リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

Larsの楽器が完成しました。

2020年11月30日 12時57分02秒 | 音楽系
2年半ほど前にスウェーデンのLars Joennsonに頼んでありましたルネサンス・リュートが完成しました。私の生徒さんの楽器です。Tieffenbrucker (Vienna)の楽器を少しスケールダウンした楽器で、弦長59cmのかわいらしい楽器です。



リブは11枚、柄の入ったメープルに黒いスペーサーが入っています。



ネック、指盤、ペグボックスは黒檀の突板です。ロゼッタはこんな感じです。6,7コースのバス弦はローデド・ナイルガット弦が張られています。



私もLarsのバロック・リュートを3年ほど前から使っていますがとてもいい楽器です。それと同じ楽器を別の生徒さんが注文されていて、そちらは来年の春頃に送られてくる予定です。彼のメールでは今ストックホルムでは第2波の新型コロナウィルス蔓延で大変なことになっているとのこと。スウェーデン全体では11月中旬以降の一日あたりの感染者数は5000人前後の水準で推移しているそうです。日本ではまだスウェーデンの半分程度の水準ですが、油断してはいけません。

今回完成した楽器は本当はもう少し早く完成する予定でしたが、遅れたのはコロナ禍の影響もあったようです。ちなみに私もリウト・アッティオルバートを注文していますが、こちらの完成は3年くらい先です。さすがにその頃はコロナ禍も終息しているでしょうから、空のケースをかついでストックホルムまで取りに行こうかなと考えています。

新・情報7daysで日産リーフの大宣伝!

2020年11月29日 13時35分09秒 | ウソゆうたらアカンやろ!他【毒入注意反論無用】
昨日の新・情報7daysというテレビニュース娯楽番組で長々と日産リーフの宣伝を番組内でやっていました。名目はSDGsプロジェクトの一環ということですが、どうみてもリーフの宣伝に見えました。この番組のスポンサーである日産の意向(圧力?)だったのだろうとは思いますが、CM枠外でこれほど長くスポンサーの宣伝まがいのもの使うというのは公共の電波の使い方としてはどうなんでしょう。

番組では「電気自動車は電池として使え災害になった時などにスタンドに並ばなくてよいため評判を呼んでいる」なんて言っていましたが、これってウソッぱちです。私は災害と言えば子供の頃に罹災した伊勢湾台風を思い浮かべるのですが、もし電気自動車が普及していてあの状況下に遭遇したなら電気自動車ごとやられてしまうのは明白ですから災害時には何の役にも立ちません。むしろ車が破壊されて感電なんかの二次災害の方が心配です。

また満充電で東京から京都まで走れるなんて言っていましたが、それはあくまでカタログ上の数値をあてはめただけの話。実際には湾岸道路経由なら桑名あたりで一度充電してついでに焼き蛤でも食べた方がいいというものです。

電気自動車(BEV)はまだまだいろんな課題をかかえています。電池の値段が高いので車両価格もとても高価である、充電時間に時間がかかりすぎる、電池製造のための原料安定供給の問題、普及した際の電力供給の問題などなど。課題山積現在進行形の電気自動車が市場原理から普及するはずがないのに、世界各国が普及の方針を打ち出しているのは、要するに大市場である中国で商売をしたいがために中国の基準や方針に合わせているからなんでしょう。

電子機器ではうまいこと情報をかすめとってコピーすれば製造が可能でしょうけど、現物を試行錯誤して作らなくてはいけない内燃機関の分野では先進国に追いつくのは無理と悟った中国はいろんな理屈をつけてNEV規制(電気自動車、燃料電池車、PHEVの生産台数を監視してそれらが増えるようにする)なるものを制定して、ゴールポストを動かしてしまいました。もっとも最近では中国のNEV規制枠にハイブリッドも含めることにしたらしいです。さすがの中国政府も従来のNEV規制枠では現実的ではないと考え始めたのでしょう。

