リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

バロック音楽の旅X開講!

2016年06月28日 22時41分27秒 | 音楽系
くわな市民大学市民企画講座「バロック音楽の旅X」が始まりました。第1回は例によってバロック音楽基礎講座です。



今年は例年にも増して多くの方に応募していただきました。第1回目は座学ですので、テーブルも用意するのですが、例年だと1つのテーブルに3人掛けはあまりありませんが、今回は多くテーブルが3人掛けになってしまいました。

今年で10年目を迎えてこれだけの方に来て頂きとても嬉しい限りです。

今年のラインナップは次のようになります。

第1回 6月26日(日)
    レクチャー:バロック音楽基礎講座
第2回 9月18日(日)
    レクチャー:ルネサンス・バロック時代における編曲・変奏
    (生演奏付きです) リコーダー:御室広子、岡崎和光
第3回 10月23日(日)
    リコーダー・カルテット「まるかる」
リコーダー:太田光子、浅井愛、村田佳生、辺保陽一
第4回 11月13日(日)
    バロック音楽で巡るヨーロッパ
    坂本利文(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、坂本洋子(リコーダー)、
    中川祥治(アーチ・リュート)
第5回 12月11日(日)
    17,18世紀のチェンバロ音楽
    チェンバロ:藤目由梨
第6回 2017年2月12日(日)
    テオルボ、アーチ・リュートによるフランス・イタリア音楽
    テオルボ、アーチ・リュート:中川祥治

1回だけの参加はできませんが、途中以降の参加は可能です。興味のあるかたはぜひ桑名までお越し下さい。

会場下見

2016年06月22日 22時13分26秒 | 音楽系
今度の日曜日から、バロック音楽の旅Xシリーズが始まりますので、念のため会場となる、くわなメディアライヴ1F多目的ホールの下見をして参りました。



第1回目はレクチャーですので、プレゼン用にプロジェクタを使います。機材は会場備え付けのものを使う訳ですが、これとパソコンが上手く接続できるかテストをしたかったのです。使うコンピュータは昨年と同じものなので多分大丈夫だとは思うのですが、最近Windows 10 にアップグレードをしたので、ひょっとしたらということがあるかも知れません。

接続した結果は、「ひょっとしたこと」がありました。(笑)昨年と同様に、HDMIコネクタにVGAアダプタを差して、アナログで信号を出してみましたら、画面の下部四分の一くらいがスクリーンに映りません。会場の機材は昨年度入れ替えまして、HDMIの入力にも対応していますので、アダプタを介さずに直で接続しましたら、無事全画面が映りました。当日こんなことをやっていたら焦るところでした。Windows 10 にアップグレードしたときに、ティスプレイ・ドライバもアップグレードされ、それがアダプタと相性が悪くなってしまったんでしょう。こんなことでしたら、昨年度もHDMIで接続をしていたらよかったです。

もうHDMIで接続する環境が普通になってきているんですね。まぁ当然と言えば当然ですしその方がありがたいです。うちのデスクトップパソコンのディスプレイ接続も、テレビとレコーダの接続も3年以上前からHDMIで接続していますから、もはやもっとも「枯れた」接続方法だと言えます。HDMIケーブル一本で音声も出力できるし、パワポのファイルも音声ファイルを貼り付けしたものに今回からしたいと思います。

ガット弦に張り替え(2)

2016年06月19日 00時35分53秒 | 音楽系
2コース以外張り替えました。1,2コース用のガットはまだウニヴェルサーレ社から届いていません。1コースはとりあえず手持ちのガット弦(0.44mm)を張ってみました。



ナイロンと比べると全体的に少し落ち着いたトーンになりますが、バス弦はとてもバランスがいいです。振動不良の弦がないため、とても調弦がしやすいです。ナイロンの細い弦だと、1,2本でいいのが当たればとてもラッキーです。先日のリサイタルの際は、1弦の選定に9本の弦が必要でした。つまり、音程不良や振動不良の弦ばかりで、ストックがなくなったら、念のためとっておいた使い古しの弦を使ってリサイタルに臨もうかと思っていましたが、9本目でいいのにやっとあたりました。ナイロン弦の細いのはほんとに困ったものですが、ガット弦だと職人さんの手作りになるので精度はずっといいのでしょう。

3年程前のガット弦トライアルのときは、バスにガムート社のギンプ弦を張ってみましたが、パワーがなさすぎて使い物になりませんでした。先日お会いしてガット弦に関するアドヴァイスを頂いた佐藤豊彦さんも、「みんなギンプ弦で失敗するんだよね」とおっしゃっていました。佐藤さん自身も恐らくギンプ弦で失敗したクチではないでしょうか。彼の2001年のアルバムには、使用弦が書かれていて、「ピストイ・ガット弦及びギンプ・ガット弦を使用」とありました。

私が試したギンプ弦は、銀の細い線をガットと一緒に折り込んだものでしたが、べらぼうにお値段が高かったです。これをルネサンスリュートの6~7コースに使ってみたんですが、ちょっとこれでは・・・という感じでした。高価だったこともあり、これをバロックのバス弦として使う気はおこりりませんでした。

佐藤さんの2001年のアルバムには次のような記述もあります。

「・・・(6年前(1995年)録音では)一日最高6本の第1弦を必要とした・・・今回は全録音の3日間で4本という少なさで、ここ5,6年間のガット弦の質の向上には目覚ましいものがある・・・」

