リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

東京公演

2017年03月28日 22時41分12秒 | 音楽系
名曲喫茶カデンツァ(東京都文京区本郷)でのコンサートが終了しました。この会場でのコンサートは一昨年12月以来で2回目になります。



当日は霧雨のような雨が降っていてとても湿度が高く、ガット弦を張っていたらちょっと面倒なことになるところでした。週間天気予報で、コンサート当日はどうも雨模様になるのではと思い、ミューズのコンサートが終わってすぐにナイロン弦に交換しておきました。

音が少しキンキンするのは気になりましたが、切れることや湿度の状況を気にしなくてもいいのはずいぶん気が楽です。1コースに0.42か0.44を張るのですが、演奏時間にして10時間から15時間で音がだめになります。場合によっては切れてしまいます。演奏する曲にもよるのですが、ガット弦はなかなか大変です。

今回のプログラムは、先週のミューズでのコンサートとほぼ同じですが、ザンボーニのチャッコーナの替わりに、サンスのカナリオスを演奏致しました。

会場には、リュートの愛好家だけでなく、東京在住の同窓生、かつて私の生徒だった人も来て頂きとても懐かしい感じが致しました。コンサートが19時開始だったので、終演後あまりお話をすることができずちょっと残念でした。

コンサート後すぐ桑名に帰るのは少し疲れるので、近くのホテルに泊まり、翌日は帰り道に箱根の強羅温泉に一泊することにしました。コンサート当日のニュースで、箱根のあたりでは雪が降り、箱根ターンパイクが通行止めになったとありましたが、箱根ターンパイクと強羅温泉の位置関係がよくわかっていないので大して気にもしませんでした。

実際、結果的には別に気にしていなくてもよかったんですが、翌日強羅温泉の宿に電話をして確認しましたら、前の晩は除雪車が出て雪をどけたとのこと。まさかの積雪です。一日違っていたら行くことができなかったということになります。

今回のコンサートシリーズは今度の土曜日の、ヤマザキマザック美術館でのコンサートで終了です。これでちょっと一息つくことができますが、まだ気を緩めるのはちょっと早いです。(笑)

リュート音楽のひととき17

2017年03月20日 21時29分59秒 | 音楽系
リュート音楽のひとときシリーズも17回目になりました。第1回は2006年頃でしたから、もう10年以上やっています。会場もほとんどが名古屋市内のミューズ音楽館内のミューズ・サロンです。リサイタルがある年は、この「ひととき」は年1回またはナシというときもありましたが、年2回開催というのを目標にしています。

19日のコンサートではアーチ・リュートを取り上げてみました。ルールデス・モレーノ・ウンシージャ作のアーチ・リュートはアンサンブルで使うことが多かったのですが、今回は12月からのソロコンサートではずっとソロ楽器として使用しています。この「ひととき17」は、一連のコンサートシリーズの第5回目にあたります。

この一連のソロコンサートは、ほぼ同じ曲目で会場を変えて7回行う予定です。実はプログラムは、各回少しずつ異なっています。2月のコンサートではテオルボも演奏しましたし、12月はクリスマスソングやヴァイオリンとのデュエットも演奏しました。1回分のコンサートより少し多めの曲を用意しておいて、その中から各会場向けに少しずつ異なるものを組んでいくというやり方をとっています。

会場は、名古屋市内が3回(非公開のコンサートも含む)、あとは碧南、桑名、豊橋、東京です。次は東京です。ひととき17とほぼ同じですが、少し変えたものでいく予定です。

修理完了

2017年03月14日 12時14分02秒 | 日々のこと
1月の「雪害」はこの地方では滅多にないことでした。2,3日前にはお向かいさんが樋を修理してもらっていました。我が家も今日やっと庇の修理完了です。



被害直後の写真です。



きれいになりました。施工して頂いた業者さんの話では、前はアクリルだったけど今回はポリカーボネート(だったかな?)に替えたので割れることはないとのこと。もし大量の雪が今回のように落ちてきたら割れずに下に抜けるということです。次はなんとか耐えて欲しいですね。