最近日本政府は電気自動車の購入補助金を最大80万円に引き上げるということを打ち出したらしいですが、そんな施策には乗らないほうがいいですよ。「東京から京都まで行ける!」(誇大宣伝=ウソ)バージョンのリーフは諸経費込みで補助金がもらっても400万を超えます。電気自動車を買って納得する人とは、1.自宅に駐車場がありかつあまり車に乗らない人→でもこういう人なら軽自動車という選択肢も。2.大きなお家に住んでいてお金持ちの人→こういう人はリーフではなくテスラとかドイツ勢の高級車の方が満足度が得られるでしょう。でも全然エコではありません。

さてシメで冒頭の話にもどりましょう。電気自動車がさも唯一のSDGsの解決策のように言い(言い出しっぺの中国政府ですら方針を変えています)、いちメーカーの宣伝ともとれる内容のものを公共の電波を使って一般の放送として流したTBSはアカンです。

全てオンライン・レッスンに

2020年11月28日 13時02分25秒 | 音楽系
名古屋市の新型コロナ感染状況はとても厳しい状況です。札幌と比べてもそんなに差がないほどひどい状況なのに、なぜかちょっとマスコミの報道も少なめで危機感が足りないような気がします。県では名古屋の錦三地区の飲食店舗を中心に営業時間制限を呼び掛けていますが、もはやそのレベルではないと思います。いたるところが感染場所になっていて、医療状況も逼迫している状況(今日の新聞報道)ですので、名古屋GoTo関連事業の停止と不要不急出入り自粛を呼びかけるべきだと思います。

私は名古屋市でもレッスンをしていますが、自主的に行動制限をかけまして、すべてオンラインで行うことにしました。自宅教室は5月くらいからオンラインですので、これで全てのレッスンがオンラインになりました。

開始した当初はオンラインだと不便なことがあるかも知れないと思いましたが、半年くらい続けてやってみると実際はほとんどありませんでした。たまに通信回線が以上で音声が悪くなったりまれにフリーズしたりしますが。

オンラインのメリットはいろいろあります。よく使うのは楽譜の画面を共有して指示できること、これは対面のレッスンよりやりやすいです。生徒さんが私の手の形を見比べながらレッスンできる、これもいいですねぇ。それからポイントとなるような部分とかお手本を録画してあとで見てもらうことが簡単にできます。送付は現物を送るのではなく、Dropboxに保存されているファイルのリンクを送るだけです。これも相当効果を上げています。もちろん録音、録画は対面レッスンでも可能ですが、オンラインの方がはるかに手軽にできます。あと生徒さんからみればウチに来る交通費や時間を節約できます。これだけメリットがあると、新型コロナ禍終息後もオンラインを一定回数は続けるのがいいのではと思います。

いろんな分野で経済的に縮小している中、EC(電子商取引)は大きく伸びているそうです。Amazonや楽天だけでなく、デパートやスーパーなども力を入れつつあるようです。ユーザーとしては安心かつ簡便・迅速に物品を購入できるので素晴らしいことだと思います。もしデジタル環境が今ほど整っていなかった10数年前に新型コロナ禍が発生していたら、ECはまだ機能せず、学校もオンライン授業はできず(アメリカに住んでいる孫たちはいまだオンライン授業です)、オンラインリュートレッスンもできず、世の中に与えるダメージは今よりはるかに大きくなっていたことでしょう。やっててよかった〇〇式じゃないですけど、本当にデジタル環境が整備されつつある時代での災厄は不幸中の幸いと言えます。とはいうもののまだまだ不十分で、それが今回の新型コロナ禍でいくつか露呈しました。次の災厄に備えるために今は課題を整理していくときだと思います。

Sibelius 更新

2020年11月27日 12時37分24秒 | 音楽系
楽譜を記述するコンピュータソフト、Sibelius シベリウス(英語圏の人だと「サイベーリアス」ってなまって言ってます)を3年ぶりに更新しました。何年か前からSibeliusはサブスクに移行していますが、私は3年に一度の支払いにしています。



このSibeliusもはや一家にひとつの必需品です。日本ではなぜかFinaleが多いみたいですが、世界的に見るとSibeliusの方が多く使われています。(あくまでも1ユーザーの感想であまり根拠はありませんが、バーゼルにいたときは皆SibeliusでFinaleの人は見たことがなかったし)

