語よりはるかに流暢に複雑なことをしゃべっています。まぁ当たり前といえば当たり前。上の子が今の日本語レベルしか英語を話せないのでしたら、近所の子達や幼稚園での友だちづきあいはちょっと難しいですからね。

今は話す相手によってことばを使い分けています。父親とは英語、母親とは日本語、父親と母親が話しているときに入るときは英語、兄弟同士では英語、私と家内とは日本語、そしてアメリカのおじいちゃんおばあちゃんを始め近所の人、教会で会う人とは英語です。日本語の窓口は母親だけですが、ある程度の年齢になったら日本語をきちんと学習させるつもりです。

昨日は近所の公園に行って来ましたが、アメリカ人の娘婿が公園の施設の設置基準が日本と違うので驚いていました。曰く、「ここに柵がないし、アメリカなら絶対にありえない!」5メートルくらいのセメント製の小山の上に登った感想です。アメリカはちょっとなんかあったら訴訟ですから、公園内器具の設置にはとても気を遣っています。そういや娘が住んでいる家の近くの公園は、器具の下は地面ではなく、柔らかい素材で覆われていました。そして少し高いところには必ず柵がありました。このウチの近くの公園は、自分の子供が小さいときはよく行ったものですが、今久しぶりに行ってみると、日本も昔とは変わってきているので、アメリカの基準を参考に公園の遊具設置基準を変えた方がいいのかなと思いました。

娘家族が滞在中には、仕事を入れないようにしました。まぁこっそりとデスクワークはするつもりですが・・・今週末には東京に住んでいる息子も来ますので、人口増でどうなりますやら。週末は長島温泉、来週は新幹線に乗りに行く予定です。