3日で4本というのも大概だと思いますが、一日6本というのは全く実用的でないということでしょう。それが最近ではやっと実用的に使えるガット弦が出て来たという感じです。まだ届いていなウニヴェルザーレ社の弦がどのくらい持つのか楽しみです。佐藤さんは2ヶ月ちかく持つとおっしゃっていましたが。

ガット弦に張り替え(1)

2016年06月15日 15時45分35秒 | ローカルネタ
アメリカのガムート社からガット弦が届きましたので、ぼちぼちとガット弦に張り替えています。ガムート社には3コースから13コースまでの分です。1コースと2コースを頼んだウニヴェルザーレ社からはまだ届いていません。同社の方からは、先週の今頃、2,3日出かけるので弦をひねるのは帰ってからだ、という旨のメイルが届きました。出来たら連絡するとのことでしたが、まだ出来てないみたいですね。さすがイタリアン・・・。



13コースと12コースを取りあえず張り替えてみましたが、なかなかいいです。13コースを張るときに、まだ交換していない12コース(フロロカーボン=鮪用の釣り糸)と音を比べてみましたが、少し音は柔らかい感じで、余計な倍音が入らないのと、ゲージが精確な点はガット(ピストイ)が優れています。フロロカーボンのバス弦はピストイガットと音の感じは近似していますので、合成樹脂弦による代替弦としては一押しでしょう。


左4本(13,12コースがピストイガット。他はマグロ弦)

13コースを張るときに、直径が1.92ミリもあるので、棒振動して使い物にならないのではと危惧しましたが、実際に張ってみると全く問題はありませんでした。フロロカーボンだと直径が1.66ミリですが、ピストイはとてもしなやかなので問題がないのだと思います。これが、同じガット系の弦でも同社のギンプ弦だとずっと固いのでうまく行きません。(ギンプ弦に関しては後日少し書きます)直径1.92ミリのピストイガットは私の楽器だと張力が大体2.5キロです。3.0キロ近くあった方がいいかも知れませんが、私の楽器にはこのくらいがベストです。2.0キロに近づくとちょっと低すぎて音がならないでしょう。

13コースをブリッジとペグに通すには、穴を少し広げる必要がありましたので、2ミリのドリルで穴を広げました。写真のような、長さ15cm直径2ミリのロングドリルを模型用のチャックにはさんで手で回します。ご自分でガット弦用に穴を太くしようとされる方は、間違っても電動ドリルを使わないようにしましょう。もちろん錐もだめですよ。錐はテーパーがついています(円柱形になっている)から。ちなみにこのロングドリルやチャックは特殊な工具ではなくその辺のDIYの店で売っているものです。



バス弦としてのピストイとカーボンの特徴をまとめてみました。

カーボン
1本あたりのお値段が圧倒的に安い。ただし購入するときは25メートルとか30メートルという単位で買わなければならないので、ピストイほどではないが結果的には高くつく。協同購入するか持っている人にひと張り分だけ譲ってもらうと安い。
とても固いのでブリッジにしばりにくい。
湿度の影響はゼロ。温度変化にも比較的強い。
精度に問題がある。2,3本張って1本選ぶという感じ。

ピストイ
お値段がとても高い。数年は使えると思うのでそれを考えると多少は納得できるが、それにしても髙いです。
とてもしなやかなので、ブリッジにしばるときやペグに巻くときは扱い安い。
湿度の影響はあるが、温度変化には強い。
精度は抜群。もっともお高いものですから、よくなければ困ります。


両素材ともギターのような巻き弦よりはバロック音楽の楽器としてよりふさわしいと思います。でも初心者にとっては、音程を聞き取るのが両素材とも結構難しく調弦が大変なので、その点では巻き弦を使った方がいいと思います。初心者?と思われる方がガット弦を張った楽器で演奏しているビデオクリップYouTubeなんかにアップされていますが、ほとんど全ての人の調弦はきちんとできていません。

満開

2016年06月01日 10時36分41秒 | 日々のこと
今年も我が家の天然どくだみ園が満開です。冬には枯れ枯れになるのに、この季節になると青々と育って可憐な花までつけるのですから、すごい生命力ですね。



天然の野草園と言えば、東京国立博物館附属自然教育園にも天然野草園がありました。この敷地はもともとは徳川光圀の兄にあたる高松藩主松平讃岐守頼重の下屋敷だったところで、明治以降は火薬庫になっていたところです。東京の都心に忽然と存在する自然の森林です。中に入ると都内にいるとはとても思えません。でも園の端っこのほうに行くと、高架道路がちらっと見えたりするので都心にいることをいやでも知らされます。

ここの入り口のところに天然野草園(正式な名称は忘れましたが)がありました。2 x 4メートルくらいのセメントの囲いの中に土を入れて、放ったらかしにしているだけという感じですが、天然野草というからにはそうしなくてはなりません。みかけがあまり美しくないので今はもうないかもしれません。ウチの天然どくだみ園はこれからも続きます。もっとも「ウチの」って言っていますが、実はこの野草園の四分の三はお隣さんの土地で、ウチの分は写真で言うと左四分の一くらいです。でもどくだみはそんなことは知りませんから、全部ウチのものみたいに見せてくれます。(笑)