クラシック系の音楽をする人には楽譜はつきものですが、コンピュータで清書してみようという方はぜひ奮発してSibeliusを使うといいと思います。中途半端なフリーのアプリとか最近出たばかりの発展途上のアプリで試行錯誤している時間があるのなら、だまってSibeliusです。ずっと使いやすいですよ、ちょっと経費はかかりますが。

Sibeliusはとても古楽フレンドリーでもあります。通奏低音の数字はとても簡単にきれいにマウスを使わずに記述できますし、小節線のない曲とか小節線が規則的でない曲(アーリーイタリアンバロックやフレンチバロックの曲なんかに出てきます)にも対応。中世や初期ルネサンスの曲のようにもともと小節線の概念がない時代の曲でも現代人に読みやすいようにティックをつけることもできます。なんとリュートタブもきれいに書けます。五線譜で書いた曲をタブの六線譜にコピペするとあっと言う間にタブ譜にしてくれます。もちろんどんな調弦のタブでもどんな字体でも自在にカスタマイズ可能です。最近まで連載していたヴァイスのコンチェルトのタブもシベリウスで記述しています。そうそう、シベリウスのサウンドには何とリュートそのものをサンプリングした音源も入っています!

またSibeliusは作曲編曲のツールでもあります。私はここ何年かに行った作編曲の仕事はすべてSibeliusでやっています。私の場合は、すばやくイメージを走り書きするのはさすがに手書きの方が速いですが、キーボードが得意な人は走り書きをSibeliusで出来るかも。アンサンブル曲の記述はスコアでしますが、スコアが完成した瞬間にパート譜も完成です。スコアとパート譜はいつも連動しているのです。

このように書くとAVID(Sibeliusの発売元。Pro Toolsなんかも出しています)の回し者みたいに思われるかもしれませんが、そうではありません。はい、楽譜アプリをという方にはイチオシ、一択です。(笑)

イメージは変わりゆく

2020年11月26日 10時48分44秒 | 日々のこと
時を経るとものごとのイメージは変わっていくものです。最近聞いた話では、政党の共産党というのは若い人たちのイメージでは保守的なんだそうです。一方自民党の方はというとむしろ革新的だそうな。多分共産党や立憲民主党あたりの政治家は「護憲」を叫び、対する自民党は「改憲」を訴えていることからくるイメージなのかも知れません。その話を聞いたときはたまげましたが、理由を考えてみるとそうなのかもと納得できる感じです。

自動車メーカーのイメージだと、当ブログでもときどきレビューを書きますマツダには実はワタクシ、根っこのところでよくないイメージが残っています。というのも子供の頃父親が購入したマツダR360という軽自動車は調子が悪くよく故障しました。冬にエンジンがかからず家族総出で「押しがけ」をしたこともありました。雨漏りもしましたし。その後も東洋工業のマツダは「マツダ地獄」「マツダ効果」(注)なんて言われ方をしました。

しかし今の若い人たちのマツダのイメージは、走りや、かっこいい、スポーティーなどといったプラスイメージのようです。ロータリーエンジンのRX7やロードスターといったスポーツカーをずっと作り続けてきたメーカーということから来ているのでしょう。最近のマツダ車は本当に素晴らしい出来の車が多いですが、私のように数十年前のイメージが心の片隅にひっかっかている人もまだいるのでは。

ホンダは、若い頃、本田宗一郎ががまだ健在の頃は革新的な創意工夫・進取の気風にあふれたメーカーというイメージを持っていました。それだからこそ私は初めての普通車に初代シビックを選び、以降バイクも含めて4台もホンダ車を乗り継いだのでした。でも今の若い人たちは小さい車を作っているメーカーというイメージだそうです。私も途中からイメージが変わりホンダ党から離れました。ここ20年くらいのホンダは私に言わせれば残念メーカーですね。昔のイメージをつないでいるのはホンダジェットだけです。惜しいですねぇ。

