リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

朝のコンサート

2016年12月16日 13時53分53秒 | 音楽系
今週と先週は午前中のコンサートがつづきました。二つともプライベートなコンサートですので広告はしていませんが、沢山の人に聞いて頂きました。二つとも10時ころに開始なので、夜更かし人としては早起きが大変でしたが...

先週のコンサートは名古屋駅前の某所です。ここの建物がオープンする際、オープニングコンサートをさせて頂itいたことを覚えています。そのときはヴァイオリンの方とご一緒させて頂きましたが、今回はアーチリュートのソロで、古典的なオリジナル曲や自作品によるプログラムです。演奏曲中一番評判がよかったのは、自作の「夜間飛行」でした。自分で言うのもナンですが、この曲は受けがいいですねぇ。このテの曲をもっと作らねばいけません。

今週のコンサートは、愛知県碧南市のとある会場でした。このコンサートは厳密に言えばプライベートコンサートではなく、地域の方にはお知らせいただいていましたので、各方面からおいで頂きました。碧南市は御縁がありまして、もう20数年前になりますか、当地のエメラルドホールが開館する一年前に、プレイベントとして
リュート音楽講座を連続数回担当したことがありました。今回のコンサートにはその講座に参加された方もお越しいただき、とても懐かしい思いが致しました。

プログラムは、先週のものと三分の一位は同じですが、ヴァイオリンの熊谷祥子さんとの共演で、バロック時代の曲、オリジナルアレンジのクリスマス曲やトラッドを演奏いたしました。終演後打ち上げの昼食会にも入れて頂きまして、とても楽しく過ごすことが出来ました。

バロック音楽の旅X第5回講座

2016年12月11日 17時20分57秒 | 音楽系
バロック音楽の旅X第5回講座が終了しました。



今回はチェンバロの藤目由梨さんをお迎えして、イタリアとドイツの曲を演奏して頂きました。藤目さんは今回初めての登場です。愛知県豊橋市出身で東京藝大を卒業後、東京と愛知を拠点に活動をされている方です。

曲目は次の通りです。

ヨハン・セバスチャン・バッハ(1685-1750)
ゴルトベルク変奏曲よりアリア
フランス組曲 第5番 ト長調BWV816
(アルマンド、クーラント、サラバンド、ガヴォット、ブレ、ルール、ジグ)

ジローラモ・フレスコバルディ(1583-1643)
トッカータ第1番(トッカータ集第2巻より)

ヨハン・ヤーコプ・フローベルガー(1616-1667)
パルティータ ハ長調Fbwv612
(アルマンド~ローマ王フェルディナンド4世の悲しき死に捧げる哀歌、
クーラント、サラバンド、ジグ)

ドメニコ・スカルラッティ(1685-1757)
ソナタK.25嬰へ短調、同K.26イ長調

ヨハン・セバスチャン・バッハ(1685-1750)
イタリア協奏曲BWV971第1楽章

人気のある曲ばかりで、藤目さんの力演にみなさんうっとりとされていました。


次回第6回(2016年2月12日)はいよいよ最終回です。私の演奏で「テオルボ・アーチリュートによるフランス・イタリアの音楽」をお贈りします。会場は同じくくわなメディアライヴ「時のホール」です。




12月13日のコンサート?

2016年12月04日 19時12分36秒 | 日々のこと
今朝男性の声で電話がありました。

「もしもし、12月13日のコンサートのことで教えて頂きたいのですが」
「はいはい、えーと13日ですね。えっ?」

今月は何回かコンサートや講座がありますが、13日にコンサートがあるという記憶がありませんでした。ひょっとして頼まれていたのにコロっと忘れていたかも知れないので一瞬あせりましたが、しっかり予定帳を眺めてみまして、13日にはコンサートがないということを確認しました。

ふと思いついたのは昨年のことです。昨年の予定帳を見てみましたら、確かに12月13日コンサートをしています。

その男性は、

「某所でチラシをもらってきたら、12月13日にコンサートがあるということなので、今電話しているのですが」とおっしゃる。

「それってひょっとして昨年のコンサートのチラシじゃありませんか?」

男性は某所に私のコンサートのチラシがおいてあって、それをもらってきたようですが、いくらなんでも1年も前のチラシが置いてあるなんて普通はないですよね。ひょっとしてその男性が去年チラシをもらってきたのを最近もらってきたと勘違いしているか、実は某所にはまだ私のチラシが残っているか、真偽の程はよくわかりませんが、13日には私のコンサートはない、ということは理解していただきました。