実はウチは樋もやられていまして、まだ業者さんの見積もりさえ出来ていない状況です。この地方ではこういった被害は滅多にないので、業者さんも手が回らないと言ったところなのでしょう。

フェイクコラムその後2

2017年03月12日 12時20分08秒 | 音楽系
某経済新聞のコラムの間違い問題、二回問合せをいたしまして、


 ご指摘誠にありがとうございます。貴重なご意見を再度頂き感謝申し上げます。ご意見は担当部にお伝え致します。今後もご愛読をよろしくお願い致します。

というご返事を頂きました。「ご意見は担当部にお伝え致します」というのは伝えるだけで善処はしない、ということだったんですねぇ。ってどうせそうだとは思っていましたよ。(笑)

件の新聞は記事のクオリティがとても高いので、このことで購買をしないということは致しませんが、いい新聞だけに今回の件はとても残念です。描かれているのは4コースのルネサンス・ギターだという推測は当てはまりませんでした。バロック・ギターのようです。という旨の修正記事を1、2行かけば済むことですのに。



上はヘッドの部分を切り取ったものですが、ここのペグが10本ありますのでこの楽器はいうまでもなく10弦5コースのバロック・ギターです。それに仮にこの「少女」の家の蔵にルネサンス・ギターが残っていたとしても、画家は当時大流行していたバロック・リュートをさしおいてわざわざルネサンス・ギターを少女に持たせることはないでしょう。



この絵は、フェルメールの時代から少しあと、18世紀初頭にアントワーヌ・ヴァトーが描いた絵です。描かれている楽器はバロック・ギターです。この時期を過ぎるとバロック・ギターはだんだん衰退していきます。バロック・ギターは17世紀第2四半期頃から18世紀2四半期頃にいたる約100年間、フランス、フランドル、イタリア、スペインで抜群の人気を誇った楽器です。

件の新聞社は訂正記事を書きたかったのかも知れませんが、著者の評論家先生がそれを拒んだのかもしれません。単なる推測ですが。知らないことを適当に書いてしまうのはいけません。もし絵の中の楽器がどういうものか詳しく分からなければ、専門家に聞いて記事を書けばいいのです。ましてや指摘されたからといってひらきなおるようではもっといけません。

リュート奏者はリュートの絵を見ると、何コースの楽器だろう、どういう音が出ているのかなど、反射的にいろいろ探ろうとします。例えば、次の絵は有名なフランスのリュート奏者シャルル・ムートンを描いた版画ですが、(これの原画がルーブルにあるそうです)この11コースの楽器はどういう弦が張られているのだろうとか、右手のタッチや弾弦位置あるいはフレッティング(テンペラメント)がとても気になります。さらに左手でどういう音を押さえているか、これは実はすぐに分かります。





ムートンが押さえている弦をはじくと上のような和音がでます。ハ長調の和音ですね。可能性としてはさらに1コースのソや5コースのミも弾くかもしれません。小指が2コースファ♯を押さえている感じにも見えますが、この手のフォームでファ♯を入れることは普通はないです。リュート奏者(ギター奏者もたぶんそうでしょうけど)左手を見ていると音を聞くまでもなくどういう調でどんな音を出そうとしているのかはわかるものです。



上のフェルメールの絵は、以前にも当ブログで読み解きを行いましたが、絵画中の少女の右手が触れている弦と左手で触っているペグにつながっている弦が異なることから、この絵の瞬間は調弦をしているわけではない、ということを解き明かしました。でもこれは別に絵を何度もみて考えて出た結論では無く、演奏している側からするとすぐにわかることです。この絵はここから読み解きを始めるべきですね。まぁリュートのことでわからんかことはリュート奏者に聞いて下さい。餅は餅屋です。


ボレロ吾妻家コンサート

2017年03月09日 21時17分46秒 | 音楽系
日曜日は、豊橋のボレロ吾妻家でコンサートを行いました。

豊橋でのコンサートは「アンサンブル・バロック・イーラ」のコンサート以来3年ぶりです。今回はチェンバロ愛好家のYさんにプロデュースをしていただきました。

会場のボレロ吾妻家はフレンチで有名なレストランで、3つのフロアがある立派なお店を構えています。コンサート会場となったのは3階の催し物もできるフロアです。



ここでお客さんはワインを含む各種ドリンク、ケーキを召し上がりながらコンサートを聴くという趣向です。Yさんから、お客さんはほとんどリュートのことをご存知ないと伺っていましたので、プログラムは三分の一は私のオリジナル作品、バロック時代の曲も比較的耳になじみやすいイタリアやフランスものを中心に組んでみました。「ガッツリ系」のバロックはバッハのBWV997からのプレリュードだけかな?