トヨタは以前はマネシタ電機(こんな名前のメーカーってあったような?)みたいに、よそのメーカーで成功した例をよく研究して、強力な販売網でもって一気にシェアを取るという感じのイメージでした。それが何代前の奥田碩社長の頃から堅実だけど先進的な取り組みを積極的にするメーカーとなったというのが私のイメージの変遷です。今では超低燃費のハイブリッド車やPHV車を大量に作り、水素燃料電池車を実用レベルで販売している世界で一番進んでいる自動車メーカーです。トヨタがEVで後れをとっているという風に言っているマスコミもありますが、これだけの電動化技術と大量生産技術の蓄積があるメーカーがEVを作るのはたやすいことでしょう。

さてリュートという楽器はどんなイメージなんでしょう。以前、リュートはギターが弾けない人が弾く楽器だ、ってアマチュアの方から面と向かって言われたことがあります。なんて失礼な言い草だと思いましたが、確かに昔はそういう人がいたのも事実ですので、そういうイメージがあるのでしょう。でもギターが上手に弾けない人は当然リュートも上手に弾けませんし、もちろんプロでそんな人はいません。

ただある年齢(50歳か60歳以上かな)以上のリュート奏者は確かに皆クラシック・ギターも上手に弾きます。多くはクラシック・ギター奏者として多少なりとも活動歴があったり(私も2年ほどあります)、ない場合でもクラシック・ギターから入ったという人が多いです。でもある年齢から下のプロにはそういう経歴はありません。アマチュアの場合も、例えば私の生徒さんの大半はギターが弾けません。昔はリュートと言えばギターと結びつける人が大半でしたが、今はリュートは古楽器のひとつであり、クラシック・ギターと結びつける人はいないようです。まぁもともと異なる楽器なので当然といえば当然でしょうが、ギターとは同じ撥弦楽器の仲間であり、技術的に共通点もいくつかあるので仲良くしたいものです。

以前ミューズで昔弾いたことがある曲をクラシック・ギターで弾いていましたら、それを聴いていたお客さんが「中川センセってギターもお上手なんですねぇ!」なんておっしゃていました。そうです、そういう感覚が正しいのです。

(注)
マツダ地獄:マツダ車は中古車査定が低かったので、一度マツダ車を買うと他のメーカーのディーラーだと高く下取りしてもらえないので、結局またマツダディーラーでマツダ車を買うことになるというのを「マツダ地獄」と言っていました。

マツダ効果:マツダ車はぱっと見はカッコいいので、発売当初はすごく売れるのだがそれが長く続かないことを言います。販売力が脆弱だからだと思いますが、近年のディーラーは綺麗な店舗になり、販売員も車のことに詳しい人が多くなりました。(旧タイプの店舗の店員さんにこれから新しく出てくるSkyactiveのことを尋ねたら全く知らないという方がいました。10年近く前の話です)

三島由紀夫没後50年

2020年11月25日 19時45分33秒 | 日々のこと
今日は三島由紀夫が市ヶ谷の陸上自衛隊駐屯地で自決してから50年になります。そのころ私は大学1年生で、大学から帰宅する途中、名古屋の栄にある本屋さんをフラフラ歩いていて目にしたのが、「三島由紀夫氏自決」の文字でした。それは結構低い位置にあったと記憶していますが、B4くらいのサイズの紙に筆で書かれていて、落語の演目帳のようなものに貼られていました。

そのころまでに三島作品で読んだのは「潮騒」と短編の「憂国」くらいしかなかったのですが、三島由紀夫という作家はとても有名でしたのでとても驚きました。しかも行動を共にした盾の会のメンバーに四日市出身の人がいたということで、妙に近いものを感じたものでした。

1年ほど前に「潮騒」を読みなおしてみました。どうしてまた読む気になったのかというと、本棚にあった北杜夫の「楡家の人々」を何気に手に取ったとき三島の書いた推薦文が本のボックスに書かれていました。その推薦文は旧仮名遣いで書かれていたのですが、一つの作品といっていいほどの格調の高い名文に感銘を受けたのです。