音楽の聴き方

2016年12月01日 13時38分01秒 | 音楽系
10年程前までは、CD屋さんは恐ろしいところでした。店に入ると1時間は長居して、しかも2万円くらい(安くても1万円)は使ってしまうのですから。

それが、気が付いたらCDはほぼ100%店で購入することがなくなり、ネットで購入しています。けしからんことに、すごくいいアルバムが1円で売っていたりします。(この場合、送料が300円くらいはとりますので、そこで儲けているのでしょう)

つい最近も値段は忘れましたが、三善晃の作品集を見つけましたので早速購入いたしました。お値段は忘れましたが2枚組にしてはえらい安かったことは覚えています。

曲は交響4部作「夏の散乱」「谺(こだま)つり星」<チェロ協奏曲第2番>、「霧の果実」、「焉歌(えんか)・波摘み」です。なんか難しい漢字がいくつかありますが・・・



三善晃は2013年に亡くなりましたが、CDの録音作品は1995年~98年に書かれた作品ですので、最晩年の作といってもいいと思います。このアルバムはとても珍しく、同じ曲が異なるオーケストラで2組演奏されています。つまりCD1は東京交響楽団、CD2は大阪フィルハーモニー交響楽団、指揮者とソリストは共通でそれぞれ秋山和慶、堤剛です。

実はCDは中古で購入しましたので、中を開けてみると何やら書かれている付箋が残っていました。読んで見ますと・・・

(○の部分は読めません)
「B29の大編成が空の円盤を響かせて地上に沈○を○いている/メロディアスなのも空ろ/不幸な時代の不幸な音楽家/○く音、軋る音」

裏面には、
「大きな深い穴の傍らに佇んでいる。底は見えない。柱状摂理のひびわれ、散乱のイメージはある。電源が突然切れる。○○の○も○○にならない」

CDには作曲者自身が、ライナーノートを書いていますが、そこにはこの連作のテーマとなる戦争、原爆、死などについて書かれています。「夏の散乱」については、「・・・この曲には、二度の原爆の年月日の数列19458689による5音旋法(CDFGCACD)を用いた。・・・」とありますし、「焉歌・波摘み」の最後は「・・・しかし曲の最後、つまりこの四部作の終焉には、波は、死者たちの耳が最後に聴きとったはずの子守歌を、途切れ途切れに歌う。海は母、波は魂・・・・生者と死者の隔てなく」という文章で結んでいます。

音楽を聴く「とっかかり」として作曲者自身が語ることばを読むのはわかりますが、このCDの前オーナーは結局はライナーノートを読んだだけで、CDの音は耳に届いたけど音そのものの意味は届かなかったのではないでしょうか。といいますか、彼は(彼女かも知れません)音楽に具体的な意味とかイメージを求めるという聴き方をしていたのでないでしょうか。

音楽を聴くとき、解説をまず読まないとさっぱりわからない、とおっしゃる方は多いですが、何も考えずにただその音に身を(耳を)まかせてみてはどうでしょうか。感想をことばで言うとかまとめたりする必要はありません。音楽は文芸や美術とは異なる芸術です。文芸的に説明したり、美術的な視覚イメージを求める必要はありません。ただ音によって伝わってくる何かを感じらればそれでいいのです。そもそも文芸である小説だって感想文なんて不要ですし、ビジュアルな「君の名は。」も感想文不要、そのまま受け止めればいいのです。世の中説明が多すぎるし、人々もそれを求めすぎます。

CDのライナーノートには別の評論家による解説がありました。「ほんとうは、書かれた文章など読まずに、これらの音をそれぞれの耳で聴き、それぞれのことを受け取っていただきたい。・・・」とありました。そうです、いいことおっしゃる。自分の耳で音を充分受け取ったあとで、作曲者のことばを読むというのが本筋でしょう。