楽器は14コースのアーチ・リュート(ルールデス・モレノ・ウンシージャ1995年作)。曲目は次の通りです。

バラール作曲アントレ、クーラント、村のブランル
ピッチニーニ作曲トッカータ第20番
カプスベルガー作曲ガリアルダ
ザンボーニ作曲ソナタ第9番ハ短調、チャッコーナ
バッハ作曲組曲ハ短調BWV997よりプレリュード
サンス作曲カナリオス
オリジナルで夏のプレリュード、夜間飛行~空のかなたへ~、朝の10時に、ワルツM、ガヴォッタ、ハーツ・イーズ

お陰様で会場はほぼ満席になりました。お客様の顔色をうかがいながらトークを交えながら進めて行きましたが、リュートは初めてとは言え、クラシックの音楽はよく聴かれている感じの方が多く、とても豊かな反応が印象的でした。この豊橋のコンサートは定期的に開催してもらえそうなので、今度はバロック・リュートでヴァイスの作品を中心に演奏してみようかなと考えています。

フェイクコラムその後1

2017年03月03日 21時17分00秒 | 音楽系
件の新聞社に返事を書きましたら、「ご意見は担当部にお伝え致します」との回答がありました。果たして担当部から何らかの回答がくるのかしら。

今回私が指摘したのは、フェルメールの絵画中の楽器が、ルネサンス・ギターなのかバロック・ギターなのか、古楽界でも論争が起きている、というようなややこしい話ではなく、まぁリュートやバロック・ギターの専門家なら誰でもバロック・ギターと答える、という極く基本的なお話です。そんなことを間違っているのは、高い文化的、知的レベルを誇る件の新聞としてはちょっと恥ずかしいことではないでしょうか。

まぁ誰でも間違いというのはありますので、ここは新聞の片隅に、あのコラムにありました、ルネサンス・ギターというのはバロック・ギターの間違いでした、という小さい訂正記事を出せば済むことだと思います。

私は件の新聞は最も文化レベルが高いと評価しています。なにしろよその新聞ではテレビ欄にあたるところに、非常に興味深い内容の文化欄があります。もう亡くなりましたが、私の義理のいとこにあたる作家、稲葉真弓もときどき寄稿していました。今日の同面のコラムには、先頃亡くなったかまやつひろし(ムッシュかまやつ)に関する短いですがとてもいい内容の評論がありました。

さてどうなるんでしょう。いい回答を待ってますよ。

桑名和菓子フェア

2017年03月02日 19時39分36秒 | ローカルネタ
スーパーに行ったら「桑名和菓子フェア」をやっていました。桑名というところは結構和菓子屋が多いところです。



市内の和菓子屋さんが一同に会して、それぞれのオリジナルを販売するという催しは以前も開催されて好評だったようです。

市内の小さいお店はスーパーができたので、多くは無くなってしまいました。駄菓子屋さん、八百屋さん、天ぷら屋さん、魚屋さん、かしわ屋さん、うどん屋さん、肉屋さんなど、歩いて5分もかからないところに一杯ありましたねぇ。でも和菓子屋さんだけは例外のようで、ほとんど残っています。ウチの近所だと減るどころか、二増です。もっとも一減していますが。(笑)

花見には少しまだ早いですが、おいしそうなので買ってきました。



実はこの花見だんごはウチのすぐ近くの和菓子屋さん製です。直接買いに行ったほうがずっと近かったですね。パックに2本入って320円みたいに見えますが、実は1本食べてしまったので、3本で320円です。