「潮騒」を読み直してみると、格調の高い文が美しく小説の世界を彩っていることに惹かれました。若い頃はストーリーの流れだけを読んでいた感じでしたが、トシをくってみてほんの少しですけど文体の美しさ、表現の巧みさがわかるようになった感じがしています。「潮騒」のような完成度が高くポピュラリティも高い作品をわずか29歳のときに書いたなんて信じられないくらいですが、45歳で没した彼からすればすでに円熟期に入っていたのでしょう。

彼の死後読んだ金閣寺、仮面の告白なんかも再読してみようと新版を購入しましたが(潮騒も新版で再読しました)、今のところまだ「ツンドク」状態です。(笑)昔買った三島作品の文庫本はまだ持っていますが、字が小さくて読みづらいです。あれからもう50年もたったのですね。


マツダMX-30好評発売中!(後編:試乗)

2020年11月24日 14時43分36秒 | 日々のこと
試乗の前に以前なら用紙に住所氏名を記入するのですが、今はiPadで入力します。以前に私の名前は入力したことがあるので、その旨伝えて、いよいよ試乗です。



隣にディーラーの若いお兄さんが同乗します。ディーラーの駐車場から歩道を越えてよく注意して右折します。試乗は国道23号線を経由して高速道路入り口に続く一本道で、料金所の手前で折り返すコースです。

試乗のときまず注目するのは、ディーラーの駐車場からスタートして最初の信号交差点あたりまでの走りです。この間はスタート、段差乗り越えまたスタート、そして停止がありますが、その間で車の素性が大体わかるものです。あまり作りのよくない車だと、ボディがかすかに軋んだり、室内に安っぽいノイズが入ってきたりするものですが、MX-30はとてもそういったノイズは全くなく、2クラスくらい上の車に乗っているような感じです。低速からの微妙なブレーキングもとてもなめらか。乗り心地はやや硬めですが、とがった感じの不快さは全くなく街中ではかえって好ましいと思います。

エンジンは2000ccのマイルドハイブリッドですが、プリウスみたいなハイブリッド感は全くありません。マイルドハイブリッドだけにモーターが走りに大きく寄与することはなく、サポートとして働いているためでしょう。ハイブリッドだなと感じるのは、アイドリングストップからのエンジン起動がモーターに補助されるのでとてもスムーズなことくらいでしょう。あと燃費にも多少の貢献はしていますが、トヨタのハイブリッドのように圧倒的な低燃費というわけではありません。

本当は高速道路で30分くらい試乗したいところですが、干拓地から料金所までの道とその復路ではそこそこのスピードは出せますので(もちろん法定速度以下です)高速域の感じは掴めます。エンジンの出力は156馬力/6000回転、199n.m/4000回転ですので比較的高回転型です。トルクが低回転でもう少し出ていれば街中では使いやすいと思いますが、この2000ccPE-VPH型ユニットはモーターの力も得て軽快に軽快に吹き上がるのでとてもいいフィーリングです。

変速機はロックアップ機構付きの6速ATですが、ここは8速をおごって欲しかったです。もっとも高回転に振ってあるエンジン特性から行くと6速の方が使い勝手がいいのかも知れません。コストの関係もあるのでしょう。日常的な使い方では必要にして十分かも知れませんが、街中でのきびきびした動きや燃費のことを考えるとやはり8速が望ましいです。

ブレーキは低速では特に問題は感じませんでしたが、高速からぐっと速度を落とすときに効き味に若干違和感を感じました。よく効くブレーキを表す例えに「真綿で絞めるような」という言い方がありますが、MX-30のブレーキは無理やり力づくで止めている感じです。マイルドハイブリッドということで回生ブレーキですから、このあたりが効き味に影響しているのかも知れません。

欧州ではMX-30はEVとして発売されていますが、日本ではマイルドハイブリッドとして先行発売、来年1月にはEV版も登場するそうです。さらにはロータリーエンジンを発電用に使ったレンジエクステンダー版も登場予定だそうで、今後も目が離せません。ただ、EVは航続距離が200km台でかつお値段もかなり高価、さらにEV+レンジエクステンダーもっと高価になりそうなのが課題です。


S.L. ヴァイス:メイキング・オブ・ミッシングパート(31)最終回

2020年11月23日 21時58分29秒 | 音楽系
今回は第4楽章108小節目~最終小節です。

107小節目から始まっている「シメのフレーズ」が続いています。



前回も書きましたが、前半のシメのフレーズは属調のハ長調、後半のそれは原調のヘ長調です。前半は「シメのフレーズ」は1回だけですが、後半ではもう一回繰り返します。



今度はリュートから始まります。ただ対応関係が変則的です。本来なら、リュートの115-116小節のフレーズと同じものをヴァイオリンの116-117小節で繰り返すことになるのですが、もともと同じ形で受けていないのでこういう形になります。これは7thの音が響くように変更したためです。同じ音型の受け答えだと響きはちょっと平凡になります。115小節目の冒頭には、「P」(ピアノ)と強弱指示が書かれています。(楽譜では抜け落ちてしまいました)<(_ _)>「シメフレーズ」の2回目は小さく弾けということですね。



121小節目の冒頭には「fort:」(フォルテ)の指示があります。最後は前半部と同じ形がヘ長調で現れて曲を閉じます。

長らく連載いたしましたが、今回で最終回です。通しの音源のリンクを付けますので4つの楽章を通してお聴きください。なお音源は440のト長調で、ギターとコルネットのデュオになっています。(理由は後述)今回の音源は以前のものより多少は音楽的で、ヘタクソな弾き方ですが装飾音もちゃんとついています。なお、連載で掲載したあとも少し手直しをしていますので、音源はいままで掲載した楽譜と異なるところが何か所かあります。手直しはやり出すとキリがないので、この音源の楽譜をもって最終稿としたいと思います。

ヴァイス:リュートとフルートのためのコンチェルト(ギターとコルネット版)

なお、この曲のギターとモダン・フルート用の編曲版がクラシック・ギター専門誌「現代ギター」に掲載されることになりました。ギターで演奏可能なように一音あげてト長調で編曲しました。今回の音源は編集部の参考用に製作したものです。本来はギターのお相手はフルートのはずですが、私が使用しているシベリウス用の音源、Note Performer3のフルートは「活舌」がどうも悪くて演奏がぎこちない感じになってしまいます。いろいろ試した結果コルネットが一番いけるので採用しました。

でもこのNote Performer3のコルネットって、今のブラスバンドなんかで使っているラッパのコルネットの音ではないですね。音としてはツィンク(昔のコルネット)そのものです。でもこのヴァイスのコンチェルトのフルートパートは、実際のツィンクでは演奏は難しいと思います。スイスにいた頃ツィンクを演奏する学生と合わせたことがありましたが、音量的・音質的ともとてもよく合いましたが、いかんせんその学生が下手過ぎて結局コンサートでは演奏しませんでした。とても音のコントロールが難しい楽器には違いありませんが。

さて、現代ギター誌の掲載は今のところ未定です。詰めて書いても全楽章で10ページもありますので、2回に分けて連載されるようです。掲載号がわかりましたらこのブログでお知らせします。


マツダMX-30好評発売中!(前編:外観内装チェック編)

2020年11月22日 14時46分08秒 | 日々のこと
10月に発売になりましたマツダMX-30に試乗してきました。10月の初めにはまだ近所のマツダショールームにはなかったのですが、最近前を通りましたら置いてあったので早速試乗を申し込みました。たまたま私が行ったタイミングがよかったのですぐ試乗することができましたが、試乗車に乗りこむ頃には3人くらいの方が試乗待ちしていましたので、かなりの人気なんだと感じました。



試乗車の用意ができるまでに、屋内に展示してある別のMX-30で外観、内装をチェックしてみました。外観でいままでのSkyactive Technologyシリーズのクルマと大きく異なっているのはフロントグリルです。少し小さくなりましたが、彫りが深くなかなかキュートです。Skyactive以降のマツダ車はマツダ車としての統一感を出すために、基本的に同一言語によるデザインのフロントグリルで統一していますが、統一しすぎていていてどれも見ても同じように見えます。ほぼ同じに見えるけど、よく見てもあまり変わり映えがしないという感じです。BWMやMINIも同様のコンセプトを持ちますが、こちらはほぼ同じに見えるけど、よく見ると結構異なるのです。その点MX-30のフロントグリルは新しい次の変奏曲に入った感じでとても好感が持てます。今後のマツダデザインの方向性に期待が持てます。



内装は最近のマツダ車に見られるようにとても上品でセンスのいいものです。ドア上部のトリムはフェルトの布地ようなもので見た目も触った感じも最高です。これの素材はなんとペットボトルのリサイクルだそうで、このあたりは現代の環境問題を考慮していてマルです。インパネ周りはシンプルですが、使いやすく配置され素材も安っぽいものは使っていません。興味深かったのはセンターコンソールに使われているコルク素材。とてもあたたかい感じがするこの素材ですが使われている車は見たことがありません。実はマツダの前身、東洋工業(私が若い頃はまだこの名前でした)のそのまた前身の東洋コルク工業は、その名の通りコルク製品を作る会社でした。コルク素材はマツダの100年にわたるヒストリーを象徴するものとして使われたものでしょう。マツダレジェンドと現代の環境意識を象徴する素材ががさりげなく融和し室内の上質な雰囲気を形成しています。

またシートの色目もとてもおしゃれ。フランス車なんか大衆的なクルマであっても、そんなに高級な素材ではないのにシックな感じがしますが、今回のシートのデザインはそれらに肩を並べるレベルです。このクラスの室内としては国産車は言うに及ばず欧州車と比べても1,2を争う出来だと言っていいでしょう。

インパネ周りの操作系などは実際に操作することができないのでよくわかりませんでしたし、オプション7万円のボーズサウンドシステムも聴いてみたかったのですが残念ながらできませんでした。室内で一つ気になったのは変速機のシフト順が一般的な一直線ではなく、パーキングが一番向こうの右になっていることです。これってどうなんでしょう。試乗して実際に操作してみないとわからないですが、慣れの問題かも知れません。

足元のペダルは例によってSkyactiveのマツダ車の美点でアクセルはオルガン式ペダルでオフセットがありません。自然と両足を伸ばした状態でアクセル操作が可能でブレーキペダルとは必要十分な距離があります。昨今よく見られるアクセルとブレーキの踏み間違えもこのペダルレイアウトから来ている可能性もありますし、普段の運転時の疲労軽減という点からも、マツダの姿勢はは大きく評価したいです。



リアハッチゲートの開口部の広さは標準的でしょう。クーペフォルムに見えるのですが意外と天井はまっすぐなので後部の高さも確保されていますし、荷室の奥行きも見た目よりありました。外観から想像するよりずっと実用的だと言えます。

あと特徴的な観音開きドアですが、後部座席に何かちょっと置くときとか小さい子供の乗り降りにはとても便利だと思いました。ただフロントドアを開けないとリアドアは開かないようにできていますので、そこが実用上のネックになるのではないでしょうか。

さて次回はいよいよ試乗です。


S.L. ヴァイス:メイキング・オブ・ミッシングパート(30)

2020年11月21日 16時13分29秒 | 音楽系
今回は91小節目~107小節目です。



前回の90小節目アウフタクトから第4楽章の最初のテーマが現れますが、すべてのフレーズではなく92小節目で途切れます。93小節目からはリュートソロフレーズです。ここではいままで同様ヴァイオリンパートは2拍目に四分音符が入るだけの「遠慮がち」なフレーズです。しかしこのリュートソロも長くは続かず次のフレーズに移ります。

このように第4楽章の後半では今まで出てきたフレーズの再現はありますが、そのまま出したのでは退屈になりますから、形を少し変えたり短縮された形で再現されます。



100小節目からは前半の7小節目からのフレーズが再現されますが、再現されるのは12小節目までの6小節です。



106小節からバス抜きでヴァイオリンとリュートが掛け合いをする「シメのフレーズ」が続きます。この「シメのフレーズ」は前半にも出てきました。前半では転調して属調のハ長調ですが、後半ではヘ長調です。こういうやりかたはあとの時代のソナタ形式での第2テーマの扱い方と同じです。

(つづく)